igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

スパイダーマン:ノーウェイホーム全力感想!

 皆さんこんにちは、お久しぶりです。igomasと申します! 新年明けましておめでとうございます。2022年、今年もよろしくお願いします。

 さて、先日1月7日、MCU(マーベルシネマティックユニバース)最新作となる、スパイダーマンノーウェイホームが公開されました。今回はノーウェイホームについて、どこよりも熱量のある感想記事をお送りしたいと思います。

 

【注意】この先ネタバレあり

 MCU映画はほとんどがそうですが、特に今回のノーウェイホーム、是非とも未試聴の方はネタバレなしで見て欲しい作品です。今作は日本では世界より公開日かかなり遅く設定されており、それゆえ先に公開されたアメリカ(2021年12月17日公開)から多くのリーク映像が流れてきました。何とはなしに他のことをネットで調べていた際、図らずもその画像が目に飛び込んできて、私自身盛大なネタバレを喰らいました。その時のどうにもならない悲しい思いを、未試聴の方には絶対にして欲しくありません。未試聴の方は、まず映画館に行きましょう。オススメは字幕です。それ以外、音響や画面の大きさは拘りなければ気にしなくて大丈夫。とにかく近場の映画館へ今すぐgo!

 

 なお、本感想記事では、MCUの特質上、そして本映画のヴィランの特質上、過去のスパイダーマン映画のネタバレや、ホークアイを含むMCU作品群のネタバレなども多少含まれます。適宜対応してください。

 

 では、ガッツリ感想記事、はじめていきましょう!!!!!!

 

 

Mysterio is the truth!

 本作は、前作スパイダーマンファーフロムホームから地続きの作品になっており、時系列で言うとそれこそファーフロムホームの1秒後からスタートします。

 前作の最後で、ミステリオに正体を明かされたスパイダーマン。しかもミステリオは、「スパイダーマンが大量殺戮兵器でロンドンを襲った。それを止めようとしたミステリオも殺した」などという滅茶苦茶な嘘をつきます。スパイダーマンはこれにより、あらぬ疑いをかけられ、ヒーローから一気に転落、警察に追われる身となりました。

 非常に辛い幕開けとなった今作。ピーターをこんな酷い目に遭わせたミステリオが、憎いと言えば憎いのですが、私自身悪役ファンとしてはミステリオに対し、本当に何から何までやってくれたなと感嘆するばかり。

 トニースタークの亡霊の如く、トニーに反する者を集め、ニックフューリーことタロスをも欺き、ピーターパーカーを上手く話術で騙しこみ、トニースタークの最後の遺産を奪い去った男。トニーを亡くした心の傷をこれでもかとえぐり出し、何のスーパーパワーも持っていないながらもスパイダーマンを精神的にも肉体的にも瀕死の重傷まで追い込んだ男。スパイダーマンに敗北した後も、ドローンの幻影を使って最期まで銃殺しようとあがいた男。そして、死んでなお、ピーターパーカーを貶め、ついには念願のヒーローとしてとわに語り継がれる存在となった男。この、どこまでいっても悪でしかない執念の塊みたいなところが、ミステリオの大きな大きな魅力であったのだな、と再認識。

 ミステリオは、本ブログ2019年悪役グランプリ1位に輝いた悪役で、そちらの記事で1万字ほどかけて褒めちぎっているので、良ければそちらもご覧下さいませ。

 

igomas.hatenablog.com

 

 さて、そんな「ミステリオに正体を明かされた」シーンから始まる今作。アベンジャーズインフィニティーウォーの時もそうなのですが、最初の企業ロゴが出てくるシーンで、セリフが聞こえてくる演出が、私本当に好きなんですよね。少しずつこれから始まる映画の世界観に取り込まれていく感じ、たまりません。特に今回は、前回の映画の最後の光景がありありと思い出されて、うるっと来てしまいました。

 

JJJ

 スパイダーマンの最大の敵とは誰か、という話になったときに、よく挙げられるのが、このJJJ(Jジョナジェイムソン)。原作コミックではデイリービューグル新聞社の社長で、「スパイダーマンは悪だ」と根拠のない意見を四六時中吹聴している男。彼のせいでスパイダーマンはどれだけ人を助けても「悪い人なのかな」と思われてしまうという、なんとも迷惑な人物。ちなみに原作では、ピーターがお金稼ぎのために、自分が戦っている写真を撮ってデイリービューグルに売ることで、生計を立てています。自分の生計を立てるために、自分を悪く言う新聞社に加担するという、なんとも皮肉な人生を歩むピーター。

 さて漫画の話はこれくらいにして、本編に戻りましょう。今作ではJジョナジェイムソンは、ネットニュース、デイリービューグルの司会を務めています。最初は無名だったためかボロいセットで撮影していましたが、スパイダーマンの正体を暴いたことで一気に有名になり、物語中盤では大規模なセットでネットニュースを撮影し、部下も大勢抱える大物になりました。

 今作でJジョナジェイムソンを演じたのは、トビーマグワイアスパイダーマンにて同じくジェイムソンを演じた、あのJ・K・シモンズ。ファーフロムホームの最後での登場には、かなり驚きの声が上がっていましたね。

 今作を通して力を着々とつけていったデイリービューグル。今後もスパイダーマンの敵として、立ち塞がることになるのでしょうか。

 

注)本記事では、トビーマグワイアが演じたスパイダーマン1、2、3(サムライミ版スパイダーマン)をトビーマグワイアスパイダーマン、アンドリューガーフィールドが演じたアメイジングスパイダーマン1、2(マークウェブ版)をアンドリュー版スパイダーマンと呼称します。俳優名も監督名もたくさん出したときの混乱を防ぐためです。ご了承ください。

 

もう一回スイング

 さて、正体を明かされたスパイダーマンは、まっさきにMJの方を見ます。しかし、一瞬目をそらすMJ。スパイダーマンが犯罪者として報道された直後であったためか、本人はそうしたくなかったのかもしれませんが、無意識に、不意に、目をそらしたくなったのかもしれません。この一瞬のシーンがとても見ている側としては辛くて、でもやりきれない理解できる気持ちもあって、悶々としましたね。

 直後にMJはまたいつものMJに戻り、とにかくここから逃げなきゃともう一度スイング。前作最後でもうしないと言っていたスイングをもう一回するハメになり、さらに地下鉄に襲われそうになります。ここの発狂っぷりは良かった。

 

打ちのめされたMJ

 先程、直後にMJはまたいつものMJに戻り、と書いたのですがしかし、内心はそうでもなかった様子。そりゃ恋人があらぬ疑いをかけられ犯罪者と言われるなんて、耐えきれるものではありません。正体を明かされてからというものの、ひどく傷ついて、「期待しなければ失望もしない」とかなり弱気な発言をしています。心ない発言もされていましたし、打ちのめされていたのでしょうね。どこかホームカミングの、殻に閉じこもっていた頃のMJの面影も見えました。

 さて、そんなMJですが、ピーターがMJの大学を何とかしよう、今の現実をどうにかして変えていこうと彼なりに頑張っている姿を見て、自分も前を向いて進んでいかなければ、とヒロインたる姿勢を見せ始めます。中盤では「ぶちのめせ」、といつものMJに戻っていましたね。ノーウェイホームでは多くの登場人物が成長しましたが、MJの成長は凄まじい者でした。本作は本当に、MJも精神的に強かった。

 

フラッシュ・トンプソン

 ホームカミング、ファーフロムホームの2作で、ピーターのいじめっ子として登場していた、フラッシュ・トンプソン。ファーフロムホームでは、スパイダーマンは最高のヒーローだ、といった趣旨の発言をしていましたね。いじめていたピーターが、まさか自分の大好きなヒーローだったと知ったときには、かなり本人も驚いていました。

 途中学校でピーターに野次が飛んでくるシーンでは、ピーターは良い奴だと食ってかかるフラッシュが大変頼もしく、うるっと来てしまいました。まぁ、その後大学に受かったと1人だけ楽しげに登場したり、ピーターに大学への交渉方法を教える際見返りを求めてしまうのが、あぁこの子結局ピーターに無償で協力する気ないんだ、見返り求めちゃうんだとちょっと冷めたのは否めませんが。フラッシュのために泣いた分の涙、返して欲しいです(笑)

 とはいえ、ピーターに「最高の友達って言うよ」と約束されると嬉しくなってすぐ協力を承諾しちゃうとことか、なんだかんだで根はいい奴なんだな、とは思う部分もあるのですが。

 

デルマー

 ホームカミングの冒頭で、クイーンズ一番のサンドイッチ屋として登場したデルマーの店。ピーターには分からないだろうと思って、イタリア語でメイおばさんの美貌をからかうも、ピーターにイタリア語で返されムスッとしちゃうシーンがありましたね。ホームカミングの劇中、ハイテク兵器をヴァルチャーから買った強盗軍団に襲われ、店が潰れていましたが、今回地下鉄からマンホールを通って地上に上がってくるシーンで、デルマーの店が登場。

 ホームカミング関連でいうともう一つ。学校に押し寄せた町の人達の中に、「宙返りして」って言ってたおじさんが出てきてましたね。ホームカミングでも、ピーターがとあるビルの屋上にいたとき、地上から「あなたYouTubeスパイダーマン? 宙返りして」と言われて、その場で宙返りしたシーンがありましたよね。同一人物かは定かではありませんが、声は似ていました。

 

取り調べ

 ミステリオ殺害の容疑で捕まるピーターパーカー。疑いの目を向ける警察に対し、MJ、メイおばさん、ネッドが反論するシーンは、心が苦しくなるとともに、心強い仲間がいるなと嬉しくもあるシーンでした。

 メイおばさんを詰めていく時の警察が、非常に性格が悪かった。親として子供の監護がなってなかったんじゃないかと詰め寄られるシーンは見ていて辛かった。

ネッドが口を滑らせてしまうシーンはクスッと笑ってしまいました。ホームカミングの頃から、「ピーターがスパイダーマンのことを知っている」とついつい口走ってしまうくらい、口が軽かったですものね。

ピーターが、「ニックフューリーが証人だ」と言って、「ニックフューリーは1年前から宇宙だ」と返されたときの反応は痛烈。じゃあファーフロムホームでずっと一緒にいたあのフューリーは誰だったんだ? と驚愕していましたね。

前作でも言及されていたとおり、ニックフューリーは地球上最も疑い深い男。これから先、意外と早い段階で、スパイダーマン:ピーターパーカーの元に現れ、事態を理解し、助けてくれると良いなと思ったり。

 

デアデビル

 警察に捕まったピーターパーカーらを弁護したのが、マットマードック。赤いサングラスをかけた盲目の弁護士ですが、窓を割って飛んできた石をひょいと掴んでみせたシーンがありましたね。彼は原作コミックでは、デアデビルという名のヒーローです。

 今回は本編にさほど関わることなく、プチお披露目、といった感じでしたね。ちなみにデアデビルはコミックではキングピンというヴィランとも死闘を繰り広げます。キングピンといえば、ドラマホークアイヴィランとして最終話に登場しましたね。ケイト・ビショップの矢を身体に受けてなお、ビクともしない強靭な肉体を持った、ニューヨークを裏で操るマフィアのボスです。

 原作漫画では、キングピンはただの筋肉でムキムキの人間という設定であり、特に何かスーパーパワーがあるわけでもないのに、素手でヒーローと殴り合えるトンデモ人間です。そんな彼でありますから、ホークアイの最後に銃で撃たれたことなど、まるでなんでもなかったかのようにひょいと復活するやもしれません。というかまぁ、復活するでしょう。

 そのときには、今作で登場したデアデビルと戦うことになるやもしれません。

 また今作ではデアデビルが、「もっとこういうことに詳しい弁護士に頼む必要がある」といった趣旨の発言をしていました。これは、シーハルク/ジェニファー・ウォルターズのことを指しているのでは?と思われます。彼女を主人公にした、法廷コメディが今後MCUにてドラマで展開される予定だそうで、こちらも楽しみ。

 おそらくデアデビルは、キングピン関連で登場するか、目の見えないデアデビル、耳の聞こえないエコーという対比でドラマエコーに登場するか、シーハルクと法廷で共演するか、何かしらの形で登場すると思われます。こちらも楽しみに待ちましょう。

 と、触れるのを忘れていましたが、大事なことをひとつ。演じているのはNetflix版ドラマ・デアデビルと同じく、チャーリー・コックス。権利関係の都合上、Netflix版のマーベルドラマ群はMCUとはまったく無関係で、なかったことにされ、その上2年間テレビや映画に出られないという悲しい状態だったのですが、最近になってようやく、救われていっていますね。

 

ベティ・ブラント

 本作でぶっちゃけ一番驚いたのは、ベティ・ブラント。ホームカミング、ファーフロムホームでも登場し、学校内のテレビで様々なニュースを伝える女子生徒でした。ファーフロムホームでは、ネッドと恋仲になっていましたね。

さてそんな彼女は、ピーターが学校へ着いた際、学校の入り口前で、「今大注目のこの人物、ピーターパーカー!」と、ノリノリでカメラを回していました。おいおいおい、ベティ・ブラントそっち側かよ、と思わずツッコミを入れてしまいました(笑)

本人に悪気はないのだろうし、単純に「えっ自分の学校にスパイダーマンが!?」と舞い上がっちゃったのと報道魂に火がついたのとでああなったのでしょうが、ピーターやMJ、ネッドをそっとしておいてやってくれよと思わずにはいられませんでした。

ベティ・ブラントは原作漫画ではデイリービューグルに勤務し、Jジョナジェイムソンの秘書として登場。デイリービューグルに所属しながらも、時にピーターの肩を持つこともある良い人。今回若干株が落ちた?感がなきにしもあらずなので、今後デイリービューグル編などで再登場し、株を上げてくれると嬉しいです。

 

先生~!

 今作の中でかなり登場が一瞬で終わってしまった先生方。ファーフロムホームに登場した2人の先生は、かなり協力的というか、あぁ良い人だなぁという感じでしたが、一番左の先生は最後までかなり感じ悪くて嫌でした。ホームカミングでピーターの補修監督をしていた先生ですよね。最後まで画面に見切れてなお悪口たっぷり言っていて、おいおいおいやめてやれよと言いたくなりました。

 ハミルトン先生とジュリアス先生はどちらもかなり好印象。前2作でも、多少抜けているところはあれど根は人格者というか、良い人だなと伝わる演出が多かったですよね。登場時間は短かったものの、登場してくれて嬉しかった。

 

ネッドの励まし

 今回、ネッドよく頑張ったよ、と言いたい。あれだけ強いピーターとMJが打ちのめされたのに、ネッドだけはずっと打ちのめされず頑張っていた。ピーターとMJを励まし続けていた。あの屋上に3人いるシーン、ネッドがいる心強さは尋常じゃなかった。

 本当は、ピーターとMJの恋物語を描くという作品の構造上、どうしても恋愛的には蚊帳の外であるネッドがノイズになりがちなのですが、今回まったくそんなことはなかった。ここが監督の上手いところだなと大変感心していました。

 

ドクターストレンジのところへ

 さて、世間からの評判も悪く、大学への進学も不公平にも拒まれたピーター、MJ、ネッドの3人。どうにかMJやネッドの力になりたいと思ったピーターは、クリスマスの飾りを見て、ドクターストレンジを思い出し、彼のところへ向かいます。

 ドクターストレンジのところへ行ったピーターは、時間を巻き戻してなかったことにできないか、と尋ねます。ドクターストレンジはかつて、インフィニティーストーンのひとつである、時間を操るタイムストーンを所持していました。そのことから、ストレンジなら時間を巻き戻せるのではないか、と思ったようですね。しかしタイムストーンは失った後。おまけにソーサラースプリームの位はウォンに譲っていました。え、ウォン、シャンチーで闇の闘技場みたいなところで戦ってたけど、君ソーサラースプリームだったんか!? そんなところにいて、その、魔術の権威として色々と大丈夫なのか!?

 このシーン、予告編ではドクターストレンジもウォンもやや気乗りしない様子だったのがちょっと悲しかったのですが、予告編など嘘ですよと言わんばかりに、2人ともピーターにはかなり優しく、協力的でしたね。嬉しい限り。ピーターのスティーブン呼びもこのシーンでは意外と快く受け入れられていましたし、ウォンも呪文を使うのを黙認してくれていましたよね。

 

魔法ミス

 予告編ではいかにも、ドクターストレンジがやらかしました、残念!みたいな映像が流れていましたが、決してドクターストレンジの魔術が未熟だとかそういうことではなかったのが救いか。性格上あれこれ聞かず呪文詠唱し始めたドクターストレンジの性格と、ピーターの要望の多さが相まって、一瞬暴走しかけた呪文を封じ込め、一旦事なきを得ます。

 その後、大学に掛け合いもせず、全世界からスパイダーマンの正体に関する記憶を消すという魔術に頼ったピーターを、「まだ子供だ」ととがめるストレンジ。ここは、ホームカミングのトニースタークや、ファーフロムホームのニックフューリー(タロス)の立場をある程度踏襲しているのでしょうね。しかし今回は今までのピーターとは違います。割と早い段階で自らの過ちに気づき、成長し始めます。

 

ドクターオクトパスとの戦い

 大学に掛け合おうと、大学の重役が車で空港に向かうところを尋ねるピーター。結構強引に話しかけ、その割には説得が下手(笑)。トムホランド版ピーターは、トニーやミステリオといった人物ほどの話術はなく、色々と損しているなと。まぁそこがピーターらしくもあるのですが、今後ピーターの話術が成功してくれると嬉しいなと。

と、そこへ現れるはなんとトビーマグワイアスパイダーマン2に登場した、ドクターオクトパス。4本のアームを使い、ピーターとバトルを繰り広げます。

 今回のスパイダーマンは、トニーに送られたアイアンスパイダースーツを着ていたために、まさかの夢の「アーム対決」が実現。スパイダーマンならではのアクションもさることながら、このアームバトルはかなり燃えました。

 また、ホームカミングからかなり成長を遂げたスパイダーマン。戦いながらも、被害を出さないように、一般人を守りまくっています。これぞスパイダーマン、もう、最高。

 しかし、さすがはスパイダーマンの宿敵、ドクターオクトパス。スパイダーマンを捉え、また、その身体からナノテクを奪います。ただでさえ強いドクターオクトパス、ナノテクを手に入れたら、いったいどうなっちゃうの!? となりますが、さすがはトニースタークの技術。ピーターパーカーがナノテクを制御し、あっという間に形勢逆転。ドクターオクトパスは自分のアームに縛り付けられ敗北してしまいます。前作ファーフロフホームにて、トニーの作ったシステムがピーターを苦しめましたが、今回はピーターの大きな助けになりましたね。

 

リザード

 さて、ドクターオクトパスを捕らえたところで今度はグリーンゴブリンが登場。連戦になるかと思いきや、ドクターストレンジに呼び戻されてしまいます。ドクターオクトパスは牢屋に封じ込められ、そして後ろから襲いかかるリザード! あぁビックリした!(笑)

 アンドリュー版アメイジングスパイダーマンに登場したリザードアメイジングスパイダーマンの特徴として、ホラー調な作風が挙げられます。アメイジングスパイダーマン2では緩和されたものの、1は結構心臓に悪い作品でありました。いくらスパイダーマンが好きとはいえ、怖いものが苦手な私は若干避けがちだったアメスパ1そしてリザード。今回はそんなことはあるまいなと思っていましたが、見事驚かされました。やめてくれよもう(笑) デザイン自体は、アメスパの時から若干変わり、ホラー感を緩和したものになっていました。それが唯一の救いか。

 

やっぱり失敗していたドクターストレンジ

 呪文詠唱中、一瞬だけ開いたマルチバースの穴から、スパイダーマンがピーターパーカーである、と知っている者たちが入り込んできた、と説明するドクターストレンジ。穴が開いた一瞬に、たまたま入り込んできた者、というのがポイントで、つまり「スパイダーマンの正体を知るもの」全員は入ってこないうちにゲートが閉じられたのです。ですから、ハリーやトビーマグワイア版ヴェノムなど、こちらの世界に入ってこなかった者たちがいるのも、まぁ頷けるところ。

 あれだけマルチバースをあざ笑って、「そんなものあるわけないだろ」とでも言わんばかりだったミステリオとの戦いの後に、スパイダーマンが本物のマルチバースを経験するという、なんとも皮肉の効いた展開。マルチバースが存在するの!?とかなり驚いていましたよね、ピーター。

 

新スーツ?

 さて、マルチバースの穴から入り込んできたヴィランたちを、ドクターストレンジから貰ったアイテムを使って捕獲する作戦が決行。帰る世界をなくした、いわゆるノーウェイホーム状態のヴィランたちを、捕縛してもとの世界に返そう、というわけですね。

先の「スパイダーマンがミステリオ殺害?」騒動でペイントボールのようなものを投げられていたスパイダーマンのスーツは汚れてしまって、使い物にならず。そこでピーターがとった行動は、なんとスーツを裏返しで着ること! これには驚かされましたね。

 裏の配線が外に出た状態での戦闘なので、正直かなり危なくないか?と思いましたが、なんとか無事戦いを乗り切り、中盤ではメイおばさんに洗濯してもらっていましたよね。てっきりその見た目から、ドクターストレンジ製のスーツとばかり思っていたので、びっくり。

 

エレクトロ・サンドマン登場

 アンドリュー版アメイジングスパイダーマン2に登場したエレクトロ、トビーマグワイア版3に登場したサンドマンが登場。サンドマンがいきなり味方をしてくれるというのは、大変心強かったですね。トビーマグワイアスパイダーマン3では、娘の治療費を稼ぐため、仕方なく強盗をしていたサンドマン。銃が暴発しベンおじさんを殺害してしまい、一気に殺人犯に転落してしまいましたが、元はそんなに悪い人じゃなかった。

 一方のエレクトロは自信の力に溺れている様子。もう一つの人格に操られているグリーンゴブリンは別として、今作で一番、精神状態が危うかったのではと思われます。登場した一瞬だけアメスパ衣装の見た目でしたが、異世界に来た影響で力が弱まったのか、サンドマンと共闘したスパイダーマンによって倒されてしまいました。初エレクトロ戦の倒し方というと、大抵水にたよるケースが殆どですが、今回はサンドマンを使って倒すという、本作ならではの贅沢な倒し方をしてくれましたね。

 サンドマンについては、エレメンタルズとの戦いに言及があるかなと予想していましたが、意外と言及はなし。

 仲間だと思っていたスパイダーマンに牢屋に入れられたことで、サンドマンは不信感を抱き始めます。

 

ノーマンオズボーン

 さて、異世界からのヴィラン、最後の1人である、グリーンゴブリンことノーマンオズボーン。身体を強化する薬品を自身の体に打ち、副作用により凶暴な人格が芽生えた彼。原作コミックでもスパイダーマンの宿敵として、何度も対峙することになる彼。今回のヴィランの中でもかなり注目の敵だと思っていたら、意外や意外、ノーマン本人は破壊や殺人を拒み、あっさりと仮面を破壊してしまいます。

 今回の映画は、非常に絶妙なバランスの中で構築された映画で、制作時に最も気を付けねばならないのが、「トビーマグワイア版やアンドリュー版に飲み込まれないこと」でありました。過去作のヴィランを出して、お祭り映画をするのはいいものの、やり過ぎると現在のトムホランドスパイダーマンの要素が薄れたり、MCUの中でのバランスも大きく崩れてしまいます。過去作の雰囲気に飲み込まれない程度に、今のスパイダーマンを描く必要があるわけです。

 その点で最も私が懸念していたのが、ヴィランのデザイン、過去作に頼りすぎじゃない?という点です。もちろん、今回は過去のスパイダーマン作品に出た敵とまったく同一人物がやってきたわけですから、見た目は同じでもいいといえばいいのですが、安直に20年前のデザインを脳死で使うのは悪手でしかありません。現代ならでは、リアリティを追求するMCUならではのグリーンゴブリンが見たいとずっと思っていました。だから、トビーマグワイア版そのままなグリーンゴブリンを予告で見たときには若干不満もあったのですが、早々にそこから脱却してくれたのは嬉しいところ。

 仮面を潰したことで、早々に役者の顔が見えるグリーンゴブリンになったのは秀逸な判断。実際、今回のピーター陣営はグリーンゴブリンの正体を知っているのですから、特に顔を仮面で隠す必要もないですものね。

 

メイおばさんの慈善団体

 メイおばさんは原作コミックでも慈善団体で働き、多くの若者を助ける良き人であるのですが、今作も、メイおばさんは慈善団体で活動していますね。慈善団体については前作ファーフロムホームでも若干触れられていました。

 メイおばさんのもとへふらりと現れたグリーンゴブリンことノーマンオズボーン。メイおばさんがピーターに電話し、無事捕獲されます。この時点で、ほぼほぼ事態は収束しており、なんならやってきたヴィランたちも、精神が落ち着いています。これまで怪物として描かれていたヴィランたちの意外な一面を見ることが出来たのも、今作の功績か。

 さて、迷い込んだ者たちを皆見つけ終わったことで、ピーターは彼らを元の世界へ戻そうと考えます。しかし、メイおばさんの意見は違っていました。彼らだって彼らなりに迷って苦しんでいる。困っている人を助けるのがヒーローではないかと。

 しかしさすがのピーターもそこまでお人好しではありません。このまま返すのが賢明だ、と返します。実際、ピーターはこれまでに、ヴァルチャーやミステリオと、先人トニースタークが生み出したヴィランに大変な思いをしてきました。今回捕らえた敵は、別の世界のピーターが生み出した敵。責任は彼らにあるわけで、この世界の人を危険にさらしてまで自分がわざわざ対処しなくても、元の世界で対処してもらえれば良いと考えたピーターの判断は、至極まっとうではあります。また、この世界でヴィランたちに介入すれば、マルチバースを歪ませてしまう、という危険もありますから、ピーターの意見にも一理あるのです。ピーターもメイおばさんも、まぁ言ってしまえばどちらも正しい。こういう価値観の衝突をしっかり描けるのは、いい監督のなせる業です。

 

ヴィランが死亡すると知る

 さて、ヴィランたちを皆捕獲したのち、ピーターはドクターストレンジのもとへ戻ります。そこで、ヴィランたちの境遇がどんどん明かされていきます。旧作を見たことのない人への軽い紹介コーナーですね。こうやって見てみると、殆ど諸悪の根源がオズコーブなのですが(笑) さて話していく中で、ヴィランたちは自らの死の運命を理解します。

 彼らは元の世界では死ぬ運命にあるのだ、元の世界に戻しても別の世界のピーターが上手いことやってくれるわけでは全然なかったのだ、と知るピーター。それならば、彼らを救ってやっても良いのではないかとピーターは考えを改めるわけです。

 ここに、徹底してヴィランを殺すことなく倒してきた、トムホランド版ピーターの本領が発揮されるわけです。MCU世界でピーターが初登場したのは、キャプテンアメリカシビルウォーでありました。ヒーローが町を守るのは良いが、敵との戦いで町は壊され、被害者だって多数発生する。ヒーローに好き勝手暴れさせておいて、それでも救いきれませんでした、やむを得ず被害が出ましたでは済まされない。国々はすべてのヒーローを管理し、ヒーローの行動はすべて上からの命令によって決まる「ソコヴィア協定」を提案。

 しかしヒーローの自由意志を重んじ、目の前に助けなければならない命があるのに上の指示を待っていては、それはヒーローではないと反対するキャプテンアメリカ。一方で、かつては自由気ままにヒーロー活動をしていたものの、自分の出した被害を悔やんでいたアイアンマンはソコヴィア協定に承諾。ここで両者は対峙し、キャプテンアメリカは逃亡犯として国に追われる身となります。

 かつての同僚を、殺さず安全に捕縛したい、そう考えたトニースタークは、当時スパイダーマンとしてYouTubeで活躍していたピーターに目をつけるわけです。彼のクモ糸技術を褒め称え、殺さず捕らえる彼の戦闘スタイルが、逃亡犯捕縛には向いていると判断したわけです。

 その後ピーターは、ヴァルチャーとの戦いでも徹底して、人を殺さないやり方で戦ってきました。これが、全身兵器で武装して犯罪者は殺してしまう前提のアイアンマンとの大きな差であり、犯罪者なら殺してもいいという他のヒーローとも一線を画す彼の個性であります。その後、インフィニティーウォーでも、ヒーローたちを守りまくっていましたよね。彼なりの優しさが戦闘スタイルに滲み出ている好例です。

 無論、サノスの軍勢など、もうどうしようもない猛獣に対して、宇宙を守らないといけないという局面ではさすがに殺害もやむなしという場面もありましたが、基本彼が人を殺すことはありません。ミステリオだけは自業自得というか、自分の撃った弾に勝手に当たって死んだだけなので例外ではありますが。

 そんな彼、ピーターパーカーが、自分ならどうにかしてヴィランたちを救うことが出来るのではなかろうか、彼らを治療することが出来るのではなかろうか、と、ヒーローとして大きな一歩を踏み出すのです。

 

ドクターストレンジとの戦い

 ドクターストレンジはピーターの主張を聞いてもなお、マルチバースを歪ませる危険性などを鑑みて、彼らをそのまま返してやるべきだ、死んでしまうのは仕方がない、そういう運命なのだ、と諭します。しかしピーターは聞き入れません。呪文を逆順に詠唱して、元の世界に戻そうとするドクターストレンジをすんでのところで止め、呪文の入ったキューブを奪ってしまいます。

 ドクターストレンジは、馬鹿な真似はよせとピーターを止めにかかります。サンクタムサンクトラムを出た直後、ドクターストレンジに翻弄され、あっという間に捕まってしまうピーター。アストラル体として身体から分離されてしまいます。しかし、スパイダーマンとしての本能というべきか、スパイダーセンス(ピータームズムズ)の本領発揮と言うべきか、ドクターストレンジはピーターの手からキューブをとることが出来ません。そしてあろうことかピーターがアストラル体から自分の肉体に戻って逃走してしまうのです!

 マントを放ち、追いかけさせるドクターストレンジ。このシーンは、アベンジャーズインフィニティーウォーの冒頭をかなり意識していると思われます。ドクターストレンジのもつタイムストーンを狙ってニューヨークに現れた、サノスの部下、エボニーマウとカルオブシディアン。アイアンマンとハルク(に変身できないブルースバナー)、ドクターストレンジとウォンが2人と対峙し、アイアンマンのナノテクスーツがお披露目となった、サンクタムサンクトラムの目の前で起きたあの戦いですね。

 あの戦いの時には、ドクターストレンジがエボニーマウに拘束され、連れて行かれるのを、ピーターが追いかけマントと共闘してどうにかドクターストレンジを逃がそうとするシーンでした。今回はその逆と言いますか、ドクターストレンジがピーターを追いかけ、ピーターとマントが今度は戦い合う関係になっている、というのが面白い構図。

 ミラーディメンションに追い込まれたスパイダーマンは、ドクターストレンジの思うがままに翻弄され、キューブを取り替えされそうになりますが、得意の数学、物理学の知識を応用して、地頭で魔術に勝ってしまうのが本当にすごい。

 ドクターストレンジは元とはいえ、ソーサラースプリームなわけで、勝てる見込みはないかなぁなんて予告編を見たときには思っていましたが、まさかの勝利! 正直かなりシビれました。原作コミックでも本気を出せばアイアンマンやハルクといった大物と渡り合う、むしろ倒しちゃうような描写まであるスパイダーマン。さすがはマーベルを背負って立つだけのことはあります。

これまでアントマンがファルコンに勝利する、など、格下の新米ヒーローが別のヒーローと対峙して意外な勝利をする展開はありましたが、ここまでのビッグネームを倒すとは予想外。嬉しかったですね。

 

ヴィラン治療タイム

 さて、ハッピーの邸宅に勝手に乗り込んで、ヴィランを治療開始。メイおばさんがピーターの成長に大変嬉しそうにしていましたね。ソファに座るやいなや汚してしまうサンドマンや、テレビを壊しかけるエレクトロなど、コミカルな様子が見られたのも良かった。リザードは凶暴すぎて家に置いておけないと思われたのか、外に放置。

 そして、ノーマンオズボーンとともに、ドクターオクトパスの治療に取りかかります。正直このヴィランたちの中で言うと、ヴィランに豹変する前の性格が一番良いのはオクトパスで、彼が最初に救われたのは本当に良かったなと。ピーターとノーマン、2人の実験が功を奏し、無事オクトパスは治療が完了します。オクトパスを治療するデバイスを作成する際、ピーターの才能に感心するオズボーンを見られたのは嬉しかったですね。やっぱり科学を志す者にとって、ピーターの才能は純粋に光るものがあるのだなと再認識。

 

グリーンゴブリンの影

 しかし、治療は上手くは進みませんでした。ノーマンオズボーンの中に眠っていたもう一つの人格、グリーンゴブリンが姿を現します。結局、彼の話術に賛同したエレクトロはあっという間に寝返り、不信感を抱いていたサンドマンも離反、もともと暴れたい衝動にかられていたリザードも逃げ、大変な事態に。

 これよこれ、これぞグリーンゴブリンだよ、とこのシーンでは私自身歓喜していましたね。スパイダーマンの敵の中でも、もちろんドクターオクトパスは強敵ですが、やはり宿敵の中の宿敵、因縁の相手といえばグリーンゴブリン。最初から最後まで弱気なままなはずはないのです。どこかで化ける、裏切る機会を虎視眈々と狙っている。それがグリーンゴブリンなのです。

 グリーンゴブリンの怪力に圧倒されるピーター。そして、そこへ止めに入ってきたメイおばさんに、グリーンゴブリンのグライダーが突き刺さります。あっ……と思いましたね。

 

ワンモアデイ

 ここで、スパイダーマン原作コミック、ワンモアデイの話を少々。今作、スパイダーマンノーウェイホームを語る上で避けては通れない、かなり重要なお話です。

 原作コミックでも、MCU同様、シビルウォーが勃発し、ヒーロー同士が争います。しかし、その戦いはMCUの戦いとは比にならないくらい、苦しく、残酷なものでした。逃亡犯であるキャプテンアメリカのあまりの勢力拡大に恐れおののいたアイアンマンが、刑務所を開放し、犯罪者たちを野に放ってまでキャプテンアメリカを捕らえようとしたほどでした。そして最後には、キャプテンアメリカはこの戦いで命を落とします。

 スパイダーマンは当初、アイアンマン陣営に勧誘されました。逃亡犯として国から追われる人生は嫌だと、ピーターはトニースタークの意見に賛同。そして、「ヒーローを登録し、国が管理する」という「スーパーヒューマン登録法」(映画でいうソコヴィア協定)の都合上、記者会見にてスパイダーマンは、マスクを脱ぎ、自分がピーターパーカーという名の青年であることを世間に公表するのです。

 それを見た犯罪者たち。かつてスパイダーマンに倒されたその復讐を誓います。中でも復讐心を燃やしたのが、スパイダーマンに自身の組織をめちゃめちゃにされた、ニューヨークを裏で取り仕切るボス、キングピン。彼は自分の部下を送り込み、四六時中ピーターを狙い続けます。そして最後には、ピーターの家にまで押し込んで、メイおばさんを撃ってしまうのです。

 重篤な状態に陥ってしまったメイおばさん。病院での治療の甲斐もなく、命の灯火は今まさに消えようとしていました。この事態をドクターストレンジにどうにかならないかと相談するも、私にはどうすることもできない、と言われてしまいます。アイアンマンの口車に乗せられて、こんなことになってしまった、キングピンが部下を仕向けて、こんなことになってしまった。アイアンマンやキングピンのところへ乗り込んでボコボコに叩きのめしますが、それで心が晴れるはずもなく。そんな彼のところへ、悪魔メフィストが現れます。

 彼はメイおばさんの命を救い、世界中の人間からスパイダーマンの正体に関する記憶を消すことで事態の収束を図ってやるといい、その変わり、歴史を改変して、「ピーターパーカーとMJの結婚をなかったことにする」という提案をします。ピーターとMJは苦渋の決断を迫られ、悩みに悩んだ末、提案に応じます。このことから、ピーターはMJとの楽しい思い出の数々を、捨てなければならなくなるのでした。

 

メイおばさんの死

 原作コミック、ワンモアデイでは、メフィストの力により、メイおばさんの命は救われました。しかしこの世界、MCUの世界には、メイおばさんを助ける、メフィストのような都合の良いキャラクターは存在しません。そしてメイおばさんがグライダーに刺された。つまりこの事が指すのは、そう、メイおばさんの死です。その時すべてを察しました。あぁこの子は、このピーターパーカーは、これまでのスパイダーマンの誰もが経験していない、コミックのスパイダーマンですら経験していない辛い人生を歩まねばならないのだ、と。

 そして、最後の一撃と言わんばかりにグリーンゴブリンがパンプキンボムを投げ、ピーターとメイおばさんは吹き飛ばされます。メイおばさんのもとへ駆け寄るピーター。自分の判断が、ヴィランたちを元の世界へ戻さず治療するという判断が、そしてそこにメイおばさんを連れてきてしまったという判断が、メイおばさんを巻き込んでしまった、死なせてしまった、という後悔。自分の行動を悔やみに悔やむわけです。

 しかしメイおばさんは、それでもいいのだとピーターに伝えます。死ぬ運命にあった者たちを、変わろうとしている者たちを、良い人になろうとしている者たちを、救おうとした、助けようとした、それが誇りなのだと。そして言うのです、「大いなる力には、大いなる責任が伴う(With great power comes great responsibility)」と。この言葉は、スパイダーマンを語る上では、絶対に欠かせない言葉です。これなしに、スパイダーマンスパイダーマンたりえません。原作や旧作映画ではベンおじさんの言葉として登場したこの言葉、まさかメイおばさんの口から出るとは思っていませんでした。もう、なんというか、感動。

 

ハッピーの悲しみ

 ハッピーの表情も、本当に見ていて辛かった。予告編を見ていたときは、こんなに悲しいシーンだとは思いもよらず。ファーフロムホームで恋仲にあった、というのももちろんあるのでしょうが、なにより、大事な人を亡くし続けたピーターパーカーの身を案じていたのだと思われます。

そこへやってくるデイリービューグルと、ダメージコントロール局。ダメージコントロール局に抑えられながらも、ピーターに逃げろ!と伝えます。育ての親であるメイおばさんを自分のミスで巻き込んで死なせてしまい、また追われる身である以上、その最後をちゃんと看取ることも出来ない、ピーターの悲しみは凄まじいものでしょう。

 

ダメージコントロール

 今作で、ピーターパーカーを捕らえたり、ミステリオの事件の証拠を調べる中でトニースタークの製品の関与を発見し、スタークインダストリーズを捜索したり、ハッピーを捕らえたりしていたこの組織、ダメージコントロール局。もとはといえばホームカミングにて、アイアンマンことトニースターク自身が設立した部署であり、自分の作った組織に自分の会社を滅茶苦茶にされるという、なんとも皮肉が効いています。

 ホームカミングの頃からかなり印象の悪かったダメージコントロール局ですが、今回は特にお役所のカタブツ感が出ていて、ヘイトを集めていましたね。

 

アンドリューガーフィールド

 メイおばさんを亡くしたピーターを心配する、MJとネッド。ピーターに会いたいと念じると、魔法のゲートが開きます。ドクターストレンジから奪った指輪で、ネッドが魔法を使ったのです。ネッド、君魔法使えたのか、と驚くのもつかの間、更なる驚きが待っています。ゲートから現れたのはなんと、別のスパイダーマン。アンドリューガーフィールド版のピーターパーカーだったのです!

 ちなみに、筆者はゲートが開くやいなやアンドリューガーフィールドって気づきました(プチ自慢)。

 というのも、トビーマグワイアとアンドリューガーフィールドが登場することは事前にネタバレを喰らってなんとなく知っていたんですよね。非常に残念。ただ、どうせ最後の方に出てくるのだろうなと思っていたので、意外にも中盤辺りで登場したのには驚かされましたね。

 MJとの絡みも抜群に面白かったです。疑り深いMJと、無闇に天井を這い回るのもな、という感じのアンドリュー。隅のクモの巣をとって、と言われるシーンは実にコミカルでしたね。

 

トビーマグワイア

 そして、アンドリューガーフィールドが出るということはもちろん、トビーマグワイアスパイダーマンも登場。別世界のスパイダーマンに会った衝撃から、スパイダーセンスが反応し合ったのか、最初アンドリューとトビーマグワイアとで戦うシーンがありましたね。

 トビーマグワイアは歳のとり方が非常に良かった。20年も前のヒーローですから、普通俳優さんもだいぶ面影も変わって印象ががらりと変化することもあってもおかしくはないのですが、トビーマグワイアもアンドリューガーフィールドも、あぁ、ちゃんとスパイダーマンしてる、と嬉しくなりましたね。

 トビーマグワイアとアンドリューガーフィールドとで、どこの屋上が落ち着くか、みたいな話で小ネタを入れてくるのも秀逸。

 

3人のスパイダーマンの邂逅

 高校の屋上にて、やってくるMJとネッド。メイおばさんの死を、どうあがいても乗り越えられないピーター。とそこへ、2人のスパイダーマンが降り立ちます。

 もう駄目だ、ヴィランたちを元の世界に返すしかないとキューブを受け取ろうとするピーターに対し、キューブを脇に抱えそれはいけないと諭すMJ。2人のスパイダーマンは、自分たちも愛するものを亡くした、と告げます。トビーマグワイアはベンおじさん、アンドリューガーフィールドは彼女であったグウェンステイシー(とベンおじさん)を亡くしていますものね。でも彼らはその悲しみを乗り越えた。ピーターの思いも、よく分かっていると伝えるわけです。

 でも彼らは、大きな過ちを侵した。その悲しみを、一度は怒りに変えたのです。トビーマグワイアは、ベンおじさんを殺した強盗への復讐しか考えていなかったし、アンドリューは気づけば人を殴っていた……気づけば人を殴っていた!?おいおいおい、と突っ込んじゃいました(笑) いや、アメイジングスパイダーマン2の最後でグウェンの思いをくんでヒーローに戻ったのに、え、その後で君気づけば人を殴っていた!? まぁ正直今作にスムーズに繋げるための改変であったのでしょうが、むぅ、あまり褒められた作劇ではないなと思ってしまいました。

 ともかく、彼らはピーターに同じ道を歩んで欲しくなかった。復讐に駆られ、怒りに身を任せるのだけは、駄目だと言いたかった。自らの進んだ、誤った道にピーターを進ませることだけは、なんとしてでも避けたかった。そして、大いなる力には、大いなる責任が伴う。MCUのピーターは、これまでのピーターが成し遂げなかったことをしようとしている。本来救えなかったはずの命を、救おうとしている。そのピーター自身の思いを、そしてメイおばさんの願いを、裏切ってはならない。先輩ピーターらはMCUピーターに、もう一度立ち上がるのだと手を差し伸べるのです。ここは本当に、もう制作陣の思うがままに、泣かされましたね。この映画、本当に感情をものすごいスピードで揺さぶってくるんですよね。

 

実験

 そして、3人のピーターは、ヴィランたちの治療薬を開発していきます。このシーン、何気に今までの「トニーのおさがりを使わせて貰って開発」なのではなく、あくまで手元にあるものだけを使ってやりくりする、スパイダーマンらしい実験シーンになっているのもお見事。今回映画を通して、トニーからの脱却が描かれていますね。

 トビーマグワイア版ピーターは、以前からグリーンゴブリンの治療薬を考えていたそうです。トビーマグワイアは、1でグリーンゴブリンことノーマンオズボーンを殺害するも、その現場を目撃され、復讐に燃える親友、ハリーオズボーンとその後死闘を繰り広げます。ハリーのこともそうでしょうし、ノーマンオズボーンのことも、後悔していたのだろうな、と思われます。

 アンドリューガーフィールドの方は、以前にリザードの治療薬を作成したこともあってか、そちらを担当。3人が役割分担をして治療薬を開発するシーンは、とても微笑ましいものでした。ネッドにピーターと言われ全員振り向くお決まりのパターンも良かった。

 

ネッドの心配

 実験を進める3人のピーター。トビーマグワイアに、ネッドは「親友」について尋ねます。トビーマグワイアスパイダーマンでは、ノーマンオズボーンの子、ハリーオズボーンが復讐に燃える鬼となって襲いかかってきます。ハリーとの仲を、ネッドに話すトビー版ピーター。ネットはどこか複雑な表情。

 もうこの時点で笑ってしまいました。この子、パラレルワールドのピーターの親友がヴィラン化したのを聞いて自分のことを考えているなって(笑) 案の定その後のシーンでピーターに、「僕は君を襲ったりしないよ」と言っていましたね。パラレルワールドのことを聞いて心配になっちゃうネッドかわいい(笑)

 ところで今回、これだけ過去作のヴィランが大集結している一方で、かたくなにハリーオズボーンが伏せられていましたね。登場しないのもそうですが、名前すら出ませんでした。これはもしかすると、MCUにハリーオズボーンが参戦する伏線かもしれません。数年後ハリーオズボーンが登場しヴィラン化した際に、既にそのことを他のスパイダーマンから聞いていた、では齟齬が生じる可能性がありますからね。あえてハリーがヴィラン化することをMCU版ピーターに伏せていたのではなかろうか、と思います。

 それから先程も述べましたが、MJの「ぶちのめせ」、良かった。様々な困難はあったけれど、皆がもう一度立ち上がり動き出す。最終決戦の前の良いシーンでありました。

 

トビーマグワイアのスーツ

 私服で戦うのか?と聞かれたトビーマグワイア版ピーター。自分の服をちょっとめくって見せ、中にスーツを着ていることを示します。今回のトビーマグワイア、だいぶ控えめでしたねw 結局、トビーマグワイア版ではおなじみの、服を破いてスパイダーマンへと変身するカットはなく、ちょっぴり残念。

 

ファンサービスの雑談

 さて、ついに最終決戦に臨むことになった3人のスパイダーマン自由の女神像にて的の襲来を待つ間、軽く雑談タイム。物語の構造上はまったく必要のない、いわば完全ファンサービスな雑談タイムでありました。

 今まで戦った中で最も強力だったヴィランは? という話の中で、トビーマグワイアはヴェノムを、アンドリューガーフィールドはライノを挙げます。ヴェノムはトビーマグワイアスパイダーマン3に登場した、宇宙寄生体に乗っ取られた新聞記者、エディブロックが変貌した怪物で、ライノはアンドリューガーフィールドアメイジングスパイダーマン2の最後に登場した、大型のサイの形をしたアーマーに身を包んだ男、アレクセイです。どちらも今作に登場しなかった過去のヴィランたちですね。

 アンドリューガーフィールド版のピーターが、最強の敵としてライノを挙げるのがちょっと意外でしたね。実は本当に強かったのか、それともアンドリューが謙遜して言っているだけなのか……

 そしてMCU版トムホランドスパイダーマンが最強の敵として挙げたのが、サノス。頭ひとつ抜き出てて圧倒的優勝です(笑) やはりアベンジャーズがいる世界の敵は伊達じゃないw トビーマグワイアも、宇宙へ行ったのかと驚いていましたよね。宇宙の半分の生命を消したって聞いたら、驚きのあまり2人ともひっくり返りそう(笑)

 

ファンサービスの雑談2

 それからなにげに、トビーマグワイアスパイダーマンの手から糸が出ること、かなりネタにされていましたね(笑)

 そもそもスパイダーマンの能力って、ただの怪力能力、そして壁をよじ登る能力なんですよね。あとスパイダーセンス。クモ糸は原作コミックでもピーター自身が発明したもので、自分の身体から糸が出る能力なんてありません。スーツだって本人が裁縫して作ったもの。スーツに何かパワーがあるわけではありません。

 トビーマグワイアスパイダーマンで、なぜか「自分の身体から糸が出る」という設定改変を行い、その印象が強いからか、未だに「スパイダーマンは自分の身体から糸を出せる」と思っている日本人が多く見られます。

 でも実際は原作準拠なのはむしろアンドリュー版やトムホランド版。ピーター自身が、クモ糸と、クモ糸発射装置ウェブシューターを開発しているんですよね。この点を件の雑談シーンではネタにしていたわけです。

 それから、逆にトビーマグワイア版ピーターが、「君はアメイジングだ!」と露骨にアンドリュー版アメイジングスパイダーマンいじりをするのも、面白かった。

 

エレクトロ・サンドマンリザード登場

 自由の女神像に現れた3体のヴィランたち。スパイダーマンらが一斉に立ち向かっていきます。とはいえさすがはこれまで映画ひとつ分暴れてきた強力なヴィランたち。スパイダーマンたちは大苦戦を強いられます。

 そもそも彼らはワンマンだったこともあり、チームでの戦いが分かっていなかった様子。そこでアベンジャーズでチーム戦の戦闘経験があるトムホランドピーターが作戦を提案。スパイダーセンスに頼って、1体ずつヴィランを仕留めていこうと言います。

 トビーマグワイア版の、いかにもアベンジャーズを知っています感ある返答からの、「なにそれ」は面白かったです。思い返せば、トビーマグワイアもアンドリューガーフィールドも、どちらもアベンジャーズのいないニューヨークで1人で戦ってきた猛者たちです。

 このシーン、トムホランド版ピーターがピーター1号、2号、3号と名付けるのですが、その順番が映画の公開順ではなかったため、かなり混乱してしまいました。まぁその後の戦いのシーンではそれぞれがそれぞれの世界のピーターらしい動きをしていたので、なんとか動きで差別化できましたが、スーツも一見して似ていて、1号2号3号の順番もぐちゃぐちゃで、正直見づらかった感は否めません。

 

サンドマン

 さて、3人のピーターは自由の女神像からスイングし、月を背景に飛び上がると、着地。3人のスパイダーマンが並び立ちます。このシーンはグッときましたね。月を背景に飛び上がるのが実にアメイジングスパイダーマンぽかった。そして着地のシーンは、MCUらしい決めポーズでありました。

 今回の映画では、各スパイダーマン映画シリーズにあった、いかにもスパイダーマンらしいポーズ、印象的なカットをかなり意識したシーンが多く、スパイダーマン映画のいいところ盛りだくさんなのが良かったですね。楽しく見られました。

 最初に対決することになったのはサンドマン。3人の強力プレイで他のヴィランたちを足止めし、華麗なパス合戦で見事サンドマンを治療します。演じていたのはまさかのトーマス・ヘイデン・チャーチ。トビーマグワイアスパイダーマン3からまさかの続投でした。

 公開前情報を遮断していたのもあり、自分自身リサーチ不足だったのかもしれませんが、てっきりグリーンゴブリンのウィレムデフォー、ドクターオクトパスのアルフレッドモリーナ、エレクトロのジェイミーフォックス以外は、オリジナルキャストでないと思っていたので、まさか本当に全員集合して、しかも俳優さんの顔までしっかり見られるとは思っていませんでした。この後のシーンでリザード役のリスエヴァンスさんもちゃんと顔が見られます。オリジナルキャスト、本当に全員集合していたのですね。だいぶ驚き。

 

エレクトロ

 そしてお次はエレクトロ。トニースタークの開発したアークリアクターを手に入れた彼は、強大な力を手にしていました。何気に、アークリアクターを使って電気を強化し、全身を覆うほどではない簡易アーマーに身を包んでいる、というのは、アイアンマン2に登場したヴィラン、ウィップラッシュのオマージュなのではないかと思われます。

 ウィップラッシュを忘れた方に説明しておくと、カーレース上でトニースタークと対峙した、電気のムチを操る敵ですね。トニーがアタッシュケース型アイアンマンスーツで対峙したシーンが有名な、あのヴィランです。

 さて、あまりの電気攻撃にやられて苦戦するスパイダーマンたち。そこへ現れたのはなんとドクターオクトパスでありました。えっまさかエレクトロに制御装置破壊された?もう一回アームに洗脳されて敵になった?と思ったのもつかの間、ドクターオクトパスは完全に味方で、アームを使って治療装置をエレクトロに接続。エレクトロは力を失います。

 ドクターオクトパスのアームは、もともと素手で触れないようなものを掴むための実験用アームでありました。本来の使い方がようやっと出来たというか、ちゃんと正義の使われ方をされていて嬉しくなりました。

 そしてドクターオクトパス、「太陽の力がこの手に」なんて言っちゃっていましたね。めちゃ不穏なのでやめてくださいよ(笑) ドクターオクトパスは劇中でも説明されていたとおり、エネルギー資源問題を解決するため人工太陽を発明しようとしていましたが、実験に失敗。その際妻を亡くして精神が崩壊するとともに、神経に直接接続していた人工知能搭載のアームに、精神を乗っ取られてしまいます。その後さらに大きな人工太陽を作ろうと躍起し、ニューヨークを崩壊させかけるほどの膨大なパワーを生み出してしまう、というヴィランでしたね。太陽の力がこの手に、というこのセリフは、そういった事情を意識していると思われます。

 

トビーマグワイアとドクターオクトパス

 成長したトビーマグワイア版ピーターを見て、感慨にふけるドクターオクトパス。もともとドクターオクトパスは温厚な科学者であり、ピーターの師ともいえる良き大人でありました。2人がこんなに嬉しそうに再会しているのを見ると、こちらも嬉しくなります。

 

アンドリューとエレクトロ

 アンドリューはエレクトロことマックスディロンと話していました。マックスは結局アメイジングスパイダーマン2では救われないまま暴れっぱなしで終わってしまっていたので、この映画で救われたのは、嬉しくもあります。

 俺の名前、忘れてただろ?とからかってみせるマックス。マックスは弱者の味方であるスパイダーマンが、黒人だったらいいな、と思っていたことを明かしています。それがイケイケの白人好青年。ちょっと妬む気持ちもあったのかもしれません。どこかに黒人のスパイダーマンもきっといるさ、と言うアンドリュー。

 そう、実際に黒人スパイダーマンは存在します。原作コミックに登場する、パラレルワールドの黒人スパイダーマン、名はマイルズモラレス。近年ではアニメ映画、スパイダーバースの主役を務めたり、マイルズモラレスが主役のゲームが発売されたりしていますよね。

 ちなみに彼の叔父はアーロンデイヴィス。スパイダーマンホームカミングに登場し、ピーターに「君尋問下手だよ、練習した方が良い」といっていた、ヴァルチャーが船にいると教えてくれた男性ですね。ちなみにこの際アーロンは、「近所に甥がいる、心配だ」という内容の発言もしていました。その甥とはもちろん、マイルズモラレスのことでありましょう。

 上記のアンドリューの発言は、明らかにマイルズモラレスを意識した制作側からのメッセージであり、マイルズモラレスがMCUに参戦する日もそう遠くないと思われます。

 

リザード

 3人のピーターを自由の女神像のところへ送り出したはいいものの、魔法を使ってまだ日の浅いネッドはゲートを閉じる方法がわかりません。そのゲートを通って、リザードがなんと入り込んできます! 慌ててピーターもゲートに入り込み、リザードを止めようとします。さすがはトカゲの能力を持つリザード。野生動物に近い俊敏な動きでMJとネッドを追いかける展開は非常にハラハラしました。

 この、リザードが建物内で暴れ回るシーンは、アンドリュー版アメイジングスパイダーマン1での、学校内での戦闘のオマージュだと思われます。リザードにもこうやって活躍の場があって良かったですね。かなり粘り強く暴れ続けていましたが、MJの助けもありなんとかリザードを治療します。俳優さんの顔が見られたのも嬉しいシーンでした。

 

ドクターストレンジ再来

 さて、ピーターの拘束を解きようやく戻ってきたドクターストレンジ。キューブを取り返しいち早くヴィランたちを送り返そうとしますが、MJとネッドが説得。治療が上手くいったと説明し、ドクターストレンジは驚いた表情を見せます。

 他の世界のピーターがどうあがいても救えなかった命を、見事に救って見せたピーターパーカー。ドクターストレンジはなんて子なんだと感心します。そこへ2人のスパイダーマンが追加で現れ、さらに驚くドクターストレンジ。翻弄されるストレンジ、めちゃ面白かったです。

 

グリーンゴブリンとの戦い:MJ

 と、そこへ現れたのはグリーンゴブリン。ドクターストレンジからキューブを奪い取ろうとして、ドクターストレンジと一瞬戦いますが、気づいたときには時既に遅し。グリーンゴブリンが戦闘の合間、パンプキンボムをキューブの内部に入れており、キューブが破壊されます。他のユニバースの侵略がはじまり、ドクターストレンジはその対応を余儀なくされます。

 そしてついに、ピーターパーカーとグリーンゴブリンとの最終決戦が幕を開けます。戦いのさなか、MJが飛ばされ足場から足を踏み外してしまいます。助けようとするピーターですが、グリーンゴブリンにグライダーで突撃され阻まれます。

 すぐさま他のピーターが動き出します。いやぁ、この世界のMJはこの世界のピーターに助けさせてあげようよ~と一瞬思ったのもつかの間、直後制作者の意図を理解したときには鳥肌が立ちました。

 MJを助けたのはアンドリューガーフィールドアメイジングスパイダーマン2では最終決戦にて最愛のグウェンステイシーの落下を助けられず、死なせてしまいます。トビーマグウィア版ピーターがずっとグリーンゴブリンのことを後悔し、治療薬のことを考えていたのと同様に、アンドリュー版ピーターも、ずっとグウェンのことを悔やみ、殺してしまわないような助け方をずっと考えていたのだと思われます。今度はちゃんと助けられたぞ、という、嬉しさと悲しさの混じり合った表情がなんともうるっと来たシーンでありました。

 

グリーンゴブリンとの最終決戦

 メイおばさんを殺され、復讐の鬼と化したピーター。早々にグライダーを失ったグリーンゴブリンと、肉弾戦を繰り広げます。

 グリーンゴブリンは、原作コミックでは緑の肌に紫のコスチュームを身に纏った姿が印象的ですが、今作のグリーンゴブリンも、トビーマグワイアスパイダーマンのグリーンゴブリンを基調としつつも、上から紫の衣装を身に纏っており、グリーンゴブリンカラーを意識したデザインになっていましたね。

 肉弾戦の笑い方といい、今回のウィレムデフォーさん、旧作以上にめちゃくちゃグリーンゴブリンでした。仮面を早々に砕いたことで、顔が見えているのも非常に良かった。

 いくら尋常ならざる怪力の持ち主、グリーンゴブリンとはいえ、憎しみに燃えるスパイダーマンの敵ではありません。ピーターのパンチのひとつひとつが、本当に重くて、見ているこっちが辛くなるような戦いでしたね。

 怒りに支配され、グリーンゴブリンをグライダーで殺害しようとするピーター。それを止めたのは、トビーマグワイア版ピーターでありました。先程からずっと触れてきたことではありますが、トビー版ピーター自身、ずっとグリーンゴブリンのことを後悔していたのでしょう。

 説得するトビー版ピーターはグリーンゴブリンによって後ろから刺されてしまい、挑発されるピーター。しかし怒りをこらえ、アンドリューが投げた治療薬を撃ち込むことで、見事ノーマンオズボーンを殺害することなく、グリーンゴブリン人格だけを殺害するのでありました。

 

少し気になった点

 過去のキャラクターが、味方も敵も入り乱れ、華々しい最終決戦となった今作ですが、ここにホームカミングやファーフロムホームのキャラが登場しなかったのは、若干引っかかるものがありました。

 もちろん、ただでさえ過去作のキャラが多数登場するのに、さらにキャラを足すと、作品の方向性が散らばってしまう、という問題点はありました。とは言っても、トビーマグワイア版、アンドリューガーフィールド版うんぬん以前に、今作はMCUスパイダーマン3部作の完結編でもあるのです。

 言ってみれば、これまでホームカミング、ファーフロムホームと続いて来たシリーズを締めくくる映画。そこに、これまで広げに広げてきた伏線がまったく関与しないのは、ちょっぴり残念な感じもします。

 たとえばマックガーガン。ホームカミングの船での取引でスパイダーマンの邪魔によって捕らえられ、エンドクレジットシーンで復讐を誓っていた男。刑務所でヴァルチャーにスパイダーマンの正体を聞くも軽くあしらわれていましたね。

 たとえばリズアラン。ホームカミングのヒロインを務めていた彼女は今作の冒頭、ミステリオのリークによって、自分の父を刑務所に入れたのがなんと当時自分を好いてくれていたピーターパーカーだと知ったわけですが、彼女は何を感じたのか。そして当のヴァルチャー本人はこのことをどう考えているのか。

 たとえばティンカラー。彼はヴァルチャーの部下として武器の開発担当をしていた太っちょのおじさんですが、彼はその後どうしているのか。警察に捕まった描写がなかったので、逃げおおせているはずなのですが。

 たとえばウィリアム。元オバディアステインの部下。ミステリオの悪事に加担した科学者。重要な証拠をMJやピーターに持って行かれたりとおっちょこちょいな彼ですが、警察には確か捕まっていなかったはず。ファーフロムホームでは、ミステリオのデータをUSBメモリに保存しているようなシーンも見られました。彼はどうしているのか。

 そういったことが、今作一切触れられていませんでした。3部作の最後なのに、今まで貼ってきた伏線に触れないとは何事か、と少し思ってしまいます。特にリズアランまわりは触れて欲しかったな、という願望。正体を知った時に一番ショックがでかいのはたぶん彼女なので。

 おそらくは、今回までの3部作では、他人が生み出したヴィランに対処するスパイダーマンを描き(ホームカミングのヴァルチャー、ファーフロムホームのミステリオはアイアンマンが生み出したヴィラン、今作のヴィランたちは他のスパイダーマンが生み出したヴィラン)、次からの3部作でピーター自身が生み出したヴィラン、すなわち上記の彼らと対峙することになるのかな、そのためにあえて今回出すことなく先延ばしにしたのかな、と考えています。そうであって欲しい。広げた伏線は、しっかり回収して欲しい、そう思っています。

 ということで不満点は以上。

 

次元の歪み

 ドクターストレンジのもとへ戻るピーター。事態は一刻を争うものでした。異世界の住人たちが、軒並みピーターという存在そのものに引きつけられているとのこと。そこでピーターは、この世界のすべての人間から、ピーターパーカーが存在するという記憶を抹消するのはどうか、と提案します。それは文字通り、世界からピーターの存在が消える、誰もピーターのことを知らない状況に陥ることに他なりません。

 今作はいわば、最も過酷な「ワンモアデイ」であります。メイおばさんは亡くなり、MJとの恋もなかったことにされ、さらには世界中の人間から、ピーターパーカーという人間が消滅する。これほど過酷な経験をしたスパイダーマンは、これまで誰もいませんでした。どのスパイダーマンより辛い決断を、このピーターパーカーはしたのです。なんて強い子なんだ、と見ているこちらも胸が熱くなりました。

 ドクターストレンジは止めます。それがたとえ唯一の解決手段だとしても、高校生の一少年に背負わせるにはあまりに苦しすぎる決断。しかしピーターは既に覚悟を決めていました。たとえ世界に忘れ去られたとしても、それでも世界を守りたい。キャプテンアメリカやトニースタークレベルの、いやもしかするとそれ以上の、自己犠牲の極致とも言える行動力にドクターストレンジは、「この子はなんて人間なんだ」と驚愕の表情を見せます。

 なぜトニースタークがあれほどまでにこの少年にあれだけ手をかけていたのか、なぜあれほどまでに命をかけてまで守ろうとしたのか、なぜ死んだ後も、ピーターを信じて疑わず、自身のすべてを継承したのか、ここでようやくドクターストレンジは理解するわけです。トニースタークが見出し、迷うことなく信じきったこのピーターパーカーの、底知れぬヒーロー力に、心の底から感銘を受けるわけです。彼の表情ひとつで色々な感情が見えるのが本当に上手い。やっぱりベネディクト・カンバーバッチって滅茶苦茶凄いや。

 ピーターパーカーは、MJとネッドに別れを告げ、また必ず会いに来ると言います。MJも、そっちから来なくてもまた絶対に見つけ出すからと言います。愛を誓い合うのは、また再会したときだ、と。

 そしてついに、ドクターストレンジはその呪文を唱えます。すべての人間がピーターの存在を忘れ去り、ピーターは遙か彼方へと、消えてゆくのでありました。

 

ブランニューデイ

 スパイダーマンの正体は皆の記憶から消えたものの、ミステリオ殺害の容疑は消えず、世論はスパイダーマン賛成派と反対派に別れていました。

 後日、ピーターはMJとネッドの元へ向かいます。MJに再会するも、彼女はそしてネッドはピーターのことを覚えていない様子。楽しそうに話す彼らを見て、ピーターは自分の正体を言って良いものかと躊躇します。とうとうその正体を明かすことのなかったピーターは、MJに別れを告げ、1人店を去るのでありました。

 MJは、きっと呪文後の世界の違和感に、どこか無意識のうちに気付いているはず。彼女の心の扉が開かれ、2人がよりを戻すのを、心待ちにしています。

 すべての人間からその存在を忘れ去られ、ボロアパートに引っ越してきたピーターパーカー。その手には高卒認定試験のテキストが握られていました。これまで培ってきたピーターパーカーとしての学業成績、そして親友関係は、すべて消え去ってしまった。誰からも覚えられていない彼はしかし、どこか清々しい表情をしていた。

 テーブルに置いたのは、ホームカミングでかつてネッドと一緒に組み立てたレゴデススターの上に立っていた、あのパルパティーン。ネッドとの大切な思い出は、ピーターから消えることはありません。

 もう誰からの助けもない。ここから先は1人で戦っていかねばならない。彼は裁縫で自らの手で作ったスーツで、町へと飛び出していきます。たとえあることないこと囁かれ、濡れ衣を着せられることになったとしても、あらぬ疑いをかけられたとしても、決して彼は屈しない。たとえ世界中を敵に回したとしても、ただ目の前の命を全力で守りきる。それが、親愛なる隣人、スパイダーマンなのです。

 大いなる力には、大いなる責任が伴う。彼の新しい物語が、幕を開けるのです。

 

スパイダーマンの誕生

 MCU版ピーターは、最も原作に近いピーターと言えましょう。自らの手でクモ糸やウェブシューターを開発する、といった設定的なものももちろんそうなのですが、戦闘時の軽口が、もっとも原作コミックに近いと感じるのです。コミックでは、スパイダーマンはかなり戦闘時にべらべら喋ることで有名です。それは相手を落ち着かせるため、そして自分が敵にペースを乱されないようにするためでもあります。最近のスパイダーマンは旧作に比べて喋りすぎる、と批判する方がいらっしゃいますが、むしろ今までが喋らなすぎだったくらいです。今の方がよほど原作準拠です。

 また軽口の内容も重要です。スパイダーマンの軽口は、対峙するヴィランをからかっているというのももちろんあるのですが、ただからかっているのではなく、まったく嫌味がない、相手を傷つけないようないじり方をしているんですよね。敵をいらつかせることなく、落ち着かせよう、対話しようという優しさの垣間見えるような喋りをするわけです。だから、コミックのヴィランたちはスパイダーマンに恨みを持ちつつも、どこかスパイダーマンを好いているような一面も時折垣間見えます。MCU版のピーターからはそんな、優しさの垣間見える軽口が見られます。

 そして、ピーター自身に深く関わる人物がヴィランなのも、スパイダーマンの特徴のひとつ。MCUでは、ただピーターに関係が深い、というだけでなく、その関係がピーターの人生に深く深く絡み合っているのが特徴です。たとえばホームカミングはビーターの恋模様と、ヴィランの苦悩を中心に人間ドラマが展開されてきましたが、終盤にてその両者が合わさるという展開の見事さ。MCUは、とにかくキャラクターたちの人間性に焦点を当て、人間ドラマを描こうという姿勢の強いシリーズです。キャラの内側を描く作風と、スパイダーマンの作風とが絶妙にマッチしているんですよね。

 もちろん、主人公の友人がハリーでなくネッド、MJの本名がメリージェーンワトソンではなくミシェルジョーンズワトソンであるなど、見た目上の設定変更はあります。しかし、問題なのはその中身。スパイダーマンとしての真髄をどれだけ理解し、作劇に落とし込んでいるか、それが重要なのです。そしてその点において、最もスパイダーマンらしいスパイダーマンでありました。

 ただ、唯一原作と大きく設定が離れていることがあります。それは、スーツです。MCU版では、トニーによってスーツが与えられます。もちろん、シビルウォー当時はピーターは自前でスーツを用意していましたし、アイアンスパイダーは原作コミックでもトニースタークに与えられたものです。それにしても、かなりスパイダーマンはアイアンマンの加護を受けすぎていた、といわざるをえません。クモ糸発射機能もかなり多彩で、ファーフロムホームにて自分の力で作ったスーツも、しかしかなりトニーのシステムを借りたものでありました。ピーターパーカーが自分の力だけで作ったスーツ、ではなかったのです。

 私はそれでも、MCU版ピーターは最も原作らしいスパイダーマンだと思っています。軽口や作劇などその真髄となる部分が、最も近いと思っているからです。しかし、心のどこかで、アイアンマンの技術を借りているということが、スパイダーマンらしくないといえばそうだな、と思ってしまう自分もいました。でも、トムホランド版のピーターを、推したかった。

 今作最後、ピーターパーカーがスーツを裁縫している、と知った時、最高に感動しました。涙がボロボロこぼれてきました。ついに彼は、アイアンマンの呪縛から離れられたのだ、と思いました。そして制作陣の熱意が伝わってきたのです。「これでようやく、正真正銘、これが正当なスパイダーマンだ」と。

 今作は言ってしまえば過去作のスパイダーマンをリスペクトしつつ、過去作のスパイダーマンを踏み台にして新たな、正当なスパイダーマンを誕生させる物語だったといえましょう。最後のシーンからは、並々ならぬ制作陣の意気込みが感じられました。最も原作を踏襲した、原作の意思を継いだ、最高の真のスパイダーマン映画をこれから作っていくぞ、という覚悟が感じられました。

 もうここまでやったら後には引き返せません。もう二度と、MCUからスパイダーマンを離脱させることはできない、シリーズを打ち切りにすることなど出来ない、いわば背水の陣をとったと言えましょう。それが一番嬉しかった。最後のシーン、スパイダーマンの真下では、きらびやかに輝くクリスマスツリー、そしてスケートリンクが見えます。これはドラマホークアイに登場したスケートリンクです。これは、スパイダーマンはこれからもMCUの世界で生きていくのだ、というメッセージだと思われます。権利関係で色々あった、そしてこれからも苦難があるだろうスパイダーマン。でもこのシリーズを、それでもMCUで続けていくのだという覚悟が、嬉しかった。

 今作を見た後、観客の感想は大きく分かれると思っています。最後のあのスイングするシーンに希望を見たのか、悲哀を見たのか。自分は希望を見ました。これだけの苦難を乗り越えた彼なら、この先どんなことも乗り越えられると思ったからです。このMCU版ピーターは、誰よりも最も精神的に強いヒーローだと分かっているからです。彼の将来は、きっと明るい。

 MCUスパイダーマンは、最も過酷なスパイダーマンです。おそらくはベンおじさんを亡くし、そして師であるアイアンマンを亡くし、師と思っていたミステリオに裏切られ、そしてメイおばさんを亡くした。世間からは嫌われ、ピーターとしてのこれまでの人生も消えてしまった。

 でもそれがスパイダーマンなのです。スパイダーマンは、ニューヨークを守って、皆からちやほやされるような、そんな甘いヒーローではないのです。どんなに人を守っても、どんなに人を助けても、あらぬデマをJJJに流されて、嫌われ、ヒーローからも追われる。でも決してへこたれない、彼はマーベルで最も強いヒーローです。精神的に、最も強いヒーローなのです。だから私は彼が好きなのです。誰もが諦めてしまうような状況に置かれても、誰もが絶望するような状況に置かれても、笑って軽口を叩いて、ただ人を守ることだけを考えている。びっくりするくらいのお人好しなのです。自分のことなんて棚に上げて、自分を今まさに殺そうとしている敵ですら救ってあげようと思うような、優しい優しい人物なのです。

 これが、新たなスパイダーマンの始まりです。MCUに誕生した、本当の意味でのスパイダーマン、私は彼を、これから全力で応援していきたい、そう思うラストシーンでありました。

 

ヴェノム

 さて、ミッドクレジットシーンでは、ソニーの映画シリーズから、ヴェノムが登場。ドクターストレンジの呪文により、あっさりMCUの世界から消えてしまいましたが、しかし、テーブルの上には宇宙寄生生物、シンビオートが残されていました。

 これは今後のスパイダーマンMCUの世界でも、ヴェノムが登場することを示唆しています。ヴェノムと関連して、原作コミックから、もっとも注目したいキャラクターは、マックガーガン(刑務所でヴァルチャーにスパイダーマンの正体を聞いていた男)。彼はJJJの計らいで、スパイダーマンを捕まえるためのスーツに身を包み、スコーピオンとしてスパイダーマンの前に立ちはだかります。ジェイムソンに協力関係を断られた彼はヴィラン化、犯罪にも手を染め始めます。その後スパイダーマンに倒された彼は、シンビオートに寄生され、ヴェノムに変身するのです。次回のスパイダーマン映画は、この原作ストーリーに準拠した話になるかもしれませんね。

 また、マックガーガンが変身したヴェノムは、その後悪のヒーローチーム、ダークアベンジャーズの一員になります。ダークアベンジャーズは、アベンジャーズなき後に結成され、国からも世間からもヒーローとして認められた組織。犯罪者で結成された、アベンジャーズのような組織で、表向きはヒーローのような活動をしています。しかしその実態はヴィランの集まった犯罪者集団でしかなく、彼らを止めようとしたスパイダーマンは命を狙われます。しかもダークアベンジャーズは世間的にはヒーローチーム、世間的にはスパイダーマンは悪役に映ってしまうということに。

 ここで注目したいのがヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンティーヌ。彼女は既にドラマファルコン&ウィンターソルジャーや、映画ブラックウィドウに登場し、悪のヒーローチームを作ろうとしています。もしかすると、もしかするかも。まぁ彼女が作ろうとしている組織は、おそらくはダークアベンジャーズではなく別のサンダーボルツという組織。そこまで悲惨なことにはならないでしょう。まぁ、原作コミックでスパイダーマン、サンダーボルツにも追われるんですけどね(え)

 そしてもう1人、ヴェノム関連で注目したいのが、マックガーガンの次に、ヴェノムに寄生される男、フラッシュ・トンプソン。そうです、ピーターをいじめていたあのいじめっ子、フラッシュ・トンプソンです。彼もヴェノムに寄生されますが、奇跡的に犯罪者に落ちることはなく、むしろエージェントヴェノムという名で、ヒーローとして活躍することになります。

 ヴェノムが寄生するのは、マックガーガンなのか、フラッシュ・トンプソンか、はたまた別の人物か。今後も目が離せませんね。

 

ポストクレジットシーン

 今回は、エンドクレジット後のポストクレジットシーンは、新規映像ではなく、次回作、ドクターストレンジマルチバースオブマッドネスの予告編でしたね。新規映像ではないと言いましたが、調べてみるに、どうやらアメリカにて公開された、12月17日時点では、ドクターストレンジの予告編は公開されていなかったとのこと。だからアメリカにとっては最新映像だったということですね。

 とかそんな事情など知ったことではありません。日本人にとっては普通にポストクレジットシーンが新規映像じゃないのはガッカリだったのではと思います。やはり公開日を遅らせたのが、今作一番の悪手であったな、としみじみ。

 

あとがき

 ということで以上、スパイダーマンノーウェイホーム全力感想でした! いやぁ、全力でしたね(笑) これほどノーウェイホームについて語り明かしている感想記事、他にないのではなかろうか、ってくらい、情熱を注ぎ込みました。

 なお、まだ劇場で一回しか見ていないので、まだまだ気づけていない小ネタはたくさんあると思われます。ご了承くださいませ。

 ここまで読んでくださった読者の皆さん、本当にありがとうございます。過去作へのリスペクトや、真のスパイダーマンを作るぞという意気込み、それだけで私は満足でした。これからのスパイダーマンも、応援していきましょうね!

 それでは、また次の記事でお会いしましょう! igomasでした!