igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンデッカー18~20話感想 秀作凡作わんさかと

 皆さんこんにちは、igomasです!今日も今日とて、デッカー感想です! 今回は18~20話です。18,19話では、アガムスが再来し、ヤプール登場にトリガー登場。また色々とやっている2話ですね。20話は、久しぶりの田口監督回。ラゴンを扱った一作です。それではさっそく、見ていきましょう!

↓前回のデッカー感想はこちら

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【18話感想】

 今回は、監督が坂本浩一監督、脚本がハヤシナオキ氏と、いわく付きのコンビ。というのも最近、トリガー本編やデッカー7,8話など、結構やらかしているコンビであります。該当記事を見返していただければ分かるかと思いますが、セリフがいちいち引っかかるというか、違和感のあるものになっています。

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 作中でのノイズがあまりに多いために、戦闘シーンもどこかもやもやとした気持ちで見なければならず、結果ヒーローが格好良く見えないという悪循環に陥っていました。そんなわけで、最近のお二方の仕事を見ていると、天地がひっくり返りでもしない限りあまり面白い回は見込めないかな、不穏だな、と思って見たのですが、

 天地がひっくり返りました。普通に面白い回でした。

 やっていることは結構シンプルなんですけれど、特に気になる箇所がなかったので、すんなり楽しめる、そういう回になっていました。所々小技も効いていて、いいなと思う部分の多い回でした。以下書いていきますね。

 冒頭、アガムスが再び登場、TPU隊員としてスーツアクターの岩田栄慶さんも登場。歴代の数々のウルトラマンスーツアクターを務めた上、最近ではジードのゼナ先輩としても有名ですよね。こういうカメオ出演、結構好きですね。前回記事のナイゲルの回にも、監督がカメオ出演していたみたいです。

 さて、そこへ現れたのは、なんと昔の見た目のヤプール。最近登場するヤプールは、お馴染み巨大ヤプールばかりだったので、こういう昔の姿で登場するのは、結構好きですね。ペダン星人も、大怪獣バトルの見た目も良いけど、たまにセブン版の見た目のも見たくなる、そんな感覚に近いです。

 そしてそんなヤプールに使役される形で、ニュージェネで出るのもう何回目だよってレベルでかなり出てる超獣アリブンタ、またも登場です。正直超獣の中でも、アリブンタはかなり見飽きた節があります。さてアガムスとヤプールは、協力関係に立ちます。

 今回、ちょっといつもに比べてセリフは聞きづらい印象があります。最近の坂本浩一監督回あるあるな気がしますね。

 任務中、悩ましげな顔をするカナタに、声をかけるリュウモンとイチカ。カナタは未来人デッカー=アスミに、アガムスを救ってくれと言われたことをずっと気にかけており、「自分たちのことを心底憎んでる相手を救うって、戦うより大変だなって」と発言します。

 そうだね、と2人が納得するのですが、このシーンは少し首をかしげてしまいました。そもそも2人とも、あまりにあっさり、何の引っ掛かりもなくアガムスを救うことを受け入れてるのは何故なんでしょう? 一応、スフィアを地球に連れてきた、一連の騒動の大元凶なんですけども。地球が今まさに滅びようとしている、直接の原因なんですけれども……
 事件の根幹をなしてる元凶は救って、元凶のせいで呼び出された怪獣(デスドラゴとか、ライバッサーとか)は滅却、がなんの説明もなく当たり前の大前提として話が進んでいくのは、少し心に引っ掛かります。ケンゴを引き合いに出してカルミラの件を正当化するのも、そういうところ気にしてないから出る描写なのかなと。やや説得力に欠けるシーンになってしまいました。
 アリブンタに襲われて、「私、狙われてる!?」と発言するキリノそりゃ怪獣なんだから目の前に銃持った人間がいたら狙うでしょ。わざわざ入れる必要のないセリフを入れてしまうあたり、坂本ハヤシコンビって感じです……まぁこれくらいの違和感ならまだいいですけれど。
 アガムスを追いかけるカナタを静止してビンタしてまで本物か確認するイチカ「よかった本物だ」じゃないよアガムス逃して何やってるんだか……完全にイチカ、戦犯です。あの、何度も言うようですけど、曲がりなりにも本作の元凶ですからね? 元凶追いかけてる仲間の前に立ち塞がって、逃がしてしまうなんて、防衛隊員としてどうなんだって話です。
 さてここから特撮パート。戦闘滅茶苦茶いいですね。

 CGの使い方も見事ですし、アリブンタも結構多彩に技を使っていました。格闘戦もしっかりやってくれていますし、ちゃんとウルトラマン格好良かったです。
 デッカー基本3モードとダイナミックモード、全モードにちゃんと見せ場を作っていました。後半戦は取り敢えずなんでも新形態に頼りがちなので、3モードにも活躍の場を設けているのは素直に嬉しいです。テラフェイザーを、基本3モードで倒せるようになっているのも、成長を感じ微笑ましかったです。
 今回、一番小技が効いているなと感じたのは、超獣とアガムスが共闘関係にある、という点。10話、11話あたりで言及されていたように、野良怪獣はスフィアとテラフェイザーを同族とみなしているわけで、これが「野良怪獣とテラフェイザーが何故か共闘してる」みたいな展開だと、矛盾してしまいます。

 もちろん、テラフェイザーとスフィア合成獣を共闘させる、というのも一つの案ではありますが、その一つの案だけでやっていると、アガムス回は全部スフィア合成獣が出るという事になってしまい、絵面が似たものになってだんだんと見る側が飽きてしまいます(実際デッカーの15,21,23話とかはそんな感じで絵面が似通っています)。

 また、アガムス自身がなにか、スフィア合成獣ではない一般怪獣を使役する、という展開にするとしても、それは今までのニュージェネヴィランと全く変わりなく、これも絵面が似たようなものになってしまいます(まぁ22話でこの展開やってるんですけどね)。

 そこで登場するのがヤプールと超獣です。超獣を使役するヤプール、という別の勢力を登場させ、アガムスと共闘させる。バリエーションの一つとして上手く機能しています。

 ということで、18話感想でした。良い回という割には結構ツッコミを入れているじゃないか、と皆さん思われたかもしれませんが、逆に言えば上に挙げた点以外は、あまり気になるところはありませんでした。今回ばかりは、結構厳正に、すべてのセリフを一つ一つ丁寧に吟味させていただきました。その中でも上記くらいしかツッコミどころがないというのは、坂本・ハヤシコンビにしては、というかデッカーの諸監督の中では、上手くやっている方ではないでしょうか。まぁそんなわけで、普通に良い回でした。

 

【19話感想】

 18話の最後で、ヤプールに欺されたカナタは、宇宙へ飛ばされます。スフィアに襲われていたところを、トリガーに助けられます。またもトリガー回ということで、早くも不穏な空気が立ちこめている、坂本・ハヤシコンビ回です。

 えっと、冒頭から結構気になっているのですが、何故TPU月面基地にルディアン、レギオノイド、キングジョー、ギャラクトロンMK2がいるのでしょう? キングジョーはともかくとして、他は全部、出自が色々と面倒なロボットばかりです。なぜよりにもよってこの選出なのか。まぁ、円谷としてはもうこの4体以外に倉庫にロボット怪獣のスーツが残っていないということなのかもしれませんけれど、それにしたってこんなに出自の面倒なロボットばかりにしなくたっていいでしょうに。

 本編では語られないものの、制作段階では納得にたり得るしっかりした裏設定があるんでしょうね、制作陣の皆さん? 特にルディアンなんて、どうしてデッカー宇宙の月にいるのか、どれくらい裏設定を練ったのか小一時間ほど問い詰めたい気分です。こういう一つ一つがノイズです。

 アキトの定番セリフ”ウザい”から、ガッツセレクトのシーンに繋げて、隊員たちがカナタのことを怪しむみたいなシーンを入れています。7話のトリガー編でもありましたが、蛇足コメディパートだったかな、と思います。少し助長に感じました。そもそも7話の記事でも触れましたが、ウザいというセリフ自体、良くないので、それと絡める展開もあまり好みではありません。

 カナタとケンゴが現状について語り合うのですけれど、カルミラまわりというか、7,8話が全体的にダメダメなせいで、それを引き合いに出す今回にもあまり説得力がありません。

 月の警備ロボット「ゾンボーグ兵」との戦闘シーン。それ自体はまぁ、いいと思います。それはそれとして臨戦態勢にあって親のビデオメッセージを見る無神経な展開はどうにかならんのか。

 特にビデオメッセージの内容で、何かカナタが成長する要素があったわけでもなく、作品構造的な視点から見ても、ただのカナタの精神安定剤的な役割をするだけのビデオでした。全くいらないシーンです。あんたがそんなビデオ見てる間に、ケンゴが結構大変なことになってるんですけど。さすがにタイミングってものがあるでしょうに。どう考えてもここの展開は、脚本が酷すぎると感じました。
 再びゾンボーグ兵との戦闘シーン。カナタのセリフ「俺は、どんな時でも諦めない」これもちょっと的外れなセリフでした。いや、今この場面、何か諦めるような要素ありましたっけ? セリフがいちいち、引っかかります。
 スフィアソルジャーは、ギャラクトロンMK2の残骸を使って暴れます。ギャラクトロンMK2、最近は結構序盤で倒されることもあり、ちょっとだけ強い怪獣、程度の認識。なのでトリガーとデッカーの2人がかりで戦うような強敵感は、正直感じられませんでした。デッカーも既にダイナミックタイプを取得していますし、やはり敵としては格落ち感が否めませんでした。見ていてあまりワクワクしませんでした。

 ウルトラマンZでのゼット、ジード、ゼロの3大ウルトラマンが並び立つ回では、セレブロがスカルゴモラ、サンダーキラー、ペダニウムゼットンを乗り回していました。それぞれの怪獣自体はそれほど強くはないものの、属性や能力を変えながら戦うというセレブロの戦闘スタイルがチートじみていたからこそ、3大ウルトラマンの共闘が燃えたわけで、今回の怪獣にも、そういう工夫があればいいな、と思いましたね。

↓該当記事はこちら

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 ケンゴは、もうこれしか言うことないのかなってくらいまたも「皆を笑顔にしたい!」の一辺倒なかたわら、カナタはデッカー=アスミとの約束やアガムスとの戦いを踏まえてのセリフなので、セリフの重みがだいぶ違います。ケンゴももう少し、他のセリフも言ったらいいのに。ほぼbotみたいになっていて、嘆かわしいです。

 まぁそんなわけで19話でした。今回、カナタがケンゴに会って何か特段成長したということもなく、まったくもっていらない話だったと思います。前回のラストで普通に幕引きにせず、ヤプールがデッカーを宇宙空間に連れ出したのは、完全に蛇足でしかありませんでした。

 一応、のちのちリュウモンがカナタを訝しがるエピソードの一つとして拾われはするのですが、まぁ別にないならないで良かった回でしたね。わざわざ先輩ウルトラマンを出したにもかかわらず、なにも学ぶことがなかったという、意味不明な回でした。

 

【20話感想】

 さて、久方ぶりの、田口清隆監督回。デッカーは20話以降の最終盤で、田口監督、辻本監督、武居監督と、実に盤石な布陣で臨んでおり、制作陣の本気度が伺えます。

 冒頭、ラゴンに遭遇して叫ぶおばさんの絶叫を背景にOPが始まります。OPが始まっても悲鳴が聞こえてるの、いいですね。こういう演出好きです。

 今回、びっくりするくらいセリフが聞きやすいですね。

 場面転換する時の画角もどれも良いです。レジが開いて振り子時計が揺れる、これだけでいい画になっています。さすがは田口監督。正直、デッカーにて武居・根元コンビが誕生し、他にも幾人か良い監督が出始めており、田口一強時代ではなくなってきている状況で、少し心配して見ていたのですが、杞憂でした。しっかり田口監督らしさの詰まった一話になっています。

 横軸展開の物語でありながら、イチカの入隊前の人物像をさらに掘り下げています。イチカは世界中を旅する少女だったのだそう。どんな人ともすぐ打ち解け、色んな世界に興味を持つイチカらしい過去で、キャラに深みが増しています。ルーブのグエバッサー回の時に、田口監督、「単体作としてはいいけどキャラの掘り下げが一切ないのがネック」とよく言われていたのですが、かなりキャラ描写良くなったなぁと思いますね。

 今回登場する怪獣は、ラゴン。浦澤老人の語り口調や民家内の雰囲気も相まって、魅力的な怪獣に描かれていました。羅権衆の不思議な衣装や儀式、封印のための場所である海女の岩戸、荒神としての立ち位置など、デッカー独自の新設定ももりだくさん。副隊長は古代の伝説などを引き合いに出し、ラゴンの生態を深掘りしていきます。ラゴンは、かなりニュージェネ作品にはよく登場している怪獣で、正直ラゴンはもう見飽きていたのですが、こうも新怪獣の如く生態分析をしっかりやり始めると、見入ってしまいます。

 ラゴンの粘液らしきものから生態サンプルをとったり、成分を分析したり、伝説を調査したり、実に堅実に怪獣ものを進めており、面白い回でした。

 さて、街に現れたラゴンは浦澤老人の変装に過ぎなかったのですが、そこへ本物のラゴンが登場。デッカーとの戦闘が始まります。ラゴンは別に強い怪獣ってわけでもないのですけれど、デッカーがぬめぬめした粘液に苦戦することで絶妙に良いパワーバランスにしているのも、田口監督らしい小技が効いているなと思いますね。

 ここからの展開なのですが、イチカが海女の岩戸に封印されそうになる浦澤老人を止めるカットは、少しムムッ?と首を傾げてしまいました。ここまでの流れを見ていると、浦澤老人はずっと、「子供の頃に会ったラゴンと、また会いたい」と願い続けており、浦澤老人にとってはラゴンと過ごすことが何よりの望みなのでは?と思ってしまいました。だからイチカが浦澤老人に、あそこは人間が行くような所ではない、ラゴンと一緒に行ってはいけない、と止めるのですが、それってスフィアによって仲間と分断された自分の境遇を勝手に重ねているイチカの、個人的な願望に過ぎないのでは?と思ってしまい、ここが見ていて少し引っかかりました。

 が、ラストシーンで、その後もイチカが浦澤老人のもとを尋ね、和気藹々と話している様子が描かれ、このシーンでそういった疑問もすべて払拭され丸く収まります。

 浦澤老人は結局のところ、別にラゴンと過ごしたかったのではなく、ただ単に独りで生きることが辛かっただけなのでした。イチカという友達を得た浦澤老人は、生き生きとした表情で映っており、イチカの存在こそが鍵であったのだ、ということが示されて物語が幕を閉じます。最後のシーンがあるのとないのとで、本作の説得力はかなり変わっていたでしょう。こういう押さえのシーンを入れてくるのも、さすが田口監督だなと感じました。

 まぁ逆に言えば、最後のシーンを見るまでは、上記のように、イチカのひとりよがりなんじゃない?と疑問に思わせノイズを作ってしまう点は、本作の唯一の欠点でありましょうか。

 田口監督で感動回というと、ウルトラマンギンガSの「ガンQの涙」が筆頭に上がりがちですが、あの話より、今回の話の方がはるかに良く作っていたと思います。セリフの一つ一つや描写が非常に丁寧で、お見事でした。

 

 ということで、18,19,20話でした。18,20話は、どちらも次回予告を見たときに、あんまり良い回にはならないかもなぁと懸念していたのですが、いやはや、杞憂でした。ここからデッカーはさらに終盤戦に向けてギアを上げていきます。私も制作陣の熱量に負けないよう、記事をバンバン更新していければと思います。

 それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!