igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンZ第7話感想 振り切った客演回

 皆さんこんにちは、igomasです。毎度のごとく各話感想、今回はウルトラマンZ第七話です。読者の皆様のおかげで、本ブログ、まさかの1日だけで100アクセス突破するという快挙を成し遂げました。本当にありがたいことですね。自分の発言が少しばかり影響力を持ち始めていることを感じ、より一層丁寧な記事づくりを心がけていきたい所存であります。

 それでは、第七話感想、やっていきましょう!

《本編を見る前に・ウルトラマンゼロ

 第五話にてジャグラスジャグラー、第六話にてウルトラマンジードと、次々劇薬を投入し、第七話では、ついに最大の劇薬・ウルトラマンゼロが登場します。今回も、作品に大きな影響を与える劇薬を、どう落とし込むかは非常に重要です。劇薬の扱いについては、第五話感想で述べましたよね。 

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  ただし、今回の劇薬・ウルトラマンゼロは、他二人と比べて、なお一層のこと細心の注意を払って臨まねばなりません。というのも、ウルトラマンゼロは、その歴史が長く、またとてつもなく強いからであります。

 ウルトラマンゼロは、10年以上活躍する大人気の戦士で、未だに主役なみにバリバリ現役です。最初は、ウルトラ銀河伝説で登場。この映画では闇のウルトラマン、ベリアルが初登場し、歴戦のウルトラ戦士20名、他のウルトラ戦士も含めればその数倍の数のウルトラマンを全員倒し、光の国を滅ぼします。ベリアルは100体の怪獣軍団を引き連れますが、そのほとんど+ベリアルをたった一人で全滅させたのが、初登場のウルトラマンゼロ。最終的に、ウルトラの星全体を動かすエネルギー源のパワーを得ます。パワーインフレが、凄いw 以降も、チート級の伝説ウルトラマンから多次元宇宙を行き来する能力を授かったり、宇宙一つ支配したベリアル帝国を殲滅したり、数百体のロボット怪獣をなぎ払ったり、宇宙のあらゆる生命と地球の全生命体を喰って誕生した究極生命体を倒したり、時間を巻き戻したり(今回もやってましたね)、宇宙全体に進出する敵ギルバリスの最終武装形態を倒したり、もうなんていうか、ヤバい。これだけ活躍し、また過去作再放送番組の『ウルトラマン列伝』でも司会をずっと務めていたわけですから、非常にキャラが練られているんですよね、ゼロって。初期は若さゆえの荒々しさがあり、思慮に欠けていましたが、今では多くの後輩を育成・サポートする先輩ポジションになったこともあってか、戦況を把握する能力に長け、慎重かつ適切な采配をすることができるようになってきました。もちろん荒々しさは健在なのですが、若さゆえの浅はかなものではなく、実力に裏付けされた個性として確立しているのが面白いところ。ゼロを扱うには、上記の「強すぎる」部分と「キャラが立ちすぎている」部分両方に注意深く目を向けなければならず、他の劇薬とはわけが違います。

 この点を、どう上手く落とし込んでいるかが、今回の見所の一つになるでしょう。

 

《第七話》

 さて第七話、冒頭からちょいやらかしウルトラマンゼロが、ブルトンに飛ばされた異次元から脱出するため、シャイニングウルトラマンゼロの力を使うところですね。まぁ、「他人に脱出を助けてもらう」とかよりは全然よいのですが、とはいえブルトンごときに百戦錬磨のゼロがシャイニングの力まで使う、というのは少しばかり魅力を削いでいる印象。ここら辺の細かい気配りまで出来ていれば、より上手い作劇が出来るようになってくる気もします。

 さて、ストレイジ司令室でのシーンからスタート。朝倉リク、冒頭から爆食いジードテレビ本編での星雲荘のシーンを思い出し、和みます。各々のリクに対する反応も、これまで積み上げてきたキャラ像に合ったもので、丁寧。オオタユカ隊員の「なんであのロボット怪獣のコアと戦ってたの?」という台詞から、リクがなぜストレイジ司令室にいるのかも想像がつきますよね。説明調にならず、自然な会話から経緯を伝える、という作劇は、なかなか出来るものではありません。上手い。それからこのシーンは、オーブ・ジードオマージュの利いたセリフまわしが非常に素晴らしく、ヘビクラ隊長の「いろいろな怪奇現象に関する情報を動画サイトに上げる」というフォロー(SSP)、チャンネルAIB、風来坊(オーブ)の各台詞が鮮やかに繫がり、「風来坊ね」とライバルに思いを馳せるヘビクラ隊長。なんだ、こんな芸当出来るんか、坂本監督、脚本の林さん。ここ2話で、かなり評価が爆上がりです。

 そこへ、「本部からの要請で朝倉リクを連行しにきた」と言う謎の二人組を、ヘビクラ隊長が蹴り飛ばし、バリスレイダーとの戦闘シーンがスタート。ジャグラー、かっこいい。第七話は、ヘビクラ隊長にしっかりジャグラーらしさを見いだせる描写が多く、かなり好みの作劇。バリスレイダーも、ジード劇場版では戦隊ものの雑魚兵士みたいな扱いの雑さでしたが、今作ではしっかり強めの戦闘員として描かれており、魅せ方も上手くなっているなと感心しました。

 オオタユカは、バリスレイダーを調べ朝倉リクの居場所を探しだし、ハルキは「リク君先輩」と言って、リクを心配する……わけなのですが、果たしてストレイジの面々の前で、リク君先輩、と言っていいのでしょうか? 「先輩」というのは、ウルトラマンとしての「先輩」を意味するわけですが、見るからにリクとハルキではハルキの方が年上で、リクに「先輩」呼びするのはおかしいでしょう。ナカシマヨウコやオオタユカに突っ込まれたら、どう言い逃れするつもりなのか。ここの台詞まわし含め、各所の「リク君先輩」発言は、もう少し推敲すべきであったかと。

 場面は変わり、リクからベリアル因子抽出のシーン。リクの、「ベリアルを、安らかに眠らせてやってくれ」とか、「父さん……」とか、テレビ本編を経てのリクの思いがしっかり表れており、丁寧。本編のシーンを実際に見せることで、初見にもできるだけ分かりやすく、という姿勢が見え、評価できます。あと、前回提示したノルマ「リクの父親がベリアルってことをどこかで説明する必要がある」をサラッとこなしましたね。

 カブラギシンヤは抽出したベリアル因子(結構量多いなw)とデビルスプリンターを合わせ、ベリアルメダルを生成。前回既に生成していた怪獣メダルと合わせ、暗躍を開始します。

 ストレイジでは、未だバリスレイダーを解析中。ハルキのまだですか発言に、オオタユカの「焦りは禁物。今は天才ユカさんを信じて待ちなさい」と返すカットがかっこいい。でも、と言い、ハルキの「リク君先輩に協力すると約束した」発言。う~ん、誰も突っ込まない(笑)

 リクの居場所が判明し、ハルキ、ナカシマヨウコが出動します。後に続いてヘビクラ隊長も出陣。まぁ、ジャグラーならリク救出のため出陣するのが普通なので、納得。ここから、バリスレイダーとの戦い。ここでも強キャラ戦闘員としての描写が光ります。「ウルトラ緊急事態だ。お前の体を借りるぞ」と、等身大で登場したゼット。なにげに、オリジナル形態初変身シーンですね。等身大ならではのかっこいい戦闘を見せ、枯れ専のヨウコはゼットにメロメロだ! ちょっとコミカルな展開は、まぁこれはこれでいいかも。ジャグラーも参戦し、リクを救出……ってえ、ハルキとナカシマヨウコ、来る意味あった? もちろん、一般市民を守る防衛隊として二人が出動するのは当たり前なのですが、ジャグラーが強すぎるために、あまりに無力な二人。せっかく頑張って戦闘員を倒したのに、結局ジャグラー一人でなんとかなると分かってしまえば、なんというか、拍子抜け。Z様にのろけて作戦放棄ぎみなナカシマヨウコと、「ヨウコ先輩作戦中ですよ」と武器を渡すハルキのところに、リクがやって来て、ナカシマヨウコが「自力で脱出したんですか?」と尋ねるシーンなんて間抜けもいいとこで、ハルキとヨウコのプロ意識のなさも相まって、良くない見せ方。

 ではどう見せればよかったのか。ここが第七話考察のメインになります。要点をまとめると、ハルキとヨウコは一般市民を守る組織として、リクを救うため出動せざるを得ない。ジャグラーは、戦友のリクを当然助けるポジションである。だから作品構造上ジャグラーも出動せざるを得ない。ジャグラーとハルキ・ヨウコでは、戦力差がありすぎるゆえ、先にジャグラーが駆けつけリクを助けるのは必然。よってハルキ・ヨウコのもとへリクが現れ、「自力で脱出したんですか?」という間抜けな台詞が入るのも必然。そう、実は、物語にジャグラーを組み込んだ時点で、この展開は避けられないのです。これこそが、今作の問題である、「回避不可能な構造上問題」。設定を考えていくと、どこかでどうしても齟齬が出てきてしまう、というのは、今作に限らず作品作りでは日常茶飯事におこる問題です。

 この問題を回避したければ、ジャグラーをゼットに出さない、という選択が最良なのですが、そんなことを言い出せば、製作陣のこだわりがどんどん削がれていってしまいます。ここは製作陣の意思を尊重し、ジャグラーの参戦を否定するのはやめておきましょう。では、ジャグラーを参戦させた上で、この問題を回避するすべはあるのか。答えは「ノー」ですw こればかりは、どうあがいても無理です。ではどうするのか。振り切ってしまうのです。齟齬があろうが関係ない。面白いものを作ればそんなこと気にならない精神で、ごり押しで乗り切る。これが、たった一つの解決法なのです。作品構造上の祖語は、そういう設定にしてしまった以上甘んじて受け入れ、その分他のミスを減らす。これが、作品作りの鉄則だと考えています。本記事で、「リク君先輩」発言という細かいミスに、やや強めに言及しているのもそのためです。

 一応回避策として、ハルキとジャグラーが共闘する、って展開も考えられますが、ハルキに第五話の盛大やらかしを追求されることは目に見えているので、それができないのも痛い。長くなりました。話を戻しましょう。

 カブラギシンヤは検証実験と称し、ベリアル融合獣スカルゴモラへと変身。ゴモラを「古代怪獣」、レッドキングを「どくろ怪獣」と呼ぶ辺り個性ではありますが、ややパンチが弱い。

 ヘビクラ隊長は色々と察して、ハルキにリクを安全な場所に向かわせ、ヨウコには近隣住民の避難を指示。ハルキとリクはそのまま変身するのですが、ヨウコ、無人状態のため棒立ちいや、普通に銃もってるんだから戦わせれば? それか、ウインダムで出撃するとか。まぁ、ゼット、ジード、ゼロの共闘を劇的に描く際に、ヨウコの参戦は邪魔と判断したのでしょうが、にしても扱いが雑。棒立ちのヨウコもヨウコで、プロ意識皆無。やはり、第五話の仕事人発言の罪は重い。

 さてハルキとリクの変身。リクしか変身口上がないため、まるでリクが主人公w 今回は客演回なので、全然アリだと思います。

 ここからの戦闘が見事とかいいようがなく、地面からの撮影がマジで神がかっていましたね。爆発も坂本監督ならではのダイナミックなもので、まるで映画を見ているよう。すごい迫力でありました。そしてまさかの、サンダーキラー登場。展開がアツすぎる!! あれだけジード本編に登場したベリアル融合獣を、各話一体ずつだされても気乗りしないな、と思っていたので、一回で全部出してくれたのは非常に嬉しい。下手に変身バンクを入れない鮮やかなペダニウムゼットンへの移行も光り、なんだこの神戦闘

 そこへ、お待ちかねゼロが登場。最終盤での登場により、ゼロの強キャラ感も出ておりナイスタイミング。ゼロのジード・ゼットに対する反応も自然なもので、良い。ゼロ、ジード、ゼットと黒幕カブラギシンヤとの、最終決戦が始まります。いや、もう映画やん。ゼット、ゼロがガンガンタイプチェンジで戦うと、カブラギシンヤも変身するベリアル融合獣を変え、上手い対比。空中戦もかっこよく、ウルトラギャラクシーファイトの曲も盛り上がり、ゼロとゼットの武器共闘も決まり、なんだこれ、なんだこの最高な戦闘シーン。ゼロ、ジード、ゼットが光線を放ち、ここでのジードがまた一人だけ光線撃つ描写がこだわってて、まさに主人公ムーブw 3人のウルトラマンの光線が決まり、ベリアル融合獣、爆発四散。坂本監督の大爆発も決まり、大満足の特撮パートでありました。また夕日がいいんだよな、これが。素晴らしい

 ジャグラーはカブラギシンヤと接触。黒幕の正体に気づきはじめます。カブラギシンヤ、初変身にしてボロボロ。まぁゼロ、ジード、ゼット相手じゃ仕方ないか。のっそのっそと歩くうちにゴキゴキと音が鳴り、その後は普通に歩いていってるのですが、これは少しずつカブラギシンヤの人間らしさがなくなってゆくのを示唆しているのか、どうなのか。今のところパンチが弱いので、もう少し魅力を足していってほしいところ。

 宇宙警備隊の任務に戻るため、地球を離れるゼロ。一方ジードは、父親ベリアルの力を使い暗躍する存在を知った以上、この地球に残りたいと言いかけるが、ハルキがこの地球は俺に任せて、と言うのを信じ、ゼットとハルキに任せ、地球を離れます。ベリアルの遺伝子をもてあそぶカブラギシンヤ討伐を、ゼット一人に任せるには多少の不安もあるでしょうが、やはりハルキを信頼するのは、ストレイジの面々、ジャグラーを頼ってというのもあるのでしょうね。ジャグラーが今後どのように活躍していくのかは、楽しみにしたいところ。

 この名采配により、新形態を与えられたジードはまたどこかで再登場するとは思いますが、第六話、第七話がいったんのジード客演回だったという扱いになり、ジードに主役ばりの活躍が与えられたのも全て正当化されることに。作品全体のパワーバランスを崩すことなく、いい塩梅に仕上げています。ゼロという第三の劇薬だけでなく、第二の劇薬ジードまで見事に落とし込み、本当に第七話、上手くやっています。

 あ、そういえば、初見の方はタイトルの「陛下のメダル」の「陛下」って誰かわからなよな、とは思いましたね。ベリアル銀河帝国の辺りから陛下呼びはファン内で定着していますが、さすがに何かフォローがあってもよかったかも。

 さて、次回は久々のファイブキング登場。劇中でどんどんパワーアップしていくらしく、新しいファイブキングの見せ方が堪能できそうですね。そろそろ新怪獣を見たい気持ちもありますが……そして、新形態ガンマフューチャーが登場。劇薬投入の嵐が一旦収まり、しっかり作品構造論に戻れそうな気がしています。ということは、キャラ同士の描写を深めることや、ジャグラーフォローもどんどんしていく必要があり、今後の展開に目が離せません!

 今回はこの辺で。それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!

 

《補論:過去作キャラの登場について》

 ゼット視聴者の中には、過去作キャラを出すことに否定的な方も多く、とはいえ自分の意見を上手く言葉に表せずモヤモヤしている、といった印象を受けます。本作に過去キャラを出すことにモヤモヤしてしまうのは、以下の理由があるからでしょう。

 それは、客演の必要性と描写とが、近年かみ合っていないという理由です。近年の作品を順番に見ると、

ウルトラマンジード』闇のウルトラマンベリアルの息子、ジードの物語。しかしながらベリアルの悪事や過去については、ほぼほぼ語られない。ゼロの仲間やベリアルの部下など、ベリアル史を語るにおいて外せないキャラたちも、登場しない。

ウルトラマンルーブ』家族の物語。家族を描くことがテーマなので、別段過去ウルトラマンと絡める必要はない。しかし、本編ではウルトラマンオーブの厄介なファンが登場し、毎話オーブ関連の内輪ネタに長い尺を取る始末。果てはオーブダークなる巨人に変身し、主人公と戦う。なお、物語展開上、『オーブ』の存在は他ウルトラマンに代替可能。

ウルトラマンタイガ』タロウの息子の物語。M78星雲、U40、O50、それぞれ生まれた場所の違う3人のウルトラマンがチームを組み戦う。敵は父親タロウと因縁深いトレギア。と、設定マシマシなウルトラマン。しかし、本編では既に3人がチームを結成したところからのスタートで、それぞれの出会いに関する描写は皆無。M78、U40、O50、それぞれの出身地に関する話も皆無。タイガの父親『タロウ』は他ウルトラマンに置き換え可能。トレギアとタロウの因縁など微塵も語られない。

ウルトラマンZ』ゼロの弟子、ゼット。設定としてはゼロの弟子というだけで、それ以外を描写する必要はない。しかしながら、本編にはゼロと共闘したジード、果てはゼロとほぼほぼ関係ないジャグラーが登場。ゼットと関係が深いのはゼロ、次点でジードだが、二人は退場。一方、ほぼ無関係なジャグラーはレギュラーキャラ。

という変遷になっています。

 おわかりでしょうか。設定上、過去キャラを出すことが必須の作品については過去キャラを出さず、過去キャラが不必要な作品で過去ネタを出しまくる、というかみ合いの悪さが4年連続で続いているのです。もちろん、定石にとらわれない作品作りというのも大事ですが、かみ合いの悪さが作品に多大な悪影響を与えているのも事実で、どうしてこうなったのか。

 もし、前年で過去キャラを出せと言われたら過去キャラを出す、過去キャラが多いと言われたら過去キャラを出さない、と、前年の評価だけで客演のあるなしを決めているとしたら製作陣としてはおしまいです。この辺り、製作陣はどう判断しているのか、気になるところですね。また、必要なキャラは有無を言わさず登場させる、不必要なキャラを出すときは描写を徹底する、などの工夫が必要であると感じました。皆さんはどう考えますか?以上、補論でした。