igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンZ第2話感想 キャラの手堅い描き方

 皆さんこんにちは、igomasと申します。今回は、ウルトラマンZ第二話『戦士の心得』の感想記事となっております。第一話感想を見ていない方は、そちらもぜひぜひ。

 

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 それでは、早速見ていきましょう!

 

 物語を作るには、様々な方法がありますが、その一つとして、第一話に「つかみ」の役割を全振りして、第二話で「周辺キャラの描写」を補足する、というやり方があります。今作ウルトラマンZはこの形を取っています。第一話では、主人公ナツカワ ハルキのヒーロー性、ウルトラマンZとの出会いに焦点を当て、周辺キャラはあえて語りすぎない、という作品作りをしていました。第一話からレギュラー陣を一気に出すと、描写が分散し、キャラが立たず、視聴者がキャラに入り込めない、ということにもなりますから、これは賢明な判断と言えましょう。整備班のバコさんをあえて映さなかったのも、こういう意図があったのだろうと思われます。「つかみ」の第一話を経て、第二話では周辺キャラ、周辺情報を補足しながら、今作の世界観を丁寧に描いています。
 宇宙怪獣ゲネガーグの襲撃以来、地底で眠っていた大型怪獣のバイタルをはじめとする生体反応が大きくなる、というオオタユカの報告からスタート。これまで、第一話のゴメス程度の大きさの怪獣ばかり対処していたストレイジ(第一話のゲネガーグ戦では、怪獣の大きさに驚いてましたよね)ですが、これからのテレビシリーズで、Zと協力してようやく倒せるレベルの大型怪獣と戦っていくことになる、という補足。ストレイジはこれまでも怪獣と戦っていたプロフェッショナルですが、これからは作品の都合上、Zの助けが入るわけで、その理由付けをサクッと補完。こういうところが実に丁寧。Twitterの方で解読されている方がいて気がついたのですが、この怪獣活発化の画像、よく見るとゴルザやザンボラーといった怪獣の名が見えますね。
 ヘビクラ隊長が、一度死にかけたハルキを心配し、体の調子を尋ねるシーン。この一連の流れ、実に怪しいですねw ヘビクラ隊長が近づいてくる時、後で「地球人には見えない」とZによって語られるメダルケースの方をどうも眺めているように見え、ヘビクラ隊長、怪しい。また、去るときにちらっとハルキの方を見る目が、職場の上司の目というよりは少しばかり疑いを持つ戦士の目であり、ヘビクラ隊長、まじでジャグラーなんじゃないか
 ここから怒濤の周辺キャラ描写シーンに入っていきます。半永久的に電気を供給できる、という発明に対し「私の方がもっとすごい発明してやるんだから。今に見てろ」と豪語するオオタユカ隊員。年下の告白を腕相撲で圧倒しさらりと断り、実は枯れ専のナカシマヨウコ隊員。ハルキに声をかけ、「10分で出すぞ」と部下を活気づける整備班のバコさん。
 さて、この周辺キャラ描写シーンですが、ナカシマヨウコ隊員周りの描写は非常に丁寧で、問題ないと思われるのですが、どうも残り二人の描写が甘いな、と。というのも、キャラ描写自体はやってるんだけど、なんか、セリフが芝居がかりすぎてるな、と思うんですよね。
 オオタユカ隊員の、「もっとすごい発明してやるんだから」発言。まずこれがよく分からない。例えば、オオタユカがずっと半永久発電機構を作ろうと長年研究していて、先を越された、という描写や、オオタユカは何にも発明しないんだね、と他人にあおられたとか、そういう描写があれば分からなくはありませんが、第二話の描写では、世界中のありとあらゆる発明に喧嘩を売る女子、みたいに映ってしまいます。現代の科学者というのは、ある程度例外はあれ、基本的にそれぞれ専門分野というものがあり、専門外のことまで他者と競うことは基本ありません。オオタユカの発明は怪獣の生体分析をし、それに対抗する手段を開発する、という仕事であるはずで、急にキレるのはどうなの、と言いたいですね。これでは、単に怒りっぽい人、みたいに映ってしまうのも仕方ないかと。
 次にバコさん。ハルキの腕をはたと掴み、「おぉ、ハルキ。今日、お前の出番だよな」と言い、胸をポンとたたいて「10分で出すぞ」。ハルキの腕を掴むのが、ちょっと芝居がかりすぎるなと。腕を掴んでまで止めて、ハルキの出番かどうかを聞く。胸をぽんとたたく。「10分で出すぞ」。う~ん、ちょっと微妙なんですよね。ハルキの出番を確認することと、10分で出すことに本質的な繋がりがないからでしょうか。誰が乗ったって、10分で出すことに変わりありませんものね。別に部下の整備員も、わざわざバコさんが確認せずともハルキの出番って分かってるようでしたし。こういう細かいところは、気になっちゃいますね、セリフが少ない分だけいっそう。セリフが芝居がかりすぎるのは、むしろ短い尺でキャラ描写する際には少し痛手かも、と思った次第であります。第二話で特に気になったのはここくらいですかね。
 ナカシマヨウコ隊員が、バコさんに「おぉヨウコ、お前の言ったとおりだよ」と言われ、「え?」と尋ねるのですが、この「え?」の発音が、演技が非常に良いのです。詰め寄る「え?」でもなく、ぶりっこ過ぎる「え?」でもなく、枯れ専のヨウコバコさんにする「え?」この言い方がほんと上手い。ちゃんと「え?」だけで、枯れ専だってわかる発音の仕方。ここ、みんな演者さんを褒めてあげて。てか、枯れ専のヨウコ、って、語呂めっちゃいいなw
 ちなみに、ナカシマヨウコ隊員に告白して腕相撲対決をする整備員、腕相撲の時に顔が紅潮してめっちゃ力入れてるように見せる演技が非常に上手く、ナカシマヨウコ隊員がそれに対し全然紅潮していないところからも、よい対比の絵面になっていたなと感心。第二話日常パートで一番好きなシーンです。
 セブンガー出撃のカットは、気分が高まりましたね。ちょっとコミカルな部分もありつつ、歴代の戦闘機発射シーンを彷彿とさせる格好良さがある良いシーン。対怪獣特殊空挺機甲1号機、の文字が特空機1号、に省略される演出が非常にお見事。着陸時の「セブンガー、着陸します。ご注意ください」は、一話でもやってましたが、独特の緩さがあって、実にZの作風が現れてるなぁと。今回セブンガーもゴリゴリ特撮するので、従来の戦闘機特撮とはまた違った面白さがあるのも興味深いですね。
 セブンガーとネロンガの戦闘シーン。いいですね。ウルトラマン登場前からバリバリ戦うじゃないですか。ハルキのセリフ「雷が何もないところから」、う~んそれを言うなら雷じゃなくて電撃とか電流とかじゃね?とは思いましたが。
 透明怪獣ネロンガの面白いところは、透明になっているシーンの描写が見事であること。透明ですから、怪獣自体は映っていないのですが、建造物や砂埃、土砂、爆発といった、建造物特撮の技術面だけで、怪獣を生き生きと描いているのが巧い。
 ネロンガに翻弄され、敗北し帰ってくるハルキ。ナカシマヨウコ隊員が心配し、励ます一連の流れは、ヒロインとして、上司として、丁寧な描写。このシーン、励まされたハルキが「あざっす」って言ってるんですよね。ここ、「押忍」じゃないんですよね。「押忍」でもいいかな、とも思うんですけど、制作陣のこだわりがあったのでしょうか、なかったのでしょうか(笑) 個人的にはここの「あざっす」好みですね。
 その後、ハルキはZの作り出した特殊空間に入っていきます。「さっきはなんで出てきてくれなかったの」と尋ねるハルキに対し、Zの口から明かされる「ちゃんとギリギリまで頑張って、俺たちの気持ちがグッと出来上がってからじゃないと、ウルトラマンにはなれない」という意味不明な設定。ちょっとわけが分からないですが、まぁ、他の部分は丁寧に描写出来ているので、今のところは不問としますか(笑) ここで、前半の苦戦パートと後半のウルトラマン特撮パートという、懐かしいフォーマットを確定させたわけであります。
 ここで、ウルトラマンZのキャラ描写も深められます。ストレイジの、組織描写、キャラ描写だけでなく、Zら光の国陣営の描写も盛り込んでくれたのはほんと丁寧。第二話の「周辺描写をしっかりと」というテーマにそった作劇が光ります。さて、第一話にて登場したゲネガーグは、まさかの光の国を襲撃した怪獣であった、ということが判明。ゲネガーグ、想像以上に強敵だった。このシーンでは、ウルトラマンは映らず、光線の形でどのウルトラマンがいるか想像してね、というシーンなのですが、ちゃっかりザナディウム光線があって笑いました。第二話は、旧怪獣、しかもルーブで描写されたばかりのネロンガを、田口監督の手腕で新怪獣ばりに巧みに描写しつつ、第一話の新怪獣ゲネガーグの描写をさらに補強するという離れ業を成し遂げています。やるねぇ、さすが田口監督。しかもルーブでネロンガ描写したのがあの辻本監督ですからね。ほんとリスキーなチャレンジするなこの人は(褒めてます)。
 このゲネガーグ、光の国から、ウルトラゼットライザーを強奪したわけですが、これ、怪獣にしてはかなり知恵が働き過ぎているように思えるんですよね。これまでウルトラの国に襲撃したのは、ババルウ星人とか、エンペラー星人とか、ベリアルとか、ストルム星人とか、とにかく宇宙人のイメージが強く、怪獣が単身光の国に乗り込む、というのはかなり驚きでありました。これは、前回の感想記事で私が予想した、セレブロがゲネガーグに寄生していた説、が濃厚になってきましたね。ゲネガーグはウルトラゼットライザーとメダルを回収し、地球に乗り込む。恐らくは、セレブロが、ライザーとメダル、それから謎の赤い光るやつを使い、地球で何かしらの計画を進めるのでしょうな。今回の話では、カブラギシンヤ・セレブロの描写が皆無であり、それでもゲネガーグの描写でセレブロの関連がほのめかされ、さらにネロンガの野生感を際立たせてもいるのが巧い。

 

↓カブラギシンヤ予想記事、参考までに

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 カブラギシンヤ・セレブロの持つ赤い光るやつが、ベリアルの眼の形をしている、と気づいた方がいらっしゃいました。やはり、カブラギシンヤ予想記事の通り、彼はベリアル関連で何か企んでいるのでしょうか。
 ヘビクラ隊長との、いわゆる「特訓」シーン。このシーンのBGMが、完全にジャグラーのテーマのアレンジなのは、狙ってるのか。何度も何度も立ち上がるハルキが、第六感的なものを使って良い一発を決めると、「そういうことだよ」と言って投げ飛ばすヘビクラ隊長。倒れたハルキに、「見えるものだけ信じるな」とアドバイスします。この「見えるものだけ信じるな」シーンの注目ポイントは3つあって、一つは言い方がジャグラー味を帯びているということ、一つは紫の光が当たっているということ、そして、このシーンだけ、ジャグラーなみに、前髪が前に出ていること。このシーンでは、異様なまでにジャグラー感を出しており、これ本当にヘビクラ隊長、ジャグラーなんじゃないか。果たしてこれが単なる悪ノリなのか(もしヘビクラ隊長がジャグラーでないのなら、いくら俳優が同じとは言え、ジャグラーネタに走るよりヘビクラ隊長の描写をするべき)、本当にガチのジャグラーなのか、今後に注目です。
 このシーン以降、第二話前半でやや芝居がかっていたセリフがとてもナチュラルなものになり、納得のいくキャラ描写になっていきます。ネロンガ討伐作戦を説明するオオタユカ。流れるように説明のバトンを受けるヘビクラ隊長。この流れとか、実に自然ですよね。芝居芝居してない感じが、安心して見られます。
 ネロンガ討伐作戦実行中も、オオタユカとハルキ、ハルキとナカシマヨウコ隊員、と、会話のバトンが繋がれ、それぞれのキャラをちょっとした会話で描写し、そのキャラならこの場面で何を言うだろう、どんな行動をするだろう、とちゃんと考えられているからこそ、こういう自然な会話のパスが出来るのでしょう。いやはや、前半ちょっと心配だったのですが、取り越し苦労だったようです。
 発信機をつけたことでネロンガの位置が分かるようになり、セブンガーがナイスファイト。しかし、電気をためにためたネロンガを前に、倒れてしまいます。ナカシマヨウコ隊員を助けようと、ハルキはZに変身。今までのニュージェネレーションにおいて、変身シーンは、急に謎空間から始まっていましたが、今作Zでは、謎空間はZが作り出したもの、という描写が加わり、いや丁寧だな、と感心。
 ナカシマヨウコ隊員の乗るセブンガーに、ネロンガが電撃を浴びせようとしたそのとき、ウルトラマンZアルファエッジが現れます。ここがやや消化不良で、倒れているセブンガーに電流が当たりそうなカットから、次のカットではZがセブンガーを持ち上げているという、繋がりが見えづらい移行の仕方をしてるんですよね。横から電撃来てるのに、セブンガーを持ち上げるって、え、電撃どこ行った?ってなりますし、正直よくわからない。なんとか立ち上がったセブンガーが電撃で吹き飛ばされ、やばい、ピンチ!って時に、Zがキャッチ、とかならまだ分かるのですが、途中経過をカットしすぎてよく分かりませんでした。
 まぁそれはさておき、アルファエッジとネロンガの戦い、良かったですね。動きが凄く良くて、見てて飽きない。ヘビクラ隊長の言葉を思い出し、見えないネロンガを攻撃するZ。ここ、Zが実際目をつぶっているわけではないのに、目をつぶっているように見えるの凄い。電撃が飛んでくるところでスローモーションが入り、飛んで電撃をよけながらエメリウム光線的な技を放ち、そのまま近接撮りへ。この流れ、良い。
 第一話にて、近接撮りは画面に映る情報量が少なく、見てて飽きやすい、という問題点を挙げ、だからこそ近接撮りは短い尺で撮るのが良い、と言いましたが、今回は、近接撮りの中で動きを多彩に見せることで情報量を上げ、飽きさせないという工夫がなされていました。こういうアプローチが出来るのは、特撮面での大きな進歩であります。
オオタユカの作ったミサイル弾がネロンガに見事命中。ネロンガの体にたまっていた電流も放出され、最後は気配を読み取ったZにダメ押しとばかりに光線を撃たれて爆発四散。いやぁ、ネロンガ、旧怪獣ながらなかなかの見せ方でした。
 戦いの後、ストレイジのシーン。オオタユカ、るんるんネロンガの解剖に行くの、キャラ立ってて良いね。
 第二話は、ナカシマヨウコ隊員周りの描写を中心に描いており、前半で、彼女自身がもともと強く、枯れ専であることを強調。そんな、「強い」彼女がZに助けられ、興味を持つようになり、そしてZの年齢を知って枯れ専メーターが暴走。Zに憧れを持つようになっていく、という流れが見事に決まりました。Zの年齢を、ただ情報として出すだけでなく、ハルキがZに敬語を使う、というギャグシーンで出しており、本作のほんわかした部分がそのまま作品構造に直結するというのも巧い作り。
 前半ではちょっと芝居がかったセリフや動きが気になりましたが、全体としては、ほんと丁寧で周辺キャラ・設定描写を上手くこなした第二話でありました。まぁ、どのレギュラーキャラをとっても、もうちょっとキャラ深掘りはできるはずなので、これでキャラ描写が終わった、とは思わず、バリバリ描写してもらいたいものですね。
 今作では、場面場面、各話ごとに、出すべきキャラ、出すべきでないキャラの使い分けが上手く、例えば第一話でバコさんをあえて出さないとか、第二話でカブラギシンヤをあえて出さないとか、そういうところにちゃんと気を配っているんですよね。また、各キャラが、各シーンごとに一番しそうな行動、発言をちゃんと考えた上での作劇、って感じが伝わってくるので、安心して見られます。
 もちろん、田口監督に絶大な信頼を抱く私igomasでありますが、とはいえさすがに、エックスやオーブのことを考えると、いくら進化を遂げた田口監督でもこの丁寧さは無理なんじゃないか、と思うほどに、丁寧なんですよ、今作。恐らくはこの巧みな丁寧さ、構成・脚本の吹原幸太さんの力が十二分に発揮されているのではないかと思われます。いやぁ、惜しい。ここから10年くらいウルトラマンの脚本、吹原幸太でいいんじゃねって思うくらいちゃんと作品作ってる方だから惜しい。来年もこの人の脚本見たかったなぁ。吹原氏と田口監督の最強タッグの猛進撃は、まだまだ終わりません! 今後も楽しみですね。
 次回、これ、絶対ネタ極ふり回だ。