igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンタイガ、ぶっちゃけ感想

 最近やっているニュージェネレーションウルトラマン考察。今回は、2019年7月から放送された7作目、ウルトラマンタイガです。三人のウルトラマンが登場し、「バディゴー」がキャッチフレーズ。テーマは「地球人と宇宙人の共存」。防衛隊は登場せず、民間の警備組織、E.G.I.S.に所属する主人公、工藤ヒロユキが、三人のウルトラマン、タイガ、タイタス、フーマに変身するという話。ニュージェネレーション個人的ランキングでも書きましたが、一般には、凄く良い部分はたくさんあるけどなんか惜しい、みたいな意見をよく見る気がします。
 今回は、私igomasのぶっちゃけ感想と題して、タイガの良いところ、そしてタイガが描き切れてないんじゃない?って部分を書いていきたいかなと思います。記事内容としては、Twitterで以前掲載したものをほぼ全書き換えし、ブラッシュアップした形になります。

良かった点

 まず良い点から。今作では、特撮の技術が大幅にアップしていました。CGや合成、ミニチュアの作り込みなどなど、今までと違うものを作ってやろうという意気込みが伝わってきて非常に良いですね。どの監督の特撮にも見せ場が増えてきて、かなり好印象。田口監督、辻本監督は割と今までやってきた特撮の技術をさらに伸ばそう、という感じの撮り方をする一方で(とはいえデアボリックの画は目新しかったですが)、新たな撮り方に挑戦しようとする監督も結構いて、全体として特撮面の完成度は高かったですね。
 次に怪獣の豊富さ。近年の作品では、怪獣のスーツが少なくなってきていることから、同じ怪獣を使い回すことが多い印象でした。怪獣がヨレヨレだったり、この怪獣前作でも前々作でも見たよ~みたいな怪獣がいたり、新怪獣が出ても何話も連続で使い倒されたりと、まぁ一言で言えば絵面が似たり寄ったりになってしまうきらいがありました。今作ではそれが大きく改善され、既存の怪獣を使うにしても近年誕生した目新しい怪獣を使うとか、新怪獣を多く登場させるとか、新規造形で懐かしの怪獣を出したり、スーツを軽く色替えなどして派生種を作ってみたりと、毎回視聴者を飽きさせないような配慮がなされていました。それから、最近は出てなかったバット星人なども使っていましたね。怪獣で楽しませよう、という意気込みが良かったのもタイガの長所。
 また、物語がオムニバス形式なのも良かったです。円谷は全体的に縦軸のストーリーを作ろうとすると上手くはまらなかったり、プロットに粗が出たりと近年苦戦している印象があり、やはり50年かけて殆ど横軸ストーリーを作ってきた会社ですから、今回のタイガを見るに、横軸の方が得意なんだろうなとしみじみ。
 横軸に振り切ったことで、監督陣がやりたいことを思う存分出来るようになり、単体としてどれをかいつまんで見ても楽しめるような作品になったのは良いところ(しかし、ここが実は大きな落とし穴をはらんでいた、という話はまた後半で…)

 

悪かった点

 さてそんなタイガですが、考察を深めていくと、所々、う~んと首をひねってしまう箇所も結構あります。というわけで、ここからは悪かった点を紹介。冒頭で言ったとおり、あくまでぶっちゃけ感想なので、思ったことをオブラートに包まず言いますね。
 まず、タロウの息子の物語が書けていない、という点。トレギアがタロウの旧友、というところで描いてるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、別にそれがタロウでなくエースでも何も変わらないですよね、って話です。タロウならではの、タロウでなくてはならない理由づけがなければ、設定が劇的に活きてくることはなく、感動も薄れてしまいます。本作はタロウの息子の物語でありながら、制作陣はできるだけタロウ要素を減らそうとしたらしく(まずこの時点で意味が分かりませんが)、登場怪獣も、タロウ怪獣は出さない、というのを徹底しようとしたらしいです。え、でもサメクジラ出てきたよね。そこは徹底しないの?というのも不満ポイントの一つ。タロウ要素を減らす、というこだわりがその程度のものならば、むしろタロウ要素バンバン出していた方が遙かに良かったと思われます。
 次に、トライスクワッドのキャラが薄すぎる、という点。タイタスは登場当時、キャラが濃いと人気があったようですが、実際のところ、マッスル自慢、という一つの性格づけ以外には、特にキャラが深掘りされることがありませんでした。本編を見るに、賢者要素のキャラ描写や、U40出身ならではの作劇といったところがなく、とにかく設定ありきでキャラに深みがない、という事態に。フーマもまた同様で、彼に至っては描かれたのはしゃべり口調の差ぐらいのもので、キャラとしての掘り下げが全くといっていいほどなく、O50要素もまったく活きていない印象でありました。またトライスクワッドがそもそも結成した状態からスタートするので、それまでの旅路が何も視聴者に提供されず、彼らのセリフに視聴者が共感しがたい、というのも難点。まぁこれらのことは、ボイスドラマやEXPOで示されていると言えばそれまでなのですが、そもそもボイスドラマやEXPOを皆が見ていると思ったら大間違いです。ウルトラマンだったらどんな媒体でも良い、という方もいらっしゃるでしょうが、「巨大怪獣特撮」としてのウルトラマンに魅力を感じる者からすれば、声だけのボイスドラマは退屈なだけですし、EXPOも家から遠くて行けないという人が多いでしょう。ウルトラマンファンに最も認知されるのは、テレビ本編であることは明らか。その本編でキャラ掘り下げをしないで、他でキャラ掘り下げをするというのは、あまりにも本末転倒。そこを本編で描く気がないというのは、作り手として大問題であります。それから、日常パートにおいて、トライスクワッドの描写がほぼ皆無なのも難点ですね。
 3点目、バディーゴー、という言葉が全く活きていない、という点。バディーゴーと言うからには、バディが成立していなければならないわけですが、ヒロユキとタイガにバディ要素は皆無と言って良く、「バディ」という言葉の扱いが雑。さらに言えばヒロユキとタイタス、ヒロユキとフーマそれぞれのバディ要素も描かなければならないわけですが、バディのバの字もなく、作品を代表する言葉の重みが著しく軽い、という事態に。個人的にはタイガの作風だと別にバディ要素を足す必要はないと思うので、バディーゴーの掛け声の方を変えてもいいんじゃないかな、と感じました。
 4点目、ヒロユキが主人公である必要性がない、という点。ヒロユキは確かに「良い人」ではあるのですが、ただ良い人だからといって主人公に向いているとは限らないわけです。彼が主人公である必要性はどこにあるのか、その補強がまったく足りていません。主人公とは、物語において心の変化・成長がダイレクトに描かれるべきキャラであり、変化や成長をしてくれそうなキャラの深みがどこを探しても見つかりません。それからこれは横軸展開のストーリーゆえの弊害なのですが、ゲストを中心としたストーリー展開が結果的にヒロユキの影を薄くしてしまったのも苦しいところ。結果、ヒロユキはただの3人のウルトラマンの器といった印象が強くなり、途中タイタスやフーマからもそうとしか思われていないような発言が飛び出すという、なんというか、寂しい主人公でありました。
 5点目、E.G.I.S.の掘り下げが足りていないということ。これもゲストを中心に据えすぎた弊害の一つなのでしょう。4人という少ない組織ですから、キャラを描く機会は十分あったはずなのに、ゲストに食われすぎたというのが結局のところなのでしょう。せめてもっと個人の意見とか、価値観とか、そういうものを物語、セリフ、動きの端々に盛り込んでくれれば、ゲスト中心の物語作りでもキャラ造形が確保されたのですが。それに、例えばピリカであれば最終回における彼女の思考にセグメゲルの時の一件が関係してくるとか、そういう個々の話の関わりがあれば化けるのですが、そういったこともなく、ほんと残念な部分が目立ちました。まぁ一言で言えば、なんとなく皆影が薄いなぁという印象。
 最後に、トレギアの魅力が足りないということ。これまで書いてきた、キャラの描写不足の原因は、ゲスト中心の作品作りというのも一つ、それからトレギアに尺をさきすぎたというのもあるでしょう。ではトレギアのキャラはその分立ったのかというと、別にそうでもないのが惜しいところ。悪役のキャラ造形として、説明不十分なところが多すぎて、ちゃんと描けていませんでした。トレギアの背景、行動原理がしっかりと描かれることもなく、作品前半の登場はその殆どが、「別に変身しなくてもよくない?」と思えるような雑な登場でありました。感情移入も出来ず、なにがしたいのかもよく分からない、そんなキャラ造形では魅力も半減です。
 一方で株を上げたのが、人間態である霧崎。タイガ感想ではいつも言っているのですが、タイガという作品内で、トレギアと霧崎の持つ魅力値がまるで違っていて、別キャラみたいに見える、ということ。霧崎は、ギガデロス回に始まる、タイガ闇落ち計画を通しての暗躍、E.G.I.S.の面々を襲う展開など非常に良いキャラづけがなされておりました。本編において、トレギアの怖さ、魅力をうまく演じていたのは全部霧崎役の方で、トレギアに変身してからはあまり魅力を感じていなかったように思えます。人間態の活躍も相まって、別に変身しなくても人間態で大抵の計画は完遂するんじゃないの?変身する意味ないんじゃない?と思えるほどにトレギアに魅力が感じられませんでした。トレギアって、巨大化して一種滑稽ともいえる戦闘スタイルで挑発するだけ挑発して、タイガの強化形態の噛ませになる、という程度の印象しかありませんでした。結局、ウルトラマントレギアの魅力は書ききれていないな、というのが私の意見です。

 

まとめ

 ぶっちゃけ感想というだけあって、割と辛口の意見も織り交ぜながら書いていきましたが、全体としては、まぁ面白く見させていただきました。とはいえ「悪かった点」でも書いたように、やはりまだまだ作品としては描き切れていない部分が多く、製作発表当初に期待された電王越えには遠く及ばず、令和最初のウルトラマンという重圧には全く耐え切れておらず、これでは昭和最初のウルトラマンや、平成最初のティガとはお世辞にも並べないな、という印象のタイガでした。

 さて、長きにわたるニュージェネレーションウルトラマン考察も、ようやく一週を終えました。これで、ギンガからタイガまで制覇ですね。過去記事はニュージェネレーションのカテゴリから、ぜひぜひ探してみてください。今後もニュージェネレーションはまたちょくちょく考察していこうと思ってます。とりあえず悪役をまとめた記事を書きたいな。

 それでは次の記事で、igomasでした!