igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ニュージェネレーションウルトラマンの悪役、総おさらい

 皆さんこんにちは、igomasです。悪役好きを名乗っておきながら、あまり悪役の話をしていないな、と思い先日書いたカブラギシンヤ予想記事。今回は悪役考察第二回と題しまして、ニュージェネレーションに登場したヴィランたちを総おさらいしていきたいと思います。私igomasの悪役観、悪役を普段どう評価しているかも紹介しております。これを読んで君も悪役ファンになろう!


↓カブラギシンヤの記事

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悪役をどう評価するか

 ひとくくりに「悪役」と言っても、その種類、見せ方は様々で、評価ポイントも異なってきます。今回は大きく、構造論的な悪役の分類をしてみます。構造論?よく分からん、と思われるかもしれませんが、ようは「悪役の存在理由」ということであります。
 物語というものは元来、主人公を中心に描かれるものであり、主人公のキャラ付けや心情の変化が、作品全体のテーマと合わさって重厚な物語となります。基本的に、物語に絶対的に必要なのは「主人公」であり、逆に言えば主人公以外は基本必要ない、ということになります。例えば恋愛青春小説など、悪役(悪人)が出てこない作品も多いですよね。あくまで悪役は、作品を彩るスパイス、と考えるのがよいでしょう。
 料理をするとき、料理に合ったスパイスがあるように、作品ごとに魅力的に映る悪役像は異なってきます。また、作品内にも、あらゆる役割を果たすため、個性的な悪役が多数配置されることもあります。悪役がどのように作品を引き立てるのか、についても語っていきましょう。
 悪役は、大きく4つに分けられると思っています。①主人公が超えるべき、力の壁、②主人公が超えるべき、思想の壁(あり得たかもしれない自分)、③愛すべき雑魚、④単なる賑やかし、の4つです。
 まず①主人公が超えるべき、力の壁について。これは、いわゆるドラクエ竜王みたいな、主人公が鍛錬や覚醒、仲間との協力などをして、最終的に力で勝たねばならない敵、ですね。主人公の力の成長は、心の成長にもつながります。主人公のフィジカル面を成長させたい場合に使うと際立つスパイスですね。
 次に②主人公が超えるべき、思想の壁(あり得たかもしれない自分)。これは、ダースベイダーが一番分かりやすいかな。主人公とその敵の境遇が真逆だったら、主人公もまた悪の道に落ちていたかもしれない、と思わせてくれるような、主人公のもう一つの可能性、を具現化した悪役。もしもルークスカイウォーカーがアナキンスカイウォーカーと同じ境遇に立たされたのであれば、彼もまたダースベイダーになっていたかもしれない、といった感じですかね。特撮ファンに分かりやすく言うと、「ウルトラマンガイア」の藤宮(アグル)ですね。我夢(ガイア)が同じ境遇なら、我夢もまた藤宮のようになっていたのかも。それから、「電光超人グリッドマン」の藤堂武史も、主人公のもう一つの可能性として機能していました。私の好きなマーベル映画ヴィランにも、よく使われるスパイスです。こうした悪役は、主人公の鏡の構造になっており、主人公の思想面やヒーローらしさを補強する役目を果たします。主人公の心の成長にダイレクトに関わってくるスパイスですね。
 そして、③愛すべき雑魚。物語における、主人公の成長のためのスパイスとして機能する悪役もいますが、作品上の役割とか放り出して、完全にスパイスに特化した悪役、それが、愛すべき雑魚であります。一瞬しか出てこなかったり、中間管理職脱だったり、雑魚兵だったり、決してめちゃくちゃ強いということはなく、むしろあっさり負けちゃったりするんだけど、そこに愛嬌があるというか、作品をぐっと盛り上げてくれる悪役ですね。散り際の見事さは一級品。④と異なる点は、あえて悪役の「作品上の役割」という要素を廃して、魅力に全振りしている点でありましょうか。
 最後に、④単なる賑やかし。作品構造上必要ないし、別に悪役の魅力に全振りしたわけでもない、その他ポジション。正直、作品に不必要な存在。なんて言うと悪く聞こえがちですが、それはあくまで構造論的に作品を捉えた時の話。悪役の魅力に全振りしたわけではない点で③と異なるものの、描き方次第では魅力をプラスすることも出来ますし、色々と描き方で差はあると思います。腕を試されるスパイス。
 このグループ分けの重要なところは、その作品において悪役がどういう役割を果たしてるかが分かれば、その悪役を描くにおいて最低限必要な条件がわかる、というところにあります。①であれば、圧倒的な力の描写、②であれば、その思想になるに至った経緯・境遇、③であれば、圧倒的な魅力、④であれば、他と違ってもともと悪役ステータスが低いので、他の①②③に必要な、力の描写、境遇、魅力を適宜補完する、といったところでしょうか。これらができて初めて、その悪役を「最低限描けた」といえるわけです。さてそれを踏まえた上で、ニュージェネレーションの悪役たちを、見ていきましょう。

 

《ダークルギエル》

 ダークルギエルは、ウルトラマンギンガの、一応のメインヴィランでありました。一応の、というのは、描写が非常に乏しいからであります。彼は②型の敵であり、主人公との思想の違いをメインに描かれてきました。それから①の要素も含んでいますね。圧倒的な力、という点では冒頭のダークスパークウォーズで描かれ、数々の強敵を繰り出してきました。
 最終話付近まで白井校長の体に隠れていたことからも、全体的に描写不足が目立ち、①の要素はあるもののダークスパークを失うと途端に弱体化したりと、圧倒的力の壁、として機能しているかは疑わしいところ。少なくともギンガの段階では、悪役としての魅力はやや半減でありました。
 しかし、後にウルトラマンギンガSにて再登場。なんやかんやで全ての黒幕であり、ギンガSのラスボスであります。ここで、②の必須要素であるその出自や考え方についての補足が示されました。ルギエルはギンガのいわば陰のような存在だったのですね。全体的に、ギンガSでもやや描写は少なかった印象。まぁ、闇のエージェントやエクセラーといった、多くの悪役に影響を残した、と言う点では描写はされてるんですけどね。それからウルトラギャラクシーファイトなどなど、再登場時にキャラ補完はされており、ギンガの敵としての地位はちゃんと確立されています。
 全体的に、ヴィランの描き方をまだ模索していた時期なだけあって、発展途上な描き方でありました。

 

《チブル星人エクセラー》

 ギンガSでのメインヴィラン。思うに③のタイプではないかと。確かに、ファイブキングやビクトルギエル、その他様々な局面で主人公たちを苦しめたのは事実ですが、基本的にその役割としては、最終回のルギエルへのつなぎの役割や、アンドロイド・ワンゼロの物語への影響力が強く、主人公と大きく対峙する存在でなかったこと、散り際の見事さや、話し口調のキャラ立てなど、非常に③に当てはまる項目が多く思われます。
 エクセラーは、実に上手くキャラの魅力を描こうとしており、何者かを復活させようとしている、というのが隠すことなく視聴者に提示されるので、無駄に焦らされてる感がなくて良いところ。キャラの情報、特に悪役の設定は、下手に隠すくらいなら、視聴者にオープンである方が好ましいですね。実にシンプルかつ魅力に特化した作りであり、まぁニュージェネ悪役の中ではまぁまぁ良いイメージ。
 ただ、少し引っかかるところがあって、エクセラー自体が、先も言ったとおりルギエルへのつなぎやワンゼロの上司としての姿が目立ち、ギンガやビクトリーと直接的に対立する敵ではなく、メインヴィランとするならもう少し両者の絡みを強化した方が良かったのでは、と思われます。③④型は、主人公と対立するわけではないので、メインヴィランにするにはかなりの補強が必要になってきますね。ここの辺りは、もう少し慎重に描いていれば良くなったかも。

 

《ジャグラスジャグラー

 オーブのメインヴィランですね。本格的に、円谷が悪役のキャラ付けに動き出した、そんなエポックメイキング的な悪役であります。ジャグラーは悪役タイプ分けとしては②に入るでしょう。ガイが光の力を得たのに対し、光に選ばれず闇に墜ちたジャグラーは、思想的な面でガイと対峙します。オーブの物語の終着点を、ジャグラーとの和解に持ってきたテレビ本編ですが、これはオーブが主人公としてなすべき最終目標が、ジャグラーの闇に寄り添うこと、ジャグラーを理解すること、という一種の精神の成長であることを示しています。ここからも、ジャグラーを、ガイのもう一つの可能性として示したかったのだろう、という制作陣の意図が垣間見られます。
 皆さんご存じの通りジャグラーは悪役としてものすごい尺を割かれていました。悪役の魅力を補強する様々な工夫がなされ、使うアイテムもダークリングに蛇心剣とバラエティを持たせてみたり、テレビ本編前半、後半、オリジンサーガなどなど、服装や髪型のバリエーションも多数あり、ほんと描写は色々やっていた印象です。ところが、このジャグラー、非常に惜しいところがあるのです。それが、②の必須要素、悪役になった経緯であります。オリジンサーガでの描き方はやや描写不足な感があり、テレビ本編は示唆程度のものであると、ジャグラーの闇墜ちがちょっと微妙かな、というところ。また個人的には演技がやや大袈裟な部分(特にメトロン星人の攻撃の痛がり方とか)があんまり好みでなく、細かい1シーン1シーンの部分では不足もある悪役。
 とはいえ、まぁニュージェネ悪役の中では1位よな、という大活躍。彼を含めたオーブの活躍があっての今の円谷、と言っても過言ではないほどに、頑張ってくれました。

 

《伏井出ケイ》

 ジードのメインヴィラン、伏井出ケイです。彼は、④単なる賑やかしに当てはまると思われます。単なる賑やかし、と言うと少し語弊がありますが、そもそも彼には作品構造上、存在意義がないのであります。今作のラスボスはあくまでベリアルであり、彼は言ってしまえばつなぎの役割でしかなく、ベリアルに利用される(ストルム器官)道具でしかないわけです。彼が①や②になれない大きな理由として、主人公との対立面があまりに少ないことにあります。どちらかと言えば、彼はライハの対立項であると思われます。メインヴィランにするなら、主人公と対立してほしいのですが…また、①の力の壁としての存在も、②の思想面の壁としての存在も、どちらかといえばベリアルに取られてしまっているきらいがありますね。③の悪役の魅力に全振り、というわけでもなく、その他の④になりました。
 しかし、④でも良い悪役になれる、と先に言ったとおり、描写次第では巧い悪役になれます。では伏井出ケイの場合どうだったかと言われれば、これは十分成功したと言ってよいでしょう。先のジャグラーの人気を踏襲しつつも、伏井出ケイらしいアイデンティティはちゃんと持ち合わせており、好感が持てます。ベリアルに心酔する様もよく描けており、ここが前作と異なり、過去をしっかり描けている、という部分につながります。伏井出ケイの出自は、星を滅ぼされベリアルに見いだされた、ということしか書かれていませんが、これくらいパンチのある過去だと深く描写しなくてもまぁ視聴者には伝わるわけです(逆に、「えっなんでそれで闇落ちするの?」みたいなやや突っ込みどころのある過去だと魅力半減になります)。とにかく、④の弱みである存在意義を、あらゆる描写面で補い、非常に描き方の丁寧さはあるな、と思いました。
 まぁ不服があるとすれば、やはりそれでも④型はメインヴィランには向いていない、という部分。④型がメインヴィランになるためには、よほど描写が神ってなければならず、結局最後はメインヴィラン味をベリアルに持って行かれたなぁ、というのは惜しい部分。
 と、ここまでは構造的な話になるのですが、悪役好きとしてどうも好みに合わない部分を一つ。「放送まであと○○日」でおなじみの、演者による直前コメント動画がありますよね。このキャラの演者の方がそのコメントにて、「正体を推理してみてください」と言ってるのですが、これが気に食わん。おそらくは脚本・構成の乙一氏が、推理小説も書いていることをもじって言ったのでしょうが、そもそもまるで「推理」という言葉を理解していない。推理とは、「あらかじめ知られていることをもとに筋道を追って新しい知識・結論を導き出すこと」(広辞苑)であり、既にある情報から「論理」によって「推定」するのが推理なのであります。それを、ベリアルを模した指輪、という情報だけから、ストルム器官を持つ新宇宙人とロジカルに導き出すことなど、出来るわけがありません。推測されるのは、たかだか「ベリアルの手下」程度のことであり、これを「正体」と呼ぶのにも無理があります。むしろ推理に値するのは石刈アリエの正体の方でありましょう。「推理」という言葉を軽く使いすぎてしまったのはあまりにも痛手。これはニュージェネ史に残る大失言であります。これがあるので、伏井出ケイは純粋に好きになれなかったんですよね。直前コメントの失言によって評価を下げるのは心苦しいですが、やはり悪役ファンとしては、悪役をやるなら細部までこだわってほしい、と思います。

 

《愛染マコト》

 ルーブ前半のメインヴィラン、愛染マコト。彼はルーブ記事でも取り上げているので良ければそちらも見てみてください。

 

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  愛染マコトは、非常にキャラの立つ悪役で、ノリの良さ、ユーモラスな雰囲気は実に好評を博しておりました。ややワンパターンになりつつあった怪獣召喚も、ノリノリの召喚で楽しかった思い出。本作のコメディチックな部分を補強するキャラクターでありました。
 愛染マコトの難しいところは、彼は①の面も②の面も同じくらいに持ち合わせている、というところであります。こういう混合型は、描く上で非常に難しいのですが、果たして描けていたのかどうか。
 愛染マコトは、湊兄弟に対し、①力の壁として立ち塞がります。それを、湊兄弟は鍛錬を積むことで、また新たな力を得ることで、越えるわけです。オーブダークの初登場時の活躍は、湊兄弟に対して「力の壁」たる描写は出来ていましたね。
 問題は②の方で、愛染マコトは、「ウルトラマンは人々に希望を与える存在だ。そのためにはなにしてもいい」だったり「ウルトラマンは~~であるべきだ」といった押しつけに対し、湊兄弟がどのような思いで戦うか、という思想面での対比構造を作る役割を果たしていたと思われます。②の描写に必要なのは、悪役がそう考えるに至った経緯であります。これが、愛染マコトにおいて致命的に描けていない部分。なぜ愛染マコトがオーブに心酔する中で歪んだ価値観を持ったのか。そこがまったく描けていないゆえ、この悪役をどう見たら良いか分からないままフェードアウト、という事態になってしまいました。
 また、愛染マコトが心酔するウルトラマンがオーブであることに、何の必然性もなく、たまたまネタにしやすかった程度、で選ばれたのは、悪役に対する真摯な姿勢が欠けている、と言わざるをえません。

 

《美剣サキ》

 ルーブ後半のメインヴィラン。ルーゴサイトへの復讐に燃える人物。初登場時から様々な強化怪獣で湊兄弟と対立という点で①力の壁、ルーゴサイトを倒すためなら手段を選ばないという部分で②思想面での対立、が描かれており、こちらも混合型といえるでしょう。愛染マコトと美剣サキが、どちらも①②混合型という点でも、構造的キャラかぶりが起きており、あまり褒められない部分。
 こちらは、過去という点では②は描けているのですが、個人的にあまり好みの描写ではありませんでした。特に描けていないのは①の方で、これは番組後半になっても驚異的とまで成長はみせていない湊兄弟による部分も大きいのですが、とにかく強そうに見えない。なんとなくわちゃわちゃしてるだけな感があって、湊アサヒのLINE(?) スタンプ一つで気が散るレベルの雑さ。そしてその雑な描写の美剣に負ける湊兄弟。と、これは描き方がまずかったかなぁというところ。個人的にはグランドキングメガロスがあまりに描写が弱そうすぎて駄目でした。
 最大の問題は、②の最低限必要な「過去の境遇」くらいしかキャラの掘り下げがなく、最低限の描写しかされていないところ。とにかく悪役への敬意とか、愛とかが足りない印象を与える、ルーブでありました。

 

《霧崎・トレギア》

 霧崎はタイガのメインヴィラン(スーパーヴィラン)。霧崎・トレギアについて詳しくはタイガ記事を参照してください。

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 霧崎・トレギアは、①力の壁に属すると言えましょう。②思想の壁と思われた方もいらっしゃるでしょうが、そもそもタイガのテーマである「宇宙人との共存」については、最終回でとってつけたように霧崎の意見が語られる程度だと考えると、そこまで思想の壁ではないよな、と。むしろトレギアは「タイガが新たな力を使って倒すべき力の壁」であり、それに見合うだけの圧倒的な力は見せつけてくれていた印象。ただ、独特の戦い方ゆえ純粋にフィジカルが強そうに見えないことや、力の壁としての役割が行き過ぎて新形態のためのサンドバッグみたいになってしまった、というのは、前記事にも書いたトレギア描写の難点。
 魅力の差で圧倒的に霧崎の方がトレギア状態よりも好みなのですが、同一人物がまるで違う人物に見える(前記事掲載)というのは悪役の描き方としてどうなのか、というのは首をかしげる部分。

 とはいえ、霧崎の一挙手一投足、見せ方に工夫を凝らしたシーンなど散見され、そういう配慮は素直に評価すべきでありましょう。

 

《ニュージェネ悪役ランキング》

 ニュージェネ総おさらい企画はなんやかんやでランキング作ってるので、今回も最後にランキング付けしてみます。特筆することもないのでランキングだけ。
1位:ジャグラスジャグラー
2位:伏井出ケイ
3位:霧崎
4位:チブル星人エクセラー
5位:愛染マコト
6位:ウルトラマントレギア
7位:美剣サキ

 

まとめ

 いかがでしたでしょうか。意外と、細部まで描ききっているように見える悪役も、こうした悪役の見方をしていくと、少し描き足りない部分が浮き彫りになってくるように思われます。色々な観点から悪役を研究し、さらなる魅力的な悪役の開発に役立ててほしいところです。
 今回はニュージェネレーションのメインヴィランを見ていきました。これから始まるウルトラマンZ。カブラギシンヤ・セレブロはどんな悪役になっていくか、楽しみでなりません。直前コメントで、演者の方が「イメージする悪役、敵役にとらわれたくなかった」と発言しておりました。他の発言や、直前映像も相まって、ハードルが上がりに上がっているのですが…大丈夫かw 果たしてウルトラマンZは、全てのニュージェネ作品を超える超大作になってくれるのか、カブラギシンヤは、ニュージェネ悪役の全てを超えるヴィランになってくれるのか、今から非常に楽しみです。
 それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!