igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ギャオス!

 どうも、igomasです。先日配信サイトGYAO!にて、いわゆる平成ガメラ一作目であるところの、ガメラ 大怪獣空中決戦』が配信されました。今回はその感想記事となっております。怪獣好きとしては外せない今作、ところどころ忘れているところも多く、改めて通しで見てみたわけですが、まぁ、さすが名作と言われるだけあって、色々感銘を受ける部分は多かったですね。放映当時ならではの見せ方などもあり、非常に興味深く見させてもらいました。

 

 

ギャオス!

 今作の大きな見所の一つに、敵怪獣のギャオスが挙げられます。このギャオス、実は私igomasのかなりの推し怪獣でありまして、いつ見てもその洗練されたデザインに感銘を受ける怪獣で、一種怪獣の完成形と言えるのではないかと思うほどに心酔する怪獣なんですよね。何故ここまでギャオスは我々を引きつけるのか、について、まずは少し話したいなと思います。
 怪獣特撮、という作品ジャンルにおいてしばしば言われるのは、そこにリアリティがなくてはならない、ということです。非現実的な存在を現実的な物語に組み込むのであれば、そこにはリアリティという調整がなければならない。その上で重要となるのは、一つは怪獣のリアリティであります。ゴジラが初めて製作された当時、その頃考えられていたティラノサウルスの形から、リアリティを考えて誕生したのが、あのフォルムのゴジラです。以後国内の怪獣はその多くがゴジラフォルムであり、まぁウルトラ怪獣だとブルトンやガタノゾーアなど特殊例はあるものの、概ね直立二足歩行型の怪獣が多いですよね。しかし、今の時代となってはもはや、ティラノサウルスの見た目は全く違う物だったということになり、直立二足歩行怪獣のリアリティも薄れてきました。シン・ゴジラでも、あの巨体で二足歩行など、普通は生きていられないと言及されていましたね。それ故に、二足歩行怪獣というのは、ある意味ちょっとリアリティがないな、とは以前から思っていたんです。
 とはいえ、先程紹介したブルトンやガタノゾーアといった特殊造形の怪獣に抜きん出てリアリティがあるか、と言われれば、少し首を傾げます。やはり地球に実際に存在した、または存在する巨大生物といえば、恐竜か、サバンナの哺乳類たちでしょう。それらとは似ても似つかない姿の怪獣が、デザインの秀逸さは別として、リアリティはないかなぁというのが正直な所。
 そんな中、未だ学説上も現実に即した、リアリティのある怪獣造形が、翼竜型の怪獣です。ギャオスは所謂翼竜型の怪獣であり、近年の学説を考えても最も現実味のある怪獣と言えるのではないでしょうか。また、ギャオスは、地上に降り立った際二足歩行となりますが、このときにも首や背骨が前傾姿勢になるよう、工夫がなされています。ラドンのように着地したとき、直立二足歩行にならないという点での現実味、野生味も補完されており、非常に評価が高いです。
 さてそんなギャオスですが、単にリアリティが高いというだけでなく、造形がかっこいいというのも評価ポイントです。特徴的な、シャープな顔の造形は、ギャオスの持つ獰猛性が現れており、秀逸。目のぎょろぎょろとした動きも肉食動物っぽさが現れてて良いですね。喉の辺りが本当に生物的な感じに造形されており、この映画のギャオス、食べてるシーンがやたら多いんですが、そのシーンの喉の動きとか、結構面白かったりします。途中で赤目になる様子など、色々仕掛けが施されたスーツは見物です。巨大化してからは、遮光板のようなものがついていると劇中で言われていましたが、スーツもそうなってたのかな。ぱっと見確認できませんでしたが、スーツ作った人に聞いたらめちゃくちゃ凝ってるよって話聞けそう。そんな細かい造形の魅力も、ギャオスの良さですね。

 

怪獣の魅せ方

 今作は怪獣の描写が非常に丁寧に描かれており、怪獣を最初から全体像で見せるのではなく、一部から映し出していくんですよね。ガメラであれば環礁、ギャオスであれば、襲われた町並みや排出物。ここら辺の見せ方が実に上手い。
 怪獣関係でもう一つ、面白い見せ方だと思ったのは、ガメラ、ギャオスの命名ガメラは神話的世界観が取り入れられるとよく言われますが、今作でも古代文明の碑文から、伝承から名前がつく、というのは、時間の広がりがそのまま怪獣の規模の大きさを想起させ良い演出。人間が命名するパターンも好きですが、こういう命名もいいですね。

 

ガメラが攻撃してこない云々の話

 攻撃してこない相手には攻撃を仕掛けることができないから、ガメラは攻撃できない、と台詞で言わせておいてから、後になってガメラ攻撃作戦を実行するという、ちょっと矛盾した描写。ここは、法律関係とか考えると入れたかったのでしょうが、別に入れなくてもよいシーンなのかな、とは思いましたね。作るならもっとしっかり作り込んでほしかったところ。
 また、ギャオスが人を襲っているという事実があり、しかもその見た目も明らか鳥というよりかは翼竜なのに、「トキより希少な鳥かもしれないぞ」なんてずっと言ってるのは、あまりリアルな反応とは言えませんでしたね。国がどういう反応を示すのか、という描写を入れたいという制作側の意図は伝わりますが、もうちょっと描いてほしいかな。なにぶん、今の時代はこの国側の描写をしっかり描いた特撮、シン・ゴジラがあるので現代人が見るとなおさら辛口になってしまうのかも。

 

ガメラの飛び方

 調べてみると、外国人にはガメラの飛び方が滑稽に見え、それ故ガメラの評判が悪い、みたいなことが書いてましたが、正直自分から見てもガメラの飛び方は滑稽。この辺りは個人によって好みが分かれる部分なのだろうと思います。だからどっちが正解って訳でもなさそう。別に外国人皆がガメラの飛び方に疑問を抱いて嫌いになってるわけでもなかろうし(だってゴジラの飛び方も相当変)

 

町中の電光掲示

 怪獣特撮ものは、街中の電光掲示板でニュースが流れることが多い印象ですね。ウルトラマンを見ていても、この描写の仕方は割とよく見る印象です。なんでだろ。この辺りは何か自分で考えがまとまれば記事にしたいところですが、おおむね雰囲気が出る演出だなぁと思いますね。

 

勾玉の一件

 勾玉一般人にあげちゃうんだ、というのは、今作の面白いところ(怪獣のダメージが人間に影響するというのは割と斬新かな)であり、かつ雑なところ。未知の物質の扱いは、もう少し丁重にしてもいいかなとは思いました。まぁ、どこまでリアリティ路線でやりたいかにも寄りますけどね。

 

タクシーの運転手

 タクシーの運転手が、詳しい話を全く聞かずに(移動中に話していたのかもしれませんが、描写されていないものは何とも言えないですね)、「いっぺんこういうことやってみたかったんだよ」と、警察の交通規制を振り切って突っ込むサイコパスぶりには笑いました。今であれば問題視されるかもしれませんが、この時代ならではなのか、非常に勢いのある描写。
 構造上の粗とかそういうものは、最終的に勢いがあれば何とかなってしまうのです(笑)

 

おわりに

 色々と気になるところはありましたが、長所短所含め、全体としては楽しく見させていただきました。ほぼギャオスの魅力について語る記事となってしまいましたね…
 怪獣の魅力に関しては申し分ないほどに作り込まれ、ガメラとギャオスの出現から決着までを見事に描ききった作品でした。人間の描写にどこまでリアリティを出すか、というのは好みの問題として、雑な部分もありますがちゃんと描くべき所を描く心意気も見られて、評価が高いのも頷けます。怪獣特撮ファンとしては、やはり一度は見るべき映画でしょうね。
 さて、これも相当な映画でしたが、メインディッシュはこの続編となる映画、レギオン襲来です。今作を越えるその人気ぶり、怪獣特撮としての作り込み、レギオンの恐ろしいほど美しい造形、ワクワクが止まりませんね。またそちらの記事も書こうかなと思っておりますので、ぜひぜひお楽しみ下さいませ。それでは!