igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンZ第6話感想 第二の劇薬・ジード

 皆さんこんにちは、igomasです。ウルトラマンZ第六話感想、やっていきましょう!

 

 

《本編を見る前に・第二の劇薬》

 前回第五話で、弁明の余地のない致命的なミスにより、築き上げてきた作品そのものを無に帰してしまったウルトラマンZ。今、首の皮一枚でぎりぎり繋がってる状態ですw 前回色々とやらかしたジャグラスジャグラーを、ちゃんと描き直すことが重要になってくるわけですが、ここで第二の劇薬・ウルトラマンジーの登場です。ウルトラマンジードは、3年前に登場したウルトラマンで、ゼロと共に地球を救ったウルトラマンであります。

 事前情報によれば、おそらくはジードは作中の「二号ウルトラマン」的ポジションを担う可能性が高く、彼の登場は、ウルトラマンゼットの大きな転換点となりましょう。

ジードの登場は、Zという作品にとって劇薬に他ならず、そして、劇薬の扱いに関しては前回語りましたよね。

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 すなわち、第6話もまた、一話ぶんかけてこの劇薬を落とし込むことが最優先事項であり、ジャグラーで描き足りないところはあれど、そんなことに気を使っている場合ではなく、今回ばかりはジード参戦に注力するのが得策でありましょう。とはいえ、前回参戦したジャグラーに言及しないわけにもいかず……結構なハードワーク

 この難題を任されたのは、3年前、ウルトラマンジードにてメイン監督を務めた、坂本浩一監督。ここでジードを上手く落とし込めば、ゼットという作品が飛躍的に面白くなることは間違いありませんが、もし失敗すれば、今度こそ、ゼットという作品は、息の根が止まります。坂本監督、監督を任されて早々の、背水の陣(笑)。正直、人生でこれほど坂本監督に期待を寄せたことはありません。まじで、坂本監督の手腕にすべてかかっていると言って良いでしょう。

 さて、坂本浩一監督は、見事ジードを作品に落とし込めたのか……注目の第六話、始めましょう。

 

第六話

 ウインダムとセブンガー、両者の訓練シーンからスタート。このシーンから既に大量の土煙が立っていて、とても坂本特撮坂本浩一監督の特撮は、下から土を投げたり、ワイヤーアクションをしたり、ダイナミックな特撮を取ったり、などが印象的ですね。

 訓練しているうちに、いつの間にか両操縦者は楽しみだして……わちゃわちゃした格闘シーンが入ります。第六話で最も気になったのはこの部分で、なんというか、この後の戦闘も含めて、「わちゃわちゃ感」が強すぎるんですよね。

 これは、ひとえにウルトラマンZが近年と異なる作劇をしていることに起因します。これは第三話補論でも言ったことですが、本作では、ニュージェネより前の平成ウルトラマンの、どこか神秘的な、超人然とした要素と、ニュージェネの親しみやすいウルトラマン像を融合させた見せ方をしており、Zは基本、戦闘中は掛け声のみ(加工あり)で戦い、ハルキと話すときだけ緩いムードになる、というメリハリのつけかたが上手いんですよね。本作はまた、それに従って、セブンガー、ウインダムら特空機も、戦闘中の声がオミットされており、まぁ時々スピーカーで話したりはするものの、基本喋らない。それが、セブンガーやウインダムに、ハルキやナカシマヨウコ隊員と切り離された一種のアイデンティティをもたらしていて、それがセブンガー・ウインダムの魅力に繋がっていたと思うんですよね。視聴者がセブンガーに愛着を感じるとき、そこにはたぶん、セブンガーをただのハルキの乗り物、としてではなく、一人のキャラクターとして見る気持ちがある、と思うわけです。

 ひるがえって今回、とても特空機からスピーカーで聞こえるセリフがあまりに多くて、セブンガー・ウインダムの没個性化に繋がってしまっているのが、第六話の作劇の惜しいところ。ノリが完全にニュージェネそのもので、ここは監督間での情報共有が出来ていなかったのかな、と思った点。Zが5話ぶんかけて築き上げてきた特空機の愛くるしさを、おおむね台無しにしてしまった点で、少し気になりましたね。

 そこへ、宇宙から飛来するギルバリス……ギルバリス!?

 ギルバリスは、ジード映画にて登場したラスボス怪獣で、全宇宙を支配しにかかるレベルの大ボスなのですが、それをZの一話で使うという、結構チャレンジングな企画。本来なら劇薬その3レベルなのですが、今回は割と上手く盛り込んでいましたね。デビルスプリンターにより復活し、再び活動を開始するも、その後ジードによって破壊されたせいもあり、未だ不完全な状態で、コアの欠損を補うため、ケイ素を吸収しようとした、それを、主人公らにしてやれました。映画の大ボスの魅力も併せ持ちながらジードを引き立て、テレビ版に落とし込んでも遜色ない話に収める、と、大変丁寧な作劇。

 話は戻り、ジャグラーが、ギルバリス!? と危機感を感じ、部下に急いで退避を命じる反応の描き方は、ギルバリスの強さを補完しており、良い部分。しかし真に褒めるべきは、ジード劇場版の実際のシーンを差し込んだことでありましょう。百聞は一見にしかず。セリフで色々言われるよりかは、見せられた方がよほど分かりやすいでしょう。新規視聴者にもだいたいのニュアンスは伝わるでしょうし、なかなか丁寧な見せ方。

 そこへ再び宇宙から未確認生命体が降り立ちます。彼こそが、第二の劇薬・ウルトラマンジードであります。変に新形態獲得をごちゃごちゃ描くのではなく、いきなり盛り上がるシーンから入れる、と思い切った演出。純粋に、ワクワクしました。

 本当は、ジードが降り立った際、ジードのあの戦闘BGMが流れ、そこから主題歌へ移行、とかだと私の好みにどストレートだったのですが、そこまで言うともはやただの好みの問題なので、この辺で。

 新形態のギャラクシーライジングは、ギンガ、エックス、オーブの力を使って変身します。デザインは、どこか怪獣然としており、事前発表の際にも、各ウルトラマンではなく、その敵であるところの、ダークルギエル、グリーザ、ジャグラーをモチーフとしているのではないかと言われ、妙に納得した覚えがあります。

 ジード・ギャラクシーライジングは、テレビ本編から経た3年の月日を感じさせる、熟練された格闘を披露し、リクくんの成長が、微笑ましい。ギルバリスの爆発も実にダイナミックで、坂本特撮お帰り、って感じですね。飛び去るジードへの各隊員の反応も、実に各キャラのイメージに合っており、丁寧。

 続いてカブラギシンヤの暗躍シーン。気づかないうちに、結構メダル、作ってたw メダルを見るに、少なくともスカルゴモラとペダニウムゼットンは、登場しそうですね。サンダーキラーも普通に出るかもしれませんが。ベリアルのメダルを生成するも短時間で消滅し、「やはりデビルスプリンターのみでは駄目か」発言。え、日本語。このセリフ自体は、寄生生物セレブロが、徐々にカブラギシンヤの体に慣れてきて、変化が起き始めていることを暗に示すシーンでありましょうが、そもそも、宇宙語を話しているシーンがまだ少なすぎる。もう少し宇宙語シーンを多めに用意し魅力を確保してから、日本語に手を出し始めるとグッと悪役の魅力が増すと思うのですが、やや拍子抜け。メインヴィランとしての格がだだ下がりですが、カブラギシンヤ、大丈夫か。

 あと前作でデビルスプリンター(ベリアルの一部)よりショボい物体(ベリアル因子)から、スカルゴモラやニセウルトラマンベリアルを生成したゲスト宇宙人がいるのですが、メインヴィランとして、大丈夫なのか、セレブロ。応援してます。

 場面変わって朝倉リクのシーン。ペガと交信する手段が、まさかの装填ナックル(笑) これは3年前のテレビ本編で登場した代物で、彼自身は二つのウルトラカプセルを使い変身するヒーローなのですが、そのカプセルを一時的に差し込むホルダー的役割を果たすのが、この装填ナックル。ライザーが使えず、カプセルも使えないけど、カプセルを差し込む装填ナックルだけは使えるというのは、なんという皮肉。なにげにめっちゃ好きなシーンです。ちらりと見えるドンシャインキーホルダーも、見逃しませんよw

 ここで、ジャグラーとの再会。ジャグラージードは、ジード映画にて面識があり、何かしらの会話は挟まねばなるまいと思っていたのですが、ここも丁寧に回収。ジードが地球に来たわけも、ここで明らかになります。朝倉リクが事情を話すとすれば、初対面のハルキよりかは知人のジャグラーの方が自然であり、先にジャグラーと出会うのも理にかなっています。ジャグラーは自らが防衛隊の隊長であることを告げ、「正義に目覚めたって言ったら、信じるか?」と尋ねます。いや、前回部下を見殺しにしたので、まったくそうは思いません、というのはさておき、朝倉リク自身は、ジャグラーの良いとこしか知らないので、純粋にただのいい人だと思っていそう。

 怪獣の破片の回収班に、サラッとカブラギシンヤが混ざっており、デビルスプリンターを回収していきます。倒れてるギルバリスのカットとか、いいですね。

 ストレイジでは、ギルバリスがケイ素を狙っていることが判明。映画級、宇宙規模の大ボスに対しオオタユカ隊員が持ち出したのは、まさかのネット上に偽の情報を流しておとりにする、というなんともスケールの小さい作戦。このギャップが、面白いな、と感じましたね。オオタユカ隊員の大声は、キャラ一辺倒感が強すぎて少し不安になりました。

 このオオタユカ隊員の作戦に、半ばあきれた様子のナツカワハルキは口をへの字に曲げて「お、おす……」と答えるのですが、強敵を倒せそうだというのになぜそんな反応なのか。また、ナカシマヨウコ隊員は「あいつを倒せば、私たちストレイジの株も上がって、予算倍増も夢じゃないかも」と発言しているのですが、ここで彼女の第五話での発言をもう一度。「あの怪獣を食い止めてその間に一人でも多くの人を、助けないと。それが私の仕事だから!」えーと、彼女が怪獣と戦う理由は、一人でも多くの人を助ける、というところにその一端があったはずなのですが、はい。なんで今回予算倍増のために戦っているのでしょう? 前回言ったことと矛盾してるんですけども。まぁどちらかと言えば、ゼット全体を見るに、矛盾している発言はむしろ第五話の方で、やっぱり第五話の作劇は、よろしくなかったのでは。とはいえ、それを抜きにしても、第六話のこの発言もまあまあナカシマヨウコ隊員らしくない発言ではあり、この辺り、やはり坂本浩一監督は、セルフオマージュは上手いけど、他者のオマージュは苦手なのだな、と納得。

 さて、その作戦に、ヘビクラ隊長はすんなりOKを出し、え、あんた、さっきの「奴が相手じゃ俺たちストレイジはお手上げだな」発言はどこいった(笑) 先程も言ったとおり、強大な敵に対していかにもスケールの小さい作戦で挑むのが、今回の面白さではあるのですが、それとこれとは話が別で、ギルバリスのヤバさを知っているヘビクラ隊長はやはり、一度は難色を示すべきなのでは。そんなスケールの小さい作戦で、ほんと大丈夫なのかなと、心配すべきでは。少し葛藤して、でも自分の部下たちを信じて作戦を決行する、みたいな流れになればすんなり入れるのですが、ここも、かなり納得しがたい部分でありました。この後の、生身でギルバリスに挑むリクの姿も相まって、ここで一気にギルバリスの株が落ちたのは少し悲しいところ。あそれから、ついでにここに記しておきますが、今回ギルバリス、全然話さなくて、それも相まって大ボス感が少し削がれている印象。

 ここから、ウインダムとギルバリスの戦闘シーン。最初の辺りで述べた、「ウインダム喋りすぎで没個性化問題」が再来。もうこの辺りのノリとか、完全にルーブとかのそれで、ナカシマヨウコ隊員にまったくプロフェッショナル味を感じられません。前回仕事人発言していた人とは到底思えません。厳しい部分ですが、見守りましょう。たぶん数話後には、改善されている。そう信じたい。

 追記:後になって思い返せば、先程のシーンでセブンガーがギルバリスに操られており、ウインダムもまたギルバリスに操られる可能性はかなり高いですよね。そんな中、あっさりウインダムを出撃させているあたり、明らかに作戦の不備ですよね。危機感が薄いというか、なんというか。こういったところの矛盾も、構成上の問題であります。

 ハルキはぱっと見一般人のリクに、「ちょっとじっとして」と駆け寄り、リクの変身口上に繋げるために、やや強引なセリフ運び。こういう会話一つ一つの噛み合わなさというか、ぎこちなさがむしろジードの雰囲気を思い出させ、少々懐かしさをおぼえましたw

 ここからの流れは見事で、ゼットライザーを見て両者が「え、こいつウルトラマンじゃん」となる見せ方とか、文句なくかっこいいリクの変身シーンとか、ゼットがする兄弟子の話とか、クロスオーバーの面白さが凝縮されており、ちゃんとやるべきことを丁寧にやっています。にしても、リクの変身がキレッキレ。とても自然な流れから変身に持って行っており、いやぁ先輩感の演出がお見事。少々気になったのは、リクの変身の際、ギンガ、エックス、オーブだけでなく、初代ウルトラマンとベリアルが姿を見せていることで、これはあくまでベースはプリミティブってことなんでしょうかね。

 ゼットとジードの共闘は、白熱の一戦で、ここにキメラベロス戦闘時の歌を持ってくるのも良いですねぇ。ジードのキメラベロス戦では、ジードが立て続けに形態変化を行ったのですが、そのオマージュか、ゼットもベータスマッシュへ形態変化。ここは、スピード感を出すためにも変身バンクはカットした方が劇的になるものの、さすがに販促にはあらがえなかったか。

 実に坂本浩一監督らしいダイナミックな特撮が決まり、画角といい爆発量といい、とても、坂本特撮でした。ここで、オオタユカがギルバリスに難題を注入し、一時的に機能を弱らせる作戦を思いつきます。この辺りの防衛隊とウルトラマンの共闘があるのも、実に楽しい展開。最後はゼットの主題歌が流れ、ゼットとジードのダブル攻撃で撃破。ギルバリスも、上で述べましたが、劇場版の大ボス感と、テレビ一話分のスケール感をいい塩梅に混ぜ込んでおり、素晴らしい活躍を見せてくれました。

 戦いを終え、ハルキとリクの会話。デビルスプリンターの正体は、各地での戦闘時にベリアルが落とした、ベリアルの欠片であることが判明。とここでまさかの歴史改変w ベリアル、宇宙牢獄脱出時の戦いではタロウのストリウム光線をかわしているはずなのですが、モロ直撃しています。地味に自分で作ったベリアルの魅力をそぎ落としてますけど、坂本監督。

 話をするうちに、そういえばゼロは? という話題になり、ゼロ、なかなかヤバいところに飛ばされた様子。一方カブラギシンヤはギルバリスの破片から兵士バリスレイダーを召喚し、ジードを見つめて、続く。

 全体としては、まぁ、部分部分で気になるところはあるものの、第二の劇薬・ジードを丁寧に作品に落とし込んでおり、最低限やっておかなければならない描写がおおむね出来ていた印象です。まさか坂本監督が、こんなにちゃんと必要なことが丁寧にできるとは思っていなかったので(坂本監督は大胆さという意味で、丁寧とは対極に位置すると思っていたので)、まさかここまでやりきってくださるとは、賞賛の一言に尽きます。ジャグラー問題も、変にバタバタして描くのではなく、今回はジードの話と割り切って、以降の監督に任せるのも良い采配であります。

 主にウインダム喋りすぎ問題とか、新たな問題は出たものの、監督が引き継がれてゆく中で、また徐々に緩和されていくことを願っています。また、ジャグラーやらかし問題も、忘れずにいつかちゃんとフォローしていただきたいですね。

 それから、意外と忘れがちですが、ちゃんとどこかでジードがベリアルの息子だってことは言及しないとですね。新規視聴者はそこら辺の事情を知らないので、劇中で今一度説明が必要でありましょう。視聴者が知ってる前提で話を作って、思わぬ事故を引き起こす、なんてことがないように、気を張っておきたいところ。

 ということで、第六話感想でした。ほんと、丁寧の一言につき、劇薬の扱いがしっかりしていた小編でしたね。ウルトラマンZ、前回かなり崩壊気味だったので、ここまで立て直してくれて、ひとまずほっとしました。さて次回、まさかの第三にして最大の劇薬・ゼロ投入。まだまだ気が抜けないウルトラマンゼット。更なる躍進を、期待しています。