igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンZ第4話感想 ここからが本番!

 皆さんこんにちは、igomasです! ウルトラマンZ、第4話感想、やっていきましょう!

 

 

《第四話を見る前に・今回のポイント》

 第三話まで、掴みの第一話、キャラ描写の第二話、変化球の第三話と、実に丁寧な仕事を見せてくれたウルトラマンZ。が、正直いって、ここまでの出来は上手くて当たり前。カブラギシンヤの記事でも述べましたが、私igomasのZに対するハードルは上がりに上がっています。まだまだ満足し足りません!

 第三話までを見るに、ウルトラマンZが、ちゃんと書くべきところが書ける、そんな作品であるということは十分理解できました。ここからは更なるステージ、更なるハードルを用意して、議論していきたいと思います。

 そのハードルの一つが、キャラとキャラの関係を描く、ということ。これまで、キャラ一人一人の描写はよく出来ていましたが、そのキャラ同士が有機的に絡んでくれば、作品の面白さは倍増します。会話の端々、物語の展開、様々な要素を使って、キャラ同士の関係を生き生きと見せられるかが、勝負所となるでしょう。第四話では、特に他キャラと絡みの薄かった、オオタユカ回となっています。ひとまずは、オオタユカと他キャラがどう絡むのか、あたりから見ていくことにしましょう。第二話感想でも述べましたが、一歩間違えば「専門外の他人の発明にケチつけて怒る人」になりかねないオオタユカ。彼女の科学者としての描写を、いかに上手く描くか、というのは注目したいところ。

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 それから、第四話を見る上で重要なポイントがもう一つ。それは、監督間でいかに情報共有が出来ているか、ということ。ウルトラマンは例年、複数の監督によって撮られており、各話ごとに監督が異なっています。一つの作品を分担して撮れば、監督一人一人の労力・時間を上手く配分することができ、撮影がスムーズに進むでしょう。しかし、作品全体として見たときに、もし監督間で連絡が行き届いていなければ、作品の軸がぶれ、監督ごとにバラバラな方向に進み始めるという、見るも無惨な事態に陥ってしまいます。複数監督体制は、いうまでもなく、監督間の連携が大事になってくるといえましょう。第三話までは、シリーズ全体の監督であるところの田口監督が撮っていました。第四話からは、別の監督が撮ることになります。しっかり作品のテーマ、方向性を共有して作品作りが出来ているかは重要な判断基準となります。

 近年、この「監督間での情報共有」が大変粗雑で、話がブレブレだったウルトラマン作品群ですが、そんなことは知りません。去年全然出来ていなかろうが、無理難題だろうが、やるべきことはなんとしてでもやっていただきます。監督間の連携に関しては、一切の同情なしに精査するつもりであります。

 それでは早速、見ていきましょう!

 

第四話感想

 製作中のウインダムを見上げるオオタユカ隊員、ナツカワハルキ、ヘビクラ隊長のカットからスタート。それぞれの歩幅、歩き方にキャラが出ていていいですね。このシーンでも、背後で流れるジャグラーBGM。そこへ、ヘビクラ隊長に「昼間のスペシャル」と言ってカップを渡すバコさん。ジャグラーがコーヒー好きですから、これは紅茶じゃなくてコーヒーなんでしょうね、きっと。

 上からのお達しで、パーツごとに別の会社に発注したことで、充電時間が異様に長くなるという問題点が発生。問題の発生の仕方がとても現実的(笑) 今回は、オオタユカが、設計上どうしても科学的に不可能な難題に挑む話、と思っていたので、ちょっと好みには合わず。ヘビクラ隊長の「そんな上からの頓珍漢なお達しには慣れっこ」みたいな雰囲気はキャラが立っており良かったですが。充電時間の短縮化のためバコさんとオオタユカ隊員が動き出す、でOP。

 今回の監督は、辻本貴則監督。怪獣特撮の斬新な見せ方が上手く、臨場感のある特撮を見せてくれます。個人的にはウルトラマンでは1、2を争うレベルで好きな監督。総合的な単発回の評価も高く、安心して見られる監督です。田口監督、辻本監督の二人はとても安定感に富んだ監督であり、その二人を最序盤に持ってくると、後ろに安定感のない監督が固まって結構リスキーなのですが、ここはそのリスクを考慮しても序盤の安定感を確保したかったのか。不安と期待が入り交じる感じの監督配分であります。

 今回の影絵は割と好み。

 オオタユカのパソコンに出るウインダムの内部図解、ノートに書かれた計算の跡、と、科学者としてのオオタユカ描写に余念がない。バコさんがやってくれるんじゃないの? と尋ねるナツカワハルキに自分にも出来ることがあるはず、と答えるオオタユカ。割とハルキの反応が「ふ~ん、そんなもんかー」みたいなサラッとした感じ。ナカシマヨウコ隊員もちらっと目をやるだけ。ちょっぴり、可哀想。

 そこへ、怪獣出現の報告。チョココロネみたいな尻尾のカットの後、地中から飛び出す怪獣、テレスドン車めっちゃ飛ぶなw

 作戦指示を出すヘビクラ隊長に、頷くハルキとヨウコ。そして「私も見たい」と飛び出すオオタユカ。上司の命令に逆らって自分の怪獣趣味を理由に持ち場を離れる、ってのはどうなの? と一瞬思いましたが、割と現場では怪獣のデータ収集に一躍買っていたので、まぁいいんじゃないでしょうか。

 セブンガーとテレスドンの激闘。オオタユカの分析によれば、データより動きが速い、とのこと。「俺が市街に誘導します!」と言うハルキに対し、「え、ハルキ!?」と答えるナカシマヨウコ。正直、この「え、ハルキ!?」は何に驚いているのかわけ分かりません。言い方的に、市街に誘導することではなく、市街に誘導するのがハルキであることに驚いている風なのですが、そりゃあんたがセブンガーで戦ってるんだから引きつけるなら残ってるのハルキしかいないでしょ、と。どういう意図なのか、あんまりよく分かりません。

 テレスドンと車のカット最高。怪獣と、ストレイジの車のカットは、第一話のゲネガーグの頃から好みでしたが、かなり好きですね。土煙や炎と、めっちゃ怪獣特撮。

 ここで、カブラギシンヤが登場。地中に潜るテレスドンを眺め、自身の頭を撫で、ブルッと震える演出。これは、何か意味があるのでしょうか。怪獣とコミュニケーションがとれるのか、怪獣を操れるのか……まぁ、何も意味はないかもしれませんが。

 出力不足のセブンガーでは、テレスドンには敵わない。ウインダムの完成が待たれます。そこへオオタユカが現れ、「セブンガーの手から、テレスドンの表皮が採取できました~」と、実にウキウキ。この女優、ウキウキ演技上手いな(笑)。冷蔵庫のプリンのシーンとか、ほんと一人一人の描写は、三話分やってきただけのことはある。丁寧なお仕事。

 テレスドンがなぜ目覚めたか、という解説。ヘビクラ隊長の「地下開発はどんどん増えてる。今や大都市の地下は騒音だらけだ。目覚めたからにはまたくるぞ」発言、なんかかっこよかった。

 ここから、ウインダム開発に挑むオオタユカのシーン。ウインダムに「どうしたら君はお腹いっぱいになるの?」と聞いたことからの連想で、自分のお腹の音に気づき、「ちょっと~誰か食べるもの~!」発言。深夜遅くまで残って挑み続ける研究者気質なシーンは良いと思ったのですが、誰もいない暗闇に向かって誰か食べ物もってこい発言は、なんかちょっとキャラに共感できなくて厳しいところ。普通に、お腹すいた~、で外に出てバコさんを見つける、でよかった気もするのですが。

 ちょっと一息で外に出たユカは、バコさんを発見。二人で焼き芋を食べるシーン。こういうの、良いですよね。雰囲気がでて好きなシーン。オオタユカは、元来予定されていた出力を落としては? と言うも、バコさんは「自分の理想を簡単に捨てちゃあ駄目だ。そんなことだったら誰でも出来る」と、開発者らしい発言。このセリフ、かなり好き。自分の理想を捨ててパフォーマンスを落とすことなら誰でも出来るが、誰も出来ないことに挑戦する、それが我々科学者だ、という思いと、それがユカにも出来る、という思いが込められており、良いセリフ。近年、防衛隊をはじめレギュラーキャストが少ないこともあってか、こういう説教ポジションはゲストに任せられがちだったのですが、やはりレギュラーキャラの説教シーンは、作品の深みが増しますな。

 さてここからの流れですが、まぁ、いいんですよ、今回こういう話だからいいんだけど、「時として、意外なものが別のところで役に立ったりするもんだ。そうやって使えるものは何でも使って、理想を実現する。それが、俺たちの仕事だ。」発言はちょっと好みと外れます。まず、こういう何気ない会話が、不可能を切り開くアイデアになる伏線に、というのは太古の昔より使われる手法でありますが、何というか、何のひねりもなくこのセリフまんま後半で使われるよね感が強い、ということ。それからなにより、この後、「開発者の仕事は、割と使える意外なもの探しだ」みたいな風に解釈されてゆき、そこまで劇的にならない、ということ。ここまでの「人には出来ないことに、諦めずチャレンジするのが開発者だ。何度でも当たって砕けろ」みたいないい話が、「とりあえず意外なものを探せ」という、話の展開ありきの流れになってゆくので、すこ~し好みと分かれます。オオタユカが自発的に「えっ、これもしかしてセブンガーのパーツ!?」と気づき、バコさんが「捨てるのももったいなくてね。使えるものは何でも使うって決めてるんだ」って言って、それで後半オオタユカがウインダム起動のための「発見」をする、みたいな感じで描けば、そこまであからさま伏線にはならなかったのかな、と。まぁ、完全に好みの問題なので、気にするほどのことでもありませんが。どちらにせよ、この焼き芋カットは好きなシーン。とてもほっこりしました。バコさんの声って、ほっこりさせてくれるよね。

 場面は動き、カブラギシンヤがウルトラゼットライザーを使い、ジラースメダルを生成するシーン。謎の液体をゴボゴボ入れて、明らかにヤバそうな機械で生成される怪獣メダル。後にハルキの手に渡ったとき、すぐ消滅したことからも、存在してはいけない違法物感が満載で、怪獣メダル、良い。あと自分で閉めた扉の音に反応するカブラギシンヤ、かわいい。

 テレスドンが再出現し、ハルキは出動。バコさんの言葉から着想を得たオオタユカは、ウインダムの最終調整に着手。テレスドンとセブンガーの戦いに移行するわけですが、さすが辻本監督。1シーン1シーンに余念がない。セブンガーのロケットパンチも、かっこよく決まりましたね。

 セブンガーが倒れるとすぐさまハルキはベータスマッシュに変身。第一話でも述べましたが、従来のシリーズと異なり、主人公ハルキは既に「セブンガー」という巨大な姿を持っており、従来の、変身による戦闘機からウルトラマンへの戦闘スタイルの変化が、今作ではさほど劇的にならないことが、ここでネックとなりました。セブンガーじゃだめだ、じゃあZだ、では劇的にならず、今後20話ほどそのノリで行くとまずいかも。第四話のテンポ感の良さは、それはそれでいいんですけれども。

 目がバッテンで倒れるセブンガーから、ベータスマッシュ登場。セブンガー、あざとい笑 そこからは怒濤の特撮。特に地面からのカットとか、最高やで。さすが辻本監督。フィジカル対決しかり、特殊技対決しかり、良い演出。テレスドンの回転突進技は、近年登場した新技でしたよね。第二話で、かつて辻本監督が撮ったネロンガを田口監督が描き、第四話で、かつて田口監督が撮ったテレスドンを辻本監督が描く。特撮での対話、みたいな感じが出ていて、大変良い。

 ネロンガの器官から着想を得たオオタユカは、見事ウインダムの起動に成功。テレスドンの攻撃に苦しむゼットのもとへ、ウインダムが駆けつけます。ここから怒濤のウインダムアクション。整備班の人々が喜び、紙吹雪が舞いますが…いやなんで用意してんだ紙吹雪w

 と、ここでようやくカブラギシンヤが登場。先程生成したジラースの怪獣メダルを用い、テレスドンをエリマキテレスドンに強化します。これは、驚きましたね。これなら、スーツが作られない過去怪獣も、上手く絡めますし、強化怪獣もバンバン作れそうですね。やや反則技感はありますが(笑)、やれることはなんでもやって新怪獣味を出す、という姿勢はいいですね。デビルスプリンター関連かな、くらいに軽くとっていたので、こんな変化球を投げてくるとは。まぁ、フュージョンの素はベリアル因子なのかもしれませんけれど。

 エリマキテレスドンの攻撃に倒れるゼットとウインダム。ゼットの光線を受け止め跳ね返す、と、強いなエリマキテレスドン。特殊技寄りになったエリマキテレスドンに対し、ゼットはアルファエッジで対抗。ベータスマッシュが前回登場したばかりであることに固執せず、あくまで相手に対し有利になるようにタイプチェンジする姿を見せることで、各タイプが対等であることも補完。ゼットのタイプチェンジに対する捉え方というのは、第三話感想でも述べましたよね。

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  アルファエッジとエリマキテレスドンの空中戦、良いね。そして、ウインダムが強いw アルファエッジの光線発射までの流れ、ウインダムのミサイル、怪獣爆破後のゼットの着地に至るまで、ほんと手の込んだ特撮。さすがは辻本監督、魅せてくれますねぇ。

 Zとハルキの会話から、秘密裏に怪獣メダルを違法生成している存在(カブラギシンヤ)が提示され、果たして今作のメインヴィランが彼らにどう絡んでくるのか。

 ウインダムを見上げるハルキ、オオタユカ、バコさん。オオタユカとバコさんの関係は、第四話で最も描かれた部分でありますが、このシーンの会話もほっこりするものです。一方、ルービックキューブに飽きたヘビクラ隊長(ジャグラー前髪)は、「なんか別のおもちゃで遊んでみるか」と言い、モニターに映るゼットを見てにやり、でエンド。次回予告を見るに、ガチのジャグラーっぽいですね。市野監督のリークもあったし…

 第四話では、冒頭でも示したとおり、オオタユカと他の隊員達をいかに上手く絡ませるかが注目点の一つでありましたが、基本バコさんとの関係以外は描かれることがなく、ちょっとオオタユカの孤立感が目立ってきました。オオタユカ、公式ページにもあるように、「怪しげなミックスジュース」という、他者との交流に最適なアイテムがあるのだし、もっともっと他キャラと絡んでもいいとは思うのですが……

 監督間での情報共有に関してですが、第四話では、上に示したとおり、オオタユカ隊員やナカシマヨウコ隊員のセリフの端々にやや引っかかる部分が散見され、「キャラ」としての共有は出来ているが、それぞれの人物の深いところまでは共有しきれていないのかな、とちょっと不安。辻本監督だからなんとかなったものの、今後どうなるか、気を張っておかねば。

 第四話、割と辛口めに感想書いてますが、これも一つハードルが高くなったってことで。なにせウルトラマンZ、放送前にハードルが上がりに上がってますから。ニュージェネの全作品を余裕で抜いて一位になるくらいのことはしてもらわなければなりません。第四話全体としては、ウインダムという新要素を良い塩梅で調理した、なかなか良い回だったと思います。

 次回、ついに第一の劇薬、ジャグラス・ジャグラー登場。どう調理していくのか、目が離せません! そして、あれっ、どっかで見たぞこの武器w

 

《補論1・第三話ゴモラ問題》

 前回第三話にて、ゴモラを倒したことに関して、「寝ていただけの怪獣を人間の都合で動かして、起こして、倒すのはいかがなものか」と、Twitterなどで議論が巻き起こったわけですが、自分は別に気になりませんでしたね。基本的には、怪獣って存在するだけで人間に害を及ぼす厄災のような存在でありますから、生存競争のために倒してしまうという立場は大いに理解できます。怪獣が暴れたら、保護とか考える前に、市民の安全のためにまず倒す、という判断はそこまで抵抗はなかったですね。

 それに、怪獣の保護・擁護をしたものの、そこに何の説得力も生まない描写をされるよりかは、あっさり倒してその問題に触れない方が、よほど良い。例えば、いきなり現れ町中で暴れる怪獣を、なんとなく新形態の宣伝のために、とりあえずコスモスオマージュで癒やして、地中に返して、ゼロに「コスモスらしいな」と言わせる、なんて雑な描写をされるとか、そっちの方がよっぽど困惑します。怪獣保護を念頭に置くなら、どういう生物は保護してどういう生物は保護しないか、くらいの基準は描いて貰わないといけませんし、コスモスやエックスのように、作品全体として怪獣保護路線で行くとか、ガイアみたいに、地球怪獣は保護したい路線で行くとか、そういう強固な軸は用意しなければいけません。雑にその一話だけ怪獣保護してみました、みたいな描写をするくらいなら、さっさと倒してしまった方が作品の傷が浅い、と思う私の立場からすれば、今回のゴモラ問題はさほど気になりませんでした。

 

《補論2・カブラギシンヤ》

 第四話で少し驚いたのは、カブラギシンヤのセリフが、異様に少ないということ。まぁ、自分が閉めた扉の音にビクッとしちゃうとことか、怪しげな機械で怪獣メダルを生成するとことか、頭を撫でてビクッとする動きをするとことか、そういう部分はキャラの奇妙さ・不気味さを描写するには一躍買っているのですが、魅力的なキャラとまでは至っていません。もう少し、キャラを濃くしてあげて欲しい、と思わなくはない。今後どうなるか、注目したいところ。