igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンデッカー21~23話感想 スフィア、またスフィア

 皆さんこんにちは、igomasです!ついに最終盤に迫りました、デッカー感想です! 今回は21~23話。スフィア怪獣がわんさか出てきて、メインヴィランであるアガムスの過去も掘り下げられ、いよいよ物語も大詰めといったところでしょうか。

 最終章を目前にしたデッカー、さっそく見ていきましょう!

↓前回のデッカー感想はこちら

igomas.hatenablog.com

 

 

【21話感想】

 スフィアの死骸を用いたプラズマ増殖炉を作る研究所が登場。研究所を止められないことにむしゃくしゃするカナタに対して、政治的なアプローチのため上官に報告するという堅実なアプローチをとり、研究員の一部賛同しながらも、カナタの意見にも賛成するという、リュウモンらしいカットでした。もうだいぶリュウモンのキャラ造形がしっかりしているので、もはやまったくもって嫌味なキャラには見えません(思い返すと、リュウモンが嫌味っぽかったのは第1話だけだったデッカー)。

 研究員のヒヤマさん、死骸のはずのスフィアが暴走して焦ります。どうしてなんだぁ〜と叫ぶシーンはあまりに滑稽、ちょっと露骨すぎる演技で、単純にノイズでした。スペースゴジラか何かのオマージュらしいですけど、だとしても、ね。

 さて、スフィアジオモス登場です。光速をも超えるプラズマ増速炉の力を応用して、未来からスフィアザウルスを呼び寄せます。ガッツセレクトが応戦するも、圧倒的な力でねじ伏せ、防衛隊は大打撃を受け、ナースデッセイ号が沈みます(この船いっつも沈んでるな)。

 ムラホシ隊長主導のもと、スフィアジオモスとスフィアザウルスの討伐作戦が計画されます。基地で怪獣を模した折り紙を用いて作戦を説明しているのですが、この折り紙凄く欲しいです。円谷公式YouTubeチャンネル、折り方解説動画とかあげてくれないかな。
 プラズマナースキャノンの線上に2体の怪獣を誘導する、という作戦も良いですね。ただ強力な光線兵器をぶっ放して終わり、とするのではなく、2体同時に倒すために誘導する、という作戦にすることで、作戦遂行自体にドラマが生まれます。

 さて作戦がはじまり、防衛隊がしっかりと活躍しており、大変好感が持てます。スフィアジオモスは逃してしまいましたが、スフィアザウルスを防衛隊だけの力でしっかり倒している、というのもポイントが高い。

 アガムス登場。地球人がスフィアをバズド星に連れてきたと明かします。そうこうしているうちにスフィアジオモスは、さらにスフィアザウルスを召喚。未来に絶望して変身できないカナタ。

 そこへ、ウルトラマンダイナが登場です。ぐんぐんカットやタイプチェンジの描写、技の打ち方など、かなりしっかりとしたオマージュをしてくれており、さすがは田口監督といったところですね。

 ダイナやリュウモン、副隊長にイチカの戦う姿に心を打たれ、再び立ち上がるカナタ。「何もしないで開ける未来なんてあるか!!」うじうじ悩んでいても仕方ない、今できることを最大限にやる、カナタらしいセリフです。

 ダイナとの共闘、いいですね。さすが大ベテランのダイナとの共闘ということもあり、かなり有利に戦闘を進めています。デッカーはダイナから、ティガとダイナのカードを託され、それを使ってスフィアジオモスに勝利するのでした。

 ダイナは、未来を信じられず一度はデッカーになれなかったカナタに、「未来は誰にもわからない」と告げ去って行きます(ダイナ20話「少年宇宙人」を参照)。さすがにつるの剛士さんの声は使えなかったのか、声は伏せられていましたね。まぁ、つるの剛士さん以外の声で喋られたらそれはそれでかなりげんなりするので、まだ喋らない方が良かったのかな。喋らないことで、背中で語る男感も出ていますし。

 ということで21話でした。ウルトラマンの客演も最近かなり多くなってきて、なんら珍しくなくなってきたからか、ダイナが出てきたくらいではなにも驚かなくなってきた自分がいます。田口監督はちゃんと防衛隊が作戦を立ててしっかり活躍してくれるので、安心感がありますね。

 

【22話感想】

 久しぶりの、辻本監督回。アガムスの過去が明かされます。

 今までのお話では、アガムスによると「地球が宇宙に進出したせいでバズド星は滅んだ」「地球人がスフィアを連れてきた」「あてのない善意というものは、逆に人を傷つける結果になることもある」などなど、色々な情報が提示されていました。

 これが凡作であれば、たとえば「地球は文明を発展させ、他の宇宙の生命体にも自信の技術を供与したいと考え宇宙進出した。地球はその過程でバズド星の文明を急激に発展させた。それで文明を喰らうスフィアの攻撃を受けレリアが死んだ。別にバズド星は地球に文明を急速に進化させられる必要はなかったのにそれをあえてした地球人の責任だおのれ地球人め」みたいなキャラになるんですけれど、アガムスはそれとはひと味違うといいますか、しっかり一捻りあるキャラになっていましたね。

 むしろ真相はその逆で、地球とスフィアの戦いに、バズド星の科学者であったアガムスが自ら参与したことで、スフィアをバズド星に招く結果となってしまった、ということでした。困っている人がいたら、力の限り助けようとする、そんな善性しかないキャラにしては、あり得ないほど救いのない展開です。ウルトラマン、こういうキャラはしっかりいい人生を歩みがちなのに、だいぶ悲惨な人生です。

 アガムスのセリフ、「バズドにスフィアを連れてきた地球人の罪、科学を過信した私の罪、全てを精算するために私はこの時代に来た」というのが滅茶苦茶いいセリフ。バズドにスフィアを連れてきた地球人の罪、って言っているけど、恐らくこれは副次的なものであって、やはりアガムスにとって一番大きいのは「科学を過信した私の罪」ってところなんですよね。

 アガムスの考えとしてはおそらく、スフィアを使って早々に地球を完全に滅ぼしてしまえば、未来で地球人がバズド星に来ることもなく、つまり自分が「スフィアの戦いに身を投じる」という愚かな決断をすることがないだろう、って事なんじゃないですかね。言い換えれば地球人がバズド星にやって来た時点で、どんな世界線でも、自分は地球を助ける選択をするだろうと考えているんじゃないかな。自分に愚かな選択をさせないために地球を滅ぼす、その行為を正当化するために「地球人の罪」って言葉も付け足している、そんなイメージ。

 とまぁ色々と好意的に解釈しましたけど、上記のようなことはやはり、しっかり劇中描写として描かないと視聴者には伝わらないです。それが映像作品というものです。

 それに、そもそもアガムスの行動は「地球と協力してスフィアを倒すぞ→妻が死んだ→スフィアと組んで地球滅ぼすぞ」とあまりに飛躍しすぎています。このあたりも、もう少し描写をしっかり入れなければ、アガムスの魅力には繋がりません。

 また、そもそもアガムスがスフィアを使って過去の地球を滅ぼしたとしても、地球を喰らい尽くしたスフィアが次にバズド星を狙う可能性も十分あるわけで、アガムスの作戦自体、欠陥だらけと言うほかありません。ちょっとそのあたりもアガムスに感情移入しづらく、視聴者を置いてきぼりにしてしまっている点かな、と。

 さて、テレビシリーズでは実に56年ぶりとなるチャンドラーが登場。基本的にペギラに耳つけるだけでできるお手軽怪獣なので、そろそろ出るだろうなとは思っていました。チャンドラー自体、あまり強い怪獣の部類には入らない印象ですが、それなりに活躍していたんじゃないでしょうか。アガムスはもっとチャンドラーが活躍することを望んでいたようですが。後半戦になって、防衛隊だけで怪獣を撃退するケースが増えてきて、新生ガッツセレクトの隊員達の成長が見て取れます。

 さて、アガムスはテラフェイザーに搭乗。デッカーとの戦いが始まります。スフィアとの融合により、どんどんおかしくなっていくアガムス。記憶も微かになっていきます。

 激しい戦いの末、デッカーとテラフェイザーの光線がぶつかり合い、街がひとつ丸ごと地盤沈下して崩壊します。いやいやいや、さすがに破壊の範囲広すぎです。

 似たような描写で、たとえば6話の辻本監督回の地下戦闘があるのですが、あれは地上の街にはそれほど被害を出さず、巨大な地下空洞でだけ戦闘が完結しているからこそ、絶妙なバランスの上で成り立っていた演出です。今回のようにウルトラマンの光線とテラフェイザーの光線がぶつかって街ごと地盤沈下完全崩壊って、さすがにやり過ぎです。

 テラフェイザーが出現してから一瞬で、街丸ごと避難完了とかまずあり得ないですし、そんなの、戦ってる防衛隊も街の人間も全員死ぬじゃないですか。街が崩壊した映像とその後の倒れるカナタとアガムスのカット、全然繋がりません。破壊の規模間違えすぎでしょ。少しくらいリアリティってものを考えて貰いたいものです。

 これだけの被害が出ておきながら、街ひとつなくなったことになんの言及もないあたり、あまり考えなしに大破壊をしてしまったのではないでしょうか。もうちょっと規模を考えてくれよ、と思いましたね。

 辻本監督、所々の特撮の演出自体はかなりいい監督ではあるのですが、こういうのがひとつあるだけで全部帳消しになってしまいます。さすがにやり過ぎなシーンでした。

 アガムスのキャラづけに一捻りあるのはいいなとは思いますが、結構作劇に粗も目立つ、そんな回でした。

 

【23話感想】

 スフィアとの融合により一時的に記憶障害を受けたアガムス。リュウモンはカナタの正体を知り、アガムスとの面会をカナタに任せます。正体を知ったリュウモンが、それを誰かに話すでもなく、カナタ本人に問うでもなく、カナタをただそっと陰ながらサポートする、というのが良いキャラしています。

 その時その時の感情に押し流されることなく、起こっている状況を的確に判断し、自分のなすべき役割をこなす。リュウモンは作品を通してそういうキャラで、23話のこの行動も、実にリュウモンらしいなと思いましたね。じっくりと時間をかけて登場人物の描写に力を入れたデッカーだからこそ、アツくなるシーンです。

 面会では、レリアの死を忘れ、元の温和なアガムスを見ることが出来ます。カナタとアガムスが、腹を割って話すことが出来るという、貴重なシーンではあるのですが、結局の所、22話で触れた、レリアの死→スフィアと組んで地球滅ぼすぞ、の飛躍が説明されることは特になく、アガムスの元々の善性が強調されるだけのシーンで終わってしまいましたね。

 もちろん、このシーン自体は結構重要で、カナタが「アガムスはやはり、元々良い人間だった」と確信し、24話へと繋ぐシーンです。なのでまぁ、シーン自体は良いのだけれど、もう少し要素を盛り込めた面会シーンだったのかな、と。アガムスのキャラをどんどん深掘りするより先に、スフィアの登場であっさり記憶が戻ってしまいましたからね。少し惜しいシーンではありました。

 いよいよ決戦。避難の遅れた人を救助しようとするカナタ。そこへリュウモンが駆けつけ、救助を請け負います。正体を知っているリュウモンが、お前はお前のやるべきことをやれとカナタを送り出す様子が、本当に素晴らしい。カナタとリュウモンが目だけで会話しているというこの構図が、かなり胸熱なシーンでしたね。しっかりと人物描写をしてきたからこそできる演出です。

 スフィアゴモラ、スフィアレッドキング、スフィアネオメガスが登場。スフィア怪獣、てんこ盛りですね(笑) カナタもダイナミックモードで応戦します。さすがに3対1ということもあり苦戦。

 スフィアの放つ強力な電磁波によって、新生ガッツセレクトの戦闘機も皆、墜落。

 ピンチに陥りますが、デッカーはデュアルソードとシールドカリバーの二つの武器を使って大逆転。3体の怪獣を倒すも、テラフェイザーの光線を浴びて消滅してしまいます。辻本監督らしい、小道具を使った特撮シーンは、とても楽しませていただきました。

 

 ということでデッカー21~23話でした。

 21~23話はアガムスの掘り下げということもあって、毎話テラフェイザーが出てきて、正直もうだいぶ絵面が似通ってしまっている節はあるのですが、しかしなんだかんだで、新規怪獣や新規改造の怪獣がそれと同じくらいわんさか出てくるので、以外にもそこそこ楽しめましたね。

 ニュージェネ後半あるあるな終盤での失速は特になく、順調にバトンを渡しているデッカー。残る2話、はたしてどうなるのでしょうか。次回、デッカー感想最終回を、お楽しみに!!!!!