igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

ウルトラマンZ第3話感想 マッスル変化球

 皆さんこんにちは、igomasです! 今回も、ウルトラマンZ第3話感想、バリバリ書いていきますよ! それでは早速やっていきましょう~

第三話を見る前に・作品構造論

 最初に、少し作品構造のお話をさせてください。一般的に、物語を描くとき、第一話に「つかみ」の役割を任せ、第二話で「周辺キャラの丁寧な描写」をする方法がある、という話を前回しましたね。
↓第二話の記事

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 では第三話はといいますと、多くの場合、何かしらの変化球を入れる傾向にあるといえましょう。少し話は逸れるのですが、皆さんは算数はお好きでしょうか? 数列、というのを、誰でも見たことがあるでしょう。数字が並んでいて、空欄にあてはまるのは何でしょう?というクイズです。試しにやってみましょう。
1 2 3 □……
 はい。何でしょう? 答えは、4ですね。
1 3 5 □……
 こちらは7ですね。これは、等差数列といって、1ずつとか2ずつとか、同じ分だけ数字が増えていくやつであります。
2 4 8 □……
 ではこれは?答えは16。これは、等比数列といって、どんどん倍になっていくやつですね。
1 1 2 3 5 8 □……
 中にはこんなやつもあります。これはフィボナッチ数列といって、前二つを足した数字を書いてるわけですね。三つ目は、一つ目の1と二つ目の1を足して2、四つ目は二つ目の1と三つ目の2を足して3、みたいな感じ。□に入るのは、前の二つ、5と8を足した13になります。
 こういう問題って、基本的には最初3つの数字を見てしまうと、法則が分かっちゃって後ろ全部予想できちゃうんですよね。慣れてくれば、簡単なものです。実はこれは何にでもあてはまることで、数列に限らず大体のことって、最初の3つ見れば分かるんですよね。あ、この後こういう流れになるんだろなって。そうなると、視聴者はどんどん作品から離れていってしまいます。
 それを防ぐには、「へっへっへ、最初二つから次はこう来ると思っただろ、違うんだなぁこれが」みたいな感じで、変化球を投げてやるのが良いわけです。近年のウルトラマンを見ていると、大抵新形態が登場するのは第三話であります。これは、作品に変化をつける、一番やりやすい方法なんですよね。というわけで、そんな変化球の第三話。見ていきましょう。

 

第三話感想

 冒頭でデビルスプリンターの説明。マジャッパかわいい。この辺りのあっさりかつ丁寧な説明はありがたいですね。
 続いてハルキとバコさんの「特空機2号の予算が降りないから、クリヤマ長官に予算ぶんどってもらう」世間話。第三話は日常パートの台詞回し、役者の演技がどれも自然で、突っ込む余地が一ミリもないのが素晴らしいところ。正直、ここ50年で一番しっくりきた日常パートでありますw このシーンでも、ハルキが新兵器搭載にちょっと喜ぶところとか、バコさんが出撃準備に向かうところとか、とても自然な流れです。
 と、ここでいきなり特撮シーン。セブンガーと、なんとギガスの戦いであります。冷凍怪獣ギガスは、かの初代ウルトラマンの怪獣で、実に53年ぶりの登場。最初、遠目からの戦いが描かれるので、ショー用のいわゆるアトラク用スーツってやつかなと思いきや、ちゃんと目は動くし質感もしっかりしていて、ガチの新規造形スーツ。と思いきや、先日状態の良いアトラクスーツだったと判明し、最近のアトラクスーツ、質が良いですね。アトラクスーツも、バンバンテレビに出せそうな予感。まぁどちらにせよ、いやぁ、これは嬉しい。最後はセブンガーに搭載された新兵器、硬芯鉄拳弾(一言で言うと、ロケットパンチ)で倒されます。コミカルかつ王道な新兵器、いいですね。新規造形スーツでありながら、サックリ退場するあたりのいきの良さも、いいですね。
 近くに観測所あるから気をつけろ、というヘビクラ隊長の命令がありながら、観測所ごとギガスを爆破させちゃって、「あ…」となるハルキが映り、オープニングに移行。ハルキの、「あ、やっちまった」という間がちょうどよく、鮮やかにオープニングに入れましたね。
 少し話が逸れますが、私は作品を見る上で、構造的問題とか矛盾とか、そういう問題点を指摘するのも、自分の好みを多少語るのも許されるとしても、自分の好みかどうかだけで作品を判断したり、自分の好みどおりにしろと制作陣に愚痴るのはお門違いだと思っております。それ故、割と自分の根底にある願望をあまり外に発信してこなかったのですが、率直に言うと私igomasは、第一に、円谷すげー、と言いたいのであります。円谷プロは、ウルトラQ以来、劇場でしか見られなかった怪獣特撮を、家で見られるようにする、というなんとも豪華なコンセプトで好評を博しました。特撮では、ビルを無尽蔵に壊しまくり、怪獣スーツを大量に作り、予算度外視のエンタメを見せてくれました。もちろんそれが、結果として経営を困難にしたことは否めません。TDGの素晴らしい特撮が、その予算の使いっぷりが、20年たった今でも痕跡を残していることは重々分かっています。でも、根底にはやはり、そのいきの良さが好きで好きでたまらないのです。本当は予算もスーツもなくたって、それを感じさせない努力に、全力を注いでほしいと思ってしまうのです。ふにゃふにゃのエレキングを見ると、少なからずげんなりしてしまうのです。グビラが毎回のように出ずっぱりだと、スーツないのかなとガチで心配してしまうのです。もしかしたら、私が怪獣が好きなのは、円谷のいきの良さが、怪獣の描写に、一番如実に現れるからなのかもしれません。たとえそれが見栄っ張りでも良い。やせ我慢でもいい。たとえお金がなくとも、撮り方次第で、まるで予算があるみたい、と錯覚させてほしいのです。予算を使ってといっているわけではありません。予算があるかのように、魅せてほしいのです。今回のギガスちょこっと出演には、そんな円谷のいきの良さが、ありありと感じられたのです。このシーンを見たとき、胸の奥底がジーンと熱くなりました。もちろんこの段落に書いてあることが、多くのウルトラファンを怒らせてしまうことは重々承知していますが、それでも、この感動だけは、読者の幾人かに、そしてもしかしたら届くかもしれない製作陣に、伝えたいと思った次第です。今回話逸れすぎですね。戻りましょう。
 クリヤマ長官の説教シーンからスタート。根回しが全部パーになったことも相まって、動きがダイナミックなクリヤマ長官w 怒るクリヤマ長官、どこか抜けてるハルキ、すみませんと言いながらハルキの尻をたたくヘビクラ隊長、横で見てて、二号機開発が滞って不満げなオオタユカ隊員、二号機操縦できないじゃんとややショックなナカシマヨウコ隊員、と、どのキャラの所作、セリフも自然に見えるのは、第一話、第二話のキャラ描写のたまもの。
 トンネル工事が滞っている工事員二人の会話。ゴモラ岩によって、トンネル工事が中止。ストレイジが輸送作戦を行う、という話が展開されます。こういう、ちょっとした一般人まで演技力があるって結構ウルトラマンでは珍しいことなのですが、一般人もちゃんと自然に会話していて、いやはや丁寧な仕事。
 輸送作戦を前に、不安げなハルキ。どうやら花粉症らしく、日常パートのちょっとした会話が、特撮パートの怪獣の目覚めに繋がるのは良いですね。ゴモラ岩は、まぁ、まんま怪獣のゴモラなのですが、尻尾が絡まって丸くなっているのは、なんというかとても可愛らしく、セブンガーやドローンも相まって、どこかほのぼのとした輸送作戦。テレビの生中継も加わり、実際の輸送作戦チーム(ハルキ、ヘビクラ隊長、オオタユカ)と、プレゼンチーム(栗山長官、ナカシマヨウコ)のシーンが交互に切り替わります。たくさん人使っているのは、色んな意味でスケールのでかさが出ていて好印象。
 セブンガーが活躍すると、プレゼンチームの方でも好印象を与えるスピーチが入り、プレゼンチームの発表にて、コストパフォーマンスが良くないのでは? という指摘が入ると、コードをつなぐ整備班の苦労する様子が映される、と、両シーンの切り替えの自然さが良い。セブンガーが市街地に現れ、事務次長らは窓辺に行くわけですが、ここでの外国人の反応(子供の頃に夢中になった日本製のロボットアニメを思い出すな、とか、パイロットなのにカラテの達人!?) というセリフが、なんだか日本旅行に来た外人そのもので、のほほんとした雰囲気が漂っていて、実にゼットらしい。
 輸送中のハルキが花粉症でくしゃみをすると、ゴモラもくしゃみを。ヘビクラ隊長、オオタユカ隊員の反応が、実に良い。独特の「間」を使いこなしているのは、第三話の良いところ。目覚めたゴモラが、暴れ始めます。逃げるテレビレポーターが、撮れ高より逃げること優先なのちょっと笑いました。ここも、ちょっとした一般人なのに演技がよい。
 セブンガーとゴモラの戦闘シーン。ゴモラ、暴れに暴れます。ここ10年味方怪獣ポジションで、溜まりに溜まった暴れ欲をここで果たしてやるぜといわんばかりの暴れよう笑 外部電源を外し、ガチモードのセブンガー。どこか緩くも迫真の特撮バトルが楽しいシーンでありました。セブンガーがコケて倒れるところのハルキらしさと、カブキ・アタックだ、とわけの分からんことをいう事務次長(笑)のコミカルさも、面白いシーン。
 なんとか立ち上がりゴモラを止めるセブンガーですが、ゴモラの尻尾攻撃にあえなく敗退。ゴモラの、しなる鞭のような尻尾は、なかなか手の込んだ描写でありました。
 セブンガーが倒れた後はビルに向かってくるゴモラ。そこに、ナカシマヨウコ隊員が登場。CM前でセブンガーに任せましょう、みたいな発言をしていて、あんた人任せでいいのかと少し気になっていたナカシマヨウコ隊員ですが、しっかり隊員らしく銃で応戦。ゴモラの侵攻を単身足止めします。
 危機的状況を助けるため、ハルキはゼットに変身。第一話はセブンガーとゼットの共闘、第二話はナカシマヨウコ隊員がセブンガーに乗って、ピンチのところをゼットに助けられる、という展開でしたが、第三話はハルキが乗っていて、倒された後ハルキがゼットに変身、という流れ。どれも違う展開ですね。個人的には、セブンガーもゼットもハルキが占領するのって、物語的に役割が一カ所に集まりすぎるイメージがあるので、特空機には基本的にナカシマヨウコ隊員に乗せてあげたいところ。
 さて、枯れ専のヨウコはゼット様発言。ゾッコンだな笑 アルファエッジとゴモラの戦闘シーン。ゴモラのウルトラ馬鹿力にやや苦戦。そんなとき、ナカシマヨウコの持つメダルを発見し、ヨウコにジェスチャーでメダルを求める、というコミカルなシーン。
 ヨウコからメダルを受け取り、レッドマンレッドマンレッドマンの3枚のメダルを使い…じゃなかった、ウルトラマン、エース、タロウのメダルを使い、ベータスマッシュへの変身を遂げます。今作が面白いのは、強敵怪獣に苦戦してどうにもならないからタイプチェンジ、というわけではないところ。ゴモラ戦で、カラータイマーが赤になるまで苦戦する、ということもなく、パワー系を倒すにはパワー系の方が有利、という感覚でタイプチェンジを行っています。これは、ジードのソリッドバーニングというよりかは、ティガやダイナのタイプチェンジの感覚、というと分かりやすいでしょうか。近年の作品にありがちな、基本戦闘形態のかませ感がないのは個人的には嬉しいところ。
 さて登場から、プロレスオマージュ? とかなりネタ要素の多い、異質なマッチョ、ベータスマッシュ。ゴモラの花粉症を戦闘に盛り込んだり、色々考えられた特撮でありました。ゴモラの超振動波とエースの切断技の相殺は非常に熱く、そこから空中に突き上げての爆発四散。今回の怪獣ゴモラも、なかなかの活躍を見せてくれました。
 オーブのサンダーブレスター、ウルトラマンタイタス、そして今回のベータスマッシュと、近年マッチョウルトラマンに味をしめている円谷ですが(実際、人気はそこそこ高いらしい)、サンダーブレスターは、強大な闇の「力」、タイタスは鍛えた「筋肉」、ベータスマッシュは、常人に急に筋肉がついた、みたいな演出の違いがありました。あくまでベータスマッシュは、先輩方から得た筋肉を使っているわけで、普段から鍛えている人の、フィジカルのみみたいな戦い方とは異なり、戦い方を工夫してみたり切断技を使ったりと、ゼットらしいマッチョウルトラマンに仕上げているのは、今後の可能性が開けて面白いところ。まぁ、そもそもマッチョなウルトラマンというのは、賛否両論、好みの問題もあるでしょうけれどね。
 セブンガーは敗北してしまったものの、ウルトラマンが苦戦したゴモラに善戦したことを評価され、二号機開発に予算が出ることに。オオタユカ、絶叫w もっと飛び跳ねて喜んでも良かったのですが、割と抑え気味なよろこびかた。彼女の大活躍は、第四話で展開されるようですから、楽しみ。褒められたハルキが花粉症でくしゃみして、すみません、でエンド。とても良いあんばいに纏めた一話でありました。
 さて、多少気になったところでありますが、ストレイジウルトラマンに対する認識をもう少し丁寧に書いても良かったのでは? と思います。もちろん、第一話の時点でハルキはウルトラマンと共闘関係を組み、第二話でナカシマヨウコ隊員はゼットにぞっこんなわけですが、アメリカ本部の人たちは、そうではないはず。本部の人たちは、ウルトラマンという謎の存在どころか、自分のテリトリーであるはずのセブンガーすらよく分かっていない様子だったので、ウルトラマンについてはほぼ無知といって差し支えないでしょう。そんな本部の人間が、ウルトラマンですら苦戦した相手にセブンガーはよく戦った、なんて言って良いのでしょうか。そもそもウルトラマンを強さの基準にするにはウルトラマンを知らなすぎですし、ていうかウルトラマンを野放しにしていいのかアメリカ(笑)。セブンガーに難色を示す前に、ウルトラマンという巨大宇宙人が地球を闊歩していることを言及すべきなのでは!? ここら辺は、コメディに走りすぎた故に緩くなってしまった部分なのかも。まぁ、日本観光に来た外国人の反応はコメディとして十分楽しめましたが。
 第三話。変化球を加えながらも、第一話、第二話で組み立てたキャラ描写がちゃんと自然な形で日常パートに組み込まれた第三話でありました。まぁ正直なところ、割と順当な話というイメージで、ベータスマッシュという強烈な変化球以外はあまり変化球してない、落ち着いた第三話でありました。後はベータスマッシュの好みの問題でありましょうw
 第三話までは、ある程度キャラ描写が定着してきました。これからは、キャラ描写をより深めるのはもちろん、それぞれのキャラを結びつけ、化学反応を起こす局面へと入っていきます。手始めに、第四話、ストレイジの面々は、オオタユカ隊員にどのような思いを抱いているのか、辺りから手を付けてほしいところ。オオタユカ単発の話でなく、オオタユカ中心に様々なキャラと有機的につながる第四話となることを、楽しみにしています。
 それではまた次の記事でお会いしましょう! igomasでした!

 

<補論1>

 私igomas、誰よりもゼットを語る、というコンセプトでやらせていただいておりまして、あまり各話感想で話さなかった話を少々…
 今作ゼットでは、どうやらオリジナル形態には変身しないようですね。あくまでオリジナルのゼットはハルキとの会話のみ登場し、戦闘ではアルファエッジやベータスマッシュといった形態で戦うよう。なかなか面白いスーツの使い方で、驚き半分ワクワク半分。今後どうなっていくのでしょうか。いつかはオリジナルZで一人前の戦いができるといいですね。
 それから、近年のウルトラマンは、べらべら喋る傾向にあるのですが、それはちょっとチープに映りすぎる、と、特に平成勢からは不評だったんですよね。ウルトラマンの持つ神秘性、まぁ神秘性とはいわないまでも、巨人に抱く畏怖というか、そういうものが薄れてしまうという批判。ただ、べらべら喋ることでキャラが簡単に立つ、という意見もありました。
 今作はそこを巧く昇華していて、ハルキと会話する時や、変身中ハルキがいる場所(いわゆる、おもちゃの使い方を教える販促の場、インナースペース)ではべらべら話すものの、戦闘時にはデュワ! のような掛け声のみにとどめ、メリハリをつけています。また、その掛け声も、声優の声そのままでなく、加工された声であるため、チープなイメージを抱かせません。近年のニュージェネレーションウルトラマンと、平成ウルトラマンの良さを合わせた良い演出でありましょう。

 

<補論2>

 最後に、次回の内容を若干考察。割と次回予告見たまんま、つまり分かる人には既に分かってるけど、真実味あるネタバレみたいになるんで見たくない人は飛ばしてね。
 予告編を見たところによると、ようやくメインヴィランとなるカブラギシンヤ・セレブロが動き出す様子。今まで野生怪獣が多かったので、少しずつ召喚系も入れていこう、という判断なのでしょうね。カブラギシンヤの持つメダルは、ウルトラマンに登場したジラースのメダルでありましたから、第五話でジラースを召喚してくるのかもしれません。
 また、予告編が終わったところで、提供とかが入る横の部分? に、テレスドンの体にも変化が…!?という文面があります。順当に考えれば、戦闘の途中でカブラギシンヤが干渉し、デビルスプリンターが絡んでくるとみるのが妥当でありましょう。そういう意味でも、カブラギシンヤ、本格的に登場しそうな予感であります。楽しみですね。以上、補論でした!