igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

SSSS.DYNAZENON……惜しかったなぁ

 皆さんこんにちは、igomasと申します!普段はウルトラマン考察、悪役考察を中心に活動しています。さて今回、ついにSSSS.DYNAZENON、最終回を迎えましたね!色々と世間で話題を呼んだあのSSSS.GRIDMANの続編ということもあり、私もしっかりチェックしておりました。SSSS.GRIDMANの感想記事については、以下をご覧ください。

 

igomas.hatenablog.com

 

 さてそんな最新作、SSSS.DYNAZENONについて、満を持して私も感想記事を書かせていただきたいと思います。とはいえ本作、毎話毎話じっくり賞味して、感想記事をあげるほどの作品でもありませんでしたから、今回、全話まとめて一つの記事でご紹介します。

 先に総括として書いておくと、前作は、かなり危うい部分をたくさん含みながらも、絶対に抑えておくべきポイントはしっかり抑えた作品になっていた一方、今作は、前作以上に描き切れていない部分が多く目立ち、惜しい部分の多い作品だったなという印象です。一言で言ってしまえば、

 

何がしたいのかわからない

 

 主人公らや敵組織、怪獣などなど、それぞれのキャラクターにどれだけ共感できるか、というのが、作品の中では一つの大きな指標になってきます。しかし今作、どうも感情移入しがたい状況が多く、視聴者側としても、うむむ、と首を捻ってしまうカットが多々ありました。それだけに、危うい部分の目立つ作品になってしまったのは、惜しいところ。

 今回は、そういったポイントに絞って、やや箇条書きぎみに、私が思ったことを書き連ねていきました。少しでも共感していただけると、幸いです。それでは早速、各話見て参りましょう!

 

 

第1話

 待ち合わせをしておきながら、待ちぼうけを喰らわせるヒロインに感情移入できない。寝坊とか、遅刻とか、忘れていたとかなら分かるけれど、待ち合わせ場所にちゃんと来て、それでいて会わないってのが理解できない。

第2話

 そんな滅茶苦茶なヒロインが急に、心変わりして「練習」に来るようになるのが分からない、あまりに唐突。
 ヒロインが主人公に興味を持ち始めるのもとても唐突であり、なんで1日でここまで話し掛けるようになったのか、謎。

第3話

 第2話であれだけ街が壊れて人々を守らなきゃって話をしていたのに、街を壊した張本人である怪獣優生思想と対峙した時に主人公らが、怒るでもなくただぼけーっと突っ立っているのかが分からない。
 主人公、なんで怪獣優生思想の人と普通に雑談できるのかも分からない。感情移入ムリ。
 「体育とホームルームだから怪獣倒しに行ってもロス少ないか」という感覚で怪獣倒しに行くのも、本当に理解できない。先程も言ったが、第二話であれだけ街の損害の甚大さの話をしたばかり。話のノリが軽すぎる。
 戦いの最中、怪獣の攻撃でいつ死ぬかわからないリスキーな状況下で、ガウマの独白タイムを敵そっちのけ・棒立ちで求める主人公、理解できない。そしてガウマに「会いたい女の人がいる」と言われて、あっさり納得して信頼できる主人公陣にも共感できない。


第4話

 主人公がいつの間にかヒロインのことを好きになっていて、かなり唐突気味。
 5000年前から5人生き返った話を一瞬で信じてしまう上、さも当たり前かのように振る舞う主人公たち。
 (街を破壊し人殺しをするような)敵組織が転校してきても、「ガウマさんに伝える?」「学校に乗り込んでくるしやめとこ」レベルの冷めた会話。
 「怪獣優生思想がいなくても怪獣は現れる」みたいなことを言っているが、彼らがいなければ怪獣が巨大化したり好戦的になったりすることもないので、どちらにせよ怪獣優生思想が悪い。それを棚に上げて議論しているのも意味不明。

第5話

 ヨモギらが敵をプールに招き入れる意味が分からない。

 また、ガウマの作戦もよく分からない。敵がヨモギと南を恋人同士だと思っているからといって、恋人同士に振る舞うことが敵を「油断させる」ことにはならないでしょ。
 「怪獣を操る敵」をプールで素手で捕まえようとするが上手くいかないガウマ、の図があまりにも間抜けすぎてコメディとしても上手くいっていない印象。怪獣を操る、というのは相当スケールのでかい相手。それに対して素手というのはいくらなんでも馬鹿すぎて、思慮が足りなさすぎるという印象を与えてしまう。
 あと、これは別に欠点というほどでもないですが、バランスの取りづらい合体形態の解決の仕方が、踏ん張るってのは、少し芸がないのではと思ってしまいました。
 あまり褒めないのもなんなので一点褒めるとするならば、第5話の最後のEDの入り方、ブツ切りのタイミングは秀逸


第6話

 怪獣優生思想の中でも、ムジナさんは最も消極的。山中氏と会ったのも、コンビニで出くわすという偶然によるものだったし、自然な流れ。山中氏は殺されるのではないかと警戒しながらも、「奢るから」と強引に誘われ飲みに行く。警戒しながらも、先の一件で夫婦仲を見せつけられた鬱憤が溜まっていたのか、酔って心の内を吐露。ムジナもまた自分も同じであると言い、二人は相手に理解を見せる、ような描写。酔っている中では山中氏は警戒心を保っていた方だし、またムジナも、しっかり怪獣優生思想として敵の武器を奪う、という活躍を見せ、特に行動原理がおかしいということもない。最終的にこの一件は、山中氏は街を守る原動力、ムジナは街を破壊する原動力になる。まぁさすがにムジナのキャラ変が唐突すぎる感はあるが……
 一方で南は、姉の死について調べていくうちに、少しずつ心が動いてゆく。
 各キャラの心の動き方の描写に力は入れており、他の話に比べれば抜きん出てしっかり出来ている話。と思ったが、後の話を見ていく限りやはりムジナさんの豹変ぶりの理由がさっぱりだったので、この話でしっかりそこを描けていなかったのは全体として見るとかなり痛手であった。

第7話

 前回の一件があったものの、結局ムジナさんには、まだ戦うための目的がない。にもかかわらず、「全人類を殺す」と豪語するオニジャに「目的は任せた」との発言、さすがに冷めすぎでは?

 そして、あれほどまでに戦う意思のなかったムジナが、人類全滅でもまぁいいやと思うほど破壊衝動に目覚めるには、あまりに飛躍しすぎていて理解に苦しむ。
 ナイトの「あんな風にバラバラになるとはな」からガウマの「バラバラだからこそ、俺達は出会えたんだ」へとセリフが展開するのがよく分からない。ナイトが言ってるのはあくまで機能の話であって、発想が飛躍しすぎ。

 バラバラだから俺達は出会えたって言葉自体もよく分からない。全然原因と結果の関係になっていないし、この状況で「だから何?」って話。ここのセリフは雰囲気を出すためにあまり考えず取って付けたのだと思われる。

 意味の分からないセリフだった。

第8話

 全12話中の第8話にもなって「怪獣にも心があるのでは?」は今更感が過ぎる。Zのように「子を守るために戦う」など、怪獣に人間らしい感情を実際に見たのならまだしも、ナイトさんの話から一気に話を飛躍させて「怪獣にも感情があるのでは?」とか急に言われても困る。
 どんなに小さく無害でも怪獣優生思想に操られれば50m級に巨大化し暴れるのを飽きるほど見てきた主人公らが、小さいから殺さなくてもいいや、と考えるのはあまりに楽天家過ぎる。

 怪獣という存在を真には理解しておらず、今まで大暴れする怪獣しか見てこなかったのに、「怪獣にも心があるかもしれないし、ないかもしれない。取り敢えず大暴れするまでは監視しとく程度でいいや」で済ませてしまえる主人公らに何一つ共感できない。
 そりゃ我々はピグモンカネゴンブースカなど友好的な怪獣を沢山見ているが、この物語世界の住民はそうではない。この世界の人間に出てくる発想では到底ない。
 あまりに唐突かつ触れるのが遅すぎなテーマ、かつ話の展開も杜撰ゆえ、この話まるごといらないのでは?と思った一話。

 

第9話

 ちせがゴルドバーンにあれほど肩入れする意味がよく分からない。朝起きたシーン以外ちせとゴルドバーンの話を一切せず「私の友達」とか言われても納得しがたい。
 やや総括気味になるが、今作の怪獣はすべて、「街で暴れるだけ暴れ、ダイナゼノンのターンになって倒される」という、ターン性バトルしかしていない。怪獣の能力もミサイル無効化など一辺倒なものばかりで、どんな怪獣でもさして変わりないし、物語ともほぼ関係ないものばかり(第八話以外)。よって怪獣に魅力が全くないし、話の都合でただ倒されるだけの存在に成り下がっている。
 戦いの最中にガウマとヨモギが話すシーンがあまりに怪獣そっちのけすぎるし、こういった場違い感も怪獣の魅力減退に拍車をかけている。今作通して、怪獣が街で大暴れしているのを放って話すシーンが多すぎる、怪獣特撮特有の緊張感は皆無。
 カイゼルグリッドナイトに合体するのはいいけれど、怪獣放り出して雲の上まで行く必要があったかどうかも疑問。少なくとも自分は見ていて微妙なシーンと感じてしまった。

第10話

 なんというか、ここに来て突然絵柄が変わり困惑、そういう演出だとしても困惑。なんなら作画崩壊レベルで輪郭変わっていて困惑。
 様々な登場人物を絡め、過去を探る重要な回にもかかわらず、全員の作画が変わってしまったら、余計なところに気がいってストーリーどころではない。

 怪獣への対処の仕方が、あまりになんの根拠もなさすぎる。口から入れば大丈夫とか、怪獣が消えれば街が元通りになるだろうとか、結構その場のノリで決めているように思える。
 ヨモギがバイトリーダーを一目で分かるには無理がありそう、さすがに顔違いすぎるし。
 ガウマが忠誠を誓う姫の治める国と怪獣優生思想との関係が、「利用して排除しようとした」とあまりに抽象的。具体性に欠け、何も分からないので、過去の掘り下げ回なのにガウマに何も感情移入できない。
 やはりカイゼルグリッドナイトに変形するためにいちいち雲の上に上がるのが無駄の極み。合体しながら怪獣の方へと向かっていけば良いものを、なぜ一度撤退して合体してから戻ってくるのか。さも格好いいでしょと言わんばかりに流れるBGM。申し訳ないが、ここまでくるともう、ちょっとダサく見えてきた。

 ちなみに本作、ほぼ全話において、怪獣とのターン性バトルになってしまっていることは先にも書いたが、いわゆる「ダイナゼノンのターン」になると決まって主題歌が流れる一辺倒な作風はいかがなものか。普通BGMというのはここぞという時に作品をグッと盛り上げるため使うもののはずなのに、何の考えもなしに毎話毎話流されては、非常に気分が乗らない。ここに関してはギャラファイ2の主題歌取り敢えず流しておけ主義とは比べものにならないくらいの悪手。前作もそうであったが、今作はさらに顕著になった。音楽一つで作品の評価は天地の差。もう少し慎重に扱って欲しかった。

第11話

 山中氏に「ムジナさんはムジナさんの仕事をしてただけ」と言わせて済ませてしまうのは非常に淡泊。少なくとも後半戦はムジナは「自分の仕事をしていた」というよりかはノリノリで街を破壊していたし、自分の役目を果たしていたから恨みっこない、はさすがに人生甘すぎるというか、制裁なしはあまりに酷い。
 怪獣優生思想、そもそもどういう思想を持っているかも分からなければ悪役としての魅力もない(怪獣を強化し操っているが、怪獣を分析し特性をよく理解した上で戦略を練り戦いに望んでいるというわけでもないので、ただただ怪獣を強化して攻撃を放つだけのポジションに成り下がっている。怪獣が単体で暴れているのでなく操られているからこそ出てくる魅力とかは一切ないし、初めから怪獣の能力だより。いるいらないで言うと物語上まったくいらないポジション)、その上制裁も描かれないとあっては、彼らが負けても特に可哀想とか、やったとか、そういう感情は何も起きてこない。やはり怪獣優生思想、いらなかったんじゃなかろうか。

第12話

 結局怪獣優生思想は怪獣に人間を殺させて、それで何がしたいのか。

 カイゼルグリッドナイトは1人と5人とで何が違うのかよく分からない。結局これまでダイナゼノンになるために4人必要だったのも、(少なくとも合体時には)頭数というだけの話だったし、人数が多いから強くなるという描写はほぼなし。ナイトさんだけのカイゼルグリッドナイトと、4人+ナイトさんのカイゼルグリッドナイトとで操作法がどう違うのかとか全然分からないし、1人だろうが5人だろうが大差ないんじゃないかとも思える。5人揃っても全然盛り上がらない。
 またも合体するときにわざわざ雲の上まで一旦逃げる始末。
 ちせとゴルドバーンの関係は、結局のところゴルドバーンが目覚めた朝のダイジェストのみで、殆ど描かれず、なにゆえこれほどまでに、ちせがゴルドバーンに肩入れするのかは分からずじまい。
 ムジナさんにはなぜ「怪獣しかない」のかもさっぱり分からない。
 黒幕っぽく登場したシズムも、最終決戦で話さないため真意も不明。
 結局怪獣の中に入った怪獣優生思想ごと倒すなら、もういっそのこと最初の方で人間態倒しても全く問題なかったんじゃなかろうか。作者の都合で生かされたってことなのかな。

登場人物全員揃いも揃って何がしたいかわからない

 と思ったら唐突に最後の最後でシズムが「怪獣は時間も空間も超える、自由だ、死なない」って言い出しましたね。でも今までの怪獣を思い出すと、怪獣優生思想に操られ、ダイナゼノンやグリッドナイトに殺され続け……え、自由?死なない?時空を超える?そんな存在だったっけ?もう、わけが分からない。

 そしてガウマの、守らなきゃならない大切なモノ三つは分からずじまい……

 一応公式サイトでは登場人物一覧の一番上に出てきているし、超主要キャラだとは思うのですが、キャラクターの根幹をなす、そのキャラが一番大事にしている「価値観」を結局提示しないまま、終わってしまいましたとさ……

 う~ん、やはり総括としては、登場人物の行動原理、ダイナゼノンをどう操作しているのかとかそういう基礎設定、キャラクターの心情の変化をダイジェストで描いてしまうがゆえの感情移入しがたさ、怪獣がどれも似たような役割で終わってしまった点、などが最初から最後まで惜しかったなという印象の作品でありました。

 

 


 で、結局最終回になっても南さんは約束すっぽかすのかよ、分かんなっ!

             (完)