igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

MCUフェーズ4作品ランキング

 皆さんこんにちは! igomasと申します。今回は、マーベルシネマティックユニバース(MCU)のフェーズ4に当たる作品群を、ドラマ・映画・スペシャルプレゼンテーションを問わず、一緒くたにランキングにしてみました。

 MCUは、スパイダーマンファーフロムホームにて、インフィニティサーガという大きな一括りを終え、マルチバースサーガという新たな物語へと移行しました。そしてフェーズ4は、マルチバースサーガの中でも、起承転結のいわば起を担うフェーズで、ワンダヴィジョンからブラックパンサーワカンダフォーエバーまでの、全18作品を指します。フェーズ4のそれぞれの作品が、新たなサーガの序章として、効果的な役割を果たしていたか、などにも着目しながら、記事を書いていきたいと思います。

 なおこのランキングは、基本的には作品の完成度を一番の指標とはしているものの、多少私の好みが反映されています、ご了承ください。なお、当然のことながらネタバレありなので、その点もご了承ください。それでは、さっそく見ていきましょう!

 

 

第18位

エターナルズ

 今回、ランキングを作るとはいっても、MCU作品は、基本的にどれもクオリティが高いので、下位に入っている作品でも、それほど酷い作品ではありません。実際、1位から17位までは、多少の好き嫌いはあれ、良い作品だと思っています。しかしフェーズ4で唯一、「これは酷いな」と思った作品が、このエターナルズです。全編通して、退屈でした。

 エターナルズのメンバーそれぞれの方向性がバラバラすぎて、ひとつのヒーロー映画としてまとまりがあまりにもなさ過ぎます。キンゴなんて、最終決戦に参加すらしていませんからね。また最終決戦にてセルシが他のエターナルズと同期してティアマトを止める、という展開になるのですが、それまで殺し合いの戦いをしていたイカリスが急にティアマトを止める側になるというトンデモ展開。セルシとイカリスの恋愛で解決、なんていうこじつけ具合。あまりにも最後がなぁなぁで解決しすぎです。

 今作、ミクロとマクロの差があまり分かっていないんじゃないかと思われます。ティアマトの復活、地球が滅ぶかもしれない、といった宇宙レベルの大きな問題と、セルシとイカリスの恋というあまりに個人的な問題を、同じ土俵で扱おうとしており、そりゃ当然失敗するわけです。

 また、地球が滅ぶかもしれないという話なのに、結局のところ地球人の意思はあまり反映されていないように思えます。「地球人はこう考えるだろう」とエターナルズのメンバーが勝手に憶測して、戦いあっている感じ。今作地球人が少なすぎるんですよね。これがソー1作目のように、宇宙人1人地球人3人みたいな構図であればまだ、変わったかもしれません。

 そもそもキャラクターを捌ききれていません。正直エターナルズのメンバーで名前を覚えているのはセルシとイカリスくらいなもので、他は名前すら忘れてしまうくらい、キャラが薄かった印象です。キャラクターの能力も、さして魅力的なものはなかったですね。

 また、全体的に作り込みが甘いです。キンゴの薄っぺらいインド映画再現なんて、その最たる例です。それから、ディヴィアンツのクロ。高度な知能を持ち、対話できるまでに成長し、エターナルズによるディヴィアンツ抹殺をやめるよう訴えるクロ。どうとでも拾える要素だったのに、問答無用で抹殺する始末。もっとこう、あっただろ。

 評価すべき点があるとすれば、自然光を用いた撮影による情景の美しさ。それからハリウッド映画では珍しく、原爆を人類の負の遺産として描いている点が新しい。それくらいでしょうか。LGBTQを盛り込んでいる点は、新たな価値観をMCUにもたらすという意味でプラスといえばプラスですが、そもそも原作再現が出来ていないという点ではマイナスなため、まぁプラマイゼロかなといった印象です。

 なるべくして最下位になった作品、といえましょう。

 

第17位

ミズマーベル

 ヒーローを夢見る少女が実際にスーパーパワーを得て、その力に苦悩する物語、かと思いきや、見てみると半分以上は母と娘の物語でした。思いの外「家庭」を描いた作品で、家族のルーツ、インドパキスタン分離独立の歴史を辿るというお話。ダメージコントロール局やクランデスティンはおまけといった印象です。

 母と娘の物語、父と娘の物語、インドの文化、ムスリムの文化、などなど、「家庭」を描いた部分はかなり評価ポイントとなっていますね。一方で、ヒーロー要素、特にクランデスティンの描き方については、やや粗が目立ちました。

 そもそも本作において、あまり「戦い」に意味を持たせていません。カマラが家族のルーツを辿る途上で、クランデスティンに出くわして、そのたびに戦っている、みたいな印象。各話での戦闘ノルマをこなすためのシーンでしかなく、戦闘そのものにあまり意味を見いだせませんでした。

 レッドダガーズに関しても、不満が残ります。クランデスティンとレッドダガーズの因縁、どんな過去があるのか、その関係をしっかりと描けていないので、レッドダガーズがどんな組織なのか、というのが曖昧なまま、作品が終わってしまいました。ミズマーベル実写化ということでレッドダガーの参戦は欠かせないものの、この扱いはいかがなものか。カマラの親友のナキアに関しても、モスクのシーンには多少登場するものの、ヒーローとしてのカマラとは殆ど絡みがないまま終わってしまいました。

 ストーリー自体も、家族のルーツ、クランデスティン、ダメージコントロール局とやや詰め込み気味で、少し欲張りすぎましたね。特に作品構造の観点から見ると、クランデスティンとダメージコントロール局の相性が悪かったです。クランデスティンの最期も、実にあっさりとしていましたし、もう少しクランデスティンに魅力があれば、また印象も変わったのかもしれませんね。

 少なくとも「ヒーローを夢見る少女が実際にスーパーパワーを得て、その力に苦悩する物語」では全然なかったですね。最終話の学校にて、カムランに語りかけるシーンも、実際ヒーローになって苦悩したから言えたセリフ、というよりかは、もともとヒーローオタクでヒーローとはどんなものか知っていたから言えたセリフでした。実際ヒーローになったからこそのなにか成長とか、そういうものは感じなかったですね。ヒーローになったから成長した、というよりも、家族のルーツを知ったから成長した、そんな作品でした。なのでちょっと宣伝文句も間違っていたかな、という作品でした。

 

第16位

アイアムグルート

 ミニシリーズの割には、健闘した方ではないでしょうか。とにかくグルートが可愛らしく、ほっこりする作品でしたね。

 やや順位を下げた理由としては、まず話の順番が分かりにくい、というのがありますね。これはまぁ、ディズニー+の仕様なのですけれど、ドラマシリーズのように第1~5話と順番に表記しているのではなく、単体の作品が並んでいるだけなんですよね。なのでどの順で見れば良いのかが分かりづらいです。本作、作品ごとの時期が結構離れていて、順番に見た方がよいのにもかかわらず、ナンバリングされていないのが非常に見づらかったです。

 それから、最終話(かどうかはわかりませんがおそらく最終話)のロケットのCGがかなり酷かったです。フェーズ4は、ブラックウィドウやシーハルクなど、CGが酷い酷いと言われがちですが、私からすれば今作のロケットがダントツで酷かったですね。

 Iwuaとのダンスバトルの話が一番好きですね。

 

第15位

ウェアウルフ・バイ・ナイト

 別に白黒にしなくても良かったような(それを言っちゃおしまいだ)

 全体的にのっぺりしていて、面白いといえば面白いんだけれど、結構退屈なシーンも多い、そんな作品。結局のところ本作の良いところは全部マンシングに集約されるような気がします。

 そもそも、私はあまりウェアウルフ・バイ・ナイトのヴィジュアルが気に入っていません。見た目が、ただの狼男ですからね。やはりアイアンマンやキャプテンアメリカ、ハルクやソーと並べると、ヴィジュアル面ではかなり劣って見えてしまいます。能力もさして新鮮味はないですね。エルサ・ブラッドストーンとウェアウルフ・バイ・ナイトの関係も、まぁあるあるといいますか、主人公が化け物になる系の話ではよく見る展開です。

 集められたハンター達や、エルサの継母ヴェルッサも、テンプレキャラといった印象でした。古風な映画の雰囲気を再現しようとしたために、かえって昔の映画あるあるを焼き直しただけ、みたいな作品になってしまったのは残念ポイント。

 そういった残念ポイントを全部払拭するほどの魅力を持っているのが、マンシング。コミックのヴィジュアルの再現も見事ですし、なにより怒りの表情と友好的な表情のギャップが可愛くて、愛着の湧きやすいキャラ造形になっています。能力も、結構個性的で好きですね。

 ストーリーとして、特に大きく気になる点などはなかったので、この順位にしています。

 

第14位

ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー ホリデー・スペシャ

 面白い作品ではあったのですけれど、正直予告編でほぼほぼ全部ネタバレしていたようなものなので、結構先の見える展開になってしまっている、そんな作品。

 マンティスが主人公として据えられており、地球でのドラックスとのわちゃわちゃとした絡みは見ていて非常に微笑ましかったです。マンティスが、ピータークイルに自分が妹であることを打ち明けようとするも、エゴの一件が心に引っかかってなかなか言い出せない、というのは面白い切り口。

 

第13位

シーハルク

 個人的に最終話の展開は、嫌いではありません。むしろ新たなことにチャレンジングしており、幾分か評価ポイントになっています。もちろん、シーハルク最終話の展開を今後のMCUで上手く捌ききらないと、MCUそのものがオワコンになってしまいかねないくらいの諸刃の剣であることは間違いありません。しかしまぁ、ケヴィンファイギならなんとかしてくれるでしょう。

 順位を下げた最大の理由は、そもそも主人公があまり魅力的に映っていない、という点にあります。今作、一話ごとのストーリーは結構好みで、様々な能力者、依頼者、ヒーロー、ヴィランが入り乱れ楽しめるのですが、振り返って、では主人公を好きになったかというと、別にそうでもないんですよね。

 そもそもハルクの力が強力すぎて、苦戦する描写は一切ありません。最終話をあの展開にしてしまったが故に、主人公は難なく問題を解決してしまいます。ヒーローものによくある苦悩や成長、そういったものを廃するというのは、たしかにチャレンジングなことではあるものの、それはつまり主人公を魅力的に見せるような要素を廃したということであり、ただのマイナス点でしかありません。

 主人公の苦悩や成長を廃した分、他で主人公を魅力的に見せる、なにか革新的な工夫がなされたかといえばそんなことはなく、そりゃ他の作品に劣って見えるのも仕方ありません。なるべくしてこの順位になった、そんな作品。

 

第12位

ブラックウィドウ

 待望のブラックウィドウ単独作品。これまで伏線として貼られていた、レッドルームやドレイコフの娘、ブダペシュトなどなどの要素が回収されていきます。2代目ブラックウィドウことエレーナも、キャラが立っており魅力的に映っておりました。

 本作は、女性キャラに魅力的なキャラが多い一方で、男性キャラは軒並みヘタレばっかりです。レッド・ガーディアンことアレクセイは、むさ苦しいキャラに描かれており、娘らや妻からの扱いも結構悪いです。刑務所のシーンでも、キャプテンアメリカと戦ったと自慢する惨めなキャラに描かれていますし、全体的にポンコツに描かれています。ドレイコフもまぁ、女性を洗脳して戦わせるという、それだけのキャラですし、悪役としての魅力もイマイチです。メイソンはただのパシリです。

 まぁこんなわけで、女性主人公を据えた映画ブラックウィドウは、女性キャラを魅力的に描くために、男性キャラを下げる(ヘタレキャラに描く)ということをしてしまっているのです。正直それは本末転倒な気がします。男性キャラを魅力的に描き、女性キャラをそれよりもさらに魅力的に描くからこそ、女性キャラがより魅力的に見えるのではないでしょうか。そういう点では、ニックフューリーやタロス、フィルコールソンにも魅力を持たせたキャプテン・マーベルに、本作は「女性ヒーロー映画」として負けていると思います。

 それから、本作の敵のタスクマスターですけれど、かなり悪役として魅力がなさすぎましたね。原作ではかなり魅力があり、非常に人気のあるキャラなだけに、実写化してこれか、という残念感はついて回ります。全然喋らないですし、魅力なさ過ぎです。そもそも原作から性別変わっているのも謎です。それなら別にタスクマスターでなくても良かったじゃん。

 敵の倒し方も、洗脳を解く霧を地面に投げつける、の一辺倒で、最終決戦の戦闘シーンはもう少しバリエーションがあっても良かったのではないかな、と感じました。

 映画としては、これまでMCUで貼ってきたブラックウィドウまわりの伏線回収と、2代目ブラックウィドウことエレーナの初お披露目、この2つがメインの映画であり、その2つに関しては成功しているといえましょう。アベンジャーズが空飛ぶ要塞ヘリキャリアを拠点とする一方、ロシアのレッドルームもまた空飛ぶ要塞を拠点にしている、みたいな対比も面白かったですし、良いところもたくさんある映画でしたね。

 

第11位

ブラックパンサー/ワカンダフォーエバ

 フェーズ4最後の作品というだけあって、フェーズ4あるあるを詰め込んだような、実にフェーズ4らしい映画になっていました。逆に言えば既視感のある展開がかなり多くて、新鮮味は薄い作品でしたね。そこが損してしまっている印象です。

 敵に親を殺されて、復讐心に燃えるも、最後の一撃は思いとどまる、という展開は、スパイダーマンノーウェイホームでそっくりそのまま既にやった展開です。しかもスパイダーマンノーウェイホームはこれまでの全スパイダーマン作品を踏まえたお話ですから、圧倒的に重みが違います。これではただの二番煎じに過ぎません。

 フェーズ4の大きなテーマが2つあって、そのひとつは、当然のことながらマルチバースへの導入。そしてもうひとつのテーマは、ヒーローとヴィランの境界をなくすこと、です。マルチバースサーガはその最後にシークレットウォーズを控えており、シークレットウォーズでは多次元宇宙がインカージョンを引き起こし、最終的にはヒーロー達が、自分の宇宙を守るため(つまりは私利私欲のため)に他の宇宙を滅ぼさなければならない場面も出てくることでしょう。そうした展開を踏まえて、フェーズ4の時点ですでに、ヒーローとヴィランの境界をなくす、ということをしているわけです。

 そういった流れを汲む以上、似た作品が出来てしまうのは、まぁ仕方のないことといえばそうなのですが、にしてもスパイダーマンと同じ展開をするというのは、さすがに悪手としかいえません。

 また今作、そもそもネイモアがそこまで悪いキャラに映らないんですよね。ネイモア(ククルカン)はあくまで、海底王国タロカンの平穏を望んでいるだけです。奴隷制の酷さをこの目で見ているためか、世界征服を目論むなどやや危なっかしい一面はありますが、それでも根底にあるのは、タロカンの平穏です。

 ワカンダに侵入し、ヴィブラニウム探査機の制作者を差し出すよう伝えたのも、あくまでヴィブラニウム探査機を破壊しタロカンを守るため。シュリを誘拐するという、荒々しい行動には出ているものの、傷つけることはなく丁重に扱っています。ワカンダに攻め込んだのも、女王ラモンダがよこしたナキアによって、タロカンの民が命を落としたその報復です。ラモンダが死に、復讐を果たしたら、その後の決断は時期君主であるシュリに任せ、攻撃をやめ帰還する。とても悪い人間とは思えません。

 最終決戦ではむしろ、残虐的にネイモアを追い詰めるシュリの方がヴィランと言えるほどに描かれており、なによりタイトルの「ワカンダフォーエバー」が弱ったネイモアに爆風の追撃を浴びせる時の台詞なのが、救いがなさ過ぎます。実際、シュリが自身の母や兄でなく、キルモンガーに出会うことや、兄のティチャラが着ていた黒と紫ベースのブラックパンサースーツを通り過ぎ、キルモンガーのスーツに似た黒と金のスーツを選ぶシーンがあることからも、制作陣は多少なりとも、シュリをヴィランとして描いているように見受けられます。

 ネイモアが実はそんなに悪く描かれておらず、シュリがかなりヴィランっぽく描かれていることからも、あまりシュリを心から応援する気にはなれず、ヒーローものとしてはあまり乗れなかったかな、という印象ですね。

 そもそも、シュリとエムバクの決闘シーンもあまり納得いきません。人工ハーブを飲んでからエムバクと戦うなんて、反則じゃないですか。生身で勝った方がハーブを飲むんじゃなかったでしたっけ。単純にエムバクがいい人すぎて、せめて国王はエムバクで良かったんじゃないか、という気持ちもあったりします。

 本作初登場のアイアンハートこと、リリ・ウィリアムズですが、フェーズ4にて既に登場しているキャラを足し合わせたようなキャラで、こちらも既視感がありました。ケイト・ビショップとアメリチャベスを足して2で割った感じ。フェーズ4で一気に女性キャラが増えた一方で、キャラ被りが早くも起きている印象です。

 アイアンハートの描写には、本作はあえてアイアンマンオマージュをふんだんに詰め込んでいるのですけれど、そもそも今作には既視感のある描写が多いのは先に述べたとおりで、アイアンマンオマージュはそれにさらに拍車をかけることになってしまっているんですよね。そのため、あまりプラスに働いていない印象を受けました。

 また、海底王国タロカンの描写も、あまり好みではありませんでした。全体的に映像が暗めで王国の全体像が見えづらく、もう少し見たかったな、という気持ちはあります。また、本作の映画の前には新作アバターの予告編が流れるのですが、それと水の描写を比べてしまうと、やはり見劣りして感じてしまいます。この辺りも、損している印象ですね。

 シリーズ2作目でエムバクの評価がかなり高くなったことや、新キャラのネイモアがかなり良いキャラをしていること、ティチャラの追悼映画としてまとまりのよい出来になっている点、などなど加味して、この順位としました。

 

第10位

ファルコン&ウィンターソルジャー

 2代目キャプテンアメリカこと、サムウィルソンを主人公とする物語。洗脳され、多くの人間を暗殺した過去に苦悩するウィンターソルジャーことバッキーの物語も描かれ、キャラクター描写が巧みになされていましたね。

 お気に入りのキャラも多く、U.S.エージェントことジョンウォーカーやヴァル(ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ)は、かなり今後が気になるキャラでしたね。既存キャラでも、ヘルムート・ジモはシビルウォーの時とはまた違った側面が見られて面白かったですね。マスクを被ったバロン・ジモとしての活躍は、もう少し見たかったなと残念ではありますが。

 さて、ストーリーですが、黒人差別を題材にしたお話になっています。正直、この要素があまり私には刺さらなくて、順位を下げたという感じですね。そもそも私は、人の肌の色なんて普段から全く気にしない人間なので、本作劇中でサムが黒人差別を受ける描写を見るまで、そもそもサムを黒人とすら認識していませんでした。

 なので正直視聴中の感想としては、「え、今更肌の色の話とかしてるの? え、今の時代にそんな旧時代的なテーマなの?」とぽかんとしていたところがあり、テーマ自体があまり私には刺さりませんでした。

 一方の本国アメリカの視聴者には結構刺さっていたみたいですね。実際、MCUの次期キャプテンアメリカがサムと発表されたときに、アメリカの視聴者からは「黒人がキャプテンアメリカになるなんて」という旨の意見が多数挙がったそうです。なるほど、アメリカではまだまだ旧時代的な考えの人が多いようです。

 それ以外の点でいうと、本作の敵ポジションであるフラッグスマッシャー、およびカーリモーゲンソーがあまり魅力的に見えなかった、というのもありますね。やはりマーベルコミックは、その秀逸なキャラヴィジュアルが魅力のひとつだと思っています。キャプテンアメリカやアイアンマン、スパイダーマンなど、マーベルは数々の魅力的なデザインのキャラクターを生み出してきました。ヴィランも、レッドスカルやロキ、ウルトロンなど秀逸なものばかりです。

 そういったデザインと比べると、やはりカーリモーゲンソーはあまりにもただの人間過ぎます。フラッグスマッシャーは結局のところ仮面を被った強化人間の集団でしかなく、その仮面も、秀逸なデザインと呼べるほどのものではありませんでした。そのため、やはり他作品に比べると、キャラの魅力が見劣りしてしまうと感じました。ヒーローもの、アクションものにおいては特に、キャラのヴィジュアルの秀逸さが求められます。その点から見ると、確かにキャラの背景は描かれているものの、あまりパッとしないキャラに感じてしまいましたね。

 バトロックに関しては、やや描写が薄かったように感じます。映画キャプテンアメリカウィンターソルジャーの冒頭に登場したあの数分の方が、キャラを魅力的に描けていたと感じましたね。もう少し本編に絡ませたり、アクションに幅を持たせても良かったんじゃないかなと思うキャラの1人でした。

 あと、個人的に髪の長いバッキーが好きなので、ここも好みとは外れた部分かもしれません。まぁそんなわけで、キャラヴィジュアル、キャラ描写、そして個人的な好みもあって、この順位に落ち着いた作品ですね。

 

第9位

ワンダヴィジョン

 フェーズ4の1作目がここでランクイン。シットコムとヒーローものを掛け合わせるという、非常に面白い試みの作品でした。第3話の終わりにテレビの縦横比から映画の縦横比に変わり、続く第4話からはMCUの世界観をふんだんに見せてくれ、この辺りが一番興奮しましたね。ダーシー・ルイスやジミー・ウー、モニカ・ランボーといった、これまでMCUには出ていたけれどマイナー止まりだったキャラ達に焦点が当てられたのは良かったですね。

 敵も、ヘイワードとホワイトヴィジョン、アガサハークネスにラルフ・ボーナーと、かなり多いものの、非常に上手く捌ききっており、お見事というほかありません。

 世間的には、クイックシルバーマルチバースを臭わせておいて結局なにもなかったことから、期待させて落とすスタイルに不満の声が上がっている印象ですが、自分はさほど気になりませんでした。

 MCUは過去にもアイアンマン3での偽マンダリンの一件を初めとして、結構この上げて落とすスタイルを取っています。またスパイダーマンファーフロムホームでも、マルチバース詐欺をやっていましたし、まぁどうせそんなすぐにマルチバースを登場させることはないだろうと分かっていましたから、まったく落胆はしなかったですね。

 やや順位を下げた理由としては、単純にシットコムでそんなに笑わなかったから、というのが理由のひとつです。やはりコメディ色の強い作品は、コメディがウケるかどうかで個人的評価が分かれますので、ここは仕方のないところかな、と思います。

 それから本作、ついにMCUでは初となる、なんでもありの「魔法」が登場してしまうんですよね。MCUはこれまで、様々な世界観を見せてくれましたが、その中でも一貫してリアリティを追求していました。MCUは1作目アイアンマンから、機械のアーマーを着て戦う科学者ヒーローという、現実にいてもおかしくないような現実味のあるヒーローを据えていましたし、ソーのような神々の話でも、宇宙人と地球の科学者の話、という展開にすることでリアリティを持たせていました。

 ドクターストレンジで登場した魔術は、魔法の一種といえばそうなのですが、書物に書かれたマニュアルに沿って、手順を覚え再現するという、どちらかといえば訓練によって培う技術的な側面が強いです。そのため、それまでのMCUとはまったく異なる世界観ながらも、リアリティが担保できていました。

 しかしながら今作、もはやなんでもありの魔法が登場します。ルーン文字を用いた魔法の封印など、技術的側面がないわけではないとは思いますが、ドクターストレンジの魔術に比べれば、かなりなんでもありの能力に思えてしまいました。なによりこの「魔法」のルーツが劇中で語られないので、リアリティを感じづらいんですよね。

 まぁおそらくはアガサハークネスで説明があるのでしょうけれど、MCUには珍しい、リアリティを超越したトンデモ能力が出てくるという展開についていけず、最終話付近はそこまでワクワクできませんでした。

 それから、あんなに黒幕感満載で出てきたアガサハークネス、実際はそこまで黒幕というほど暗躍していたわけでなかったですよね。そこも少々ガッカリポイントではありました。

 やはり一番の盛り上がりは、先述の4話か、もしくは人によってはクイックシルバーの登場した5,6話なのでしょう。順風満帆右肩上がり、とまでは言えず、少し惜しいところのある作品でした。

 

第8位

WHAT IF...?

 MCUでは珍しいアニメ作品。様々なバリエーションで、もしもの世界が展開される、非常に面白い作品となっていました。毎話毎話非常に楽しませていただきました。

 どの回も非常に面白く、単体作品としてはどれも楽しめたのですが、最終回付近でそれらのキャラが大集合すると、どうしてもキャラの魅力を比較せざるを得ず格差が出てしまいます。スターロードになったティチャラ、闇堕ちストレンジ、キャプテンカーターあたりが魅力的で、キルモンガー、ソー、ガモーラあたりは魅力がイマイチという感じ。

 単体作品としては面白いけれど、大集合を前提とした話として見ると、もう少し良いストーリー配置のやり方はあったのかなぁとも思う作品ですね。それからややバッドエンド展開が多すぎて、後半暗めの話一辺倒になっている、というのも損している印象です。あとマーベルゾンビーズの期待値が高すぎて、ちょっと期待には及ばなかった、というのもありますね。

 とはいえ、ハンクピム版イエロージャケットや氷の巨人ロキ、改心サノスなど、もしもの世界には様々な魅力的なキャラクターがいましたし、ストーリーもかなり楽しませていただきました。本編(アース616)に直接絡んでこないスピンオフ的作品で、これだけ魅力を持って上位に食い込むというのは、それだけで大健闘といえるのではないでしょうか。

 声優陣が豪華であったり、映画版ではあまり原作の強さを発揮できなかったウルトロンが大活躍を果たしたり、なによりチャドウィック・ボーズマンをこんなに沢山見られたり、とにかく毎週ワクワクさせてくれる、そんな作品でしたね。

 

第7位

ソー:ラブ&サンダー

 原作が名作と名高い話なだけあって、かなり楽しませていただきました。個人的にはジェーンフォスターまわりの展開がかなり斬新で好きな作品ですね。フェーズ4の「2代目がどんどん出て世代交代をする」というあるあるを打ち破ってきた感じが、非常に好みです。

 タイトル回収も見事でしたよね。ラブ&サンダーというタイトルがあんなに腑に落ちるとは思いも寄りませんでした。コメディ色が強いながらも、タイトル回収だけはしんみりさせてくれる、という手腕もお見事です。

 とまぁ褒めてきましたが、とはいえジェーンフォスターが死ぬのは悲しくもありましたね。映画でもかなり魅力的なキャラとして描かれていましたし、これからフェーズ4でヒーローとしてバンバン活躍していくと思っていただけに、早くも退場するのだとしたら、ちょっと惜しいキャラだなとは思いました。

 それから、ソーの映画では初となる、ロキが登場しない映画でしたよね。ここもまぁ、寂しくはありました。ロキ以外はほとんどオールスター大集合といっていいくらい、ソー作品のキャラが集結していましたからね、ここだけは少し残念。

 神々の国や色のない星、エターニティの登場など、壮大なスケールで繰り広げられる物語で、世界観の作り込みが見事でした。色んな神様が集まるオムニポテンス・シティは華のあるシーンでしたね。

 一方で、今作のテーマ「神殺し」について、やや不満な点もあります。それは、そもそも神様がどのような存在なのか、というのが非常に曖昧だということです。ソー1作目にて、実はソーら北欧神話の神々は、神ではなくアスガルドという王国に住む「宇宙人」だった、ということが明かされたわけです。しかし本作ではソーは「神」と呼ばれています。そしてアスガルド人の中にも、神とそうでない人間がいるらしいのです。ゼウスなどの神々の中には、人々の信仰心によって生きながらえる、そんな「ただの宇宙人」とはかけ離れた存在もいます。そして今作には、エターニティという、我々が想像する「全知全能の神」のような存在も登場します。結局、神殺しをテーマにした作品でありながら、「神」という存在について明確な定義づけがなされていないので、イマイチ作品に乗りづらい部分があるんですよね。本作は、「細かいことは気にするな、ノリでなんとかなる」みたいなムードが全編通してあるのですが、さすがに作品のテーマくらいは基盤がしっかりしておいて欲しかったな、と思います。

 また、本作はコメディ要素があまりに強すぎて、最後のタイトル回収のシーン以外はずーっと緩い雰囲気が漂っていました。コメディをやるにしても、締めるべきところはきゅっと締めてシリアスなムードにする、というのが大事なわけですが、前作ソー:ラグナロクに比べれば、それがあまり出来ていなかったように感じます。

 ソーの成長物語という意味でも、やはり前作ソー:ラグナロクが傑作であったが故に、多少見劣りしてしまう部分が多く、損してしまっている作品でしたね。作品としての完成度で、前作に明らかに負けているというのは、マイナスポイントですね。

 本作の悪役のゴアですが、名俳優クリスチャン・ベイルの高い演技力をCGで加工するのは勿体ないということで、白塗りということ以外は、ほとんど人間の格好をしています。これは単純に悪手だったと思います。まぁ確かにクリスチャン・ベイルの演技はその分しっかり味わえるのですが、ファルコン&ウィンターソルジャーのところで述べたとおり、やはりコミックの秀逸なヴィジュアルを潰してまでやることかといわれれば、そうでもなかったと思います。さすがにただの白塗りの人間は、ヒーロー作品の悪役としてはパンチが弱すぎる、魅力が弱すぎると感じましたね。

 まぁただ、エンタメ作品としてはかなり高水準を保った作品ではありますし、やはりジェーンフォスターまわりの展開の新鮮さも相まって、上位に推したい作品であることは確かです。今後のソーの活躍にも、期待ですね。

 

第6位

シャン・チー/テン・リングスの伝説

 フェーズ4で初登場を果たしたヒーローの中でも、シャン・チーは自分の中でかなり評価が高い方です。劇中ではその過去も丁寧に描かれ、魅力溢れるキャラになっていました。母の愛情と、父の強さをどちらも兼ね備えた、感情移入のしやすいキャラクターになっていましたね。

 アクション面が見事で、特に前半のバスでの戦闘シーンはフェーズ4でも1,2を争うほどの名バトルでしたね。MCU全体で見ても、トップ10には入ってくると思います。中盤の工事現場の足場を使った戦闘なども、非常にクオリティの高いシーンでした。

 アイアンマン3にて登場したトレヴァー・スラッタリーが久しぶりに再登場を果たし、魅力溢れるキャラとして登場しました。トレヴァー・スラッタリーはマーベルワンショットでも、テン・リングスの怒りを買うシーンがしっかり描かれていましたから、その後が描かれたのはMCUを追っている身としてはかなり嬉しいです。

 本作は後半でターローという村に舞台が移るわけですが、そこに住む生物モーリスと繫がりがある故に、いらないキャラにはなっていないですし、かといって主役や脇役らをくうほど出しゃばっていない、良い塩梅だと感じました。モーリスの見た目もシンプルに異様で好きですね。

 さて、まぁこの後半のターローが、この作品の賛否分かれるかなというところですね。個人的には、シャン・チーが体術を駆使して戦うその姿をもっと見たかったので、父のウェンウーとの戦いで、結局リングとリングを使った対決になってしまったのは、少し残念ではありました。リングを使って戦うヒーローというのは、確かに新しいと言えば新しいのですが、シャン・チーから体術を奪うというのは、結構な魅力半減なわけで。今後シャン・チーが体術メインで戦うのか、リングメインで戦うのか、それによってもキャラクターの好感度がかなり変わってきそうだなと感じました。

 後半のターローからは、竜が登場したり、魔物が現れたり、結構なんでもありの戦いで、中国の伝説っぽいといえばそうなのですが、カンフー映画としての魅力はやや落ちてしまいました。

 ケイティのキャラも、悪くはないのですけれど、駐車係が最終的にターローで弓矢で戦っているというのはさすがにやりすぎかなと。普通に終始一般人キャラで問題なかったと思います。ケイティ、シャーリンとヒロイン枠が2人いるので、そこも魅力が分散してしまってやや惜しいところかなと。

 肝心のテン・リングスですが、思っていたほど伏線回収はされずやや残念。テン・リングスは、キリアンがその名を借りて大暴れしていたアイアンマン3が印象的ですが、あれはあくまで偽のテン・リングス。しかしアイアンマンでのトニースターク拉致や、アントマンでの暗躍など、ところどころに本物のテン・リングスは登場していました。そのあたりの伏線も回収されるのかと思いきや、「歴史の裏でいつも暗躍し続けていた」というセリフだけであっさり流されてしまい、悲しかったですね。

 マンダリン自体、コミックでもアイアンマンと互角以上に渡り合うほどに強力なヴィランであり、テン・リングスも強力なアイテムなのですが、そのあたり設定がガラリと変わって、魅力が大幅に半減していました。ヴィジュアルも秀逸なものではなく、家族を持って戦線から一端退くも、妻を失って復讐鬼となるというのもあまり新鮮味はなく、「描写は丁寧な悪役」止まりだったのも惜しいところでしょうか。人気の高いヴィランなだけに、もう少し魅力を足して欲しかった、という気持ちはあります。ヴィランのヴィジュアルでいうと、レーザー・フィストやデス・ディーラーも、秀逸というほどではなかったですね。

 とまぁ若干の不満点はあるものの、特に前半のバトルシーンが秀逸で、プラスがあまりに多い作品なので、この順位としました。

 

第5位

ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス

 サムライミ節の強い、かなり楽しいエンタメ作品でしたね。まさかのワンダがヴィラン、ゾンビストレンジが敵じゃない、ヴィシャンティの書ではなくダークホールドが鍵になる、などなど、二転三転する物語が非常に楽しかったですね。

 本作初登場のアメリチャベスも、かなり良いキャラしていましたね。一歩間違えればただの小生意気なチートキャラになりかねないキャラですが、能力に発現し、親を失った過去が丁寧に描かれ、別のアースのストレンジにも裏切られる孤独な存在であったこと、最後には成長し、ヒーローとして覚醒するという、好きにならない要素がない、本当に良いキャラに仕上がっていたと思います。

 なにより、アメリチャベスのオリジンとしても秀逸な作品でありますし、なんでも自分でやりたがるドクターストレンジが最後にはアメリチャベスに委ねるという意味で、ドクターストレンジの成長物語になっているのも秀逸。さすがの手腕といわざるを得ません。

 MCUは、様々なバリエーションを持った作品があるというのが最大の強みだと思っているので、こういう、監督の個性が前面に出る作品は、かなり好みですね。

 とはいえ、多少の不満点はあって、まずはワンダ関連。正直ワンダの物語として見ると、イマイチだったかなという印象です。そもそもワンダ、ワンダヴィジョンの時から何ら成長していないように感じました。ワンダヴィジョンでは、ヴィジョンという大切な存在を失った悲しみから暴走し、一般市民を苦しめてしまうのですが、それではいけないと思い立ち、ワンダが自分で引き起こしたことに落とし前をつける、というお話になっています。そして本作ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネスでも、ワンダヴィジョンで大切な存在(家族)を失った悲しみから再度暴走し、人を苦しめ、改心し、自分で引き起こしたことに落とし前をつける、正直ただの焼き直しでしかありません。なんのためのワンダヴィジョンだったんだ、って話です。

 ワンダの現実改変、暴走については、もう既にワンダヴィジョンでやっていることですから、あえて本作で繰り返し同じような展開にしなくても良かったでしょうに。ヴィランにする必要もさらさら無かったです。

 それに、本作でワンダは、もう取り返しのつかないことを結構やってしまっています。かなりの人間を殺害していますし、ウォンを従わせるために人質を取るような真似までしています。こんな悪事を働いておきながら、次回作から何事もなかったかのように改心してヒーロー面されても困りますし、本作でワンダは死んだのでもう出ませんと言われてもそれはそれで不満が残ります。今後このキャラをどうしていくつもりなのか、やはりワンダまわりの描写は悪手でしかないと感じました。

 そしてもう一つが、ぶっちゃけカメオ出演が期待外れだったということ。これに関しては、本作が事前に持ち上げられすぎていた、というのもあるかもしれません。一時期はエンドゲーム以上のカメオ出演があるかも、なんて言われていましたからね。インヒューマンズのブラックボルトが出たときはかなり驚きましたけれど、それ以外は予定調和で終わってしまいました。

 なにより、タイトルがマルチバース・オブ・マッドネスなのに、あんまりマルチバース・オブ・マッドネスしていなかった、というのも残念ポイントではあります。序盤にアメリチャベスとドクターストレンジが一瞬だけ映るマルチバースをどんどん移動していくあの一場面くらいしかなかったですからね。全然、マッドネスはしていなかったと思います。もう少し色んなマルチバースを冒険する話かなと思っていたので、ここも少し期待外れ感は否めませんでした。

 と色々書きましたが、結局はドクターストレンジとアメリチャベスまわりがプラスで、ワンダまわりがマイナス、というのが大きいですね。アメリチャベスがかなりお気に入りのキャラなので、今後の活躍にも期待したいところですね。

 

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 さて、フェーズ4作品ランキングも残るは4作品となりました。個人的に、ここから紹介する4作品は、別格に好きな作品ですね。どれも名作といって良いんじゃないかなと思います。それでは、第4位から発表していきましょう!

 

第4位

ホークアイ

 ケイト・ビショップ、フェーズ4の主人公の中で一番の推し主人公になりましたね。彼女の成長譚として、非常に素晴らしい作品に仕上がっていたと思います。本作に登場するどのキャラにも魅力があり、ホークアイことクリントバートンの一家、2代目ブラックウィドウことエレーナ、ジャック・デュケイン、エレノア・ビショップ、LARPのメンバーたち、などなど、好印象を持ったキャラが沢山いた作品でしたね。

 ニューヨーク決戦にてホークアイに助けられた過去を持つ少女、ケイト・ビショップが、第一話からその弓矢の才能を遺憾なく発揮し、この導入がまずお見事。ケイト・ビショップがホークアイと絡む動機付けがまず出来ているのが良いですし、なにより他のヒーローとは違って、特殊能力を得たとかそんなんじゃなくて、本人の努力によって弓矢の達人になっている、というのも好印象ですね。スーパーパワーを持たない一般人が自らの知恵と努力を駆使してヒーローとなる、というのは、アイアンマンにも通じるところがあり、MCUらしいヒーローといえるでしょう。

 ケイト・ビショップとクリントバートンのコンビが本当に相性抜群で、次第にお互いを信頼し思いやり合うバディものとしても素晴らしい作品です。2人の日常での掛け合いも、かなり楽しいシーンになっていました。戦闘シーンでの2人の掛け合いもいいですよね。クリントバートンの様々な弓矢(トリックアロー)はどれも面白く、クリントバートンが弓矢の使い方をケイト・ビショップに教え、師匠としての役割を担うシーンにもなっていましたね。

 ケイト・ビショップの追っていた殺人事件と、クリントバートンが片付けようとしていたローニン時代の後始末。この二つが実は大本で繋がっていたのだと判明し、終盤ではエレーナ、そしてキングピンが登場します。

 エレーナは、既にブラックウィドウで結構好きなキャラになっていましたが、今作でさらに好きになりましたね。MCUにおいては新参者なのだけれど、ケイト・ビショップよりは年長者、という絶妙なポジションでありました。立ち居振る舞い、ケイト・ビショップとの掛け合いなどは、非常に魅力的に映っていました。それぞれのキャラが立っていたからこそできた掛け合いだと思います。

 キングピンも、Netflix版ドラマデアデビルと同じ役者さんで、カフスといったNetflix版の要素も取り入れた造形になっていました。また原作らしい怪力を遺憾なく発揮してくれ、ケイト・ビショップの良い対戦相手になっていましたね。「これ勝てないだろ」と思わせるくらい強いけれど、ケイト・ビショップが知恵を使ってできる限りのことをやって、ギリギリ倒せる。良いパワーバランスだったと思います。

 登場して早々ケイト・ビショップにやられ、さらにはエコーにも撃たれてしまうなど、その最後には、世間的には色々と賛否両論意見があるそうですが、私はあまり気になりませんでした。どうせなにやられたって死にはしないんですから、なにも心配せず再登場を待つとしましょう。

 最終的にケイト・ビショップが母親たるエレノア・ビショップを逮捕するという展開も、ケイト・ビショップの成長譚として素晴らしい物語に仕上がっていました。

 とまぁ色々と褒めてきたわけですが、ややマイナス点もちらほら。まずはエコー。彼女が、まぁあまり魅力がなかったというのが上げられます。義足はつけていましたけど、まぁ見た目は結構普通ですし、ヒーローもののヴィジュアルとしては平凡に感じました。やはりファルコン&ウィンターソルジャーやソー:ラブ&サンダーでも述べましたが、キャラクターのヴィジュアルの秀逸さというのは、かなり評価に影響するポイントです。

 それから、まぁそもそも話さないキャラですし、手話をしていてもそこまで感情が見えづらいキャラですし、というか役者さんの演技があまり上手いわけではないので(演技をするのは初めてだそう)、キャラとして魅力を感じづらかったですね。キャラクターとしても、クリントバートンの過去に関わりのあるキャラで、ケイト・ビショップと何か特別絡みがあったというわけでもないですし、最終決戦においてはカジと戦っている、蚊帳の外キャラになってしまいました。というわけで印象にも残りづらく、魅力の薄いキャラでしたね。あとまぁ、カジもエコーを止めるためのキャラっていう存在意義しかないので、印象の薄いキャラ止まりでした。

 エレーナまわりでも、残念ポイントがありましたね。というのもクリントバートンとの和解があまりにもアッサリ過ぎました。ナターシャとエレーナの間でしか分からないような秘密をクリントバートンが知っていたことから、ナターシャから信頼されていたんだと気づき、あっさり復讐をやめるエレーナ。え、そんなので復讐やめるのか、とちょっとげんなりしましたね。ブラックウィドウでヴァレンティーナにそそのかされ、いよいよ最終決戦、という感じだったのに、やっつけ仕事みたいにエレーナとクリントバートンが和解したのは、惜しいなぁと感じてしまいました。

 そんなにあっさり解決するのなら、話は変わってきて、つまり本作はキングピンとエコーがメインの敵で、エレーナはあくまでおまけみたいなものですから、もっとエコーを魅力的に描くことに注力すれば良かったのではないでしょうか。作品テーマとして重要なエコーが蚊帳の外で、作品的に重要でないエレーナが前面に押し出されているというのは、作品として見ると惜しい部分ではあるのかなと。

 と、幾分かマイナスポイントはあったものの、とはいえ主人公ケイト・ビショップの好感度が本当に高くて、ランキングでいえばこれくらい上位に来て然るべき作品だと考えています。エコーまわりとエレーナの和解がもう少し魅力的なら、文句なしの一位だったのになと、少し惜しい作品ではありました。

 

第3位

ロキ

 フェーズ4の中でも、かなり期待し楽しみにしていた作品。MCUに本格的にマルチバースの概念をもたらした作品であり、フェーズ4の中でも最も重要度の高い作品と言って差し支えないでしょう。さすがという他ない、名作でした。

 ヒーローもののドラマで、これだけアクションを少なめにして、会話劇のスタイルを取りながらも、魅力溢れる名作に作り上げるというのは、並大抵の人間に出来ることではありません。制作陣の手腕が光る一作でした。

 なによりもう、主人公ロキを演じるトムヒドルストンの魅力がもう、凄すぎます。本作はほぼほぼ、トムヒドルストンを愛でる作品だったと言っても過言ではありません。彼の話す台詞一つ一つ、動作の一つ一つがすべて魅力的に感じられます。

 そして、新たに登場した組織TVAの異様な世界観に引き込まれます。これまでのMCUであれほど重要な役割を担っていたインフィニティストーンを、文鎮のように扱う組織、というそれだけでもうヤバさが十分に伝わりますし、これからのMCUでは今までの概念が全く通用しない、ということを示してくれる良い描写でした。

 かなり技術の進んだ組織であるのに、なぜか紙の書類を主に使っていたり、どこか古めかしい雰囲気のあるTVA。職員の使うアイテムの数々にもどこか古くささがあって、そのギャップが魅力的に映っていたのだと思います。天井の低さもいい味を出していました。

 情報の提示の仕方が巧みで、見ていて「いったいなにがなんだかさっぱり分からない」ということにはならないけれど、でも先が読めない、という絶妙なラインで話が進んでいくのが良いですね。

 登場キャラも、余すところなく全員魅力的でした。というかこのフェーズ4ランキング3位以上の作品は全部そうですね。嫌いなキャラクターとか、イマイチはまらなかったキャラクターとか、1人もいませんでした。これってかなり凄いことです。

 特に推したいキャラは、メビウス分析官、ミスミニッツ、ヒーフーリメインズあたりでしょうか。他にも、実は機械仕掛けでハリボテだったタイムキーパーは、かなり造形が秀逸で好きだったりします。

 本作に登場した、様々な変異体ロキも見事でしたね。大統領ロキや、オールドロキなんかはかなり好きになりました。まさかコミックのあの古めかしいデザインのロキがそのまま出てくるとは思いもよらず、かなり驚かされましたね。他にも、自転車の持ち手が角になっているロキなんかもいて、バリエーション豊かで楽しませていただきました。

 3話のラメンティスの宇宙船が出る場所など、セットの作り込みがかなりしっかりしています。あんな少しだけのシーンで使うには勿体ないくらいの良いセットでしたね。でもそれを短い尺で使う。こういう太っ腹な感じ、好きです。

 BGMもかなり好みで、エンディングの曲は毎回続きを見たいとワクワクさせてくれる、良い曲だったと思います。とにかく作品の雰囲気作りが上手いんですよね、今作。

 最終話のヒーフーリメインズ(カーン、イモータス)の登場、これにも驚かされましたね。彼との会話劇には非常に引き込まれましたし、役者さんの演技力の高さも相まって魅力的なキャラに映っていました。サノスが物理的な力として強力なヴィランだったのに対し、カーンは概念として強い、という差別化がなされていたのもお見事ですね。

 今後シーズン2にて、カーン、シルヴィ、ロキ、メビウス、ラヴォーナレンスレイヤー、このあたりのキャラがどうなっていくのか、目が離せませんね。

 一応、多少のマイナスポイントとして数えたのは、予告と本編で内容が違う、という点。本作が公開されるまでは、「悪戯の神ロキが様々な時代に行って悪さをするお話」と紹介されていましたが、実際見てみると全然そんなことはありませんでした。ここは見ていてもやっとしましたし、さすがに今後のMCU予告詐欺が横行するとそれは良くない傾向だな、ということで、ここだけ減点してこの順位としました。ですがまぁ、作品だけ見れば申し分ない傑作です。

 途中で失速することがなく、終始ワクワクとした気持ちで楽しんだ作品でしたね。

 

第2位

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

 まさにスパイダーマン映画の集大成とも言える大傑作が、ここでランクイン。本当にめちゃくちゃ泣きましたし、めちゃくちゃ好きな作品です。本作についてはかなり濃密な感想記事を書いているので、そちらも合わせてご覧下さいませ。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム感想記事

igomas.hatenablog.com

 

 まずもって、スパイダーマンことピーターパーカーの成長物語として秀逸ですよね。先の映画でミステリオに正体をばらされたピーターパーカーが、あらぬ濡れ衣、誹謗中傷に遭い、そこから脱しようとあがくも事態は悪い方へと進んでいき、マルチバースから様々なヴィランを呼び寄せてしまいます。ヴィランの悲しい最期を知ったピーターは、メイおばさんの導きもあって彼等を改心させようとし、最悪の結果を招いてしまう。

 「大いなる力には、大いなる責任が伴う」というスパイダーマン史に残る名言が強く心に響きましたし、なによりここからの怒濤の展開が本当に素晴らしかった。3人のピーターの絡みは、最高の一言では言い表せない重みと深みがあります。

 どんなにつらい逆境に置かれても、なんとか立ち上がり、ヒーローとしての、親愛なる隣人としての使命をまっとうするピーターの姿は、実に輝かしいものでありました。最後にはMCUのキャラクターの中でも群を抜いて苦しい決断をすることになります。ラストシーンでのスイングは悲壮感がありながらも、どこか希望に満ち溢れた、そんなラストでした。

 成長を遂げたピーターが、今後のMCU世界で、どのような役割を担っていくのか、本当に本当に、目が離せません。

 グリーンゴブリンはかつてのトビーマグワイアスパイダーマン1の頃よりいっそうグリーンゴブリンしていましたし、懐かしきヴィランも勢揃いで、過去作を踏まえた小ネタもふんだんに入れられており、実に素晴らしい作品でした。

 ちなみに、ランキングを作るにおいては考慮していませんが、カットされた幾つかの映像が加わった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム THE MORE FUN STUFF VERSION』も見に行きました。本当にファン向けに作られた追加上映、といった感じで、見に行って良かったです。冒頭からスパイダーマンを演じた3人からのメッセージ動画が始まりますからね、かなりのファン向けといえましょう。

 世界からピーターパーカーが消える、というのがどういうことなのか補完してくれていましたし、本編では登場シーンの少なかったキャラが結構出ていました。追加シーンの半分以上はベティ・ブラントのシーンだったんじゃないかってくらい、ベティ・ブラントが出ていましたね(笑)

 ファン向けの作品ということで、恐らくMCU正史としては組み込まれないだろうことを考慮し、ランキングには影響していませんが、本当に見て良かったバージョンでした。

 惜しくも1位を逃した要因としては、コミックの「スパイダーマンワンモアデイ」の要素と、過去作スパイダーマンヴィラン勢揃いという要素を組み合わせたことで、かなり一つの映画で色々なことをする必要が出てきて、結果多少(ほんと少しだけなのですが)粗があった、ということが上げられます。

 たとえば、サンドマンは原作ではさほど悪いキャラとして描かれてはいないが、どうしてあんなにも易々と寝返ってしまったのか、ヴィランを治療したことで、ヴィランが帰った先のスパイダーマンの人生が変わってしまうのではないか、とかそういう所ですね。

 本当に些細な点ではあるのですが、特にサンドマンは本編とはやや性格が変わっているように感じられました。過去作のスパイダーマンヴィランを勢揃いさせるとなると、多少プロットを強引にせざるを得ない部分が構造的に出てしまって、少し順位を下げることとなりました。これはもうどうしようもない部分なのですけれどね、本当にここを考慮しないと1位と2位をつけることが出来ず、ランキングをつける以上、そういったことも加味しなければなりませんでした。

 まぁつまり1位は寸分も文句の付け所のない作品だったというわけで……

 

第1位

ムーンナイト

 MCUフェーズ4作品ランキング、栄えある第1位は、ムーンナイトです。おめでとうございます! 全編通して、一つも文句の付け所がなく、常に面白く、余すところなくどのキャラにも魅力があって、MCUとしてもヒーロー作品としても最高な、化け物じみた大傑作でありました。

 本作で展開される、エジプト神話をもとにした独特の世界観は実に魅力的で、あっという間に引き込まれました。セットの作り込みもしっかりとしていましたし、BGMも秀逸。

 ロキもそうでしたが、情報の提示の仕方がお見事。第1話で、博物館で働くしがない職員スティーブン・グラントが、自身が多重人格者だと気付くまでの流れが丁寧で秀逸でした。第2話でのレイラの登場、第3話からのエジプト神の登場、第4話の墓の冒険、そして謎の病院からタウエレト登場にはじまる、不思議な世界への導入、第5話でスティーブンの過去が描かれ点と点とが線で繋がり、第6話での圧倒的なフィナーレ。常にワクワクする要素がふんだんに詰め込まれていました。

 情報の提示、ワクワクする要素の詰め込み、登場人物の掘り下げ、すべてのシーンでこの3つが同時進行で達成されているというのが、本当に訳が分からないレベルに最高です。

 ムーンナイトは、フェーズ4らしい要素もしっかり盛り込んだ作品になっています。アメミットの考え方である、「悪人が悪事を働く前に罰する」というのは、現状の自分ではどうしようもないことで存在を消されるという点で、自由意志を否定するドラマロキの剪定とも親和性のあるテーマです。またフェーズ4ではアメリカ以外の国々を描くことにも力を入れていますが、本作は特に舞台がロンドンやエジプトなど今まで全く焦点が当たらなかった国々が出てきています。フェーズ4ではヒーローを人種性別関係なく多様化させるという要素があり、本作ではエジプト女性ヒーローのレイラがその役を担っています。他ドラマと異なりあまりもったいつけた登場をさせず、自然に作品に溶け込んでいるのも好印象ですね。

 この記事では何度も、コミックキャラのヴィジュアルの秀逸さを実写で崩さないようにすることが大切だ、ということを書いてきました。ヒーローもの、アクションものの敵キャラクターは、魅力的なヴィジュアルでなければならない、というのが鉄則です。

 その点で言えば、本作に登場したヴィラン、アーサーハロウは、特にヴィジュアル面で強烈な特徴があるタイプのキャラではありません。にもかかわらずこのキャラだけは例外的に、十分魅力あるキャラに描かれていました。

ひとつには、まず本作ムーンナイトが、アーサーハロウのシーンからスタートする、というところに巧さがあります。壊したガラスを靴にいれて歩く、というこのシーンだけで、何かしらの神を信仰する人物なのだと視聴者に印象づけ、一気にムーンナイトの世界観に引きつける役割を担っています。最初の描写がなく、スティーブンの物語だけを追っていれば、アメミット信仰の世界観に入り込むのはもう少し後になってからだったでしょう。MARVELのロゴが出るより先にこの描写を入れたのは、名采配と言わざるを得ません。

 また、アーサーハロウの思想は、劇中にて丁寧に描かれていました。常に彼は信奉者とともに行動しており、彼の行動指針に心から賛同する信奉者が多かった印象です。ファルコン&ウィンターソルジャーのカーリモーゲンソーには常に危うさがあり、仲間からも不信感を抱かれるも強引に作戦を進めていた印象ですが、アーサーハロウにはしっかり慕われるだけの下地と信念があります。実際、第2話ではアーサーハロウによって”平和になった”街が描かれ、人々を恐怖心から支配しているのではないことが分かります。

 そんな、人々を心から従えるようなキャラクターだからこそ、魅力的に感じ、また若干のカリスマ性さえ感じます。演じるイーサン・ホークの落ち着いた語り口調、ゆったりとした足取りも、良い味を出していますね。物語の最初期にはホラー担当かのように視聴者に畏怖を与えていたコンシュに対し、手のひらの上で転がすように、余裕な表情で接する姿は印象的でした。

 そして、落ち着いた態度からは一転、スカラベを手に入れるためならば魑魅魍魎をも操りけしかけ、エジプトではマークをあっさりと銃殺するほどに、冷淡さを垣間見せていました。そして最後には杖から得た力なのか、異様なまでの強さを発揮していました。普段とのギャップが、いいメリハリになっていたと思います。

 そんなわけで、ヴィジュアル面でいささか秀逸さには欠けるものの、しっかりと丁寧にキャラ描写をし、魅力的に描いたために、アーサーハロウは魅力的なキャラとして映っていましたね。そもそもコミックのアーサーハロウ自体が、ヴィジュアル面で秀逸なキャラというわけではないので、実写化する上でヴィジュアルの魅力が落ちて残念、みたいなことにならなかったのも一因かもしれません。

 さて、ヴィランとなるアーサーハロウ以外にも、先にも触れたコンシュなんかも、いいキャラしていましたね。最初はおどろおどろしい登場の仕方をしましたが、物理的な力を行使できないと分かると、一気にマスコットキャラなみに可愛くなりました。終盤ではスティーブンの交渉に乗る始末。しかし、やはりエジプトの神というだけあってか、星空を操る能力など、至る所でその実力を垣間見せ、最後にはジェイクロックリーを味方に引き入れアーサーハロウにトドメを刺すなど、しっかりやることはやっているあたり、格落ちしていないのもいい塩梅です。

 結局の所、コンシュは終始自分の目的のためにスティーブン・グラントとマークスペクターを利用していただけですし、シーズン2以降はジェイクロックリーと組んでさらにスティーブンとマークを苦しめる存在になるでしょうから、実質ヴィランといっても良いかもしれません。そう考えると、結構悪役として見てもいいキャラしていたと思いますね、コンシュは。

 レイラも、非常に魅力的なキャラでした。本作のヒロインということで、主役を食いすぎず、スティーブンやマークを思いやる優しいキャラとして好意的に描き、その上でしっかりと芯のある女性に描いており、MCU女性キャラの中でも1,2を争うほどに好きなキャラですね。ちなみに彼女と1,2を争っているのはケイト・ビショップ。

 主人公のスティーブン、マーク、ムーンナイトも、言わずもがな魅力的なキャラでしたね。先に述べたとおり、物語の謎がどんどん解き明かされていく中で、スティーブンとマークの過去・性格・人柄、そしてムーンナイト誕生の秘密が丁寧に描写されていきます。本作のテーマはスティーブンとマークという二つの人格の和解であり、それを達成するために必要な描写を、本当に丁寧に余すところなく詰め込んでいます。最終的な結論が「人格の融合」でないのも(ヒーローものという観点から見れば)ポイントが高いです。

 スティーブンとマークとで、ムーンナイトの見た目に差が出るのも良かったですね。スティーブンはスーツ、マークはヒーロー然とした姿なのも、性格を良く表しておりお見事。それに、それぞれのデザインが本当に秀逸です。アーサーハロウはヴィジュアル面でさほど秀逸ではないと先に述べましたが、その分を全部取り戻してその上まだおつりが来るぐらい、このムーンナイトのヴィジュアルは本当に秀逸でした。一歩間違うとただの包帯人間ですからね。それをここまで仕上げたのは、お見事です。シンプルに纏まっていながらも、止まっていても格好いい、動いても格好いい、素晴らしいデザインだと思います。それぞれの形態で武器が異なるというのも、いいですね。

 ということで、第1位のムーンナイトでした。本当に、どれを取っても秀逸で、フェーズ4の作品群の中では圧倒的な完成度だったと思います。これだけ満足感の高い作品に出会えるなんて、幸せ者です。

 

まとめ

 というわけでMCUフェーズ4作品ランキングでした。ランキングを見ていただければ分かるかとは思いますが、全体的には、ワンダヴィジョンから右肩上がりで面白くなってゆき、ホークアイスパイダーマンノーウェイホーム、ムーンナイト、ドクターストレンジマルチバースオブマッドネスあたりでピークを迎え、後は右肩下がりだった、という印象のフェーズでした。

 フェーズ4は風呂敷を広げるフェーズだったということもあり、フェーズ3までの伏線を回収するというよりかは、伏線をはるということに重きを置いていた印象です。そのため、ややフェーズ3からの流れを感じにくい部分もあったり、そもそも作品同士が絡むことがないので繫がりがあまり見えなかったりと、やや悶々とした気持ちで見なければならないフェーズではありましたね。しかしまぁこれだけ伏線を張ったのですから、フェーズ5以降ではどんどん回収されてゆき、大きく広がった風呂敷も適切にたたまれてゆくのでしょう。それはもう、フェーズ3までをまとめ上げてきたケヴィンファイギの手腕を信じるしかありません。MCUがこけるかこけないか、真に分かるのはフェーズ5です。心して、楽しみに待ちましょう。

 それではまた、次の記事でお会いしましょう、igomasでした!