igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンZ第10話感想 久しぶりの宇宙人

 皆さんこんにちは、igomasと申します。今回も、Z各話感想進めて参りましょう。

 

 

《本編を見る前に:全編にわたる緩い雰囲気の扱い》

 第1話のゲネガーグを最後に、新怪獣がまったく登場していないウルトラマンZですが、今回久しぶりに、新規造形の敵、しかも宇宙人が登場しました。テレビ本編で、しっかり新宇宙人に触れられるのは、実にメビウスのサーペント星人やソリチュラン以来、13年ぶりでありましょうか。この日をどれだけ待ったことか。

 現状5話に一体新怪獣という、ネクサス初期も驚きの予算枯渇ぶりですが、新怪獣をバンバン出していただけると、飽きが来なくて助かります。

 さて、そんな久しぶりの宇宙人、バロッサ星人でありますが、第9話での強敵感のある演出とは異なり、やや抜け感があるというか、緩い雰囲気の敵キャラでしたね(笑) こういった、どこか抜けた感じの宇宙人を出すときは、その回全体が緩い作風になりがちであり(実際第10話もそうなのですが)、これは人によって好き嫌いが分かれそうな部分ですよね。自分も、基本リアリティ追求路線なので、緩い雰囲気の回はあまり好きではないのですが、今回のバロッサ星人の描写に関しては、一貫して「ムーヴは強者なのに、雑魚風味のあるキャラ」として描ききっていたので、割とすんなり受け入れられました。まぁ、緩い回だとセリフへの気配りまで緩くなってしまい、細かい突っ込みどころは多々あるのですが、それはまた後で述べるとしましょう。

 というわけで、好みの分かれそうなバロッサ星人回、見ていきましょう!

 

《第10話》

 物語は、キングジョー回収現場からスタート。宇宙ロボット回収を報告する研究員に忍び寄る、バロッサ星人の魔の手(物理)。バロッサ星人の、渦巻き状の手のひらを回して相手を混乱させる描写はややコメディチックすぎて、むしろチープな演出になっており、あまり好みでないところ。

 ストレイジ日本支部では、キングジョーの分析が進んでおり、地球の軍事技術のパラダイムシフトに興奮する研究員たち。「この技術はまだ我々人類には早すぎるのかもしれない」と懸念を見せるバコさんに対し、「産業革命だって蒸気機関だって、人類にはまだ早すぎたんですよ。でも文明はずっと豊かになってきたじゃないですか。だから、この技術もきっと未来の役に立ちます」と反論するオオタユカ隊員。「そう願いたいね」と微笑むバコさん。こういった、研究者と研究者ならではの関係性というか、セリフ回しが非常に手堅いのも、第10話の評価ポイント。現状Zではほとんど「キャラとキャラとの関係性」が描けていませんが、ユカとバコさんの関係性は、割と丁寧に描いています。

 一方バロッサ星人は、連れ去った研究員を使い、基地内に侵入。警備員が倒れた研究員を発見し、その後バロッサ星人に遭遇。「わぁぁ~」と叫ぶ警備員。いや持ってる銃で撃てよ(笑) 恐怖で叫びながら銃を乱射する、とかならまだ分かるのですが、さすがに何のための警備員だよ、となってしまいます。普段から地球外生命体と戦うストレイジの警備員として、失格レベル。こういった、「宇宙人と遭遇して叫ぶ一般人」というのは、基本的に武器を所持していない一般人が、未知の地球外生命体に遭遇して襲われるからこそ映えるわけで、ちょっとこのシーンは乗れませんでしたね。

 腕相撲するハルキとヨウコ先輩、盆栽をたしなむヘビクラ隊長。研究から一旦戻ったオオタユカ隊員。それぞれの醸し出す雰囲気がしっかりキャラを形作っており、この辺りの丁寧さはさすがゼット。こういう何気ない日常風景こそ、キャラ造形の天王山。

 基地内に侵入者ありの報告を受け、応援に向かったハルキとヨウコ先輩は、バロッサ星人に遭遇。ヨウコ先輩は捕まり、人語を話す媒体として使われ、「下等動物の言語を話す声帯は持ち合わせていない」のセリフの強者感。ジードの記事でも書きましたが、近年人間くさい宇宙人が増えてきていたので、こういった「地球の倫理観があまり通じそうにない未知の敵」としての宇宙人描写は、かなり好み。

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 ハルキの敵う相手ではないと、ゼット直々に登場。左手の威嚇はこれもちょっとやり過ぎ感はありますが、純粋にオリジナルゼットとバロッサ星人の戦いは良かったです。なんだろう、等身大対決からの巨大化対決という展開に、かつての昭和ウルトラマン風味を感じるからでしょうか。バロッサ星人の、「他人の武器を使う」特徴を活かし、怪獣サータンの毛で織った透明マントなど小粋な小道具を使ってくる辺りも、大変満足。

 ハルキはヘビクラ隊長、オオタユカ隊員に、敵の狙いとヨウコ先輩がさらわれた事実を伝えます。バロッサ星人基地潜伏報告で、ヤバいなという顔になった後、ヨウコ先輩さらわれ報告で顔を見合わせるこの変化が素晴らしく、仲間の危機の一大事感が出ますね。細かいキャラ描写に余念がない。

 オオタユカ隊員のもとへヨウコ先輩が現れ、不審な様子に違和感を抱いたユカの前に、バロッサ星人が現れます。ヨウコ先輩を人質に取り、「この女の命が惜しければ、キングジョーを返せ」と言うバロッサ星人に対し、「いやよ」と即答するオオタユカ……え拒否!? 果ては「少しでも力を入れると、こいつの頭は簡単に潰れる」とバロッサ星人が力を加え、人質本人に「お願い、死にたくない!私がどうなってもいいの!?」と言われようやく従う始末。ヘビクラ隊長に引き続き、オオタユカもヨウコ先輩を見殺しにしかけましたw 自分が人質になっているときに、目の前で「いやよ」と即答されたヨウコ先輩、不憫すぎる。な、なんだこれ。何を見せられてるんだ(苦笑) 製作陣はオオタユカを、どうしたいのか。まぁ、前回の時点でオオタユカの好感度はこれ以上下がらないくらい地に落ちていますが、今回ハルキから「ヨウコ先輩がさらわれた」と言われたときの焦りようから若干好感度が上がりそうだったのに、その希望もついえました。まいっか、これ以上話しても仕方ないし。

↓オオタユカ好感度爆下げの軌跡
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  用済みとばかりにユカに襲いかかるバロッサ星人。その斬撃を受け止めたのは、我らがジャグラスジャグラー。ここ、胸熱。剣と剣の対決ということもあり、かなり映えます。

 「電源装置を強制停止すればまだ間に合う」と、復活早々(自分を売った仲間、オオタユカに)酷使されるナカシマヨウコ隊員。適当なところで切り上げて去ったことで、せっかく上がった好感度を下げまくるジャグラスジャグラー。この辺りのダメダメさは健在です。

 さて格納庫では、キングジョーがやばい、と一同は焦ります。研究員らはここを見捨てて逃げるか奮闘するかで議論。しかし一人でその場を請け負おうとするバコさんに、「技術屋の根性見せてやります!」と熱弁する、というシーン。このシーン自体はそれっぽいですが、直後バコさんがバロッサ星人に撃たれてからはうやむやになり、結果的に技術屋らしいことは何もしていないために、全然アツくならないシーンでありました。バコさんの役者さんの演技力にとりあえず任せてみた感が強く、劇的に描くには工夫が足りないかな、という印象。

 バコさんは一人バロッサ星人に立ち向かい、知恵を使ってバロッサ星人に勝利。「一介の整備員の作戦にあっさり負ける宇宙人」というのは、初代ウルトラマンオマージュだったりするのでしょうか。バロッサ星人は、電撃を浴びただけで、大事なキングジョーをあっさり諦め基地を逃げ出すという弱キャラぶり(笑) さらにはウルトラメダルまで落とすという、酷い体たらくw これが単なる雑描写であれば怒っているところですが、第10話では、冒頭でも述べたとおりこの「バロッサ星人の醸し出す弱キャラぶり」が一貫して描かれており、好感を持ちました。

 ダダのミクロ化機を用い巨大化したバロッサ星人は、持っていた剣を次々と砂山に刺していきます。ややこのシーンは助長かなと思いましたが、その助長さが「弱キャラぶり」に拍車をかけているという効果を考えれば、まぁ良いか。

 特に字数をかけて言うことでもありませんが、なにげに武器として使っているゼットライザーの裏面が安っぽすぎて、もう少ししっかり作れば良かったのに。

 さて戦闘シーンですが、変幻自在の技を使うガンマフューチャーに次々と剣を落とされ、ついには土砂を投げ始める「弱キャラぶり」が実にバロッサ星人のキャラ付けを後押ししており、戦闘も個性的で良かったですね。まぁ、土砂を投げられていちいち苦しんでいるゼットもゼットですがw バロッサ星人のサーベルを使うも、ビルに突き刺さり「抜けない」発言。あれだけ強者感を出していた「下等動物の言語を話す声帯は持ち合わせていない」発言もただの見栄っ張りだったとわかり、可愛げあるな、バロッサ星人。

 バロッサ星人は左手を広げ、ぐるぐる回してゼットを攪乱。サーベルを抜き、ゼットを蹴り倒すと、ふにゃふにゃのサーベルで叩きまくります。ここ、ピンチBGMが流れているのですが、絵面が滑稽なだけなので、全然ピンチ感はありませんでした(笑) ゼットのピンチにヨウコがウルトラメダルを託す、みたいな描写になってはいますが、全部バロッサ星人の弱キャラムーヴに持っていかれてますねw

 ちなみに、ヨウコがここであっさりウルトラメダルをゼットに渡していますが、本部からすれば、本来軍法会議もの。貴重な研究材料をあっさり渡して許される、というのは、やや今作の緩い部分。第9話で、いくらキングジョーにお偉い方の関心が向いたからといって、ストレイジが回収したウルトラメダルが全てゼットに取られている現状を、「まいっか」で済ますには厳しい部分。

 さて、新たなメダルを手にしたハルキは、今回も、別段先輩ウルトラマンの名を呼ぶこともなく、新たな必殺技を発動(笑) とはいえ、戦闘自体はかなりアツかったですね。やはり剣と剣の対決は、アグルオマージュも一ミリほど入っているのか、かなり燃えますね。竜巻からの八つ裂き光輪のコンボもかっこよく、良い。

 バロッサ星人は爆発し、花火のように散りますが、それを「綺麗」と眺めるナカシマヨウコ。コミカルなキャラが花火爆発、自体は頷けますが、自分達の基地を襲った敵が爆発してまず「安堵」するのが常人の反応であり、この「綺麗」発言までやるのはやややり過ぎかと思いましたが、ここは好みが分かれるかな。

 さて、バロッサ星人との戦闘を終え飛翔するゼット。バロッサ星人の遺言「俺の弟たちがきっと敵を討つ」について、「弟はあと9999体いる」と告げられ「マジすか」と顔面蒼白のハルキ。正直戦闘を終えた後の会話など、本来不必要なシーンなので、このシーンは後半の伏線キャラ付けも兼ねた悪ノリかのどちらかなのですが、せっかくなら前者であって欲しい。バロッサ星人、後半にて再び登場回があるか、ラスボスとして登場するか、はたまたラスボスの噛ませ犬になるか、非常に楽しみな敵です。子供に人気が出そうな敵でしたね。

 バロッサ星人の一件も解決し、いよいよキングジョー分析が本格化するストレイジ。液晶を眺めるオオタユカに、「ユカさっきから何見てんの?」とヨウコが尋ねると、ユカはジャグラーの写真を見せ、「解剖したい!」と目を輝かせ、後ろのジャグラー吹き出してエンド。このオチは、結構好きだぞ。

 ということで、久しぶりの宇宙人、バロッサ星人回でした。細かい部分では、セリフ回しのゆるさも見え隠れしましたが、全体としては「強そうで弱いバロッサ星人」の描写の一貫性につきまぁまぁ評価の高い回ですね。初登場の中川和博・尾上克郎監督コンビでしたが、特に大きな矛盾もなく、プロとして魅せるところは魅せており、初にしてはなかなか見やすいな、という印象。

 今回に関しては、ストレイジの職員に、自分の基地を守り抜くぞ、という意識があまりになく、少し悲しくなりましたね。銃を持っているのにまったく撃たない警備員、結局なにもせずそのまま諦めている整備班。そもそもセブンガー、ウインダムはどうした。レギュラーメンバー以外は驚くほどの無能ぶりで、もう少し、モブキャラも活躍して欲しい。名の無いモブキャラにまで活躍の場を持たせることによって、画面に登場しない様々なキャラが、プロとして主人公たちを絶えず支えているのだな、と組織の大規模感を感じることも出来ますし、「組織で一生懸命働く人々の中で、特に活躍するレギュラーメンバー」の姿が際立つ効果もあるので、モブだからと雑に描かず、もう少し血を通わせてやってほしいものです。

 さて、次回は総集編。ということは、ここで前後編の切れ目ということになるのでしょうか。やや変則的で驚いています。何度も言っていますが、オオタユカ、ナカシマヨウコ、カブラギシンヤの好感度回復は急を要し、また正体判明回での説得力のあるジャグラーフォローが必須と、かなり不安要素が残った状態で後半へのバトンを渡すことになります。個々のキャラづけや、所々に見える丁寧な描写など、良いところもたくさんあるので、上手く乗り上げていって欲しいですが、今後どうなるか、楽しみですね。

 ということで、以上第10話感想でした。もう10話も感想記事を書いたのですね、すごい分量w 後半の情報開示がちらほら見えるZですが、今後の展開がどうなるか、ラスボスは誰なのか、ゼロ&ジードはどう絡んでくるのか、デビルスプリンター問題をそもそもどうするのか、ゲネガーグが盗んだウルトラメダル全回収したゼットってもう役目ないんじゃないか、カブラギシンヤ倒したら本当に終わりなのか、ジャグラーが地球にいる目的とは何なのか、今後の展開に期待しましょう。それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!