igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

2021年悪役グランプリ

 皆さんこんにちは、igomasです!またまたやって来ました、2021年悪役グランプリ!

 この企画は、1年の中でメディアを問わず、映画、ドラマ、アニメ、漫画、ゲームなど、様々な「作品」でigomasが出会ってきた個性豊かな悪役たちを振り返る企画です。そして最後には、その1年で私が心の底からグッときた悪役を紹介する企画となっています。

 なお2022年悪役グランプリも、近日中に公開予定ですのでお楽しみに。

 それでは早速、2021年の悪役たちを、振り返っていきましょう!

 

↓昨年度の記事はこちら

igomas.hatenablog.com

 

 

注)企画の関係上、様々な作品のネタバレを含みますので、ネタバレが嫌だという方は適宜読み飛ばしてくださいませ。

 

 

 

《2021年を振り返って》

 2020年は、新型コロナウイルス感染拡大により、新作の少ない年でありました。屋外での撮影が難しくなったり、感染対策に慣れていなかったこともあり撮影が進まなかったりと、制作陣にとっても苦しい1年であったのだろうと思われます。

 それに比べ2021年は、勝手が分かってきたのか、ようやく新作も次々と公開されてゆき、今まで通りとはいかないながらも多くの作品を楽しませていただきました。

 また今年はなにより、ディズニー+に加入したことが大きかったですね。見逃していた旧作や、ディズニー+限定作品などなど、とにかく様々な映画・ドラマに出会うことができました。ノミネート作品も、近年に比べかなり多いです。1年間を振り返っていきましょう!

 

 年始は、昨年末にNHKで放送されたドラマ、岸部露伴は動かないの影響もあってか、ジョジョの奇妙な冒険をたくさん読んでいました。第1部ファントムブラッドと、第2部戦闘潮流は、集英社から出ている総集編コミック、第4部ダイヤモンドは砕けないはアニメ、第6部ストーンオーシャンジョジョの奇妙な冒険公式アプリ、第7部スティール・ボール・ランはゼブラックにて全話読破しました。とにかく色んな媒体で、見られるものは手当たり次第に見ていた、という感じですね。第8部はまだ最後までは読めていませんが、途中まで読んでいます。ジョジョに関しては、また単体で記事を書いてみたいですね。

 第1部ファントムブラッドで輝いていたのは、やはりこの男、ディオ・ブランドー。そもそも私は、ジョジョの奇妙な冒険第1部がバトル漫画だということすら知らずに読み始めていました。最初は、いきなり貴族の子に対する嫌がらせから始まるので、「この漫画、一体どんなジャンルなんだ?」と期待に胸を膨らませながらページをめくっていました。途中、スピードワゴンが出始めたあたりからようやくバトル要素が顔を出し始め、波紋の呼吸が出たあたりで、ジョナサン・ジョースターはようやく特訓を始めるのです。

 最近のバトル系の漫画で、ジャンプに載るものともなれば、第1話からある程度バトルの見せ場を作って、読者を引き込もうとしてきます。しかしジョジョ第1部には、そういった焦りのようなものがなく、中盤までどっしりと構えているのが、結構好きだったりします。最近では漫画家もより競争率が増しているので、こうはいかないのでしょうけどね。

 人間のディオも、吸血鬼として覚醒してからのディオも非常に魅力溢れたキャラになっていて、一挙手一投足に至るまで巧みに描かれています。名言の数々や、汗を気化して相手の肉体を冷凍する気化冷凍法や、目から体液を放つ空裂眼刺驚といった訳の分からない必殺技の数々(褒めてます)も、非常にキャラが立っていて良いですよね。

 第4部ダイヤモンドは砕けない吉良吉影も良い悪役。自己顕示欲の高いディオと異なり、日常に潜む悪として巧みに造形されています。スタンド、キラークイーンのデザインも純粋に格好良くて好み。第4部は作品構造論においては、まさに教科書的な作品といっても良く、ジョジョの中でも抜きん出て、本当に色んな要素が何から何まで上手くはまっている部。またこちらも単体で記事化したいですね。

 第6部ストーンオーシャンは、ジョジョシリーズの中では最も好きな部ですね。悪役も、ジョンガリ・Aやラング・ラングラー、リキエルなど魅力的な人物が多いですし、作品としても作者のやりたいことが一番ハマった部ではないでしょうか。

 ストーンオーシャンでピカイチに良かった悪役は、やはりラスボスのエンリコ・プッチでありましょうか。まずもって能力からして天才的。スタンド、そして記憶をDISCに封印することが出来るスタンドで、とにかくこれが万能なんですよね。スタンド能力を常にストックしておいて、適宜囚人に与えることで手駒とする。また記憶DISCを用いた命令により危機を脱する場面も多々あり、実に魅力的な敵として描かれていたと思います。

 また登場の仕方もかなり好きな悪役ですね。空条徐倫らに黒幕とバレないよう、徹底して証拠を消していっていましたし、主人公に悟られず暗躍する姿は、なかなかに格好良かったですね。正体がバレてからも、すぐに敗北するなんて事はなくて、打開策を見出し徐倫から逃れ、さらに新たな能力を発現させ襲いかかってくる。まさに強敵といえる大活躍でした。時折過去編として挟まれるDIOとの絡みも非常に良いですね。3部ラスボスと6部ラスボスが会話している、アツい展開です。

 第7部スティール・ボール・ランでは、馬でのアメリカ大陸横断レースを舞台とした作品。ジョニィとジャイロの奇妙な師弟関係が面白い一作でした。常にハラハラドキドキする展開が多く、ジョニィがそのたびに成長する様は見ていてとても引き込まれました。

 大統領ファニーヴァレンタインの放つ刺客は、どれも魅力的で、華がありましたね。ブラックモアとか、ただ雨の上を歩いているだけといえばそれまでなのですが、妙に魅力たっぷりなんですよね。ルーシースティールまわりがかなり好みで、彼女の成長物語としてみても、非常に満足度の高い一作ですね。

 第7部は、まぁもちろんファニーヴァレンタインも良かったのですが、何より興奮したのが、真のラスボスこと、平行世界から来たディエゴ・ブランドー。最後の最後でザ・ワールドはズルすぎますって(笑) ジョジョの主人公って、ラスボスに合わせて成長していくといいますか、第1部のジョナサンなら吸血鬼ディオに合わせて波紋の呼吸、第4部の仗助なら爆弾スタンドに合わせて治す能力、第7部のジョニィなら平行世界からの無限増殖に合わせて無限の回転などなど、ラスボスのメタ的な能力を身につけていくわけです。しかしジョニィは何ら耐性のない状態で、ザ・ワールドに挑むのです。持ち前の無限の回転をなんとか駆使してザ・ワールドと戦う最後の激戦は、非常に手に汗握る展開でしたね。

 ジョジョの奇妙な冒険の世界に、どっぷり浸かった1年でしたね。と、ここまで記事を書いてまだ全体のほんの少ししか紹介できておりません(笑) どんどん作品を紹介していくとしましょう。

 MCUはついにフェーズ4に突入。ディズニー+にて、ドラマシリーズが展開されるとともに、映画シリーズで見逃していたものも、2,3見させていただきました。フェーズ4の作品については、またまとめてひとつの記事に出来ればと思っています。

 特にお気に入りの悪役は、ドラマロキに登場した、ヒーフーリメインズ。原作コミックだと、征服者カーンと呼ばれる人物です(厳密にはイモータスか)。サノス級の強大な力を持った敵でありながら飄々とした態度を取る人物で、そのギャップに引き込まれました。また、サノスはヒーロー達にとって、物理的な上位存在であったのに対し、ヒーフーリメインズはヒーロー達にとって、概念としての上位存在であるという点も見事。パワーインフレが進むMCUにおいて、単なるパワーインフレだけではかないそうにもない、上位概念としてのヴィランの登場は、非常に燃える展開となっております。

 ドラマロキは、アクションというよりかは会話劇に重点を当てた作品作りになっており、最終回ではロキ、シルヴィ、ヒーフーリメインズの3者が話すので半分ほど尺を占めているのですが、間延びすることなく、何度も見返したくなるほどに、演者の持つ魅力の溢れた数十分でした。

 マーベルのドラマ、エージェントオブシールドも、見ていなかったシーズン1,2,7を視聴し、シリーズを完走することとなりました。中でも良かったのは、シーズン2のホワイトホール博士でしょうか。躊躇のない悪人っぷりと、丸眼鏡の似合いっぷりが魅力的で好きですね。

 シーズン7はシリーズ完結作として非常によくまとまっており、爽やかなラストは見ていて気持ちが良かったですね。個人的にはシーズン4,5あたりが一番好きなのですが、シリーズ完結まで、さほど失速しすぎるということもなく駆け抜けてくれたのは好印象。その一因には、ディークの存在がある気がします。ディークがいるだけで、話の幅がグッと広がるんですよね。どんなにシリアスな展開でも、シリアスさは保ったままクスッと笑える展開を挟めるという、まさに万能キャラ。シーズン6,7のディークまわりは、結構傑作回が多かったんじゃないかなという印象です。

 What if...? は、様々な平行世界を描いた「もしも」の物語。ハンクピム博士のイエロージャケットもなかなかに良いヴィランでしたし、最終話付近のインフィニティウルトロンも良かったですね。ハンクピム博士は、あの偏屈な感じがめちゃくちゃ好きなんですよね。一歩でも間違えたらすぐヴィランになりそうな危うさのある、魅力的なキャラクターです。ウルトロンは、MCUのエイジオブウルトロンではたいした活躍はしていなかったので、今回大暴れをしてくれて、非常に嬉しく思います。

 MCU以外の作品では、Huluのアニメ、モードックがかなりの傑作でしたね。アベンジャーズの敵、モードックに焦点を当てたお話で、彼が会社経営や家族との関係に四苦八苦するお話です。キャラクターの掘り下げ方が上手く、話運びも丁寧で面白かったですね。2022年もHuluのマーベルシリーズは見ていっているのですが、例外なくどれも出来が良いです。心の底からオススメできるシリーズですね。

 夏頃に、いわずとしれた名作ゲーム、スーパーマリオ64と、スーパーマリオサンシャインをプレイ。この辺りはまたまとめて記事に出来ればな、と思っています。スーパーマリオ64は、3Dマリオの最高傑作との呼び声も高く、完成度の高い一作かと思いきや、実際プレイしてみると、まぁゲームとしての完成度は高いものの、結構荒削りなゲームだな、という印象を受けましたね。ストーリークリアだけならさして問題ではないかもしれませんが、スター120枚コンプリートを目指してプレイすると、結構無理のあるスターがいくつか見受けられました。カメラがまだ今ほど発達しておらず、画角に非常にストレスを感じたゲームでしたね。

 一方で、マリオ史上屈指の高難易度ゲームと名高いスーパーマリオサンシャインは、やってみると結構完成度の高い一作でした。最初の頃は操作が難しくて、マリオを思うように動かせず四苦八苦するのですが、シャインを全部コンプリートする終盤には、かなりプレイが上手くなって、自分の思い描いた通りの動きが出来るようになります。スーパーマリオ64は、結局スターをコンプリートしても操作に手が馴染んだ感覚が全くなかったのに比べ、スーパーマリオサンシャインの方は見違えるほど操作が手に馴染みましたね。

 高難易度ステージは幾つか用意されているものの、カメラの不調といった理不尽な難しさではなく、単純なゲームの難しさから来るものなので、割とストレスなくプレイすることが出来ました。プレイして初めて、実は操作性自体はいいゲームだったのだと気付く、そういうゲームでしたね。

 ACCA13区監察課は、かなりオススメの作品。13の自治区によって構成される、ドーワー王国。監察課の副課長ジーン・オータスが、各自治区を視察していくというお話。落ち着いた雰囲気の作風で、あまり気を張ることなく、安心して見られる作品。各自治区ごとに、市民の暮らし方や産業が異なっており、その様子を楽しむことが出来ます。魅力的な登場人物が多く、ジーン、ロッタ、ニーノ、モーヴあたりはかなり推しキャラ。声優陣も良く、聞き心地のよい作品です。もし本記事が、悪役グランプリでなく作品グランプリであったなら、間違いなく2021年の上位3つには入っていたことでしょう。それほどまでに、完成度の高い一作でした。

 食戟のソーマは、アニメで第1期は少し見ていたのですが、途中で離脱していた作品。折角なので漫画版で全話一気に完走しました。美味しそうな料理がたくさん出てきて、毎話ワクワクしましたし、調理工程なども含めて、ちゃんと専門的知識を踏まえた、いい漫画だなぁと感じました。ひとりひとりのキャラクターも立っていて、良い作品でしたね。

 一般的には最終盤の展開が結構不評なのですが、個人的にはそこまで失速はしなかった印象です。最後は無難に創真の父との対決で終わっていれば良かったかなぁと思うので、そこは若干不満ではありますけれど、別段それ以外は特に気になるところはなく、最後まで十分楽しめましたね。

 さて、2021年の円谷プロですが……なんというか、まぁ残念な作品が多かったな、という印象です。新年始まってすぐのダイナゼノンも、全体的に作り込みの甘さが目立ちましたし、ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀はいうまでもありません。この2作品については記事にまとめておりますので、そちらも是非是非、ご覧下さいませ。

igomas.hatenablog.com

 

igomas.hatenablog.com

igomas.hatenablog.com

 そしてウルトラマントリガー。うーん、まぁ、事前予想で言っていたとおり、という感じでしょうか。事前予想記事で言っていたこと、ほぼほぼ全的中ですからねぇ。トリガーについては少し(?) まだ記事が残っておりますから、はやく記事も完走したいところ。少々お待ちくださいませ。

 それから、漫画ワンピース(ONE PIECE)も、このたび1~90巻まで駆け抜けました。ちょうど、ホールケーキアイランド編までですね。いやはや、さすがは日本を代表する漫画なだけあって、なかなかに読み応えがありましたね。個人的に好きなのはウォーターセブン編(34~46巻)です。こちらに関しても、またまとめてひとつの記事に出来ればと考えています。いつになるかわかりませんが(笑)

 それから、長らく見ていなかったスターウォーズエピソード8,9そしてハンソロを視聴。完走しての感想は、エピソード7,8,9、まぁいらなかったですね。完全に蛇足でしかなかったと思います。たぶんもうスターウォーズ作品は新作が作られても見ないですね、はい。

 という感じの2021年でした。あとは、クルエラとか、ジュラシックパークI,IIとか、このあたりを見ましたね。どれもオススメできる映画です。特にクルエラのエマストーンは適役だったと思います。

 見返してみると、かなりディズニー+の影響が強いですね。見逃していたシリーズを完走したり、フェーズ4の新作を見たり、そんな一年であったなと思います。ということで、早速2021年悪役グランプリ、上位入賞者の発表です!

 

《グランプリ発表の前に》

 えー、ここでお知らせがあります。なんと2021年悪役グランプリ、上位入賞者が、3人いませんでした……

 例年発表しています通り、この悪役グランプリは、厳正な審査の結果、私igomasが自信を持っておすすめする、「真に心にぐっときた悪役」を紹介するグランプリです。本ランキングはあくまで「心の底から手放しでオススメできる悪役のランキング」なのです。

 そして、2021年、たしかに魅力溢れる悪役はたくさんいたのですが、厳正な審査をした結果、なかなかグランプリとして紹介する悪役が見つからず、結果3人に満たないグランプリとなってしまいました。

 たしかに、2021年は、作品単体で見ると、傑作揃いの年でした。ただし、こと悪役グランプリとして見ると、実は結構、不作の年だったのです。

 正直、これは2021年が不作と言うより、2019年、2020年が驚くほど豊作の年だった、と言った方が正しいかもしれません。「真に心にぐっときた悪役」に一年で3人も出会えるなんて、めったなことではありません。というか2019年と2020年のグランプリ1位が圧倒的すぎて、なかなか彼等に並べる悪役がいないんですよね(笑)

 というわけで、すみませんがいつもより、上位入賞者の紹介は文章量が少ないことを、ここでお詫びいたします。ということで、2021年悪役グランプリ、見ていきましょう!

 

《2021年悪役グランプリ》

第一位 「toufuワールド」より クワガノン

 

 ということで、2021年悪役グランプリ、栄えある第一位は、toufuワールドより、クワガノンです!おめでとうございます!!!!!!!

 えー、かなり驚かれた方も多いのではないでしょうか(笑) こう、色々と感情の整理がついていない読者もいらっしゃると思いますので、ひとつひとつ、説明させていただきます。

 まず、今年の悪役グランプリ、なんと上位入賞者が、3人どころか、2人もいませんでした。ということで、悪役グランプリは1位のみの発表となります。

 そして、その栄えある1位に選ばれたのは、ジョジョの奇妙な冒険でもなく、ワンピースでもなく、マーベルでもないまさかのダークホース。それも、アマチュア漫画からのグランプリ選出となりました。これはかなり、大番狂わせな結果となりました。

 もしかすると知らない方もいらっしゃるかもしれませんので、まずは作品、toufuワールドから紹介させていただきます。

 toufuワールドとは、pixivで展開されている、ポケットモンスターダイヤモンド・パールの物語をなぞらえたウェブ漫画です。一応、だいたいの大まかなストーリーはダイヤモンド・パールに準拠しているものの、しっかりとオリジナル展開が組み込まれており、キャラの掘り下げや主人公周りのストーリーなども、大変充実した作品に仕上がっています。

 また作者のtoufuさんは、toufuワールド連載開始の時はまだアマチュアでしたが、現在はプロの漫画家として、comic fuz にて『Lv1魔王とワンルーム勇者』を執筆されています。こちらも大変面白い漫画となっていますので、ぜひご覧下さいませ。

 ということで、そんなtoufuワールドにて、ギンガ団のポケモンとして登場したクワガノンが、2021年悪役グランプリ1位に輝きました。正直言って、ダントツでした。

 toufuワールドは、ひょんなことから、主人公ヒカリが、めちゃめちゃに賢いゴルダックに出会うところから始まります。人語を理解し、本を読み、Wiiリモコンを振るゴルダック。普通のポケモンとは違い、異様に高い知能を持つゴルダックとともに、ヒカリは冒険に旅立ちます。途中、血管がぶち切れんばかりに怒り狂ったコリンク、風船さながら風に飛ばされすぐいなくなるフワンテ、臆病で気弱だけれどやるときはやるヤミカラス、絵文字で会話する悪戯好きなキルリア、などなど、個性的なメンバーを集め旅を続けます。

 第37話 怒りのあひる(前編) では、伝説のポケモンを奪い去るため、爆弾を落とし湖を干上がらせ消し去るなど、悪逆の限りを尽くす、ギンガ団の本拠地に突入。ヒカリとゴルダックは別行動を取り、ゴルダックキルリアのコンビが、ギンガ団の隊員達をバッサバッサとなぎ倒していきます。

 ギンガ団が湖を干上がらせまでして強奪した(準)伝説のポケモン3体には、ゴルダックに知恵を与えた、ユクシーも含まれていました。仲間を連れ去られた怒りで、暴れ回るゴルダック。そこへ立ち塞がるのが、このクワガノンなのです。

 大量の下っ端軍団をなぎ倒し、なおも余裕を見せるゴルダックキルリア。しかしゴルダックは何かを察してか、キルリアを突き飛ばします。刹那、一閃の光が放たれ、ゴルダックは黒焦げになって倒れてしまいます。その一閃の光とは、クワガノンの放つ強力な光線技、でんじほうだったのです。

 クワガノンのデザインが実にカッコいいことは皆さん周知の通りかと思いますが、特にこの漫画のクワガノンは、かなり格好良く描かれていますね。クワガノンアローラ地方ポケモンであり、原作ゲームのダイヤモンド・パールには登場しないポケモンが登場するのは、今連載している漫画だからこそできる展開で、かなり好み。

 そして原作のクワガノンは、その見た目に反して結構遅いポケモンなのですが、toufuワールドのクワガノンこうそくいどうを積むことによって、我々が見た目からイメージする通りの、速くて強いポケモンを実現しているわけです。

 さてこのクワガノン、異常に強くて、でんじほうを受けたゴルダックはもちろんのこと、軽やかな動きを得意とするキルリアでさえも、そのパワーとスピードに圧倒されます。

 クワガノンのトレーナーは、ギンガ団の下っ端でありながら、かなりのエリートトレーナーという設定。実力がありながらも正当な扱いを受けずくすぶっている、そんな下っ端です。このキャラの設定もかなり好みですね。ゲームでは焦点が当たらない、いわゆる「有象無象」に当たる下っ端に、幅広いバリエーションを与えているのも、本作の魅力と言えましょう。

 そしてこのギンガ団の下っ端、ちゃんとクズなんですよね。このクズっぷりがまた悪役として素晴らしい。全然ポケモンに対して暴力を振るったりしますし、完全な悪人です。同情する余地の全くないこのクズっぷり、ヘイトを一身に集める様子がまた素晴らしいですね。

 一方のクワガノンは、トレーナーの指示を聞く、純粋に強いポケモンとして描かれています。クワガノン自身はトレーナーである下っ端を慕っていますし、強者としての役割を果たしていますね。ポケモンの漫画を描く以上、なによりも大切なことは「ポケモンを魅力的に描くこと」です。トレーナーをクズにしてこちらの方にヘイトを集中させた上で、ポケモン自体にヘイトは向けず、その上で白熱した戦いを演出する。この采配にシビれましたね。

 先述の通り、この場面では主人公のヒカリとゴルダックが別行動を取っており、つまりこのバトルの現場にいるのは、ギンガ団の下っ端、クワガノンゴルダックキルリアのみとなるわけです。そうなると、人間はギンガ団の下っ端だけであり、つまりこのシーン、セリフがほとんどないんですよね。漫画においてもちろんセリフがあるのは大前提なのですが、このシーンではセリフが可能な限り廃絶され、つまり吹き出しに邪魔されることがなくダイナミックなバトルシーンが展開されています。それでいてこの場に人間が1人しかいないことから、吹き出しの少なさに違和感がありません。この状況自体も、このシーンを魅力的に見せるのに一役かっていたと思いますね。

 またこれも先述の通り、キルリアは絵文字で会話します。絵文字で会話することからも、これをバトルをあまり邪魔しすぎない「絵」として見ることも可能ですし、解読すればちゃんと「セリフ」として読むこともできるようになっています。つまりいいとこ取りですね。この辺りも、状況に恵まれたシーンといえましょうか。

 このバトルシーン、ゴルダックにもキルリアにもちゃんと見せ場が用意されていますし、ゴルダックゴルダックらしい、キルリアキルリアらしいバトルスタイルで、ひとつのバトルとしても非常に見応えのあるものになっています。

 また悪役グランプリに当たっては、バトルシーンの魅力だけでなく、その散り際についても考慮要素とさせていただいています。そしてこのクワガノンはもちろん、ギンガ団下っ端の散り際も、非常に納得度の高いものとなっています。先程も申し上げたように、ギンガ団下っ端の方は、超がつくほどのクズ人間として描かれているのに対し、クワガノンは圧倒的強者として描かれています。それぞれのキャラにとって最高とも思えるその散り際にも、グッときましたね。この辺りはぜひ、実際の漫画をご覧下さいませ。

 ということで、クワガノン、堂々の一位でした。でんじほうを受けてもなお立ち上がったゴルダックに対し放った、でんじほうよりも凶悪な"あの技"、キルリアクワガノンに放つ最後の一撃、どれをとってもワクワクさせられる、最高の戦闘シーンだったと思います。

 クワガノンキルリアゴルダックそれぞれのポケモンの表情が、本当に上手いんですよね。吹き出しが多くなくとも表情だけですべてを物語っているというか、そういう絵力も含めて、本当に好きなシーンでした。

 正直、ポケットモンスターダイヤモンド・パールという、原作があった上での作品ということもあり、グランプリ1位に選ぶ際には結構悩んだりもしたのですけれど、それでもまぁ、本当に他とは比べものにならないくらい圧倒的に好きな悪役だったので、選ばせていただきました。

 この作品を見て、クワガノンにはまり、ポケットモンスターソードではクワガノンを旅パに入れていました。最後のダンデのリザードン戦でも、大活躍してくれました。振り返ってみれば、クワガノンの一年だったな、ということもあり、選ばせていただきましたね。

 ノミネート作品を見ていただければ分かるとおり、2021年はかなりの強豪揃いの年でした。その中でも圧倒的な1位、本当におめでとうございます。そしてこんな魅力溢れる悪役に出会わせていただき、ありがとうございます。

 

 ということで、以上、2021年悪役グランプリでした。いやはや、まったく予想外のところからのグランプリ1位でしたね。

 近年、いわゆるメインヴィランと呼ばれる、作品を通してずーっと出てくるタイプの悪役が増えてきた印象です。もちろん、長く作品に出せばそれだけ、そのキャラを掘り下げることができるので、一見有利とも思えます。しかしながら、メインヴィランというのは実はかなり描くのが難しい存在なのです。長く出す分、どの回においても、その悪役を魅力溢れるキャラに見せ続けなければならないのです。2020年のグランプリ一位のバスコ・タ・ジョロキアは、そのあたり実にしっかりやっていましたが(詳しくは記事をご覧下さい)、そこまで悪役の魅力を数十話にわたって保つのは、それはそれでとても難しいことなのです。

 逆に、登場シーンが僅かであっても、その数少ない登場シーンに魅力がグッと詰まっていれば、長く登場するメインヴィランのような存在にも、太刀打ちすることが出来るのです。2021年グランプリ1位となったクワガノンは、まさにそれを象徴するような悪役だったといえましょう。

 悪役の魅せ方は、無限大。必要なのは、制作陣の悪役を愛する心、それだけなのです。さらなる「真に心にぐっとくる悪役」に出会えるよう、またたくさんの作品に出会えることを祈って、本記事を終えたいと思います。

 それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!

 

《ノミネート作品》

ジョジョの奇妙な冒険1,2,4,6,7,8部
ダイナゼノン
ワンダヴィジョン
ファルコン&ウィンターソルジャー
ロキ
エージェントオブシールドシーズン7,1,2
スーパーマリオ64
スーパーマリオサンシャイン
マリオカート8DX
ACCA13区監察課(アニメ)

ACCA13区監察課Regards
マッシュル
アニメポケットモンスター

文豪ストレイドッグスわん!(アニメ)
食戟のソーマ
本日のバーガー
かぐや様は告らせたい
ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀
アントマン&ザワスプ
ガーディアンズオブザギャラクシーvol.2
ソーラグナロク
インヒューマンズ
トイストーリー4
アナと雪の女王2
インクレディブル・ファミリー
ニューミュータント
RANMARU 神の舌を持つ男 酒蔵若旦那怪死事件の影に潜むテキサス男とボヘミアン女将、そして美人村医者を追い詰める謎のかごめかごめ老婆軍団と三賢者の村の呪いに2サスマニアwithミヤケンとゴッドタン、ベロンチョアドベンチャー!略して…蘭丸は二度死ぬ。鬼灯デスロード編
ブラックウィドウ
ワンピース(1〜90巻)
What if...?
クルエラ
ジュラシックパーク
ジュラシックパークII ロストワールド
ゴジラキングオブモンスターズ

toufuワールド

王者の祭典
ドクターX 第1シーズン 第7シーズン
ポケットモンスターソード

ウルトラマントリガー
スターウォーズ最後のジェダイ
デッドプール2
フリーガイ
モードック
バブル・ボーイ
アリスインワンダーランド時間の旅
スターウォーズスカイウォーカーの夜明け
ハン・ソロ
ホークアイ

岸部露伴は動かない(ドラマ)
グレイテストショーマン