igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀 Chapter3 感想

 

嘘だろ、途中で終わりやがった……

 

 皆さんこんにちは、igomasです、はい。YouTubeで展開中のウルトラマン最新作、ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀Chapter3の感想です。前回本ブログでは、Chapter2を結構ボコボコに叩きましたが、さすがにChapter3は、坂本監督本来の持ち味が戻って、面白い作品になるだろうと思ってました。

 「Chapter2はまぁ確かに酷かったから色々言っちゃったけど、Chapter3は安定の坂本監督作品でしたね。いやぁ、これよこれ、私はこれが見たかったんだよさすが坂本監督面白かったではまた今度~」って言うつもり満々でした。言いたかったよ、私は。

 しかし、まさかの「物語が途中で終わる」というラスト。これが、一作品として大きな盛り上がりを見せ山場が一つ終わったところで「つづく!」なら期待で胸が高鳴るラストで良作ってことになっていたのですが、もはや最終話に何の山場も用意されておらず、言ってしまえば「打ち切りと何ら変わらない」という見るも無残な状態に。いや、厳密にいえば続編ができるらしいので打ち切りってわけじゃないんですけど、感覚としては打ち切られた気分。だってもはや「一つの物語」として成り立っていないんだもん。

 結局この話ってあってもなくても良かったよね、と。本作の内容って要は「アブソリュートタルタロスってやつが並行世界をたくさん作って軍勢を作っているらしい」「やばそうだからゼロもゼロでチームを作らなきゃ」それだけ。それくらいならまとめれば15分くらいで済む話なんじゃないですかね。次回作の最初1話くらいで描けるレベルの話じゃないんですかね。それを98分の大作に引き延ばす必要がどこにあったんですか、これ。

 え、第一部でウルトラマンリブットを深堀りしたかった? それならウルトラマンリブットが主役の物語をしっかり描くべきだったと思います。パワードとグレート二人の先輩に急にボコボコにされて、雑に精神世界みたいなのでなんか覚醒したっぽい演出だけ入れて、武器はパワードグレート両者からもらって終わり。それのどこが「リブットを深堀りした話」なんでしょうか。リブットとは何者なのか。もっとキャラの真髄を描くべきなんじゃないですかね。なんとなく覚醒したような上っ面だけなぞっても、いい話にはなりません。第一部、いらん

 え、第二部でウルトラ大戦争やトレギアの過去を描きたかった? Chapter2の記事に詳しいので読んでみてください。結論、第二部、いらん

igomas.hatenablog.com

  え、第三部で現代のウルトラマンたちの戦いを描きたかった? いいと思います。正直言って、Chapter3はある程度描きたいことが描けていたと思います。メビウス関連の話、ゼット関連の話、坂本監督が書きたいことは理解できましたし、良いな、と思うカットもたくさんあったと思います。確かに、坂本監督の良さが色々詰まっていた部分もあって、それは本記事で評価していくつもりです。でも、どれだけ頑張っても意味がないんですよね。

だって途中で終わったから

 冒頭でも示した通り、最高の盛り上がりが最後にあるのであれば、すごいね大作だったね未完結だけど90分作品の最後を飾るに足る素晴らしいお話だったね、で終わります。ですが、それがない。なんのために完結を先送りされたのか分からない。アブソリュートタルタロスって、ジョーニアス先輩といい勝負、くらいだったじゃないですか。ゼロと戦って、ゼロのカラータイマー一つ点滅させられないくらいの相手じゃないですか。なにも二作続けて出すほどの敵でもないとは思うのですが、それを、なぜ決着を先延ばしにする必要があったのか。

 正直、最後ゼロにタルタロスが負けて、「タルタロスが負けたか、しかし奴はアブソリューティアンの中でも最弱、尖兵に過ぎない。我々アブソリューティアンの計画は今始まったのだ」とか誰かが言って「つづく」でも全然よかったと思うのですけど。番組を未完結のままぶった切ってまでタルタロスを生き残らせる必然性が今のところ見えないのですけれど。

 第一タルタロスというキャラクターに魅力がなさすぎます。まぁ魅力ポイントを挙げるとすれば「声」くらいなものでしょうか、あとデザイン。そもそも、アブソリュートタルタロスが結局何がしたいのかわからない。Chapter1でリブットの世界で色々暗躍しようとしたけれど、この時代では負けそうだ、と思いChapter2で並行世界から軍勢を束ね、Chapter3で仕向けるも軍勢はあえなく敗退。で、最後にタルタロスが出てきてユリアン王女をさらって退場。え、アブソリュートタルタロス一体でなんとかなるなら最初から過去行く意味なくね?

 そもそもアブソリュートタルタロスって、なんのために過去へ行ったかって、ウルトラマンレジェンドには敵わないと思ったからなんですよね。それでベリアルとトレギアを連れて、あとバット星人を連れて現代に戻ってきた。まぁ結局バット星人の作った宇宙凶魔人ゼットはタイガにあっさり倒されたわけですが。その程度の戦力を引き連れて戻ってきて、で、レジェンドに勝てそうですかタルタロスさん? 絶対勝てないよタルタロスさん。過去行った意味ないよタルタロスさん

 ベリアルとトレギアを軍勢に加えたものの、初登場時に通常形態のゼロが互角に渡り合ってしまっているんですよね。これまた何のために勧誘したか分からないくらいの微妙な強さ。この程度の戦力で本当にレジェンドに勝てるようになるとでも思ったのでしょうか。

 で最後に、大いなる陰謀なんて銘打っていますが本作、タルタロスがやった価値あることといえばただ一つ「ユリアン王女を人質にした」これだけ。しかもユリアンである必要は一切なく、ただ人質としてさらっただけという。そんなことならもうChapter1の時点で出来てたんじゃないですかね、タルタロスさん。

 こうやってタルタロスの行動を見ると、Chapter2の動向はまったくもって「無駄」の一言。ただユリアン王女をさらって光の国に宣戦布告、これだけでいいんじゃなかろうか。内容としてはほんと、15分レベルの話を薄く薄く延ばして描いてみたい戦闘シーンを入れただけ。しかも完結すらしない。これはもはや作品ではない

 いや、もしかしたらこの作品は我々が完結しないと思っているだけで、本当は完結しているのかもしれません。大いなる陰謀のラスボスは、タルタロスではない人物なのかもしれません。じゃあ誰か。え、最終回で死んだゼットさんですか?

 と考えた時にこれまた宇宙凶魔人ゼットさんに魅力がない。なにせ初登場時に丹精込めて作ったゼットン軍団をゼロとゆかいな仲間たちにあっさり倒され、ゼット自身も、タイガの中間強化形態であるところのフォトンアースに押されるレベル。はっきりいって、作品一つ支えるほどのキャラクターは、凶魔人ゼットにはありません。途中の時点でもうタイガに押されていますし、最終話でも終始タイガとゼットに圧倒されていますから(しかもこの時のゼットは地球に向かう前の1/3人前の状態)、これはもう、なんというか、悲惨。

 まぁ本作は最後さえしっかり完結していれば、他作品に比べて抜きんでて駄作ということにはならなかったとは思います。これから色々褒めていきますが、坂本監督の持ち味は幾分かしっかり味わえました。でも完結しなかったら意味がない。完結しなくても仕方がないくらいタルタロスは強い敵だ、という説得力がどこにもない。ゼロならなんとなく倒せそうだけどなんか話の都合で負けた、タルタロス逃げた、え、終わり?みたいな空虚感。もっとタルタロスを魅力的な「敵」として描く作業を一つでもしていれば、納得の終わり方でしたが、もはやこれを作品と呼ぶことができない現状です。

 そもそもウルティメイトシャイニングゼロなんていうものすごい形態が登場したわけですが、どれくらい強いのか視聴者ですら想像もつかないくらいものすごい形態なわけで、負けるビジョンがどこにも見えないわけです。だって時間も空間も思いのままなわけですから。それが、ふたを開けてみればなんだかゼロが吹き飛ばされて「あいつ強ぇぞ」。頭に?が百個くらい出てきました。

 今までのニュージェネレーション作品群の描写を見れば皆さんもお分かりかとは思いますが、ウルティメイトゼロの空間移動ってほんと体力をかなり消耗する力で、ジードの時はブレスレットが壊れ、テレビ本編中一度も使えないほど。シャイニングの力もものすごいエネルギーを使い、ゼロ本人も使いたくないと思うくらい体力消費の激しい形態です。その両者を使ったゼロが、タルタロスに吹き飛ばされた後も、カラータイマーは元気なまま。

 ポッと出のベリアルトレギアに光線を打たれてウルトラマンが全員吹き飛ばされるみたいなカットが入るも、次のシーンでは普通にみんな立ってますし、全員カラータイマーは元気なまま。ピンピンしてます。

 それで「タルタロスは強い。次作に続く!」なんて言われても、う~ん、タルタロス全然魅力なかったよなぁ、弱かったよなぁって言葉しか出てきません。最後の終わらせ方はご都合主義がすぎます。もう、変にウルティメイトシャイニングゼロとか出さなくてよかったのではなかろうか。なんのために出したんですかね。ゼロは強い、タルタロスの方がもっと強い、ゼロが強化形態になったからもっと強い、いやタルタロスの方がもっと強いしーみたいな、「小学生の自慢大会」みたいなのがやりたかったのか。あれが出たことで、余計になぜゼロが負けたことになってるのか不満な視聴者がごまんと増えた気がしますよ。

 自分の中で今までのウルトラマン作品の中でワーストはウルトラマンルーブだったんですけれど、ここにきて更新されました。しかもルーブとは大きく差をつけて断トツの駄作。いやむしろ、「作品」と呼びたくないくらい断トツ最下位。だって作品じゃないんだもんこれ。どうした坂本浩一監督。どうした円谷。

ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀 最終的にやっぱりウルトラマン史上最低の駄作だった

 

 Chapter2の批判には、多少なりとも個人的な趣味趣向が入っていたことは認めます。しかしながら、「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀」が駄作であることは私の「感想」「評価」ではありません、「事実」です。いやぁ、ショックだったなぁ。

 まぁとはいえ、Chapter3では色々と坂本浩一監督の持ち味が生かされている部分も多数見受けられました。ここからは、それぞれのEpisodeに触れていきたいと思います。

 

 

Episode7

 冒頭。フューチャーアースにてレイバトスが、かつてハイパーゼットンを生み出しサーガと戦ったバット星人を復活させます(用語が多すぎるw)。バット星人はタルタロスに、「その命、ザキングダムに捧げてみないか」と言われたとたん「うぉぉ分かった。試してみたかったプランがある」と、圧倒的物分かりの良さ。このセリフがまた突っ込みどころ満載で、まずザキングダムってなんだよって。バット星人からすれば、サーガと戦っていたつもり(実際には死んでる)が気づいたら知らない巨人の前にいて、急に拘束された状態。見ず知らずのタルタロスから「その命、ザキングダムに捧げてみないか」と言われても、「は、何?」と返すのが正常な反応。見ず知らずのタルタロスを見た瞬間「この人は究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロスで、その本拠地がザキングダム。この人はウルトラマンを倒そうとしていて私に協力させてウルトラマンを倒す手段を模索しているんだな、よしサーガには殺されちゃったしサーガのことはさっさとあきらめちゃお。ウルトラマンを倒すのか、そうだ前から試してみたかったプランがあるから提案してみよう」と判断したということになり、なぜ分かった&なんでそんなに物分かりが良いんだ状態。しかもこの一連の思考過程を「うぉぉ分かった」の「うぉぉ」の部分で考えていると思うと、なんだか笑えてきます。

 そもそもこのバット星人は一映画のラスボスだったわけですが、ベリアル、トレギア含め、ことごとく「これまでの映画で活躍した魅力的な悪役」を、「タルタロスに付き従うだけの三下」に貶めたのは、やはり本作の駄目な部分だなと。バット星人、ベリアル、トレギア。それぞれがそれぞれの持ち味を十分に持っているはずなのですが、兵士A、兵士Bくらいの扱いでしかない。それぞれの特技をもっとフルに生かして、「悪役を魅力的に見せる」ということを一から学びなおしていただきたいなぁ、と。

 バット星人は、「ゼットンに心がなかったから」ゼットンウルトラマンに負けた、とのこと。まぁこれはウルフェスライブステージからそのまま台詞を持ってきているというのはわかるものの、そもそもゼットンに心がなかったからゼットンウルトラマンに負けた」が原因理由の関係になっていない件。なんで心がないから負けると思ったのか、これもまた雑な台詞。

 惑星マイジーにて、トライスクワッドの特訓シーン。タイガに尻に蹴りを入れられて「感じるぞ、マッスルマッスル」と言っているタイタスが、もう真剣に特訓していないというか正直キモいというか、酷すぎるカット。特訓しているのか特訓しているふりをしているだけなのか、なんというか、雑なアクション。最後に背中合わせに腕を組む?シーンも、スーツアクターが「あれ、ちゃんと腕の位置あってるかな、ずれてないかな」と確認しながらやっているのが見え見えで、全然真剣に特訓をやっていないように見えてしまいます。

 トライスクワッドのもとへゼットが現れ交戦。数の暴力で劣勢に立たされます。

 一方綾香市ではグリージョが、ザンドリアスとノイズラーと戦い、の、ノイズラー!!たぶん今作で一番テンションが上がったのはこの時です(笑) ノイズラーは、ザンドリアスと同様、クラウドファンディング企画でスーツが製作された怪獣で、ザンドリアスとともに怪獣娘のミュージックビデオに登場しました。この時のMV製作の時に、かなりの爆薬をつかって爆発シーンが入れられたのですが、それがあまりに大迫力で歌手もかなり怖かった、とのこと。せっかくスーツが作られたということで、ザンドリアスはウルトラマンジード本編に出ていましたが、しかしノイズラーはテレビに登場しなかったんですよね。てっきりこのMV製作の際の爆発でスーツが焼けこげるなどして出せなかったのではなかろうか、などと思っていたのですが、全然そんなことはなく、スーツは無事だったようです。良かった。いや、だったらテレビ本編にも出してあげようよって話ではあるんですけどねw ゼットとかは特に、過去怪獣の使いまわしが過ぎたので、出してあげても良かったのではないかな、なんて思いましたが。まぁともかく、このシーンにはアツくなりましたね。

 さてグリージョはこの二体の怪獣と対峙します。台詞からも、前作でのゼロとの話を踏襲しており好印象。グリージョの戦い方だったり、怪獣にとどめを刺さないで「もう悪さしちゃだめですよ」というあたりのグリージョらしさが光る良いシーン。いや、普通にChapter1の主人公(笑)だったはずのリブットの描写の5000倍くらいよくできているシーンで、グリージョのキャラも見えてきて、このシーンはほんと良かったです

 このあたりのゼロとの絡みも素晴らしく、「見てたなら手伝ってくれてもいいじゃないですか~」「なんとかプリンの捜索ですか?」「デビルスプリンターな」のくだりや、湊兄弟を彷彿とさせるハンドサイン。このあたりの見せ方は、本当にうまかった。もう、ウルトラグリージョファイトでいいんじゃなかろうか。

 さて次のシーン、U40にてタルタロス視察中、ジョーニアスと交戦。まぁいつもの主題歌背景のバトルシーンですが、結構このシーンはよさげ。構えや戦闘スタイルが厳密には原作のそれと全然違うのは相変わらずの雑クオリティですが、まぁそれにしても結構濃密な格闘シーンだったんじゃないでしょうか。不意打ち攻撃くらいしかできないタルタロス、これまで全くいいとこなしだったのですが、この描写をもってようやく、「そこそこ格闘しっかりできる」敵だと見て取ることができて、ここは純粋にタルタロスの描き方として良かったですね。思いのほかU40の背景もかなり頑張っていましたね、ウルトラ大戦争の時よりは断然。

 しかし、ここで「ジョーニアスと互角くらい」という認識が視聴者の中に植え付けられてしまったことで、のちのウルティメイトシャイニングゼロ敗北が余計にわけがわからないということになってしまうのは、痛いところ。

 今作は、強さの描写が割に合わない、というのが多々あり、たとえばChapter1の80とルーゴサイトの力関係もそうでしたよね。初戦ではかなり有利な80でしたが、次に対峙した時には全然敵わないみたいな描写になっている、とか。強さ、というものをちゃんと考えていないんでしょうか、ご都合主義でいいと思ってるんですかね。そこのところどうなんでしょう。

 トライスクワッドがゼットン軍団に苦戦しているところへ、アンドロメロスとリブットが登場! そして自己紹介! いや、自己紹介してる暇があったら助けろよ、というお決まりのパターン。名乗らなきゃ気が済まないんでしょうか、彼らw 作品のテンポ感も悪くなってしまいますし、こういうのはあまり好きじゃないですね。

 それからトライスクワッドの面々が「あなたたちは」「助っ人か」「ありがたい」とそれぞれカットを変えて言っているのも、「キャラから出た自然な言葉」ではなく「言わされた台詞」の感じが強くなってしまっていますね。一文を無理に3つに分けてカットを変えて言わせている不自然さのなせるわざなのでしょう、ひどい。

 

Episode8

 冒頭から、アンドロメロスとリブットが、ゼットンを相手に大暴れ。このシーンはかなり好きですね。それぞれの技をしっかり使い、変な主題歌BGMも流さず、戦闘BGMを流している、これだけで「ファンサービス」ではなく「戦っている」感が出ますから、作品として見られるというものです。

 坂本監督ならではの、リブットの、ちょっと大げさなワイヤーアクションも決まり良い見せ方。やはり坂本浩一監督はこういう大げさ目の戦闘があってこそ、って感じがしますね。最近の大げさ感をオミットした戦闘はそれはそれでよいのですが、広いフィールドで戦う際には、やや大げさ目の戦闘をしても全体のバランスとしてちょうどよい見せ方になっていますし、全然気になりません。これよこれ、これが見たかった坂本特撮!

 まぁここから、ゼットンが、ウルトラマンに攻撃されるのを待って突っ立っている典型的な「ウルトラマンショーの怪獣」の動きに成り下がっているのが良くないところなのですが、まぁ複製怪獣なんて所詮そんなもの。このシーンは「ゼットンの魅力が下がっている」と各地で批判がありましたね。まぁ棒立ちなんだから、そういわれても仕方がないか。

 本記事冒頭でも述べましたが、ゼット、タイガの中間形態のフォトンアースに一方的にやられます。ゼットさんは、「邪魔が入った」と言って逃げていくのですが、いやそうじゃなくて単純に「襲い掛かった相手に一方的に負けた」だけの図なんですが、ゼットさん(笑)初陣から一方的に負けてるので、最終話の戦いも「一度勝った勝てる相手をただいじめるだけの図」になっているので盛り上がらない、盛り上がらない戦いで最終話を迎えてしまったので面白くない、と負の連鎖が起きてしまったわけですね。別に中盤でフォトンアースが凶魔人ゼットを圧倒しようがそれは凶魔人ゼットの魅力を単体で落としているだけなので全然問題ないのですが、これが作品全体に響くとなるとこの采配はかなりBadでしたね。

 タイガらは光の国に帰還。ウルトラの父ウルトラの母、タロウ、タイガの和気藹々とした光景が描かれます。タイガと光の国を絡める以上、ここは外せないシーンでしたから、あって良かったシーン。SNS各所では、ウルトラの父ウルトラの母のイメージが崩れるなんて批判意見も散見されましたが、自分は結構納得してます。実家に帰ったときの祖父・祖母・父・子のいかにもありそうな会話が自然で、上手く作っていると思いましたね。

 一方で、ゾフィーアンドロメロスとの絡みも、必要不可欠なシーンでしたが、もうちょっとこの絡みは見たかったですかね。形式上シーンだけ入れた、レベルの薄味だったので。

 平行同位体のトレギアが現れたことを知って、驚くトライスクワッド。来るべき戦いのために、修練に励めと言うタロウに対し、タイガらはそれぞれの故郷の星に返り、各自特訓することに。正直、このシーンの意図が全く分からないんですよね。なぜ一旦集合した彼らを分散させて話運びを悪くしてしまうのか。根本的な問題というわけでもないのですが、意味のない助長はあまり好まないたちなので。タイガ・タイタス・フーマがそれぞれの故郷にいるシーンが撮りたかったというのなら、それはそれでもっと自然な話運びはいくらでもあったでしょうし。

 ウルトラコロセウムでは、メビウスとゼットが特訓中。もうメビウスの弟子で良いんじゃなかろうか、ゼット(笑) まぁこのシーンも突っ込もうと思えばいくらでも突っ込めるところ。例えば、両者が組み手の最中に腕を組み合って力を拮抗させている時、とか、距離をとって構えている時、なら分かるのですが、組み手中その態勢になったときに「無駄な動きが多い、それじゃあゼロの弟子になれないぞ」「メビウス兄さん、やっぱりウルトラ凄いですね。でも俺は必ずゼロ師匠の弟子になります。なってみせます」なんて悠長な会話をしているのはさすがに絵面が間抜けすぎるでしょ、とか。自然に台詞がシーンに溶け込んでいないというか、この辺りも撮り方をもう少し工夫できそうなところ。

 さてメビウス、タイガ、ゼットが一堂に会するわけですが、メビウスとタイガのシーンはなかなかに良かったですね。セブン・レオ・ゼロ・ゼットと続く師匠弟子の関係や、タロウ・メビウス・タイガと続く教官教え子の関係に触れ、「ウルトラの絆」について言及するシーン。正直今までニュージェネレーションウルトラマンシリーズにて「絆」という言葉だけが安売りのごとく一人歩きして、なんの言及もされてこなかったので、ここで納得できる「絆」の形をようやく提示してくれたのは多少なりとも進展があって良かったです。オーブもジードもルーブもタイガも絆絆の一辺倒でその実なんの強固たる絆もないことが多かったですから、説得力に欠けていたのですが、連綿と受け継がれるセブン一門とタロウ一門、この二組を示されれば納得か。

 そういえば、タイガ組は特にそうなのですが、いちいち「はい」と頷くときに身体全体を上下させるのはなんなのか。監督の手癖なのかは分かりかねますが、あまりに不自然極まりないので修正希望。

 最後にグリージョとフーマの合流を描くわけですが、なんか、フーマが女子と話せないオタク男子になってる……どもっているというかキョドっているというか。何分フーマが逆に気持ち悪く見えてしまうので、あまりこういう見せ方は好かないですね。キョドるフーマもフーマですが、キョドられるグリージョの方も、変な方向でのアイドル化により株を下げている印象。

 

Episode9

 冒頭、惑星カノンへ向かう宇宙艇が墜落し、80、ユリアン以外の4人のウルトラマンが死亡します。ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(困惑)

 坂本浩一監督、ウルトラマン4人を殺害

 いやぁ、腹抱えて笑いましたね、このシーン。不謹慎ではありますけれど。いやはや、これまで長きにわたりウルトラマンは描かれてきましたが、復活も何もなく、ただ「ウルトラマンが死んだ」描写をしたのは初めてではないでしょうか。人知をこえた存在、ウルトラマンの最期なんて、涙なしには語れないくらい重大で心震えるシーンのはず。にもかかわらず驚くほどアッサリ亡くなりましたし、起こっていることの重大さと80らの反応のギャップがあまりに不自然すぎて、笑わずにはいられませんでした。本作屈指のギャグシーンですね、これは。

 ちなみに、少し戻って冒頭の台詞にもダメ出しするとすれば、「ユリアン王女。まもなく、銀河連邦平和会議が開かれる、惑星カノンに到着します」これがあまりに説明口調過ぎます。なにより「これから銀河連邦平和会議が開かれますよ」部分がいらない。いや、ユリアン王女これから何するか予定知らずに宇宙艇に乗ってたのかよ、と。もうすぐ目的地に着くその段になってようやく次の予定を聞く様子が、なんとも不自然な絵面。あまりに視聴者に対して説明しよう説明しようとして、劇中の描写として実に不自然になってしまっている。例えるならば、「○○大学に合格するぞ」と一年間勉強していた受験生が試験会場に友だちの親の車で送ってもらって、もうすぐ着くときに「もうすぐ受験が開かれる○○大学に着くよ」と言われるくらいの違和感、といえば分かりやすいでしょうか。

 この「説明口調過ぎる」部分が、本作至る所に垣間見られ、セリフとして不自然極まりないものが多いです。それをあからさまな説明口調にしないためにも、物語の流れ、キャラの動きをブラッシュアップして、より自然なキャラの移動、より自然な台詞回しをさせなおかつ視聴者に状況を分からせる、それが「物語をつくる」ということです。続編を作るのであれば、より自然な台詞回し、そして台詞を自然にさせるためのキャラの動かし方を徹底して欲しいところ。

 80とユリアンのピンチに、光の国で修行していたメビウス、タイガが救援に向かおうとします。ゼットもまた、自分も参戦する、と言いメビウスに静止されますが、ゼットの熱意を感じたのか、メビウスは「無茶はするな」と言い同行を認め、3人のウルトラマンが出動します。この辺りも少し台詞回し、ウルトラマンの挙動がもっさりしており(というかほぼキャラが直立不動で)、一刻を争う緊急事態感が出ていないような気もしますが、やや細かい部分なのであまり触れないでおきましょうか。

 ゼットン軍団を率いて80らを襲った凶魔人ゼットの狙いはユリアン王女だったわけですが、なぜユリアン王女でなければならなかったのか、は本作にて全く明かされていません。次作に引っ張る必要もあまりないですし、次作にて真に納得できる巧妙な理由が示されるともほぼ期待できないのですが、是非とも続編にて万人が心の底から納得する理由付けが欲しいところ。でなければ、本作にてタルタロスが90分かけて、時間を越えて平行同位体を作り出して、大規模な軍隊を作り様々に暗躍して成し遂げたことが、「誰でも良いけどとりあえずウルトラマン側の人質を一人手に入れることだった」ではあまりにスケールが小さすぎますからね(笑) そんなことそこら辺の小悪党宇宙人でも出来ますから。

 凶魔人ゼットとウルトラマンゼットの初対面。ゼットは「ウルトラマンゼロの弟子だ」と自己紹介しますが、そもそも敵はウルトラマンゼロを知っているのか、とか何も考えず自己紹介しているんですかね、ゼット君は。まぁ、お決まりの不自然な「自己紹介」。

 80とユリアンのもとへ、メビウス、タイガらが到着し、各自ゼットンを討伐。まぁゼットンとはいえ弱々しい複製体ですから、これくらいサクサク倒されても仕方ないですかね。だってウルトラマンが必殺技ためてる時、まるで倒されるのを待っているがごとく棒立ちだもん(笑)

 さて、ゼットは、自分一人で十分やれると意気込んでゼットン軍団と戦うわけですが、まだまだ未熟な彼にはどうにもできず、苦戦。そこへ、新星チームウルトラリーグを率いてゼロが到着。救援に駆けつけます。

 ゼロはゼットに「いいか、ゼット。一人で何でも出来る気でいるうちは、大事なことが分かってないって事だ」と言い放ち、タイガと共闘。続いて各人が協力してゼットン軍団と戦っていきます。互いを信じて戦う姿に心打たれるゼット。一人で何でも出来るなんて思い上がっていては何も始まらない。なんだかんだでゼットに目をかけ育てようとするゼロの師匠ぶりが光るシーンでしたね。

 まぁ、グリージョとユリアン、フーマとリブットみたいなほぼ初対面タッグらを見て、「絆を築いた」と感想が出てくるゼットもゼットですが(笑) もう少し説得力のあるコンビだと良かったな、それこそゾフィーアンドロメロスとか。

 さて、タルタロスはユリアンをさらい、そこへ「させるか!」とウルティメイトシャイニングゼロに変身。どうなる!?というところで続く。

 

Episode10

 さて、一応最終話ということらしいEpisode10。

 前回「一人で何でも出来る気でいるうちは、大事なことが分かってないって事だ」とゼットに言っておきながら一人アブソリュートタルタロスの空間に飛び込むゼロですが、どうやらシャイニングとウルティメイトの力を掛け合わせると体力消費が激しいようで、またタルタロスの生み出すタルタロスのための空間内での戦いということもあり苦戦の様子。結局タルタロスの光線にあっさり負けて吹っ飛ばされてしまいます。本記事冒頭でもう話し尽くしてしまいましたが、やはりこのシーンが今作の終着点として非常にまずい部分。

 まずもって、なんのために新フォームを出したのかが分からない。新たな敵のかませにするためだけに新フォームを出すというのが、ゼロになんの恨みがあるんですかレベルの案件。今までも坂本監督はやたらと新フォームを出すことにこだわっていますが(前作の黄金に輝くゼロビヨンドや、今作の虹色に輝くタイガトライストリウム)、他の新フォームと比べてなぜにここまで抜きん出て不遇な扱いなのか。

 それから、今作はあくまで建前上は「過去ウルトラマンを魅力的に描こう」って作品だった気がするのですが。一番人気のゼロをこんな扱いにしてしまっては、まったくもって本末転倒です。完全に見せ方が自己矛盾極まりなく、困惑しっぱなしです。

 最後に、ではこれだけ大人気のゼロをかませにしてなにか得があったのかというと、特にそうでもないというのが一番の難点。Episode10話分かけて、タルタロスに魅力があるのかといわれれば、皆無としか言いようがありません。結局、今作だけ見れば、やったことは「ウルトラの国側の人質を取った」という、別段過去にいかなくとも平行同位体を作らずとも、そこら辺の小悪党宇宙人にでも出来る悪事。強さはレジェンドを見るやいなや逃げ出し、ジョーニアスと互角のレベル。到底ウルトラの国全体を敵に回せるほどのカリスマ性もない。ウルティメイトシャイニングゼロを倒してさも勝ち誇ったような顔をしているが、その実ゼロのカラータイマーを点滅させてすらいない。こんな敵に魅力を感じることは、できません。

 もしゼロをかませにしてまでタルタロスを脅威として見せたいのであれば、それだけの覚悟が必要です。これだけ薄味の話を90分に引き延ばしてタルタロスの暗躍を描くのであれば、それだけタルタロスの行動原理や所作に魅力を持たせる覚悟が必要です。過去作品のウルトラマンを大量に出すのであれば、その分視聴者を魅せるための覚悟が必要です。覚悟が足りない。そんな人が作ったかませフォームは、誰の心にも響きません。

 さて、一方タイガトライストリウムと凶魔人ゼットとの戦い。え、トライストリウムってタイガとタイタスとフーマ、そしてヒロユキがいないと変身できないんじゃなかったっけ?クワトロスクワッドの「絆」の証なんじゃなかったっけ?と思ったそこのあなた。どうやらこの件について、公式がTwitterにて説明しているようです。「地球でヒロユキとの日々を過ごしたことにより、かつて『メビウスと地球人の絆』について真の意味で理解を深め、それを胸に厳しい修行を重ねたことで、ヒロユキがいない状態での変身が可能になった。クワトロスクワッドブラスター以外の全ての技を使うことができ、さらに力を解放した、虹色に輝く新パワーも身につけた。」とのこと(円谷プロダクション公式Twitterより引用)。なんとも分かったような分からないような説明。「厳しい修行を重ねたことで」という文言もだいぶぼかしていて、具体的なことは何も考えていないんだろうな、と。しかもこのくだりを本編ではなくTwitterで紹介するというのがまた惜しいところ。タイガらがヒロユキなしにトライスクワッドに変身できる、それだけでタイガというキャラクターにとっては大きな変化・成長でありますし、そこに本作含め近年のウルトラマンのテーマである「絆」や、本作登場のメビウスも関連しているのであればなおさら、その部分は魅力的なシーンとなったはずですし、描くべきシーンのはずなのですが。キャラクターの大きなターニングポイントとなる話は、ダイジェスト形式で言葉で説明するのではなく、きっちり作品として撮るべきところ。というかそもそもそれを描くのが「物語」なんですけどね~文字に起こしておけばいいや、と思うなら、特撮を撮る意味がありません。

 タイガがメビウスと80に、「後は任せてください」と言うと、一瞬メビウスと80は応援に向かおうとするも、何を思ったか立ち止まり、「まぁ、僕たちが助太刀すれば凶魔人ゼットを楽に倒せるには違いないが、トライストリウムだけで十分倒せそうだから、放っておいても大丈夫そうだな。一人で戦わせた方が本人の経験値にもなるし、ここは後輩に任せるとするか。いやぁ良い後輩を持ったなあ」とメビウス80が棒立ちで漫談する始末。いや、あの、タイガに任せて良いと思うならさっさとユリアン助けに行ったら良いんじゃないですかね?「頼もしくなったな、タイガ。最後まで諦めず、不可能を可能にする。それがウルトラマンだ」なんてかっこつけてる暇があったら、さっさとユリアン助けに行け、メビウスよ(笑)

 さて、凶魔人ゼットとタイガ、ウルトラマンゼットとの戦いが繰り広げられます。本作主題歌とともにタイガ、ゼットが立て続けに必殺技を放っていきますね。あ、フーマ烈火斬とタイガブラストアタックの間に剣の持ち方が非常にもたついていたの、見逃しませんよ。いや、あまりのもたつきようで、よくこれをOK出したなというレベル。

 そして凶魔人ゼット、ゼットンの複製体を出すも、トライストリウムの一撃であっさり退場です。

 とそこへ、ゼロが吹っ飛ばされてきて、心配する一同。「あいつ、強え」と言っているゼロが、カラータイマー一つ点滅していないことはもう何度も触れましたから省略。タルタロスは自ら計画を暴露。ウルトラの星を第二の母星とするのが、主な計画だったそうです。

 そこへ現れるトレギアとベリアル。ベリアル、「別にお前の手駒になったわけじゃねぇけどなぁ」と言っていますが、今作を通してベリアルはどう見ても飼い主に従順な子犬そのものです(笑)

 タルタロスに人質を取られ逃げられ、一方光の国が急襲されゼットライザーが強奪されます。自分の名前が冠された武器ということもあってか、まっさきに飛び出していくゼット。なんだかんだで心配するゼロは、リブットやグリージョに後押しされゼットを追い地球へ。残った彼らはアブソリューティアンへの対抗策を模索する、でつづく。

 いや全然終わってないじゃん。う~ん、なにもかも中途半端でなんの物語としての区切りもないまま、ゼットテレビ本編に続くという……タルタロスの一件は一刻を争う事態のはずなのに、ゼット本編期間という長い空白を挟んでの続編ということに。次回作が面白くなければそれこそ本作の価値がさらに貶められることになるので、せめて次回作は面白くあってくれと願う所存。

 

〈まとめ〉

 結局Chapter3ってタイトル「明かされし野望」なんですけど、結局タルタロスが自分の口であれこれしゃべってますよね。タイトルの意味が「ウルトラマンたちの活躍によって明らかになった野望」ではなく「タルタロスに教えてもらって明かされた野望」なのがまたなんとも、ダサいというかなんというか。

 あ、そういえばChapter1でコスモスとかジャスティスとか、グレートとかパワードとか、出してましたけど結局どうなったんですかね彼ら。グクルシーサーとか完全になにもしてないんですけどなんで出てきたんですかね。沖縄の守り神がなんでChapter1に出てきたんですかね。風呂敷を広げるだけ広げて、キャラを出すだけ出して畳み方が雑だなぁ、というのは一言付け加えておきましょう。

 

 ということで、ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀 感想でありました。う~ん、坂本浩一監督の絵面自体は好きなんだけどなぁ、ナックル星人バンデロ回とか最高に好きなんだけどなぁ、ウルトラマンZの担当回(スカルゴモラ等の回)も結構好きなんだけどなぁ。なんでこうなっちゃったんだろうなぁ。まぁでも仕方ない。こうなってしまったことは残念だけど仕方ない。

 とりあえず、坂本浩一監督に伝えたい言葉は一つ。

 

疲れたよね、もう、終わりにしよう