igomasの部屋

どうも、igomasです。ウルトラマンファン。ヒーローより怪獣、悪役が好き。今日も今日とて「悪役」考察♪

努力は裏切る

 皆さんこんにちは、igomasです。『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』の情報が公開されましたね。80やパワード、グレート、ネオスにセブン21、怪獣軍団も、ルーゴサイトにゼットン軍団と盛りだくさんの内容で、なかなか楽しみであります。

 しかしながら、ベリアルアーリースタイルの登場に対する懸念や、監督を坂本浩一監督が続投することに、様々な議論が飛び交っており、果ては坂本浩一監督擁護派と批判派に分かれ、Twitter等で本作について争っているようです。私は、未だ公開すらされていない作品についてとやかく言うのは自分では避けたいと思っているので、本作については何も語りませんが、この「坂本浩一監督論争」の中になかなか面白い意見を目にしたので、触れておきたいと思います。

 その意見というのが、「とあるウルトラ作品のインタビューを見て欲しい。それを読めば、坂本浩一監督がどれだけ作品作りに努力しているかが分かる。そうしたら、坂本浩一監督を批判する意見なんて出ないはずだ」というもの。今回はこの意見に対する私見を、述べていきます。

 まず、「努力すれば評価される」というのは、残念ながら賛成しかねます。どれだけ素晴らしいこだわりや、プロ意識をもって仕事をしていたとしても、間違った努力をすれば、その努力が実るとは限りません。例えば、日常パートのドラマを見直さなければならない時に、特撮パートに全力をかけても事態は改善しないでしょう。また、もし努力の仕方が合っていたとしても、目指すところが違うのだとしたらそれもまた評価の対象にはなりません。例えば、製作陣は、売り上げ重視の作風を最優先して作っているとしても、一部の視聴者のニーズが「作品の出来」にあるのであれば、その視聴者からは評価されませんし、製作陣が子供番組として作っていても、視聴者が全世代向け番組として見ていたらそこに乖離が起きてしまいます。こうした乖離というのは、どの作品にも必ず起こってしまう問題です。たとえ努力の仕方が合っていても、人に合う・合わないで、その努力が実らないこともあるのです。ですから、「努力を知れば誰だって批判できない」というのは、残念ながら作品作りにおいては実現困難なことなのです。努力は実ることもありますが、実らないことだって大いにある。それが作品作りだということを、覚えておいてください。

 それから、「インタビューを読め」というのはそもそも正しいのでしょうか。もちろん、坂本浩一監督の裏事情とか、そういうものは参考程度にはなるでしょう。しかしながら、ウルトラマン視聴者全員に、または坂本浩一監督を批判する者全員に、読むのを前提として良いのでしょうか。自分はそうは思いません。もちろん、製作陣が、ファンに向けて作品の裏側や、作品にかける思いを伝えるというのは非常に視聴者としても有り難いですし、興味深い話です。ファンとの対話のために、インタビューの時間を設けていただいているというのも素直に嬉しくはあります。しかしながら、やはり製作陣の評価それ自体は、そういった介在事情抜きに、「作品」のみで判断すべきだ、と思うのです。製作陣の作品にかける思いは、後付けのインタビューなどで語るものではなく、あくまで「作品」で語るべきものではないでしょうか。「作品」こそが、製作陣と視聴者との唯一無二の「対話」のツールであり、そこに全力をかけて欲しいのです。視聴者が「作品」と真摯に向き合えば、製作陣に話を聞くまでもなく、その作品にかける情熱、熱意、思いがおのずと伝わってくる。作品とはそういうもののはずです。物語を通して、作品を貫くテーマを、メッセージを視聴者に伝える、それが、作品の本分なのですから。もし坂本浩一監督批判勢が、作品としっかり向き合った上でその意見を言っているのだとしたら、それはインタビューを見るまでもなくそうなのでしょう。作品という唯一無二の対話に熱意が込められていないと感じるなら、そうなのでしょう。インタビューを見れば見方が変わる、と断言するのは、難しいことなのです。

 と長々と語りましたが、私は何も上記のTwitterのつぶやきを批判しているわけではありません。そもそもこの呟き自体、「僕は坂本浩一監督のインタビュー好きだから機会があったら見てみて」という意味で呟かれているのでしょうし、「インタビューを読んで努力を知ったら坂本浩一監督を絶賛するはず」という強引な意見というわけでもないのでしょう。ただ私は、この呟きをもとに、作品作りの努力が視聴者に伝わる難しさや、その情熱を作品そのものに込めねばならないということを伝えたかっただけなのです。そのことだけは、ご理解ください。

 

 

 

 ちなみに自分はと言いますと、私自身はどちらかと言えば坂本浩一監督の作風はそこまで肌には合っていません。もちろん特撮技術の高さやアクションの豪快さなど、他のウルトラマン監督に比べても大いに評価しているつもりですし、事実ギンガとビクトリーの共闘シーンとか、エックスでのナックル星人バンデロの回は指折りで大好きな話です。ただ、構造的な話運びや、日常パートの描写の些細な部分で、あまり肌に合っていないな、と思うことは多々ある、という感じですね。近年のウルトラマンを語るにおいて、坂本浩一監督はなくてはならない存在であり、彼についてはまたジードの記事などで、真摯に向き合わせていただきたいと思っています。

 そんなわけでどちらかと言えば坂本浩一監督にはやや否定的な思いを持つことも時にはありますが、だからといって、冒頭にあるように、私自身は未公開の作品についてとやかく言うつもりはありませんし、だからといって坂本浩一監督擁護派を叩くわけでもありません。どれだけ自分が否定的に思っていようと、合う・合わないは人それぞれですし、むしろ(信者として、「坂本氏の作風が肌に合わない」と言っている人達を執拗に叩き始めない限りは)、擁護派の皆様には存分に彼を擁護して欲しい、という思いです。作品を作るときには、辛いこともあります。批判されることもあるでしょう。それはそれは苦しい戦いです。だから、もしその作品が好きならば、面白い、素晴らしいよと、どんどん声をかけてあげて欲しいのです。それが、製作者としては大きな救いになりますから。一方で、アンチはアンチで、それが客観的に見てしっかりした正しい意見である限りは、製作陣に活を入れ、製作陣の心を引き締めるのに重要な存在です。擁護派も、批判派も、作品を真に愛するものとして、モラルを持った意見交換ができるといいですね。ということで私もウルトラマンZで良いと思ったら賞賛するし、悪いと思ったら全力で叩きますね(結局その話かい笑)

 なんだかふわふわとした記事になってしまいましたが、擁護派も批判派も、皆が上手く有機的に作用し合えるといいですね、ということで、今回の記事としたいと思います。それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!

仮面ライダーって、なんだっけ?

 皆さんこんにちは、igomasです。普段はウルトラマン考察記事を書いている私ですが、今回は、仮面ライダーゼロワン記事となっております。

 ゼロワン、ついに最終回を迎えましたね。なんやかんやあってはや一年。Twitterなど巷で色々と騒がれたゼロワンも、ついにその物語に幕を閉じることとなりました。今回は、そんなゼロワンの良い点、問題点を挙げつつ、総括記事としたいと思います。

 なお、ちゃんとマイナスなことも言いますので、あまり否定的な意見を聞きたくないという方は良い点だけ見ていって下さいな。

 それでは、見ていきましょう!

 

 

《良い点》

 そもそも、普段ライダーを見ない私が久しぶりに仮面ライダーを見ようと思ったきっかけは、そのデザインにあります。黄色という、やや奇抜な色ではありますが、近年の平成2期ライダーにありがちな「盛りすぎておりややダサい造形」と異なっている点で、好感が持てました。平成ライダーの奇妙なデザインは、話題性を呼び新規参入者も呼び込みやすい、バズりやすい、という商業戦略の一種ではあるものの、やはり仮面ライダーには「格好良さ」を追求して欲しいという思いがある以上、あまり気乗り出来ませんでした。しかしながら今回の発表で、すんなり飲めるゼロワンのデザインは印象が良く、また2号、3号ライダーであるところのバルカン、バルキリーも好印象でありました。

 また、ウルトラマンの話を持ち出すのもなんですが、令和初のウルトラマンである『タイガ』は、ニュージェネレーション完結作としての側面が強く、あまり令和初感を感じられていなかったというのもあり、「特撮で令和初感」を感じたい、と思って見始めたんですよね。結果としてその判断は正解だったと確信したのが、第一話。ヒーローの立ち上がりとしての完璧な第一話は、令和初の重みを背負うだけの意気込みが感じられましたし、かなり好感をもって見られました。ああいう第一話は、見習うべきところが沢山つまっていると言えましょう。

 戦闘シーンも、中盤以降はややグダってはいましたが、前半では特に、全ての変身が劇的に描かれており、それぞれのライダーの変身がまぁ格好いい。とにかく戦闘が見ていて心地よく、アクションが爽快。CGは安定の仮面ライダークオリティでしたが、爽快さはやはり敵わないな、と思うほど感銘を受けました。

 敵キャラも、特に序盤の大量放出は目を見張るものがあり、毎話新怪人が登場し、仮面ライダーの新フォームも登場するという大盤振る舞いで、この豪快さはかなり楽しめましたね。なんやかんやで中盤でも、所々仮面ライダーの新フォームが出る回もちらほらあり、まぁここまで新規造形スーツを作るというのは素直に評価できましょう。

 変身フォームを役者自身が考えるなど、精力的に作品作りに参加する役者陣の努力は素晴らしいものですし、今後の活躍を応援したいと思えましたね。まぁ、良い点といえばこれくらいでしょうか。

 

《問題点》

 さて、本編です(笑) これだけは言っておきますが、上記のように、ゼロワンは素晴らしい点もかなりあり、素材自体は結構良い物が揃っていたりはします。しかしながら、その調理というか、処理が滅茶苦茶な方向に進んでしまった部分も多く、作品作りとしてやってはいけないことが沢山詰まった作品となっております。

 「なんとなく」ゼロワンを批判してしまう方々に、どうやってゼロワンの問題点を考えていったら良いのか、かみ砕いて説明できていければと思います。また、作品を作りたいと思っている方はもちろん、感想記事や、ちょっとした1、2行のレビューを書きたいと思っている方にも必見の、物語の構造的な見方も少々紹介しています。ぜひお楽しみください。

 

作品の独特の世界観

 仮面ライダーゼロワンは、「人工知能搭載人型ロボ、ヒューマギアが、様々な仕事をサポートする新時代」を舞台に繰り広げられる物語。第一話冒頭あたりで、人工知能が既に世間一般に流通している、近未来的な世界観は、非常にワクワクしましたし、本作の魅力でもありました。しかしながら、こうした「独特の世界観」を描く際には、一つ、注意しておかねばならないことがあります。それは、現実世界ならではの価値観を、持ち出さないこと。作品世界の価値観と、現実世界の価値観は、時には相容れないものになってしまいますから、注意が必要です。

 ゼロワンは、そもそも「ヒューマギアが社会一般に受け入れられた」時点からのスタートであり、「ロボットを導入したら、人間の仕事が奪われる」といった「現代社会の問題点」は既にクリアされた世界観からのスタートなのです。ZAIAとのお仕事対決最終盤において、政治家が主張した上記の意見は、あくまで「現実世界」の話。一気に作品の近未来感が吹き飛んでしまいます。自分で独自の世界観を出しておいて、現実世界とごっちゃになっているようでは、お粗末としか言いようがありません。

 また、こうした独自の世界観が面白い理由の一つとして、「現実世界ではありえないトンデモな世界にリアリティを持たせることで、まるでそんな夢の世界が存在するかのようなワクワク感を与える」という効果があります。本作では、「ヒューマギア」という人型ロボットの存在が、近未来的かつワクワクする設定だな、と強く感じました。終盤のアルトによれば、「人型にこだわる必要は無い」とのことですが、「人型にこだわる」からこそ、斬新な世界観になり、物語に面白味が出てきているのであり、結局人型にこだわらないのであれば、過去に存在した有象無象の作品と大差なく、世界観も一気につまらなくなってしまいます。

 「人工知能搭載人型ロボ、ヒューマギアが、様々な仕事をサポートする新時代」という主軸がブレブレな時点で、どんな物語にしようが上手くまとまるはずはありません。

 結局、ゼロワンは「ファンタジックな独特の世界観」を持ちながら、その近未的な世界観とは相容れない、手垢のついた現代的な問題を持ち出し、さらには世界観をありきたりでチープなものに落とす、という愚行を犯しているわけです。下地からしてかなり不安定という……この時点で、大丈夫か。

 

ヒューマギアに、好感など持てない

 本作において大きな存在となる、ヒューマギア。率直に言って、本作を見て「ヒューマギアっていいなぁ」なんて感情は微塵も起きませんでした。

 そもそもヒューマギアは前提として、人間社会を豊かにするロボットなはず。そのロボットが人間に危害を加えている時点で、破棄は免れません。一般に、家電が勝手に暴走し、人間に危害を加えているのに、開発企業が何の対策も示さない、となれば、破棄しよう、という流れになるはずです。滅亡迅雷ネットによりアークに強制接続され暴走する1クール目はまだしも(正直テロ組織に軽々と暴走させられている時点で破棄レベルではありますが)、2クール目以降は、自分で勝手にアークに接続して暴走しており、どこにもフォローの余地がないレベルで破棄確定です。いつ勝手に暴走するか分からない殺人予備軍ロボットとの共存など不可能です。ラッパーヒューマギアしかり、最終回あたりのデモヒューマギアしかり、人間の善意も悪意もラーニングする時点で、人間の手でいかようにもできるわけで、「悪意さえラーニングさせればいつでも暴れさせることの出来る武器」となりうるので、あまりに危険。

 

ZAIAスペックって、何?

 そんなヒューマギアの対立項として描かれるのが、人型に頼らないAIサポート、ZAIAスペック。結局のところ、「なんか凄い道具」程度の説明しかなく、ZAIAスペックが実際どんな道具なのか、ほとんど描写されないまま終わってしまいましたね。

 ZAIAスペックがどんな道具なのか分からないので、中盤のお仕事対決も、全然乗れないという。まぁそもそもお仕事対決をすることに何の意味も無く、ZAIAスペックの方が優秀だからヒューマギアを破棄しようとか、ロボットの方が人間より優秀だからZAIAスペックを破棄しようとか、そういう話ではないはずです。人に寄り添うのがヒューマギアなら、人とヒューマギアを戦わせること自体に意味が無いわけで、お仕事対決編の存在意義も、うやむやになってしまいましたね。

 

主人公の心の支えがグラグラ

 アルトの思想の大部分を形成している父ヒューマギア、飛電其雄の描写が皆無に等しいというのも、重大な欠陥。飛電其雄の描写といえば、「心から笑うことの出来ない飛電其雄を笑わせるために、アルトがお笑い芸人になった」「デイブレイクの日、死にゆく飛電其雄を見てアルトが悲しんだ」程度であり、まったくもって希薄。主人公の、行動指針の多大な部分に影響を与えた人物の描写が、たったこれだけ。開いた口がふさがりません。

 また、祖父の飛電是之助については何の掘り下げもなく(ワズとの会話程度)、存在が虚無。ヒューマギアの生みの親たる人物の描写が全くないのは、もはや物語を作る気がないとしか言いようがありません。飛電是之助がしたことと言えば、人間の悪意をラーニングし暴れ回る狂気のマシン、ヒューマギアを世に普及させ、滅亡迅雷ネットによるヒューマギア暴走の可能性を知った上で、デイブレイクの秘密を隠蔽し、ヒューマギア事業を拡大した、などなど、悪印象のオンパレード。飛電是之助に関する描写が皆無ゆえ、ほんとなんだったんだ、しか言えない人物になってしまいました。

 彼らに代わり、劇中で主人公の心の支えとなったのが、イズでした。個人的には、コミカルな描写とか、割と好みではあったのですが、全体的なヒロイン力が足りなさすぎた印象ですね。終始アルトのイエスマンであり続けたことも、かなり作品を苦しめてしまっている印象。

 主人公の心の支えとなる上記3名の描写がもう少ししっかりしたものであれば、また印象も変わったのかもしれません。

 

テーマがバラバラ

 今作は、1クール、2クール、3クールそれぞれに別々のテーマを設けています。1クールは「笑い」、2クールは「善意・悪意」、3クールは「夢」。この詰め込み感がどうも良くなかったのでは、と考えています。やはり作品の主軸となるテーマは一つに絞るべきで、サブテーマが沢山あるのは良しとしても、メインテーマがこうも乱立していると、話がブレブレになってしまいますよね。

 1クール目の「笑い」をテーマにした作風は割と好みではあり、第一話の、「笑い」というテーマをヒーローの発現に繋げる流れなどは、非常にアツかったですし、唯一の飛電其雄の描写である「心から笑うことの出来ない飛電其雄を笑わせるために、アルトがお笑い芸人になった」を活かすことも出来たので、この路線で進めて良かったのではないかなぁ。後半になると「笑い」というテーマはなりを潜めてしまったのは、苦しいところ。

 2クール目の「善意・悪意」は、そもそも言葉の定義があやふやなため、なんとなくの感情論で進むだけの愚鈍な展開になってしまいましたね。「善意・悪意」を描くために、人間の悪意を描き、人間の側を下げることで相対的にヒューマギアの方を善玉に見せる、という手法がとられており、あまりに強引。それでヒューマギアの評価が上がったかと言えば、ヒューマギアはヒューマギアで自我が芽生え勝手に暴れているので、成果も芳しくないという……

 3クール目の「夢」の酷さは錚々たるものでした。アルト自身は「ヒューマギアだって夢を持っていい」と言いますが、やっていることは「強制的に夢を持たせる」ことに他ならず、その夢の内容は、「そのヒューマギアがどうして作られたか」という製造目的に依拠したものであり、つまりヒューマギアの意思に関係なく「製造理由を強引に夢として押しつける」作業でしかなく、アルトに対し激しい憎悪を抱かざるを得ない作劇。テニスヒューマギアは嫌がる使用者を強引にプロの道に進ませようとし、アルトは滅に「夢があるはずだ」と言ったうえで、その夢が、製造目的であるところの「父親」だと決めつける。かなり「夢」というテーマの扱いを見誤った感がありますね。

 2クール目、3クール目のテーマがまったくもって描けていない故に、中盤の物語がぐちゃぐちゃになってしまっているのは必然の理。テーマは一貫して、ちゃんと描きましょう。

 

雑なオマージュ

 3クール目のテーマが「夢」なこともあってか、唯阿のZAIA退職回では非常に露骨な「ファイズオマージュ」がなされました。えっと、正直そこまで作品全体としては問題にすることではないのかもしれませんけども、ファイズファンとしては、かーなーりー不愉快でありました。

 「思いはテクノロジーを越える…らしいぞ」という、ファイズオマージュ台詞。え、これそんな話だったっけ? まずこの「思いはテクノロジーを越える」ってのが意味不明ですし、仮に1万歩譲ってこのセリフが何かしらの良い意味を持っていたとしても、それと「ゴリライズすれば脳内のチップなんてへっちゃら」とは別の話でしょうに。それから、脳内チップをテクノロジーと言ってしまっていいのか。なんというか、こじつけが過ぎます。

 そもそも、本作における「夢」の扱いが酷いというか、定義自体が曖昧という話は先程しましたが、それに加え、刃唯阿の扱いの雑さも、このオマージュのチープさを高めています。

 刃唯阿は、A.I.M.S.の技術顧問として登場したキャラで、本人もZAIA退職回で、「技術者としての信念」という発言をしているわけですが、本編においてまったくもって技術者としての描写が皆無。刃唯阿というキャラクターの根幹が存在しないために、なんというか、とてもふわふわ浮いたキャラになってしまいました。故に、この「思い」という言葉(技術者としての信念)もよく分からないことになってしまい、結果、全く中身のない、ただの悪ノリオマージュに成り下がってしまったというわけです。

 この回がオマージュしている元セリフは、ファイズ最高傑作と名高い第8話の非常に大事なセリフであり、作品の根幹ともなる重要な言葉。その台詞を、雑なオマージュに悪ノリで使われてしまっては、ファイズファンとして黙ってはいられません。

 

1話ごとに別作品

 本作、主人公が、ヒューマギアに自我を認め、ヒューマギアは代替不可能な、心を持った存在だ、と言っておきながら、ヒューマギアが破壊されたら即データ復元で満足しきっています。最終回では、あろうことか、イズとは全く異なる普通のヒューマギアをイズと同じ見た目に作り、自我を否定しイズの記憶を植え付けようとするなど、主人公の言ってることとやってることがあまりにちぐはぐ。

 先の「思いはテクノロジーを越える」もそうですが、前話までまったくそんな話微塵もなかったのに、さも今まで掘り下げてきましたと言わんばかりに唐突な展開が多く、もはや毎話毎話別作品レベル。作品なんですから、せめて話は一貫させて書いてもらわなければこまります。

 

悪役の描き方が史上最底辺レベル

 本作は主人公が社長ということもあり、社長対社長という対立構図を作りたかったのか、敵対社長ポジションとして登場したのが、天津垓。しかしその実態は、「主人公対器物損壊犯」の構図でしかありませんでした。

 天津垓は、さもカリスマ社長めいたポジションに描かれ、ラッパー編では、さくらを使った大衆迎合、マスコミを使った策略によりアルトを窮地に追い詰めた冷静沈着な策士、かのように扱われていますが、全くもってそんなことはありません

 アルトやイズ、他の多くの関係者の前で、器物損壊・殺人未遂を延々と繰り返し、証拠は十分すぎるほどあるというのに(関係者の言質・イズらヒューマギアによる映像データ)、なんのお咎めもないままお仕事対決編が進んでゆき、天津垓は策士でもなんでもなく、「誰でもわかるくらい大手を振って暴れているのに、製作陣の話の都合によりどういうわけか生かされているだけのお粗末なキャラ」でしかなかったわけです。天津の罪に対し、アルトが「善意・悪意」「夢」だかなんだか色々と言っていますが、それ以前の問題として、天津がやっていることはただの他社製品の器物損壊、営業妨害、殺人未遂でしかなく、ただの犯罪者。

 さらに酷いのは、悪役としての去り方。悪役に魅力を持たせるには、劇中の活躍だけでなく、散り際の展開も、大変重要になってきます。それが、もう、酷かった。まず、アルトがプログライズホッパーブレードを入手し、メタルクラストホッパーの悪意から脱却してからの展開。それまでは、確かに悪事の証拠なんてたんまりあったしいつ起訴されてもおかしくなかったけれど、主人公に力では勝っていたため、存在理由が多少なりとも残っていたわけですが、これ以降は存在意義が皆無。「証拠まみれなのに製作陣の都合で生きながらえる」部分がさらに顕著になり、見ていて耐えられるものではありません。またその後は、毎回のように天津が爆発四散する映像を見せられる始末。主人公が、勝てる相手をボコボコにするだけの映像が流れ、見ていて何もハラハラしないし、人によってはただ不快になるような演出。

 天津の悪事を考えれば、これくらいボロボロにさせて制裁するのが当然、と製作陣は考えたのかもしれませんが、きついことを言いますが、たかだか爆発四散させた程度で悪役の散り際を描けたなどと思うのは傲慢極まりない。

 天津の散り際に関していえば、まったくもって散り際のパンチが足りません。何度も何度も負け戦に繰り出しては爆発する天津を見るよりも、もっとパンチのある敗北を、たった一回で描ききる。それでこそ作品として天津をきっちり制裁したことになるのではないでしょうか。

 結局最後には主人公に負け、自ら飛電インテリジェンス社長を退任し、ZAIAでも立場を失い、アルトやフワ、唯阿に謝罪するわけですが、あまりにやってきたことと釣り合いが合わなさすぎます。何度も言いますが、天津のやってきたことは、器物損壊営業妨害殺人未遂。社長退陣謝罪どころでは済まされません。少なくとも、警察に連行されるくらいのことはしていただかなければならないのに、それどころかむしろ味方として戦い始める始末。Twitterでも天津の味方化が一部で絶賛されていましたが、これには軽く絶望しましたね。あぁ、この人たち、人をいじめていじめた事実をすぐ忘れる人なんだろうなぁ、って。天津のしたことは、立派な犯罪です。味方になろうが何をしようが、それが制裁されない以上、悪役の散り際は到底描けておりません。

 また、彼はアークを作り、ヒューマギアを暴走させた事件の黒幕であり、この作品における全責任は彼にあるわけですが、その責任転嫁が無茶苦茶。本作では、それ以前から、ヒューマギア暴走の責任を、「アルト→滅亡迅雷ネット→天津→アーク」とたらい回しにしているわけですが、「ヒューマギアが好きだった」の一言で全ての責任をアークに押しつけられる作品のご都合主義には大変感服します。

 天津味方化回では、まるで彼の父の教育方針が彼を歪ませてしまった、かのように描かれ、Twitterでは「天津垓は悪くない。この作品の黒幕は天津垓の父親だ」なんて呟かれる始末。いやいや、ちゃんと見たら分かりますが、天津の父が何か悪いことをしたでしょうか。ただ彼の父親が、「99点でも許さない、最低でも100点を目指させる完璧主義」という教育方針をとっただけのことであり、「1000%を目指せ」というのも自分の子供に大きく期待している、ということに他なりません。「サウザーを捨てられた」ことが天津の人格形成に大きな影響を与えたかのように描かれていますが、天津垓自身、昔とはまったく姿もデータも異なる犬型ロボットをサウザー扱いするほどに(そして最終回ではサウザーを量産するほどに)愛着がなく、別に人格形成にさほど影響を与えているとは思えません。天津垓の父親が、児童虐待だとか、そういう明らか「悪」な行為をしているならまだ理解できますが、父親の教育方針によって、天津垓が器物損壊・殺人未遂をしたことに正当性を持たせるというのは無理がありすぎます。ましてや、「天津垓は悪くない。この作品の黒幕は天津垓の父親だ」という意見などもってのほか。殺人犯の親を死刑にしろと言わんばかりの歪曲した意見には、開いた口が塞がりません。

 これが「思想的対立をもった社長の対立」であれば、社長ライダーとして上手くハマってくれましたが、主人公を善玉に見せるために、あえて対立する社長を犯罪者にまで貶める、という作風を取ってしまったあたり、社長ライダーとしても失敗であります。

 一番酷いのは、天津を演じる桜木那智氏が「草加雅人を参考にしている」と発言したこと。何をどう参考にしたらああなるのか。ごめんなさいね読者の皆さん、ファイズを出されると、触れないわけにはいかないのですよ。

 草加雅人は、主人公と意見・思想の対立はあるものの、一貫して怪人を倒すヒーローであり続けました。思想の対立から、どちらかと言えば悪玉として視聴者の目に映るものの、ヒーローであり続けるという絶妙な立ち位置のキャラでありました。

 一方天津垓は、本作における全ての事件を引き起こした真犯人であり、ヒューマギアによる大規模テロを模索した人物。そもそもその根幹が悪なのです。やっていることも、怪人製造、殺人未遂と悪人の所業であり、フォローの余地など微塵もありません。

 二つのキャラは、似てもいない否なるキャラクターです。参考にしたなどと言われては、頭に百個くらいはてなマークが浮かびますし、もうわけが分かりません。

 えーとにかく、天津垓は、悪役としての役割から、活躍、散り際、参考とするキャラクター像まで、何から何まで一番やってはいけないことを全てこなしており、ぶっちぎりで今年最低の悪役の描き方。作品作りをする方には、是非とも反面教師の金字塔として、参考にしていただきたいですね。

 

仮面ライダーって、なんだっけ?

 本作における「仮面ライダー」が結局なんなのか、まったくもって不明。「仮面ライダーならこうすべき」みたいな価値観が知らぬ間に勝手に出来上がっているのですが、そもそも「仮面ライダー」は本来敵組織の改造人間として誕生したのが始まりであり、その本質は「悪」なはずです。過去にも私利私欲のために仮面ライダーの力を使った人々はごまんといるわけで、「仮面ライダーなら良いことする」というイメージがそもそも間違い。

 それはそれとして、とにかく本作における「仮面ライダー」がどんな存在か、全く描かれないんですよね。本作、「○○○○、それが仮面ライダー□□だ」みたいな台詞回しがかなり多いのですが、結局「○○○○」の中身って各キャラの行動指針でしかなく、本作における「仮面ライダー」という呼称そのものへの定義が皆無なんですよね。

 それが大きな問題として顕在化してくるのが、フワさんの「仮面ライダーという夢」という言葉。いや「仮面ライダーという夢」ってなんだよ。本作における「仮面ライダー」も「夢」もどちらも曖昧なので、結局この言葉の意味は最後まで分からずじまいでした。また、アルトの最終回の「俺たちは仮面ライダーだろ」発言も正直何言ってるかよく分からない、という事態に。

 

 

 

 色々書きましたが、これらはあくまで今作の重大な欠陥でしかありません。もっと突き詰めれば、この5倍くらいの分量の記事になってしまいますが、それでは私も読者の皆様も疲れるので、今回はこの位にしておきます。物語の基盤もグラグラ、内容もぐちゃぐちゃ、テーマもない、作品として作る気が無い、「仮面ライダー」の意味自体あやふや、もはやこの代物を「作品」とか「仮面ライダー」と呼称して良いのか疑うレベルで、反応に困惑する日々でした。

 

《まとめ》

 まぁなんやかんや言いましたが、作品って突き詰めればここまで崩壊させられるのか、と目を見張る演出の数々に、途中からはかなりハマってましたね、私。なにより、こんな作品に新規造形スーツやCGなど、予算をバンバン使える気前のよさが、最高です。

 中盤辺りからの怒濤の展開には正直呆然としておりましたが、終盤になってからは逆になんだか楽しくなってきて、あと5000話くらいはこの苦行を続けたい気分であります。絶対ゼロワンロスになる、それくらいにゼロワンを楽しんだ1年でありました。来年の仮面ライダーはもう見ることはないでしょうが、久しぶりに仮面ライダーを見て、こういうのもありだなと感服しました。令和ライダー最高傑作の名に恥じない素晴らしい出来でしたね(苦笑)

 それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!

ウルトラマンZ第10話感想 久しぶりの宇宙人

 皆さんこんにちは、igomasと申します。今回も、Z各話感想進めて参りましょう。

 

 

《本編を見る前に:全編にわたる緩い雰囲気の扱い》

 第1話のゲネガーグを最後に、新怪獣がまったく登場していないウルトラマンZですが、今回久しぶりに、新規造形の敵、しかも宇宙人が登場しました。テレビ本編で、しっかり新宇宙人に触れられるのは、実にメビウスのサーペント星人やソリチュラン以来、13年ぶりでありましょうか。この日をどれだけ待ったことか。

 現状5話に一体新怪獣という、ネクサス初期も驚きの予算枯渇ぶりですが、新怪獣をバンバン出していただけると、飽きが来なくて助かります。

 さて、そんな久しぶりの宇宙人、バロッサ星人でありますが、第9話での強敵感のある演出とは異なり、やや抜け感があるというか、緩い雰囲気の敵キャラでしたね(笑) こういった、どこか抜けた感じの宇宙人を出すときは、その回全体が緩い作風になりがちであり(実際第10話もそうなのですが)、これは人によって好き嫌いが分かれそうな部分ですよね。自分も、基本リアリティ追求路線なので、緩い雰囲気の回はあまり好きではないのですが、今回のバロッサ星人の描写に関しては、一貫して「ムーヴは強者なのに、雑魚風味のあるキャラ」として描ききっていたので、割とすんなり受け入れられました。まぁ、緩い回だとセリフへの気配りまで緩くなってしまい、細かい突っ込みどころは多々あるのですが、それはまた後で述べるとしましょう。

 というわけで、好みの分かれそうなバロッサ星人回、見ていきましょう!

 

《第10話》

 物語は、キングジョー回収現場からスタート。宇宙ロボット回収を報告する研究員に忍び寄る、バロッサ星人の魔の手(物理)。バロッサ星人の、渦巻き状の手のひらを回して相手を混乱させる描写はややコメディチックすぎて、むしろチープな演出になっており、あまり好みでないところ。

 ストレイジ日本支部では、キングジョーの分析が進んでおり、地球の軍事技術のパラダイムシフトに興奮する研究員たち。「この技術はまだ我々人類には早すぎるのかもしれない」と懸念を見せるバコさんに対し、「産業革命だって蒸気機関だって、人類にはまだ早すぎたんですよ。でも文明はずっと豊かになってきたじゃないですか。だから、この技術もきっと未来の役に立ちます」と反論するオオタユカ隊員。「そう願いたいね」と微笑むバコさん。こういった、研究者と研究者ならではの関係性というか、セリフ回しが非常に手堅いのも、第10話の評価ポイント。現状Zではほとんど「キャラとキャラとの関係性」が描けていませんが、ユカとバコさんの関係性は、割と丁寧に描いています。

 一方バロッサ星人は、連れ去った研究員を使い、基地内に侵入。警備員が倒れた研究員を発見し、その後バロッサ星人に遭遇。「わぁぁ~」と叫ぶ警備員。いや持ってる銃で撃てよ(笑) 恐怖で叫びながら銃を乱射する、とかならまだ分かるのですが、さすがに何のための警備員だよ、となってしまいます。普段から地球外生命体と戦うストレイジの警備員として、失格レベル。こういった、「宇宙人と遭遇して叫ぶ一般人」というのは、基本的に武器を所持していない一般人が、未知の地球外生命体に遭遇して襲われるからこそ映えるわけで、ちょっとこのシーンは乗れませんでしたね。

 腕相撲するハルキとヨウコ先輩、盆栽をたしなむヘビクラ隊長。研究から一旦戻ったオオタユカ隊員。それぞれの醸し出す雰囲気がしっかりキャラを形作っており、この辺りの丁寧さはさすがゼット。こういう何気ない日常風景こそ、キャラ造形の天王山。

 基地内に侵入者ありの報告を受け、応援に向かったハルキとヨウコ先輩は、バロッサ星人に遭遇。ヨウコ先輩は捕まり、人語を話す媒体として使われ、「下等動物の言語を話す声帯は持ち合わせていない」のセリフの強者感。ジードの記事でも書きましたが、近年人間くさい宇宙人が増えてきていたので、こういった「地球の倫理観があまり通じそうにない未知の敵」としての宇宙人描写は、かなり好み。

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 ハルキの敵う相手ではないと、ゼット直々に登場。左手の威嚇はこれもちょっとやり過ぎ感はありますが、純粋にオリジナルゼットとバロッサ星人の戦いは良かったです。なんだろう、等身大対決からの巨大化対決という展開に、かつての昭和ウルトラマン風味を感じるからでしょうか。バロッサ星人の、「他人の武器を使う」特徴を活かし、怪獣サータンの毛で織った透明マントなど小粋な小道具を使ってくる辺りも、大変満足。

 ハルキはヘビクラ隊長、オオタユカ隊員に、敵の狙いとヨウコ先輩がさらわれた事実を伝えます。バロッサ星人基地潜伏報告で、ヤバいなという顔になった後、ヨウコ先輩さらわれ報告で顔を見合わせるこの変化が素晴らしく、仲間の危機の一大事感が出ますね。細かいキャラ描写に余念がない。

 オオタユカ隊員のもとへヨウコ先輩が現れ、不審な様子に違和感を抱いたユカの前に、バロッサ星人が現れます。ヨウコ先輩を人質に取り、「この女の命が惜しければ、キングジョーを返せ」と言うバロッサ星人に対し、「いやよ」と即答するオオタユカ……え拒否!? 果ては「少しでも力を入れると、こいつの頭は簡単に潰れる」とバロッサ星人が力を加え、人質本人に「お願い、死にたくない!私がどうなってもいいの!?」と言われようやく従う始末。ヘビクラ隊長に引き続き、オオタユカもヨウコ先輩を見殺しにしかけましたw 自分が人質になっているときに、目の前で「いやよ」と即答されたヨウコ先輩、不憫すぎる。な、なんだこれ。何を見せられてるんだ(苦笑) 製作陣はオオタユカを、どうしたいのか。まぁ、前回の時点でオオタユカの好感度はこれ以上下がらないくらい地に落ちていますが、今回ハルキから「ヨウコ先輩がさらわれた」と言われたときの焦りようから若干好感度が上がりそうだったのに、その希望もついえました。まいっか、これ以上話しても仕方ないし。

↓オオタユカ好感度爆下げの軌跡
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  用済みとばかりにユカに襲いかかるバロッサ星人。その斬撃を受け止めたのは、我らがジャグラスジャグラー。ここ、胸熱。剣と剣の対決ということもあり、かなり映えます。

 「電源装置を強制停止すればまだ間に合う」と、復活早々(自分を売った仲間、オオタユカに)酷使されるナカシマヨウコ隊員。適当なところで切り上げて去ったことで、せっかく上がった好感度を下げまくるジャグラスジャグラー。この辺りのダメダメさは健在です。

 さて格納庫では、キングジョーがやばい、と一同は焦ります。研究員らはここを見捨てて逃げるか奮闘するかで議論。しかし一人でその場を請け負おうとするバコさんに、「技術屋の根性見せてやります!」と熱弁する、というシーン。このシーン自体はそれっぽいですが、直後バコさんがバロッサ星人に撃たれてからはうやむやになり、結果的に技術屋らしいことは何もしていないために、全然アツくならないシーンでありました。バコさんの役者さんの演技力にとりあえず任せてみた感が強く、劇的に描くには工夫が足りないかな、という印象。

 バコさんは一人バロッサ星人に立ち向かい、知恵を使ってバロッサ星人に勝利。「一介の整備員の作戦にあっさり負ける宇宙人」というのは、初代ウルトラマンオマージュだったりするのでしょうか。バロッサ星人は、電撃を浴びただけで、大事なキングジョーをあっさり諦め基地を逃げ出すという弱キャラぶり(笑) さらにはウルトラメダルまで落とすという、酷い体たらくw これが単なる雑描写であれば怒っているところですが、第10話では、冒頭でも述べたとおりこの「バロッサ星人の醸し出す弱キャラぶり」が一貫して描かれており、好感を持ちました。

 ダダのミクロ化機を用い巨大化したバロッサ星人は、持っていた剣を次々と砂山に刺していきます。ややこのシーンは助長かなと思いましたが、その助長さが「弱キャラぶり」に拍車をかけているという効果を考えれば、まぁ良いか。

 特に字数をかけて言うことでもありませんが、なにげに武器として使っているゼットライザーの裏面が安っぽすぎて、もう少ししっかり作れば良かったのに。

 さて戦闘シーンですが、変幻自在の技を使うガンマフューチャーに次々と剣を落とされ、ついには土砂を投げ始める「弱キャラぶり」が実にバロッサ星人のキャラ付けを後押ししており、戦闘も個性的で良かったですね。まぁ、土砂を投げられていちいち苦しんでいるゼットもゼットですがw バロッサ星人のサーベルを使うも、ビルに突き刺さり「抜けない」発言。あれだけ強者感を出していた「下等動物の言語を話す声帯は持ち合わせていない」発言もただの見栄っ張りだったとわかり、可愛げあるな、バロッサ星人。

 バロッサ星人は左手を広げ、ぐるぐる回してゼットを攪乱。サーベルを抜き、ゼットを蹴り倒すと、ふにゃふにゃのサーベルで叩きまくります。ここ、ピンチBGMが流れているのですが、絵面が滑稽なだけなので、全然ピンチ感はありませんでした(笑) ゼットのピンチにヨウコがウルトラメダルを託す、みたいな描写になってはいますが、全部バロッサ星人の弱キャラムーヴに持っていかれてますねw

 ちなみに、ヨウコがここであっさりウルトラメダルをゼットに渡していますが、本部からすれば、本来軍法会議もの。貴重な研究材料をあっさり渡して許される、というのは、やや今作の緩い部分。第9話で、いくらキングジョーにお偉い方の関心が向いたからといって、ストレイジが回収したウルトラメダルが全てゼットに取られている現状を、「まいっか」で済ますには厳しい部分。

 さて、新たなメダルを手にしたハルキは、今回も、別段先輩ウルトラマンの名を呼ぶこともなく、新たな必殺技を発動(笑) とはいえ、戦闘自体はかなりアツかったですね。やはり剣と剣の対決は、アグルオマージュも一ミリほど入っているのか、かなり燃えますね。竜巻からの八つ裂き光輪のコンボもかっこよく、良い。

 バロッサ星人は爆発し、花火のように散りますが、それを「綺麗」と眺めるナカシマヨウコ。コミカルなキャラが花火爆発、自体は頷けますが、自分達の基地を襲った敵が爆発してまず「安堵」するのが常人の反応であり、この「綺麗」発言までやるのはやややり過ぎかと思いましたが、ここは好みが分かれるかな。

 さて、バロッサ星人との戦闘を終え飛翔するゼット。バロッサ星人の遺言「俺の弟たちがきっと敵を討つ」について、「弟はあと9999体いる」と告げられ「マジすか」と顔面蒼白のハルキ。正直戦闘を終えた後の会話など、本来不必要なシーンなので、このシーンは後半の伏線キャラ付けも兼ねた悪ノリかのどちらかなのですが、せっかくなら前者であって欲しい。バロッサ星人、後半にて再び登場回があるか、ラスボスとして登場するか、はたまたラスボスの噛ませ犬になるか、非常に楽しみな敵です。子供に人気が出そうな敵でしたね。

 バロッサ星人の一件も解決し、いよいよキングジョー分析が本格化するストレイジ。液晶を眺めるオオタユカに、「ユカさっきから何見てんの?」とヨウコが尋ねると、ユカはジャグラーの写真を見せ、「解剖したい!」と目を輝かせ、後ろのジャグラー吹き出してエンド。このオチは、結構好きだぞ。

 ということで、久しぶりの宇宙人、バロッサ星人回でした。細かい部分では、セリフ回しのゆるさも見え隠れしましたが、全体としては「強そうで弱いバロッサ星人」の描写の一貫性につきまぁまぁ評価の高い回ですね。初登場の中川和博・尾上克郎監督コンビでしたが、特に大きな矛盾もなく、プロとして魅せるところは魅せており、初にしてはなかなか見やすいな、という印象。

 今回に関しては、ストレイジの職員に、自分の基地を守り抜くぞ、という意識があまりになく、少し悲しくなりましたね。銃を持っているのにまったく撃たない警備員、結局なにもせずそのまま諦めている整備班。そもそもセブンガー、ウインダムはどうした。レギュラーメンバー以外は驚くほどの無能ぶりで、もう少し、モブキャラも活躍して欲しい。名の無いモブキャラにまで活躍の場を持たせることによって、画面に登場しない様々なキャラが、プロとして主人公たちを絶えず支えているのだな、と組織の大規模感を感じることも出来ますし、「組織で一生懸命働く人々の中で、特に活躍するレギュラーメンバー」の姿が際立つ効果もあるので、モブだからと雑に描かず、もう少し血を通わせてやってほしいものです。

 さて、次回は総集編。ということは、ここで前後編の切れ目ということになるのでしょうか。やや変則的で驚いています。何度も言っていますが、オオタユカ、ナカシマヨウコ、カブラギシンヤの好感度回復は急を要し、また正体判明回での説得力のあるジャグラーフォローが必須と、かなり不安要素が残った状態で後半へのバトンを渡すことになります。個々のキャラづけや、所々に見える丁寧な描写など、良いところもたくさんあるので、上手く乗り上げていって欲しいですが、今後どうなるか、楽しみですね。

 ということで、以上第10話感想でした。もう10話も感想記事を書いたのですね、すごい分量w 後半の情報開示がちらほら見えるZですが、今後の展開がどうなるか、ラスボスは誰なのか、ゼロ&ジードはどう絡んでくるのか、デビルスプリンター問題をそもそもどうするのか、ゲネガーグが盗んだウルトラメダル全回収したゼットってもう役目ないんじゃないか、カブラギシンヤ倒したら本当に終わりなのか、ジャグラーが地球にいる目的とは何なのか、今後の展開に期待しましょう。それでは、また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!

ウルトラマンZ第9話感想 新展開への先駆け

 皆さんこんにちは、igomasと申します。今回も、Z各話感想進めてまいります!今回も、前回に引き続き、「キャラとキャラとの関係」についてやや深く論じていきたいと思っています。前回記事と関わりの深い部分もあるので、こちらもぜひ……

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 それでは、第9話感想、やっていきましょう!

 

《第9話》

 開始早々、ゲネガーグ登場。回想シーンですが、ある事情により、ゲネガーグには色々と愛着が湧いてきたので、またテレビで見られて純粋に嬉しい。

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  さて、ゲネガーグ討伐の際、Zが既に集めた9枚のメダルの他に、6つのウルトラメダルが各地に拡散したことが判明。防衛軍は密かにそれを回収し、研究していました。メダル保管のケースにも怪獣研究センターのマークがついており、魚っぽいマークが、かわいい。メダルをケースに保管し安全しきったそのとき、キングジョーが急襲。3枚のメダルが盗まれてしまう、という冒頭。目からのビーム、良いですね。ここのナレーション・BGMが、実に昭和味あって割と好み。この冒頭部分に、今回の監督の個性が最も詰まっていたのではないか、と思われます。

 今回の監督は、中川和博さん……急に知らん人出てきた(私が無知なだけかもしれませんが)。これだけ第8話までで大御所監督陣を並べておいて、ここで新人監督とは、なかなか面白い采配。初見監督なので、フラットな姿勢で見られますね。第9話は特技監督尾上克郎さんも参戦。こちらも初めて聞く監督で、非常に楽しみ。

 ストレイジ会議室では、昨日研究所が襲われ、メダルが奪われたことが議題に。オオタユカ隊員は、研究所の監視カメラ映像を見せ、敵は他のメダル回収も企んでいると思われる、と報告します。この宇宙人が、メダルを『宇宙の秘宝』と呼ぶことは、何かの伏線なんでしょうかね。宇宙人の「力尽くで奪うことはたやすい。しかし、我々は無意味な破壊は好まない」という台詞は、なかなか強キャラ感があり、少ない台詞でキャラ付けするのは大事。まぁ、「我々の強力なロボット」って語彙チョイスは、ちょっと弱そうに聞こえてしまいましたが、おおむね台詞回しは悪くない。

 ところで、なぜオオタユカ隊員は事ここに至ってまで満面の笑みなのでしょうか? あの、研究所が壊滅して死者も出ているのですが。ここ数話のオオタユカ、非常に印象が悪いです。

 さて、残る3枚のメダルを宇宙人の強襲から守りつつ、無事研究所に送り届ける護送ミッションが、今回のメインとなるお話。護送ミッションでは、ハルキがウインダムで出撃し、ヘビクラ隊長とオオタユカ隊員が車で移動。キングジョーが現れ、ウインダム対キングジョーの戦いが勃発。このシーン、ウインダムをものともしないキングジョーの強敵感が良く出ており、非常に素晴らしい。ウインダムに頭部を掴まれてからの、4体分離。頭がすっぽ抜けて驚くハルキに、分離した腹部がトンネル内部を追いかけてきて焦るユカ、と、キングジョーの見せ場の一つである「分離」が劇的に描かれているのも好印象。

 トンネル内部のカーチェイスも、まぁアツい展開。自分の好みとしては、キングジョー腹部パーツと車を同じ画角におさめてのカーチェイス、とかだとさらに燃えるのですが、好みの問題なので多くは語りません。

 頭部に逃げられるも賢明に追いかけるハルキ。この辺りの一生懸命さがあってこその、怪獣退治の専門家ですよ、ヨウコ先輩。頭部にしがみつくも、バランスを崩し転げ落ちるウインダム。第9話、ウインダムが頑丈すぎる(笑) これくらい頑丈なら、きっと明日もストレイジは安泰だ。

 前後をキングジョーに挟まれたヘビクラ隊長とオオタユカ隊員は、諦めメダルを宇宙人に渡してしまう……と思いきや、実はそれは偽物で、本物はナカシマヨウコ隊員が運んでいた、ということが判明。ハルキ以外は全員知っていた、ということで、先のヘビクラ隊長とオオタユカ隊員が笑い合っているシーンの理由が明らかになります。陽動作戦において、敵を欺くにはまず味方から、ということで詳しい内容は伏せられていたハルキ。「お前は嘘はつけない性格だろ」というだけの理由で死にかけの特攻をまかされ、仲間はずれにされたハルキは若干可哀想ではありますが(笑)

 一方ナカシマヨウコ隊員は無事メダルを送り届け、たと思いきや、そこに待ち受けるはカブラギシンヤ。ケースを開きキングジョーをおびき寄せると、ピエロのように高笑いして去って行きます。「ピエロ」という表現を使いましたが、第9話のカブラギシンヤは、その衣装も相まって、海外のドッキリ動画に出てくるピエロ的な印象を受けましたね。従来の「は虫類」っぽい雰囲気とは違っており、第9話ならではの演出なのか、今後もこの路線で行くのか。どちらにせよキャラづけは大事。

 カブラギシンヤを追いかけるヨウコのもとへ、キングジョーが着陸。ヨウコ先輩のピンチに、ウインダムでは間に合わないと、ハルキはゼットに変身。ゼットの到着に、ヨウコ隊員、カブラギシンヤ、棒立ち……え、いやそれはなくね? ここはゼットにキングジョーを任せて、カブラギシンヤを追いかける一択だと思うのですが。カブラギシンヤも、ヨウコ隊員を妨害するため、キングジョーをおびき寄せたのではないのか。そこ、逃げる一択でしょ。どちらもあまりにポンコツ過ぎて、わけが分からない。ゼットが倒れキングジョーが追いかけてくると、ようやく二人は再び走り始める。ゼットがヨウコを庇うと、ヨウコはカブラギシンヤを追うのを完全にやめゼットの心配をする。そしてゼットが倒れると衝撃で二人も倒れ、キングジョーはメダルを回収。カブラギシンヤはそれに対し何をするでもなく、ただボーッと見ているだけ。キングジョーにメダルが奪われそうになったそのとき、ゼットが横からキャッチ。メダルはZのもとに渡ります。カブラギシンヤは満足そうな笑みで去って行く。あぁ、ダメだこりゃ。

 最近のナカシマヨウコ隊員といえば、Zが登場してからはほぼ棒立ち状態で、そこにはプロ意識が微塵も感じられません。怪獣と戦うなり、メダルを追いかけるなり、出来ることはいくらでもあるのに、それをしない。やっていることといえば、ただZに惚れているくらいで、毎回「枯れ専だから5000歳のゼット様に惚れちゃう」ってだけの絵面で、正直飽きる。ここ数話で、ものすごい勢いで好感度が下がっています。

 カブラギシンヤも、目も当てられないほどのポンコツぶりで、メインヴィランとして色々と酷い。メダルを奪ったはいいものの、出たとこ勝負で計画性とか全くなく、またヨウコ隊員から真面目に逃げる気もない。メダルもあっさりキングジョーに奪われていますし、なんでこんなことになってしまったんだ、カブラギシンヤ。仮に、仮にウルトラメダルをわざとZの手に渡すことが目的だったとしても、もっと上手いやり方がいくらでもあったはずですし、キングジョーに取られそうになってる時点で計画がガタガタ。もう、ダメだこりゃしか言えない。少なくとも、メインヴィランの風格はもはや微塵もありません。

 また、第8話での下地が何の化学反応も起こしていないのも悪印象。前回第8話で、ナカシマヨウコ隊員とカブラギシンヤは邂逅をはたしており、第9話で顔を見たとき、(ヨウコ隊員がプロなら)すぐに同一人物だと気づくはずなんですよね。「あなたあの時の!」とかの台詞は最低でも必要だったと思いますし、そこから二人を絡ませて物語を面白くしていくとか、何かしら上手い作劇が出来たでしょうに。「ヨウコ隊員とカブラギシンヤ」という、キャラとキャラとの関係を描く絶好の機会なのに、ドブに捨ててしまったのは非常にもったいない。もったいないと同時に、じゃあ第8話でカブラギシンヤが隊員二人に姿を見せたのはほんと何のためだったのだ、ということにもなり、同時に第8話の株も落ちました。

 オオタユカ隊員はキングジョーを分析し、「ウルトラマン!そのロボットの弱点は、分離する瞬間!接合部がむき出しになってる!」とアドバイス。なおアドバイスするときに不必要に隊長を押しのけており、悪印象ポイント1点追加。

 ハルキは「まず押し返しましょう。真っ赤に燃える、勇気の力で!」とゼットライザーを掲げ、ベータスマッシュにタイプチェンジ。このシーン、細かいことを言いますが、変身シーンカットしてもよかったんじゃないかな、と。先の台詞で「真っ赤に燃える勇気の力」と言って、変身するときもまた「真っ赤に燃える勇気の力」と言っており、絵面があまりよろしくない。ここはハルキの先の台詞を出した直後に、「ヘアッ、トゥワッ、トゥアー、ULTRAMAN Z beta smash!」のぐんぐんカットに移行で良かったんじゃないかなぁ、なんて思いますね、素人目で見ても。

 キングジョーはベータスマッシュとの力対決でも善戦しており、いやぁ今回のキングジョー演出はほんと良い。Zが「駄目だぁ、どうしよぉ!」と焦り(可愛い)、ハルキが「こっちも4体に分かれる、なんて、できない?」と提案したことから、ガンマフューチャーにタイプチェンジすることに。早速ティガ、ダイナ、ガイアに分離し、一斉攻撃を浴びせます。TDG、もはやレギュラー並に今後も出てくるのではないかw キングジョーは4体に分離し、そこをガンマミラクルホールドで固定。新たに得たコスモス・ネクサス・メビウスのメダルを使い、必殺技ライトニングジェネレードでキングジョーを撃破します。えちょっと、ちょっと待って!? 色々と、言いたいことが。

 まず、Zが4体分離した意味があまりない、ということ。確かに4体分離したことで、キングジョーも4体分離しましたが、やっていることと言えばキングジョー一点集中で光線を撃った程度で、結果論として、4体分離せずとも強力な攻撃を撃ちさえすればキングジョーは分離していたのでは? 感が拭えません。4体に分離した後、Z・T・D・Gが別々に動いてキングジョーを錯乱して、それでキングジョーが分離してこその「ハルキナイスアイデア!」になるわけで、どうも作劇が劇的でない。ガンマフューチャーは、せっかくの変幻自在フォームだということもあり、もう少しガンマフューチャーらしい戦いをしてもよかったのかな、と思います。キングジョーが分離したら分離したで、ZTDGがキングジョーの各部位に光線を放てば、そこそこ分離した意味もあるのですが、キングジョーをガンマホールドで捉えた後はあっさりTDGが戻るという、これもパッとしない作劇。

 次に、コスモス・ネクサス・メビウスのメダルから放たれる必殺技。そもそもマックスはどこ行ったw コスモス好きなので、コスモスメダル登場はまぁ嬉しくはありますが、作品の放送順の括り的にも、ネクサス・マックス・メビウスにすべきなのでは?

 それはさておき、新必殺技「ライトニングジェネレード」。あまりにコスモス・ネクサス・メビウス要素が少なすぎる。まぁ、効果音などでオマージュはあるものの、あまりに希薄。ただのなんか凄い攻撃、ってだけ。さらに酷いのは、このウルトラマンたちが、ハルキに名前すら呼んでもらえないということ。う~む、酷い。

 今回はこの新必殺技がメインとなる回のはずなのですが、ティガ・ダイナ・ガイアが実際(分身で)登場し、コスモス・ネクサス・メビウスは姿すら見せないということで、もはや3大ウルトラマンが空気。TDGに比べ、コスモス・ネクサス・メビウスの扱いが不遇すぎて、なんだか可哀想になってきました。

 さて、ストレイジ会議室に場面は移り、メダルを研究できなかったことを悔やむオオタユカ隊員。ヘビクラ隊長は「ウルトラマンが持って行っちまったんだから仕方ないな」と発言します。仕方ないか?と一瞬思いましたが、ウルトラマンストレイジ日本支部は協力関係にあるので、そうなるのも納得かな。

 さて、キングジョーを回収したストレイジは、何を考えているのか、ナカシマヨウコ隊員が再度述べた「宇宙の秘宝か」は伏線なのか、キングジョーを操っていた宇宙人は誰なのか、と色々伏線を張って、続く。まぁ、今回と次回で前後編といったところでしょうか。次回が楽しみですね。

 ということで、第9話感想でした。とうとうオオタユカ、ナカシマヨウコ、カブラギシンヤ3名の好感度が地に落ち、キャラとキャラとの関係の描き方もグダグダ、そんな単発話でしたね。また、今回フィーチャーされた必殺技も、特に劇的に描かれることもなく、正直なところ、あってもなくてもさほど変わらない単発話。

 しかしながら、冒頭のナレーション、キングジョーの強敵感や、次回出てくるであろう宇宙人のキャラ付け、カーチェイスとなかなか良い要素はあり、これが中川和博さんの手柄か、尾上克郎さんの手柄かという話はさておき、光る演出も所々しっかりある回でありました。全体としては、上記3名の好感度がだだ下がりしたものの、作品構造として大きな矛盾点などは見つからず、大きく問題、という程でもありません。上記3名の好感度は後で上げまくればいくらでもリカバリーが利く範囲ですし、今回は、作劇の光る部分に目を向けてあげたい。ゆえに全体的な評価としては割と良かったりします(だからといって上記問題点がチャラになるわけではありませんが)。あまり記事では取り上げていませんが、ここのところハルキとゼットのバディ感も良く、ヘビクラ隊長も(種明かし回がまだなのでなんとも言えませんが)かなり良いキャラ付けができております。中川和博さん、尾上克郎さんという、少なくともウルトラマン界隈ではあまり名前を見ない監督陣でしたが、私的評価は割と高めです。

 というわけで、次回のバロッサ星人回はもちろん、後続のベテラン監督方も、上記3名のフォロー、頑張ってください。必殺技メダル陣の不遇ぶりも、なんとかしてやってください。

 それでは、また次の記事でお会いしましょう。igomasでした!

ウルトラマンマックス感想4~6話

 皆さんこんにちは、igomasです。マックスさっくり感想、やっていきましょう!今回はかの有名なスラン星人回と、レッドキング前後編と、盛りだくさんですね。

↓前回記事はこちら

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第4話「無限の侵略者」

 ギンガS映画やエックスなど、近年「マックスの代表怪獣」として名を上げるスラン星人。いやもっと他にいるだろ、と思うものの、ではマックスで一番印象に残っている回は?と聞かれれば、意外とこの話かも。ダッシュアルファ(車)が始めて飛んだ回であり、スラン星人の話し方の独特さもあって、インパクトが強かったのかも。まるで昨日のことのように鮮明に思い出されます。トウマカイト隊員に車のイメージが強いのは、おそらくこの回の影響も大いにあるのでしょう。

 マックスは「最速最強」のフレーズで売り出されており、その「最速」のマックスがスピード勝負で苦戦した相手として、スラン星人は話題に上がりがちなイメージ。マジョーラカラーも相まって、どこか不思議な雰囲気を醸し出しております。

 さてスラン星人ですが、地球人が環境汚染甚だしく、君たちが地球を使うなら我々が地球をいただく、という主張はベタもいいとこ。こういう手垢にまみれたあるあるな敵を出してきた上で、なお魅力を上乗せする、というのが、実にマックスらしい。「仲間が内部にいるのに攻撃とは 見殺しか?」の台詞もあり、スラン星人って本当はいいやつなのかもしれない、とか、色々思うところがあって好印象。

 個人的には、スラン星人討伐のご褒美がコーヒー一杯なの悲しすぎる、と思いました(笑)

 

第5話「出現、怪獣島!」

 登場怪獣の数が異常w これ、全て新規造形ですよね? ヤバすぎ。

 第五話はサラマドンが実に魅力的で、攻撃といえば尻尾からの針攻撃程度しかないのですが、ピグモンとの対話やピグモンがさらわれた時の動きとか、そういう物語的な魅力の付け方が上手い。全然技がなくても、魅力はいくらでも作れます。レッドキング回のやられ役は、どれもキャラが立っている印象が強いですね。怪獣としてはさほど強くないのだけど、怪獣としての最低限の脅威度は守っている、この辺りのバランスが好みですね。

 レッドキングも、口から岩石を吐くというトリッキーな戦法で、やや知能もあるのかと思いきや、亀裂に足がハマってずっこける可愛さも併せ持ち、なかなかキャラづけがいい。それから、ピグモンの名が徐々に隊員たちに知れ渡っていく下りとかは好きですね。あと最後のパラグラーのやべぇ奴感も素晴らしい。ミズキ隊員の居る場所に突風が吹いてきて、砂にまみれた石版群が徐々に見えていく。不穏な感じが良く出ていましたね。

 少し不満点を言うとすれば、変身がさほど劇的でないところでしょうか。まぁ前後編の前半なので、仕方ないか。

 

第6話「爆撃、5秒前!」

 パラグラー、全然黒幕じゃなかった。まぁ、そこはさすがレッドキングといったところでしょうか。マックスに倒されたかに思われたレッドキングは再び活動を開始し、パラグラーと戦闘。

 一方、戦いで弱った(何故?) トウマカイト隊員は、ピグモンと会話をし、古代文明の最後について詳細を知る。パラグラーが倒れ、ピグモンが囮に。トウマカイト隊員が助けに向かうもミズキ隊員が攻撃を受け、カイトはマックスに変身します。後編の変身は、まぁまぁ劇的でよかったです。

 ピグモンが石像となったことで島は消え、ミサイル発射も取りやめられ、色々とハッピーエンド。この辺り、無難にまとめましたね。最後の、ピグモンの指についた「友好の証」にカメラが向くシーンなど、非常に後味の良い前後編でありました。

 

 というわけで、以上、マックスさっくり感想でした。構造論的にも、第三話までで大まかな下準備は済んだので、四話からはがっつり短編が始まりました。マックスも、キャラとキャラの関係など、どんどん描かれていくといいですね。今後も、ゼット各話感想記事を書きつつ、やや軽めのテイストの記事を、2,3ほど更新していきたいです。

 それでは、また次の記事でお会いしましょう! igomasでした!

ウルトラマンZ第8話感想 TDGスペシャル

 皆さんこんにちは、igomasと申します。今回も、Z各話感想進めてまいりましょう!

 

 

《今回の見所》

 これまでの記事でも、構造的な話はさせていただきましたが、一旦まとめてみたいと思います。第一話は「掴み」、第二話は「キャラ描写」、第三話は「変化球」、第四話以降は「キャラとキャラの関係」を描くのが、作品作りのフォーマットの一つ、と言いましたね。もちろんこれ以外の作品作りの方法もありますが、Zという作品は、このフォーマットに沿って作られていると言っていいでしょう。

 第五話、第六話、第七話はそれぞれ「劇薬」回でありましたから、私の記事では「劇薬の作品への落とし込み方」を色々と述べさせていただきましたが、第八話からは考察の仕方を元に戻し、第四話以降で重要な、「キャラとキャラの関係」にフォーカスして考察をしていこうかと思います。参考までに、第七話感想貼っておきますね。

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  また今回は、久しぶりのZ新形態、ガンマフューチャーが登場します。近年では、基本3フォームは6話くらいまでで出揃っていたので、これだけ登場が遅くなったのは結構意外でした。話数的には、中間フォームといっても良いくらいのガンマフューチャーですが、どんな戦いを見せてくれるのか、楽しみですね。

 それでは、第八話、早速見ていきましょう!

 

《第8話感想》

 怪獣研究センターの職員が、怪獣の痕跡を採取するところからスタート。今更気づいたんですけど、怪獣研究センターの、口開けた魚みたいなマーク、可愛いですねw 他の職員がカブラギシンヤに、「お前最近おかしいぞ」と呼びかけるも、返答もせずギロッと睨んで去って行く。それ、潜伏できてないぞセレブロ(笑)

 二人の少女(坂本監督プレゼンツ)からゴルザ・メルバ・超コッヴの成分を得たカブラギシンヤは、報酬を要求する二人を洗脳し、さらに二体の怪獣細胞を集めてくるように指示する。これ、洗脳に使ってるのってギルバリスの欠片ですかね。だとするとギルバリス、有能すぎる。で、OPがスタート。マジャッパ可愛い。そういえば最近クリヤマ長官見ませんね。

 今回の監督は、前2回に引き続き、坂本監督。メイン監督でない監督は、たいてい2話担当が多かったですから、3話連続担当はやや意外。坂本監督といえば、ダイナミックな特撮でも有名ですが、女好きでも有名(笑)。今回は、後者の側面が色濃く出ております。Twitterでもかなり話題になってましたね。

 ハルキとヨウコの特訓シーンからスタート。ヨウコ先輩、強者感半端ない。何というか、ナカシマヨウコ隊員は、ハルキの良き先輩、ってイメージがやはり強いですね。仕事人ってイメージより、良き先輩、ってイメージだな、うん(第五話引きずりすぎ)。このハルキとヨウコの関係は、かなり好み。ユカはあっさりヨウコに負け、買い出し担当決定。バコさんはハルキに技をかけてみろといい、軽くいなしてみせる。特にそれほど不満はありませんが、バコさんの登場の仕方がちょっと違和感。後で、セブンガー、ウインダム出撃だ!とヘビクラ隊長に言われるシーンで、ハルキとヨウコ、バコさんを同じ画角に入れたいという思いもあってバコさんを登場させたのでしょうが、ちょっと唐突感ありましたね。ハルキに技をかけさせるなら、もっとこういう風に技かけるといいよってアドバイスも欲しかったかな。強いアピールのために出てきただけ感がちょっと。まぁ、たいした話ではないのでこの辺で。

 ジャグラーはカブラギシンヤの名札をいじっており、このワイヤー伸ばして遊んでるの、いい。なんというか、魅力的な小道具。ところで、ジャグラーの「こいつが、セレブロ」発言。どうやらジャグラーは既にセレブロの存在を把握していたよう。ジャグラーセレブロ(ゲネガーグ)より前に地球に来ているので、ジャグラーセレブロを追って地球に来た、ってことはないのですが、どこでセレブロの存在を把握したのでしょう。ジード(朝倉リク)もセレブロの存在までは知らなかったようですし……今後の展開が気になります。

 カブラギシンヤ(セレブロ)は3枚の怪獣で合体怪獣トライキングへと変貌。「実験」と言っているあたり、どの組み合わせが最も有効か、試しているのでしょうね。さてトライキングですが、光線の色、爆発の種類が様々で面白い作劇。花火と同じ原理で、様々な色の爆発を起こしており、非常に画が綺麗。さすが、爆発の坂本監督。

 買い出し中のオオタユカ隊員は、トライキングを見て「うわぁ、三体の怪獣パーツが融合してるぅ!超激レア~」と喜びます。まぁ賢明な読者ならおわかりでしょうが、かなりこの台詞、変。そもそも防衛隊の人間として、怪獣が市街地にて暴虐の限りを尽くし、逃げ惑う人々がいる中で、真剣な顔になって「やば、早く解析して対処しないと街が!」ってなるのが普通で、あまりに不謹慎。防衛隊としての自覚が足りない以前に、人としてどうなのか。サイコパスが過ぎる。これは、少々いただけない。それから、トライキング初見で、「三体の怪獣パーツが融合してる」って分かるか?ってのもあるんですよね。初見でメルバと超コッヴのパーツを見つけるのは至難の業、っていうか普通無理でしょう。しかもトライキングは羽が伸びていないので、なおさらメルバが分かりにくい。いくら怪獣に詳しいからって、さすがに無理があり、完全なメタ発言に感じられました。正直このセリフ・シーンまるごといらなかったんじゃないかな。

 ジャグラーは苦戦するセブンガー・ウインダムを見て、ダイナのメダルを眺めながら、「こんな時、戦士ならどう戦う?」発言。すげぇこの人、100年以上前のオーブオリジンサーガの一件、まだ引きずってるよ。まぁ、自身の転換点となる事件の一つでしたから、印象深いのでしょうね。

 カブラギの部下少女二人は暗躍を開始し、ハルキ、ゼットライザーをなくしてしまった!ここらへんのポンコツ具合が、実にハルキ。オオタユカは怪獣が暴れていようがお構いなく、ゼットライザーを見つけてウハウハ。トライキングが消滅しユカと合流したナカシマヨウコ隊員は、敵少女と遭遇。ゼットライザーを持っている人をゼット変身者だと勘違いした少女に、さらわれる二人。こういうコメディチックな展開は、これはこれでありかも。普通に楽しめました。ヘビクラ隊長の「えなんでお前が命令するの」のツッコミとか、良い。

 さらわれたヨウコとユカは、カブラギシンヤに初遭遇。せっかくの初遭遇なんだから、何かしらヨウコ・ユカからの言及は欲しかったところ。

 ヘビクラ隊長はカブラギシンヤの異変を調査し、彼がウルトラメダルを製造していることを知ります。一方そのころ、カブラギシンヤは2枚の怪獣メダルを獲得。

 で、またヨウコとユカのシーンに戻るわけですが、カブラギシンヤは既に去り、ヨウコとユカに少女二人が忍び寄る。え、なんでこの二人さらわれた? そもそも、二体の怪獣細胞を回収することがミッションだったはずで、ウルトラマンゼットを捕獲するのは命令外の行動。仮に本当のゼット変身者だったとして、カブラギシンヤがゼット変身者と顔を合わせるのは潜伏がばれるため避けるべき。潜伏がばれてでもゼット変身者をさらう理由があるとすれば、ジードの時のように遺伝子を抽出するなど、カブラギシンヤ自身が何かしら作為をするはずですがそれもなし。カブラギシンヤが、こいつらゼット変身者じゃない、と気づいたならそもそも自分が所属する怪獣研究センターと関わりの深いストレイジの隊員に姿を見せるだけになり、暗躍がばれて不都合。少女二人も「お前ら結局偽物かよ!」みたいなつっこみしてなかったので、少なくとも偽物だとは思われていないみたい。だから、本物のゼット変身者を捉え、カブラギシンヤも自身の姿を見せるという不都合なことをしたからには、何かしらの作為をしなければ割に合わないのですが、どこにもさらわれた理由が見当たらない。え、何したかったのカブラギ陣営。これでは、カブラギシンヤがただのポンコツにしか見えないのですが、う~ん、何がしたかった?

 結局、坂本監督が自分の女性趣味を映像作品にするために、ヨウコ・ユカと少女二人の戦いを見せたいがためだけに、そんでもってヨウコ・ユカがとらわれてるシーンがなんか撮りたかったというただそれだけの理由で、二人はさらわれたのでしょう。それは駄目だぞ坂本監督。まぁ、作品構造上、大きな矛盾が生じたとかではないのでよしとしましょう。カブラギシンヤの魅力は大きく減りましたが。

 ハルキはゼットライザーを見つけ、トライキングとの戦いに挑みます。これ、後でオオタユカが「私のゼットライザーどこぉ」って言うみたいなシーンが全くなくて、ほんと雑だなって思ってしまいました。面白いことをやるのはいいけど、ちゃんと後片付けはしよう。オオタユカ、戦闘も子供の遊び感が強く、非常に印象が悪いです、今回。ところでピット星人、うち一体がピンク目なのですが、近年まで黄色目じゃなかったですか?最近変わったのかな。より二体が差別化されて見分けやすくなりましたね。

 さて特撮。トライキング、本当に、爆発の色がカラフルで、好印象。ゼットはゼットランスアローで華麗に戦います。ゼットランスアローは、特にバンクとかも挟むことなく、スムーズな召喚で、かなり良い。劣勢になったカブラギシンヤは、二枚の怪獣メダル(レイキュバス・ガンQ)を用い、超合体怪獣ファイブキングへと変貌します。

 苦戦するゼットを見て、「お前の力はそんなもんか」と言うジャグラー(この台詞、過去のセルフオマージュ)。「こんなところでやられても困るからな」とジャグラーは3枚のメダルを渡し、ハルキが新たな形態、ガンマフューチャーに変身。

 早速新技、ゼスティウムドライブを放ち、あ、これガイアのうにょんと伸びるあれか!さて、ここからのガンマイリュージョンは、今作の大きな見所でしたね。まさかのティガ・ダイナ・ガイア召喚に、ガイアのタイプチェンジ、それぞれの光線技が描かれ、実にアツい展開。特にTDG世代にはたまらんでしょうね。ガンマフリーザーで凍らせ、ガンマスルーで体内へ。体内から破壊されるカブラギシンヤ。ほんと、ご愁傷様ですw 爆発もダイナミックで、ほんと、今回の特撮の爆発は光ってましたね。さすが坂本監督。「新しいゼット様は、超能力戦士」とベタ惚れする、枯れ専のヨウコ(なおこの台詞もダイナオマージュ)。

 新形態は、「変幻自在、神秘の光」の妙にかっこつけすぎた言い方、「ヒィエェアァ」っていう電子音みたいな声、光線炸裂時のポーズも相まって、あまり「うわぁかっこいい!」とは思いませんでしたが(笑)、まぁ格好いいはアルファエッジ担当なんで……これまでの形態の中で最も表情が柔和で、優しげな顔つきなのは良いですね。この形態はこの形態で割と好み。

 ボロボロのカブラギシンヤはジャグラーに襲われ、ほんと、泣きっ面に蜂、弱り目に祟り目ですね。ジャグラーはカブラギシンヤが落としたファイブキングのメダルを発見し……え、ファイブキングの構成メダルがプレバン限定のダークゼットライザーについてくるって、つまりそういうこと!?そういうことなのか!?ジャグラー、ファイブキングに変身するのか!?ちょっと、それだったら展開凄すぎるんだけど。これは、期待してしまいますね。

 新たなメダルをくれたのは、一体だれ?と悩むハルキをヨウコが誘い、オオタユカは忙しい中強制的に連れて行かれ、「もぉ、なんでよぉ~」と言って終わり。ちょっとオチが本編と無関係すぎてあれっ、とはなりましたが、ストレイジの和気藹々とした雰囲気は、悪くない。

 ということで第八話でした。まぁ不満点も色々ありはしたけれど、良いところも沢山ある、いつもの坂本監督回って感じでしたね。ガンマフューチャーのなんでもあり感は、今後の監督陣の腕が試されますね。どのような「変幻自在」技を使ってくるのか、楽しみにしておきましょう。

 ガンマフューチャーへの変身がさほど劇的でなかったのはやや不満ではありますが、その分、ジャグラーストレイジに種明かしする回で劇的に描かれることを祈っています。

 現状問題かなと思っているのは、カブラギシンヤの魅力が絶望的に薄いこと。初陣が3体のウルトラマンにボコボコにされたこともあり、今回内側から破壊されてボロボロになったところに追い打ちとばかりにジャグラーに狙われたり、活躍が芳しくないことからもどことなく魅力がないんですよね。自分の予想では13話で覚醒しそうな気がしているので、後半戦では頑張っていただきたい。

 次回、キングジョー。う~ん、新怪獣がまだ第1話のゲネガーグしかいないが、大丈夫か。本音を言えば毎回新怪獣見たいくらいなので、ここまで新怪獣が間を開けると、つらい。なぜか年々予算を減らされていってるみたいな話も聞きますが、頑張っていただきたいものですね。それでは、また次の記事でお会いしましょう!igomasでした!

 

《補論》

 今回で、ゼットの初期形態である、アルファエッジ・ベータスマッシュ・ガンマフューチャーが出揃いましたね。

 同じくフュージョン系のウルトラマンである、オーブやジードも、3つの形態を使い分けながら戦うウルトラマンでありました。

 Zの形態変化で私が特に評価しているのは、各形態の顔です。オーブ・ジードでは、形態ごとに顔の形が大きく変わり、オーブなんかは目の形まで大きく変わるので、一見別のウルトラマンかと思えてしまうんですよね。各形態を覚えるのが実に大変でありました。一方ゼットは、各形態あるものの、顔の形は大きく変わっておらず、どことなく同じウルトラマンだと分かる造形になっています。これにより、ウルトラマン新規参入者にも間口の広い作品になっているのではないか、と思うんですよね。

 皆さんは、形態変化で顔つきが大きく変わるのと、顔つきが変わらないのとでは、どちらが好みですか?

ウルトラマン映画ランキング

 皆さんこんにちは、igomasです。コロナ流行により遅くなりましたが、ウルトラマンタイガの映画がついに公開されますね。直前コメントなども公式YouTubeに上がってきており、期待が高まります。

 そんなわけで、今回は映画関連の話。私igomasが選ぶ、ウルトラマン映画ランキングを言っていきたいと思います。ウルトラマン映画は、昭和と平成でその作風ががらりと変わり、昭和では、テレビ本編を編集し、それに、新規映像を少しばかり加えた作品が多く、平成では、まったく新しいストーリー展開の話が多い印象です。調べてみると、なかなか奥の深い世界ですね。

 私igomasは、最近の映画はまぁだいたい把握していますが、全ての映画を見ているわけではないので、そこのところだけ、ご了承ください。それでは早速、やっていきましょう!

 

 

《評価基準》

 まず私igomasの評価基準から。自分は、ウルトラマン作品群を『怪獣特撮』作品として見る節があります。それゆえ評価基準の一つとして、『怪獣が魅力的』というのは欠かせません。怪獣は魅力的に思えない映画はランキングから外し、次点で、『ウルトラマンの魅力』で評価しています。また、『映画たりうるか』も評価の一つです。テレビ本編のレベルで済む小事件ではなく、映画としての作り方をしているか、というのも大事な要素ですからね。

 

《ランキング》

 それではランキングの発表です。全ての映画となると順位をつけづらいものもあったので、今回は上位7作品だけ。

 

1位:ウルトラマンティガウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦

2位:ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

3位:ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT

4位:ウルトラマンサーガ

5位:大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

6位:ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団

7位:ウルトラマン物語

 

6位・7位

 『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』・『ウルトラマン物語』がランクイン。正直、上に語った『映画ならでは』という要素はやや薄めで、テレビ本編の総集編という要素がかなり大きいのですが、それを考慮しても、好きな映画ですね。ゾフィーの映画は当時何度も何度も見返した思い出があります。自分かなりゾフィー好きで、ゾフィー単体作品があること自体がとても嬉しかったんですよね。この映画から、帰ってきたウルトラマンが、ウルトラマンジャックと呼ばれるようになりました。

 ウルトラマン物語は、実はグランドキング戦よりコタロウの特訓編の方が好きだったりします。出てくる怪獣がまぁ渋めのチョイスで、今ではそこそこコアなファン向けの怪獣紹介になっている感。

 両映画とも、当時ウルトラ怪獣をほぼほぼ知らなかった自分に、色々な怪獣知識を与えてくれました。そんな思い出もあって、どちらも好きですね。この2作品に登場したムルロアとエンマーゴは、当時まだ幼かった自分に強烈なインパクトを与えてくれましたw

 

5位

 『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』がランクイン。ウルトラマンゼロが初登場した映画ですね。ウルトラの星光の国の設定や、ウルトラマン誕生の秘密に迫り、ワイヤーアクション、喋るウルトラマン、ベリアル・ゼロ登場によるパワーインフレと、挑戦に次ぐ挑戦の映画でありました。プラズマスパークタワーの壁面でのゾフィーらとベリアルの戦いとか実にアツかったですし、かなりアクションが好きな映画。怪獣も100体登場の大盤振る舞いで、とにかく見てて飽きない。どのシーンも怒濤の怪獣バトル。カプセル怪獣は出るわゴモラは活躍するわメビウスも活躍するわ、ダイナが出るわ、そんでもってゼロが最後にいいとこ全部持って行くわ、まぁ素晴らしい。今のニュージェネの始まりといっても良い映画で、新規ファンにはとくにオススメの作品ですね。

 

4位

 『ウルトラマンサーガ』が第4位ランクイン。5位のウル銀と迷いましたが、やっぱりウルトラマンは市街地戦闘よな、ということで。ハイパーゼットンが魅力的に描かれていましたね。本作ならではの防衛隊、チームUの見せ方も好みでしたし、ロボット部隊で立ち向かう様もかっこよかったですね。ロボット部隊という点では、円谷において、現在放送中のウルトラマンZの防衛隊、ストレイジの前身といえるかも。

 本作は、ゼロの新たな物語というのが新しかったですね。ゼロが、主役として唯一ベリアルの呪縛から解き放たれた映画(笑)。ベリアルが出ないことで、ウルティメイトフォースゼロの面々を出す必要もなくなり、新しい演出が出来たのも評価できる点。

 コスモス、ダイナを物語に絡めつつ、スムーズな話運びも光ります。コスモスはあまり後日譚要素が見られませんでしたが(カオスヘッダーがらみにしようとしていたらしいですが、それが途中で頓挫したよう。全体のバランスを考えれば、これはむしろ英断だったと思っています)、ダイナはガッツリ後日譚となっていましたね。ゼロが主役でありながら、ダイナの映画でもあるという、新規ファンにも古参ファンにも、うける映画づくり、いいですね。

 ちなみに、古参ファンに媚びを売りすぎて、必要もなくとりあえずレジェンドを出す、という展開が嫌いなので、改造怪獣とウルトラ兄弟のシーンを上映時に全カットしたのは名采配だったと思っています。

 

3位

 『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』が見事3位にランクイン。まぁこれは単純に、私がコスモス好きだからってのも大きいのですが、なによりベーシカルバルタンがかっこいいってのがでかい。ベーシカルバルタンのデザインは好みド直球で、全バルタン星人の中で最も好きなデザイン。バルタン星人では珍しい第二形態、ネオバルタンも、良い味を出してました。チャイルドバルタンも好みのデザインで、本当に今作のバルタン星人の造形は素晴らしい。

 物語も、「あぁ、めっちゃコスモスだわ」と思える安定の作りで、本作がテレビ本編の前日譚となっているため、本映画のキャラがテレビ本編で出たりと、テレビ本編との関係も面白く、そういった意味でもオススメの映画。

 

2位

 『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』。文句なしの名作。安直なウルトラ兄弟参戦があまり好きでないことは上で述べましたが、今作は、ウルトラ兄弟でなくてはならない理由がしっかりとあり、客演も文句なしに素晴らしい。

 なんといってもUキラーザウルスの造形、アクションが素晴らしく、最後のUキラーザウルスネオとの決戦なんかは最高。CGをフルに使った戦いが本当にエクセレントでミラクルでファビュラスなんで、見てない方は必見です。

 昭和宇宙人にメビウスならでは、平成ならではのオマージュを加えており、テンペラー星人ガッツ星人なんかは特にお気に入りのデザイン。まぁ、見たらすごさが分かります。

 

1位

 『ウルトラマンティガウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』が見事1位に輝きました。もう、これ以外あり得ない、他を大きく離しての1位です。本作、まず世界観が面白く、ウルトラマンガイアがテレビで放送されている世界に、怪獣とガイアが現れる、って話なんですよね。

 怪獣も魅力的で、なんといってもキングオブモンスが最高すぎる。造形、強さ、破壊、特撮、全てが文句なしに素晴らしく、また演出も王道で勝負しているあたり、とても好感が持てます。ガイアはテレビ本編からそうなのですが、建物破壊のオンパレードがすさまじく、もう、「今では考えられない」ってレベルを通り越して破壊しまくってます(笑) この破壊こそ、本作の魅力。全てを破壊しつくす、怪獣の中の怪獣、キングオブモンス。ウルトラマン全作品の中で1、2を争うほど好きな怪獣です。

 主人公のみが異世界に行くことから、テレビ本編のレギュラー陣はほとんど出ていないのですが、その少ない出演時間の中で各々の魅力がギュっと詰まっていて良かったですね。これはテレビ本編の出来の良さを確信していなければできない演出です。さすが、としかいえません。

 本作初登場のキャラクターたちも魅力的で、特に素晴らしいのが、本作のもう一人の主人公である、少年新星勉。こんなに小さい子供がここまでの演技力を発揮したのは、ウルトラマン全作品の中で後にも先にもこの一作だけ。それもそのはず、この少年、かの濱田岳さんが演じられているんですよね。なんなんだ、この神采配。製作陣が濱田岳少年を選んだその時点で、この映画の成功は決まっていたようなもの。素晴らしい、ほんと素晴らしい。彼以外にも、魅力的で演技の上手い少年少女ばかりで、それを語っているときりがないので映画見てください(笑)

 サタンビゾーやハネジローといった、本作に花を添える怪獣たちや、バジリス・スキューラとこれでもかと魅力を乗せてくる怒濤の展開、極めつけにティガ・ダイナと、もう、最高しかいえない。

 

《まとめ》

 以上、私igomasによる、個人的ウルトラマン映画ランキングでした!

 上位作品は、割と順位付けに悩みましたね。とはいえ、1位はほんと文句なしで1位。なんというか、もうこれ以外あり得ないくらいのダントツでありました。円谷さん、いつまでも待ってます。この映画を超える映画を、いつか作ってくれる日が来ると……

 皆さんが好きなウルトラマン映画がありましたら、コメントにでも残してくださいませ。

 それでは今回はこの辺りで。また次の記事でお会いしましょう、igomasでした!