igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

努力は裏切る

 皆さんこんにちは、igomasです。『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』の情報が公開されましたね。80やパワード、グレート、ネオスにセブン21、怪獣軍団も、ルーゴサイトにゼットン軍団と盛りだくさんの内容で、なかなか楽しみであります。

 しかしながら、ベリアルアーリースタイルの登場に対する懸念や、監督を坂本浩一監督が続投することに、様々な議論が飛び交っており、果ては坂本浩一監督擁護派と批判派に分かれ、Twitter等で本作について争っているようです。私は、未だ公開すらされていない作品についてとやかく言うのは自分では避けたいと思っているので、本作については何も語りませんが、この「坂本浩一監督論争」の中になかなか面白い意見を目にしたので、触れておきたいと思います。

 その意見というのが、「とあるウルトラ作品のインタビューを見て欲しい。それを読めば、坂本浩一監督がどれだけ作品作りに努力しているかが分かる。そうしたら、坂本浩一監督を批判する意見なんて出ないはずだ」というもの。今回はこの意見に対する私見を、述べていきます。

 まず、「努力すれば評価される」というのは、残念ながら賛成しかねます。どれだけ素晴らしいこだわりや、プロ意識をもって仕事をしていたとしても、間違った努力をすれば、その努力が実るとは限りません。例えば、日常パートのドラマを見直さなければならない時に、特撮パートに全力をかけても事態は改善しないでしょう。また、もし努力の仕方が合っていたとしても、目指すところが違うのだとしたらそれもまた評価の対象にはなりません。例えば、製作陣は、売り上げ重視の作風を最優先して作っているとしても、一部の視聴者のニーズが「作品の出来」にあるのであれば、その視聴者からは評価されませんし、製作陣が子供番組として作っていても、視聴者が全世代向け番組として見ていたらそこに乖離が起きてしまいます。こうした乖離というのは、どの作品にも必ず起こってしまう問題です。たとえ努力の仕方が合っていても、人に合う・合わないで、その努力が実らないこともあるのです。ですから、「努力を知れば誰だって批判できない」というのは、残念ながら作品作りにおいては実現困難なことなのです。努力は実ることもありますが、実らないことだって大いにある。それが作品作りだということを、覚えておいてください。

 それから、「インタビューを読め」というのはそもそも正しいのでしょうか。もちろん、坂本浩一監督の裏事情とか、そういうものは参考程度にはなるでしょう。しかしながら、ウルトラマン視聴者全員に、または坂本浩一監督を批判する者全員に、読むのを前提として良いのでしょうか。自分はそうは思いません。もちろん、製作陣が、ファンに向けて作品の裏側や、作品にかける思いを伝えるというのは非常に視聴者としても有り難いですし、興味深い話です。ファンとの対話のために、インタビューの時間を設けていただいているというのも素直に嬉しくはあります。しかしながら、やはり製作陣の評価それ自体は、そういった介在事情抜きに、「作品」のみで判断すべきだ、と思うのです。製作陣の作品にかける思いは、後付けのインタビューなどで語るものではなく、あくまで「作品」で語るべきものではないでしょうか。「作品」こそが、製作陣と視聴者との唯一無二の「対話」のツールであり、そこに全力をかけて欲しいのです。視聴者が「作品」と真摯に向き合えば、製作陣に話を聞くまでもなく、その作品にかける情熱、熱意、思いがおのずと伝わってくる。作品とはそういうもののはずです。物語を通して、作品を貫くテーマを、メッセージを視聴者に伝える、それが、作品の本分なのですから。もし坂本浩一監督批判勢が、作品としっかり向き合った上でその意見を言っているのだとしたら、それはインタビューを見るまでもなくそうなのでしょう。作品という唯一無二の対話に熱意が込められていないと感じるなら、そうなのでしょう。インタビューを見れば見方が変わる、と断言するのは、難しいことなのです。

 と長々と語りましたが、私は何も上記のTwitterのつぶやきを批判しているわけではありません。そもそもこの呟き自体、「僕は坂本浩一監督のインタビュー好きだから機会があったら見てみて」という意味で呟かれているのでしょうし、「インタビューを読んで努力を知ったら坂本浩一監督を絶賛するはず」という強引な意見というわけでもないのでしょう。ただ私は、この呟きをもとに、作品作りの努力が視聴者に伝わる難しさや、その情熱を作品そのものに込めねばならないということを伝えたかっただけなのです。そのことだけは、ご理解ください。

 

 

 

 ちなみに自分はと言いますと、私自身はどちらかと言えば坂本浩一監督の作風はそこまで肌には合っていません。もちろん特撮技術の高さやアクションの豪快さなど、他のウルトラマン監督に比べても大いに評価しているつもりですし、事実ギンガとビクトリーの共闘シーンとか、エックスでのナックル星人バンデロの回は指折りで大好きな話です。ただ、構造的な話運びや、日常パートの描写の些細な部分で、あまり肌に合っていないな、と思うことは多々ある、という感じですね。近年のウルトラマンを語るにおいて、坂本浩一監督はなくてはならない存在であり、彼についてはまたジードの記事などで、真摯に向き合わせていただきたいと思っています。

 そんなわけでどちらかと言えば坂本浩一監督にはやや否定的な思いを持つことも時にはありますが、だからといって、冒頭にあるように、私自身は未公開の作品についてとやかく言うつもりはありませんし、だからといって坂本浩一監督擁護派を叩くわけでもありません。どれだけ自分が否定的に思っていようと、合う・合わないは人それぞれですし、むしろ(信者として、「坂本氏の作風が肌に合わない」と言っている人達を執拗に叩き始めない限りは)、擁護派の皆様には存分に彼を擁護して欲しい、という思いです。作品を作るときには、辛いこともあります。批判されることもあるでしょう。それはそれは苦しい戦いです。だから、もしその作品が好きならば、面白い、素晴らしいよと、どんどん声をかけてあげて欲しいのです。それが、製作者としては大きな救いになりますから。一方で、アンチはアンチで、それが客観的に見てしっかりした正しい意見である限りは、製作陣に活を入れ、製作陣の心を引き締めるのに重要な存在です。擁護派も、批判派も、作品を真に愛するものとして、モラルを持った意見交換ができるといいですね。ということで私もウルトラマンZで良いと思ったら賞賛するし、悪いと思ったら全力で叩きますね(結局その話かい笑)

 なんだかふわふわとした記事になってしまいましたが、擁護派も批判派も、皆が上手く有機的に作用し合えるといいですね、ということで、今回の記事としたいと思います。それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!